【xStocks】米国株など60銘柄以上を扱う株式トークン化プラットフォーム / KrakenやBybitなどの暗号資産取引所やDeFiを通じて24時間365日取引が可能 / @xStocksFi
株式トークン化のトレンドが到来しています。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「xStocks」についてリサーチしました。
🟩xStocksとは?
⚙️詳細の仕組みと規制対応
💬株式トークン化のトレンドが到来
🧵TL;DR
xStocksはスイスのBacked社が提供する株式トークン化プラットフォームで、米国株など60銘柄以上をSolana上でトークン化しています。
証券口座なしで、KrakenやBybitなどの暗号資産取引所やDeFiを通じて24時間365日取引が可能です。
実株の裏付けと法規制への準拠により、信頼性と透明性を確保しつつ、米国など一部地域はサービス対象外です。
Robinhoodなどの参入も始まり、株式トークン化は暗号資産と統合される次世代金融インフラとして世界的なトレンドになりつつあります。
🟩xStocksとは?
「xStocks」は、スイスの金融商品発行企業「Backed Finance」社が提供するトークン化株式プラットフォームです。
Backed Financeは2021年設立の企業で、本社所在地はスイスのツーク州(ツーク市)であり、スイスのDLT法(分散型台帳技術に関する法律)の枠組みに準拠して事業を展開しています。
2025年6月30日にxStocksを立ち上げ、アップル、マイクロソフト、テスラなど米国の代表的企業株を含む60以上の米国株・ETFをトークン化して提供開始しました。
トークンはSolana上で発行され、プロジェクト発表時にはBybitやKrakenなどの取引所に加えて、Jupiter、Kamino、Raydium等のSolana系DEXと提携してグローバル展開しています。
◼️仕組み
xStocksは、実在の株式やETFをブロックチェーン上のデジタルトークンに変換し、従来の株式投資と暗号資産取引を融合させたサービスです。
ユーザーはxStocksトークン(例:AAPLx=Apple株、TSLAX=Tesla株 等)を購入・取引することで、間接的に株式の価値に投資できます。各トークンは対応する株式・ETF1株と1:1の価値連動を持ち、Backed社が実物株式を購入・保管することで裏付けられています。
これにより、ユーザーは24時間365日いつでも株式相当のトークンを売買でき、米国市場の取引時間外や週末でも取引が可能です。
サービスの利用にあたって従来型の証券口座は不要であり、代わりに暗号資産取引所の口座やウォレットを用いて取引します。KrakenやBybitといった暗号資産取引所では、xStocksトークンを他の暗号資産と同様にスポット取引でき、ステーブルコイン(USDTやUSDCなど)での決済にも対応しています。また証券CFDや従来資産の取引機能を持つ取引所(BybitのTradFi機能等)とも連携しており、ユーザーは同一プラットフォーム上で金や外国為替、株価指数などと並び株式トークンを扱うことができます。
まとめると、xStocksは「株式投資をブロックチェーンでトークン化したサービス」であり、暗号資産の取引インフラを通じて株式相当の資産を売買・保有できる新しい投資手段を提供しています。証券会社の口座開設やドル転換を行わずとも、暗号資産ウォレットさえあればグローバルな株式投資に参加可能となります。
KrakenやBybitで提供が始まった直後には、1日あたり約133万ドル(約1.9億円)の取引高を記録し、延べ1,200名以上のユーザーが取引に参加するなど順調な立ち上がりを見せました。特に注目された銘柄はNVDAxやTSLAx、AAPLx等で、ローンチ当初はこれら一部の人気銘柄に売買が集中したとのことです。
⚙️詳細の仕組みと規制対応
続いて、実際のトークンの管理方法(裏付け方法)や規制への対応について見ていきます。株式のトークン化は過去も色々な企業が取り組んでいたことがありますが、法的な対応が難しく、断念してきたこともありました。xStocks(Backed Finance)はどのように対応しているのでしょうか。
◼️規制遵守
xStocksはスイス法の下で適法に設計・運営されています。スイスでは2021年にDLT法(ブロックチェーン上の証券を認める法律)が施行されており、Backed社のトークン発行はこの枠組みに沿って実施されています。
各トークンは「電子記録移転権利」として規制基準に準拠した形で発行されており、裏付けとなる実株についても適切な目論見書や法的書類を整備した上で提供されています。
特に、提供対象地域から米国等を除外することで各国証券法との整合性を図っています。xStocksは米国やその他禁止管轄地域の居住者には提供されず、サービス利用には各取引所でのKYC手続きが必要です。
Krakenは欧州・アジア・中南米・アフリカなど185以上の国と地域でサービスを展開予定ですが、各国の規制当局とも協調しながら段階的に提供しています。例えばドイツでは証券の目論見書要件が問題となるためか、Binanceが2021年に類似サービスを中止した経緯があります。
これに対し、Backed/xStocksはスイス金融当局の監督下で発行体を置き、提携先の取引所も当局から承認された枠内でサービスを出すことで、グレーゾーンを避ける戦略を取っています。
実際、Binanceの株式トークンが規制上の指摘で短期間で終了したのに対し、KrakenやBybitが扱うxStocksは現時点で各国から大きな禁止措置は出ておらず、比較的順調な滑り出しを見せています。もっとも、「各国の証券規制の断片化」が依然として課題と指摘されており、今後サービスをグローバルに維持する上で各地域の規制動向を注視しつつコンプライアンス対応を続ける必要があります。
◼️裏付け資産の管理
セキュリティ面で最重要となるのが、トークンの裏付けとなる実物株式の保管管理です。Backed社自身は発行体でありつつ、証券ブローカーおよびカストディアン(保管機関)は第三者を起用しています。
具体的には、米国株の購入・保管の実務を米国の証券会社Alpaca Securities LLCが担い、スイスのInCore Bank AGおよびMaerki Baumann & Co. AGといった金融機関がカストディサービスを提供しています。これにより、ユーザー資産に相当する株式は信頼性の高い機関に預けられ、破綻隔離や資産保全が図られています。
さらにBacked社はChainlinkのProof of Reserve(証明オラクル)を導入し、オンチェーン上で裏付け資産の存在を検証可能にしています。Chainlinkが提供するxStocks Data Streamsによってリアルタイムの株価や企業アクション(株式分割や配当など)の情報がブロックチェーン上に配信され、透明性と精度の高い価格連動が実現されています。ユーザーはオンチェーンデータや定期的な監査報告を通じて、「発行済みトークン数」と「保有株式数」が常に一致していることを検証できます。
◼️システム設計
xStocksトークンはSolana上の標準トークンとして発行されていますが、そのスマートコントラクトには発行体による管理権限が設定されています。
発行上限(初期設定は各銘柄6,000トークン程度)や新規発行(ミント)・凍結(フリーズ)の権限がBacked社に付与されており、不正流通や規制対応の必要が生じた場合には対処できる設計です。この点、トークン保有者にとっては中央集権的なリスクともなりえますが、不正利用時の緊急対応や法令順守のための措置が取れるメリットでもあります。
また、xStocksは独自の取引アプリを提供しているわけではなく、提携先の取引所やウォレットを通じて利用する仕組みです。KrakenやBybitといった提携取引所では、それぞれのモバイルアプリやウェブ取引ツール上でxStocksトークンを売買できます。
💬株式トークン化のトレンドが到来
最後は総括と考察です。
xStocksのリリースを皮切りに、Robinhoodも同様の取り組みを発表し、ここ1週間で一気に株式トークン化のトレンドが到来しつつあります。まあ、以前から株式をトークン化することに取り組む企業はありましたが、ここまで大々的に取引所と組んで実施した企業はないのではないでしょうか。
暗号資産の横に株式が並ぶ未来がすぐそこにありそうです。
そして、すでに債権や金などのコモディティ系などのアセットのトークン化も進んでいますし、ステーブルコインは現金の代替になっています。なので、暗号資産取引所の口座やノンカストディアルウォレットの口座が銀行や証券口座の代替となり、スーパー金融アプリのような位置付けになることになりそうです。
もちろん全てが一気に変わるほどの勢いではないと思いますが、論理上は実現できるようになってきています。
何より、アメリカでもこの動きが加速しています。先週、Dinariという株式のトークン化を目指す企業が米国で初めてトークン化株販売ライセンスを取得したことが話題となり、同様の資格をCoinbaseとKrakenも目指していると報道されていました。
xStocksやRobinhoodは現状ヨーロッパ中心で米国は対象外ですが、米国でもこの動きが続くと、いよいよ世界的に株式のトークン化、そして金融口座の中心がブロックチェーンになっていく動きが加速しそうです。
ここは非常に楽しみですね。
かつて電話でしか株の取引ができなかった時代からインターネットで時間内なら常時取引ができるようになりました。これがさらにどの国にも24時間365日取引ができる時代になろうとしています。また、ブロックチェーン上にアセットが来ると、例えばDeFiレンディングの担保に利用できるなど、他のDeFiと統合されるので、資金効率が上がったり、新しい金融商品の可能性もあります。
あまりにも組み込みすぎるとリスクもありますが、いつかそのリスク対策の保険DeFiプロトコルも誕生しそうですね。
話が派生しましたが、株式のトークン化のトレンドが到来しつつあること、その動向を今後も見守っていきたいです。
以上、「xStocks」のリサーチでした!
🔗参考リンク:HP / X
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