【Saturn】MicroStrategyのSTRCを裏付けに利回りを生むステーブルコインを発行 / USDatとステーキングトークンのsUSDatを発行 / @usdat21
オフチェーン金融商品のオンチェーン化が進む
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Saturn」についてリサーチしました。
Saturnとは?
変遷と今後の展望
オフチェーン金融商品のオンチェーン化が進む
TL;DR
Saturnは、米国債担保のステーブルコイン「USDat」と、Bitcoin Credit(MicroStrategyのSTRC)を裏付けに利回りを生む「sUSDat」を提供する、ビットコイン信用活用型のステーブルコイン・プロトコル。
BTC → MicroStrategy(BTCトレジャリー企業)→ 優先株STRC → sUSDat、という信用の連鎖により、ビットコインの価値を“デジタルクレジット”としてオンチェーン化する点が最大の特徴。
初期はUSDat=100%米国債担保/sUSDat=100%Bitcoin Credit担保で開始し、将来的にはUSDat自体もBitcoin Credit比率を高め、10%以上の持続的利回りを提供する準備通貨を目指す。
Saturnとは?
「Saturn」は、Bitcoinを活用した高利回りステーブルコイン・プロトコルを開発するプロジェクトです。
具体的には、米ドルにペッグしたステーブルコイン「USDat」と、そのステーキング版で利回りが得られる「sUSDat」を発行し、ビットコインを担保とした新たな準備通貨を構築しようとしています。
◼️解決しようとしている課題
Saturnチームは以下のような現状の課題を認識しています。
ビットコインの価格変動
ビットコインは価値の保蔵手段として優れていますが価格変動が激しく、日常決済やマスアダプションには不向きです。ビットコインのボラティリティを抑え、安定して利用できる形にする必要があります。DeFiにおける利回りの欠如
現在のDeFiでは、安定かつ大規模に運用できる持続的利回り手段が不足しています。既存の利回りは流動性マイニングやレンディングなど変動が大きく、規模を拡大しにくい問題があります。信用資産の不透明性
従来の信用商品(社債や貸付など)はブラックボックス的で透明性に欠け、信頼は銀行など中央主体に依存しています。オンチェーンで透明性の高い信用システムが求められています。
◼️Saturnのソリューション
上記課題に対し、Saturnは「USDat」というトークン化国債+ビットコイン担保資産によるハイブリッドな準備金に支えられたステーブルコインを発行することで解決を目指します。
具体的には米国財務省短期国債(トークン化されたもの)の安定性と流動性にビットコインを裏付けとする信用資産(Bitcoin Credit)から生み出される利回りを組み合わせることで、価格安定性と持続的利息を両立した世界初の「ビットコインネイティブな準備通貨」を目指しています。
このデザインにより、ビットコインの莫大な価値を「デジタルクレジット」という信用創造レイヤーに転換し、透明性と安定性を担保しつつ年利10%以上の利回りをグローバルに提供できるとしています。
少しわかりづらいかもしれませんが、具体的なプロダクトを見ると理解が進むと思います。
◼️提供プロダクト
具体的には、主に以下の2種類のトークンを提供します。
USDat
USDCのような法定通貨担保型ステーブルコインです。発行当初の準備金構成は米国債券を100%担保とし、まずは価値の安定と流動性確保を優先します。sUSDat
USDatをステーキングすることで受け取るトークンです。sUSDatはBitcoin Creditによって裏付けられ、そこから生じる利息が複利で蓄積されていきます。
ポイントは「Bitcoin Credit」です。
これはビットコインの信用を利用したクレジット(信用)商品です。
SaturnはsUSDatの担保にMicroStrategy社が発行するSTRC(Stretch)というクレジット商品を採用しています。
STRCは永続優先株(Perpetual Preferred)と呼ばれ、満期がない優先株です。最大の特徴は「配当は毎月支払われ、配当率も毎月見直される」点にあります。
前提、優先株なので米国の証券市場(NASDAQ)に上場している有価証券で、証券口座から売買し保有することができます。よって、STRC自体も株価が存在します。
この株価は発行体であるMicroStrategy社の業績やBTC価格にも影響を受けますが、毎月の配当金額が最も影響のある要素です。単純に配当率が10%、5%、20%では需要と供給にダイレクトに影響します。
STRCは毎月配当率を見直すことで、株価を$100近辺で推移することを目指して設計されています。つまり、株によるキャピタルゲインではなく、安定した利回りを得られる設計にしているというわけですね。
ちなみにMicroStrategy社は他にも多数の優先株を設計しており、それぞれが自身のリスクに応じて購入できるようにしています。
整理します。
USDat:Saturnが提供する米国債担保のステーブルコイン。利回りなし。
sUSDat:USDatをステーキングすることで獲得できるトークン。STRCを担保にしており運用益が保有者に還元される。
STRC:MicroStrategy社の発行する永久優先株。株価が$100近辺で推移するように毎月率を変更することが特徴。
MicroStrategy社:世界最大のビットコイントレジャリーカンパニー。
つまり、MicroStrategy社はBTCをひたすら書い続ける企業なので、その株価は実質的な担保資金となっているBTCに比例します。そして、その株価の信用を担保にして優先株を発行しているので、STRCのような商品も実質的にはBTCの信用力を担保にしていると言えます。そして、sUSDatはSTRCを担保にしたトークンです。
なので、BTC > MSTR(MicroStrategy社の株) > STRC > sUSDatという流れで、Saturnは世界初のビットコインの信用を利用したクレジット(Bitcoin Credit)を担保にしたトークンを発行すると謳っているわけです。
ちなみにUSDatのDatはDigital Asset Treasuryだと思います。DAT企業を担保にしたUSDなので、USDatです。
また、USDatは米国債担保型と書きましたが、これはリリース時の話で、ゆくゆくはこの純粋なステーブルコインの担保もBitcoin Creditにしていきたいと書かれています。例えば、米国債90%、Bitcoin Credit10%といった比率から始まり、最終的には100%がBitcoin Creditで担保されるステーブルコインUSDat、その利回りを受けられるsUSDatという形を目指しています。
ただし、初期は100%米国債担保のUSDatと100%Bitcoin Credit担保のsUSDatという位置付けです。USDatをステーキングするとその担保資金であった米国債を売却しBitcoin Creditを購入し担保資金とするフローです。アンステーク時も同様です。
変遷と今後の展望
Saturn Labsは2025年に設立され、高利回りステーブルコインUSDatの開発を開始しました。共同創業者は全員がペンシルベニア大学出身というチームで、主要メンバーは以下の3名です。
Kevin Li(共同創業者・CEO)
ParaFi Capitalにてリサーチ職を務め、またArtemis(ブロックチェーンデータ分析企業)ではDATリードとしてデジタル資産の準備金分析やステーブルコインのオンチェーンサービス開発に携わった経歴があります。Sebastian “Seb” Melendez(共同創業者・CTO)
Artemisでステーブルコイン部門のリードとして技術開発を率いた経験があり、スマートコントラクト開発やブロックチェーン上での資産運用技術に精通しています。Ellis Osborn(共同創業者・COO)
ペンシルベニア大学のブロックチェーンクラブ「Penn Blockchain」の代表を務めた経験があり、ベンチャー投資ファンドM31 Capitalでは暗号資産投資担当として勤務していました。
資金調達に関しては、2026年1月にエンジェルラウンドで$800kの資金調達を発表しました。Saturnプロジェクトは開発初期より、YZi Labsから出資とインキュベーション支援を受けているため、YZi Labsからの50万ドルに加え、Sora Venturesが主導したエンジェルラウンドでの30万ドルとなります。
またこのラウンドには有名エンジェル投資家も複数参加しており、Pudgy Penguins CEOのLuca Netz、DeFiインフルエンサーのDeFi Dad、元CoinbaseのAnthony Yimなど業界知名度の高い人物が名を連ねました。
2026年1月時点で、USDat・sUSDatはまだパブリックなメインネット上で正式発行には至っていませんが、ローンチ準備が進められています。
オフチェーン金融商品のオンチェーン化が進む
最後は総括と考察です。
とても面白いプロジェクトですね。MicroStrategy社などDATが提唱した革命は既存金融の株式や債券といった手段を用いた資金調達とBTC保有モデルで、Saturnはそれをまたオンチェーンに持ち込むモデルです。
今後、あらゆるものがトークン化されていく時代になると言われていますが、これまでの金融機関が培ってきた基盤の全てをオンチェーンに移行するのは少し時間がかかると思います。例えば、債券も株式も最初からオンチェーン上に発行できるのであれば、オラクルの必要もないし、オフチェーンでカストディする必要もなくなります。
ただし、それには法改正の問題もあるので時間がかかりますし、フルオンチェーンはまだ見えていないリスクもあるかもしれません。
そこで最近は、特に一部の地域で一部の人しか買えないオフチェーンアセットを購入し、それを担保にしたトークンをオンチェーンに流通させる形が流行してきています。オンチェーンへの発行と償還自体はKYC事業者しかできなかったとしても、その後の流通はDeFiで自由に取引できるので、実質的に地理的・人的制約から解き放たれ、コンポーザビリティのあるアセットになります。
今回Saturnが取り組むMicroStrategy社のビットコインクレジットもそうですね。米国証券口座保有者しか購入できなかったアセットを担保にしてトークンを発行して、その利回りにアクセスできるようになると、間接的に誰もがビットコインクレジットのエクスポージャーを持てるようになります。
ちなみに、Saturn社は運営報酬としてビットコインクレジット運用益の10%を徴収するとしており、90%はトークンホルダーに還元するとしていますが、まさにカストディ収益のような形で、あらゆるアセットをラップして新しい金融商品をオンチェーンで作り出す動きはこれから加速しそうな気がしています。
発行事業者、ラップ事業者、流通事業者などが分岐していき、DeFiが実現する相互運用性があるコンポーザビリティのある金融の世界がどんどん実現されていきますね。
まあ当然、連携が進むとその分連鎖倒産のリスクは上がるので注意は必要ですね。
とりあえずUSDatのリリースを待ち、引き続き情報を追いかけていきたいと思います!
以上、「Saturn」のリサーチでした!
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