【RWAトークン化 解説レポート】定義・メリット・課題・ユースケース・代表プロジェクト・展望を徹底解説 / この記事でRWAの全てがわかります
8,000文字越えのレポート。トークン化の新しい波、RWAの衝撃を探る。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は初の試みとしての「業界レポート」を作成しました。一発目のレポートのテーマは最近話題の「RWAのトークン化」についてです。合計8,000文字越えの大作となったので、よければぜひ最後までご覧ください!
«目次»
1、RWAトークン化の盛り上がりを証明するデータやニュース
2、RWAのトークン化とは?
3、RWAトークン化の7つのメリット
- 流動性の向上
-グローバル市場へのアクセスの拡大
- 小口投資の実現
- 透明性の向上
- 仲介手数料の削減
- 24時間365日リアルタイム取引の実現
- 担保化、DeFiへの接続
4、RWAトークン化のプロセス
- 資産評価
- リーガルチェック
- トークンの発行
- 販売/流通
5、RWAトークン化のユースケース
- ユースケース
- RWA TVL Rankings Top10(stUSDT、Ondo Finance、RealT Tokens、MatrixDock、BackedFi、Tangible、Maple RWA、Lofty、Akionaiat、OpenEden T-Bills)
- RWAの過去リサーチプロジェクト
6、法的および規制等、RWAトークン化の課題
- 各国の規制との整合性
- 投資家保護
- トークンの権利と責任
- オラクル問題
- ブロックチェーン全体の技術的な課題
7、今後の展望と考察
8、まとめ
1、RWAトークン化の盛り上がりを証明するデータやニュース
まず細かい説明に入る前に、現在のRWAトークン化がどれだけ盛り上がっているか、可能性を秘めているのかを証明するデータやニュースを幾つか紹介させていただきます。
ボストン・コンサルティング・グループは、トークン化された資産の市場は2030年までに16兆ドル(約2240兆円)規模にまで膨れ上がると予測
バンク・オブ・アメリカは先日、RWAのトークン化を「デジタル資産普及の重要な推進力」と呼んだ。同行のレポートによると、トークン化されたゴールド市場は10億ドル以上の投資を獲得している
米CoinDeskがまとめたデータによると、トークン化されたマネー・マーケット・ファンド(MMF)の時価総額は5億ドルに迫る勢いで、トークン化された米国債への需要も高まっている
資産運用会社のハミルトン・レーン(Hamilton Lane)は、21億ドル規模の「Equity Opportunities Fund V」の一部をトークン化するために、セキュリティトークン発行を手がけるSecuritizeとパートナーシップを結んだ
数兆ドルの資産のトークン化に向けた新しい推進団体「Tokenized Asset Coalition(トークン化資産連合)」が設立
設立メンバーは、暗号資産取引所のコインベース(Coinbase)、ステーブルコイン発行者のサークル(Circle)、レイヤー2ネットワークのベース(Base)、DeFiレンディング・プラットフォームのアーベ・カンパニーズ(Aave Companies)、Centrifuge、Credix、Goldfinch、RWAデータ・プラットフォームのRWA.xyz
ロンドン証券取引所グループがRWAのトークン化市場設立を計画中
↓DeFiLlamaよりDeFi市場におけるRWAの盛り上がり
五月雨なデータ紹介でしたが、RWAトークン化はブロックチェーン領域で大きな盛り上がりを見せているのではなく、世界的なトレンドとして大きな盛り上がりを見せていることがわかります。
2、RWAのトークン化とは?
RWA(Real World Asset、実物資産)は、我々の身の回りの物理的な価値を持つ資産を指す言葉です。これには不動産、美術品などが含まれます。これまで、これらの資産は流動性が低く、取引が複雑で時間がかかることが多かったのですが、これらの資産をデジタル上で効率的に取引する方法が登場しています。それが「トークン化」と呼ばれるプロセスです。
トークン化とは、実物資産をデジタルトークンに変換し、ブロックチェーン上に載せる行為(オンチェーン化)です。トークン化された資産は透明性が高く、流動性も大幅に向上します。
この方法により、RWAの所有や取引が大きく変わりつつあります。投資家は小口での投資が可能になり、またグローバルな市場での取引がより容易になりました。この記事では、RWAのトークン化の概要と、それがもたらす可能性について詳しく探ることとします。
3、RWAトークン化の7つのメリット
RWAのトークン化は、これまでの伝統的な資産取引の課題を解決する新たな可能性をもたらしています。そのメリットを7つ紹介します。
1. 流動性の向上
多くのRWA、特に不動産や美術品のような高額な資産は、売買がなかなか成立しづらいという特性がありました。しかし、トークン化によって、これらの資産を分割しデジタルトークンとして流通させることが可能になり、取引のハードルが大幅に下がります。また、所有権のみが売買され実際の資産は移動しなくても良くなるため取引スピードも向上しコストも削減されます。これにより、資産の流動性が向上し、市場全体の活性化が期待されます。
2. グローバル市場へのアクセスの拡大
従来のRWAの取引は、地域的、国境をまたぐものには多くの制約が伴いました。しかし、トークン化されたRWAはブロックチェーン上で取引されるため、地理的な境界を超えて容易に取引ができるようになります。これにより、グローバルな投資家の間での資産の取引や共有が現実的になります。
3. 小口投資の実現
トークン化の魅力の一つは、資産を小さな単位に分割して投資できることです。例えば、高額な不動産物件を多くの人が共同で所有し、その利益を共有するといった形が考えられます。このように、小口での投資を実現することで、より多くの人々が投資市場に参入するきっかけを提供します。
4. 透明性の向上
ブロックチェーン技術の特徴は、取引の透明性と不変性です。トークン化された資産の取引は全てブロックチェーンに記録されるため、その履歴は公開され、改ざんが不可能です。これにより、投資家は安心して資産を取引することができ、市場全体の信頼性が向上します。
5.仲介手数料の削減
中央に売買を媒介する人間がいなくなるため、仲介手数料がかからなくなり、安価な値段で取引をすることが可能になります。
6.24時間365日リアルタイム取引の実現
これまで取引時間に制限があった資産の売買が24時間365日、いつでも行うことができる。例えば不動産売買の取引は不動産会社の営業時間内しか対応できませんでしたが、トークン化された資産の売買はいつでも可能です。
7.担保化、DeFiへの接続
トークン化された資産はNFTやFTの形で保有できるため、その資産を担保に別のDeFiプロトコルに接続することができます。例えば、100万円分の不動産のトークンを担保にして暗号資産を借入し、その暗号資産をステーキングして報酬を得るなど、トークン化された資産のさらなる運用も可能になります。
このように、現状の取引より明らかにトークン化した方がメリットがあるので、RWAのトークン化は資産取引の新しい時代を切り開く技術として非常に注目を集めているというわけです。
4、RWAトークン化のプロセス
続いて、RWAをトークン化するプロセスを解説します。資産や利用するサービスによって多少の差はあれど、基本的には同じプロセスを辿ります。
1. 資産評価
RWAのトークン化の最初のステップは、その資産の価値を適切に評価することです。不動産の場合、位置、サイズ、状態などの要因に基づき専門家による評価が行われます。美術品や収集品の場合は、その希少性や歴史的価値も考慮されることが多い。この評価はトークンの価格設定や発行量の決定の基盤となります。
2. リーガルチェック
トークン化は資産の所有権をデジタルトークンに移転するプロセスであり、これには複雑な法的手続きが伴います。法的枠組みの中で、所有権の移転、セキュリティの確保、投資家の権利と義務などが明確に定義されます。さらに、規制当局との連携も不可欠で、合法的にトークンが流通できるようにするための手続きを整える必要があります。(2度目以降はここは省略されます)
3. トークンの発行
資産の評価と法的手続きの後、次にRWAはデジタルトークンとしてブロックチェーン上に発行されます。このトークンは、実際の資産を表すデジタル証明書のようなものであり、ブロックチェーン技術の利点を生かして透明性を保ちながら取引されます。
★オラクル問題
この発行時、そして発行後において非常に大切になることがオフチェーンに存在する資産をトラストレスにオンチェーン化させることです。当たり前ですがトークン化された資産は常に存在している必要がありますし、現実世界の情報とリンクしている必要があります。ブロックチェーンは情報入力後には改竄ができませんが、そもそも入力する情報が間違っていたり、誰かが恣意的に情報をコントロールできるようでは、トークンに信頼がありません。そこで、オフチェーンデータをそのままオンチェーンにのせる「オラクル」と呼ばれる技術が存在します。(オラクルの詳細はまた別途記事にまとめます。)
4. 販売/流通
トークンが発行された後、それは投資家や消費者に販売されます。これは伝統的な証券の公開(IPO)に似ていますが、デジタルプラットフォームを使用してグローバルに取引が行われるのが特徴です。投資家はこれらのトークンを購入し、その価値の上昇や資産からの収益を期待することができます。
5、RWAトークン化のユースケース
定義、メリット、プロセスを見てきたところで、より具体的なイメージを想像するために代表的なユースケースを紹介します。
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