【Trove】HIP-3上に構築されたコレクティブル特化パーペチュアル取引所 / コレクティブルだけじゃなく、関連株式・関連予測市場のマーケットを提供 / @TroveMarkets
先物市場は価格発見と保険機能を持つ
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Trove」についてリサーチしました。
Troveとは?
利用可能な取引戦略やデリバティブ設計
変遷と展望
先物市場は価格発見と保険機能を持つ
TL;DR
Troveは、ポケモンカードやゲーム内スキンなどのコレクティブル資産を最大5倍レバレッジで取引できる、Hyperliquid上構築の分散型パーペチュアル取引所。
HIP-3を活用し、Hyperliquidの高速マッチング・証拠金・清算基盤を継承しつつ、独自にオラクル設計やリスク管理を行うことで、ニッチ資産の先物市場を実現。
コレクティブル指数、関連株式、予測市場まで扱い、投機とヘッジの両面で「これまで金融化されていなかった資産」をオンチェーン・デリバティブに変えるパイオニア的存在。
Troveとは?
「Trove」は、ポケモンカードやゲーム内スキンなどのコレクティブル資産を対象に最大5倍のレバレッジで取引できる分散型パーペチュアル取引所です。
Hyperliquid上に構築されており、リアルタイム性・低コスト・オンチェーン透明性を兼ね備えた取引環境を提供します。
◼️HIP-3を利用
TroveはHyperliquidチェーンのHIP-3(Hyperliquid Improvement Proposal 3)を活用した初のコレクティブル特化マーケットです。
HIP-3とは、50万$HYPEをステーキングすることでHyperliquid上で誰でもパーペチュアル市場を立ち上げられる機能であり、Troveはこの仕組みを通じてHyperliquidの超低レイテンシなマッチングエンジン・共通のリスクエンジンをそのまま利用しています。
これによりTrove独自の取引基盤を一から構築する必要がなく、既存のHyperliquidプロトコルと統一された証拠金・清算モデルや決済ロジックを継承できます。
Trove側では各マーケット固有のオラクル設計・レバレッジ制限・証拠金ルールなどを定義し、継続的な価格データ更新や必要に応じた取引停止・決済処理等の運用面を担います。
◼️主な取引対象
Troveが提供する取引対象マーケットは、従来DeFiではほとんど扱われてこなかったユニークな資産クラスです。
種類としてはポケモンカードのようなコレクティブル、任天堂やポップマートのようにコレクティブル関連企業の株式、コレクティブル関連イベントの予測市場の3種類があります。
具体的には以下のような銘柄が存在します。
①コレクティブル
ポケモンカード指数(POKE | ZARD Index)
PSAグレーディングされた主要ポケモンカードの総合価格指数。eBayやTCGplayerなど複数のコレクティブルマーケットプレイスから価格データを集約し算出。個別カード(リザードンなど)の動向も織り込んだ指数で、USDC建てで取引される。カウンターストライク2(CS2)スキン指数(CS2 Index)
Steamマーケットや第三者取引所における高額取引が多い銃器スキンを対象に構成した指数。CS:GO/CS2ゲーム内アイテムの代表的な複数スキンの価格をバスケット化しており、個々のアイテムでは実現しにくい安定した価格指標を提供。
②株式
任天堂株パーペチュアル($NTDO)
任天堂(NTDOY)の株価に連動する永久先物。5倍レバレッジ対応で、Hyperliquid上ではティッカー$NTDOとして24時間取引可能。任天堂はポケモンカード市場と深い関係(ポケモン会社に32%出資)を持ち、同社の業績や動向がカード市場へ波及することから「コレクティブル関連株」として上場。Pop Mart株パーペチュアル($PMRT)
中国発のブラインドボックス玩具メーカーPop Mart (9992.HK)の株価連動パーペチュアル。ティッカー$PMRT、レバレッジ5倍、24/7取引対応。Pop Martはアジア圏でデザイナーズトイ市場を牽引しており(代表IPにLabubuやMolly等)、その人気がトレーディングカードやプラッシュ玩具にも波及している背景からアジアのコレクティブル関連株として採用。
③予測市場
2026年1月にPolymarketとの公式パートナーシップを発表し、二方向の統合を行う予定です。
Polymarketの二者択一予測市場を基礎資産とするパーペチュアルをTrove上で提供
具体的にはPolymarketで運営されているイベント(YES/NOで決まる結果)に対し、その結果の確率を表す価格を連続的に取引できる無期限先物を上場します。ユーザーはこれにより予測市場のオッズにレバレッジを掛けて売買できるようになります。Troveのコレクティブル指数データを用いた予測市場をPolymarket側で開設
例えば「ポケモン指数が年末までに$2,000を超えるか」といった市場をPolymarket上に作り、その決着をTrove提供の価格オラクルに依存して判定します。これにより、従来なかったコレクティブル価格に紐づくイベントについてユーザーが予測ベットできるようになります。
以上のように、Troveはコレクターズアイテム全般、コレクティブル関連株式、予測市場イベントなど多岐にわたるユニークなマーケットを扱います。
全マーケットに共通するのは「これまで直接ヘッジ・投機手段がなかったRWAやイベントをオンチェーンのデリバティブとして取引可能にする」点であり、Troveはその分野におけるパイオニア的存在となっています。
◼️ユースケースとターゲットユーザー
Troveのユースケースは大きく分けて投機(収益目的の売買)とヘッジ(保有資産の価値変動リスク遮断)の2つです。
まず投機的ユースケースとして、暗号資産トレーダーにとってTroveは新たなアルファ機会を提供します。これまで仮想通貨や株式で培ったレバレッジ取引のノウハウを、ポケモンカードやゲーム内アイテム、さらにはイベント予測といった非伝統的市場に適用できるからです。
例えば「ある大会で優勝したカードの価格が急騰する」と予想すれば、そのカードが含まれる指数を先回りロングしたり、逆に「人気IPの一時的ブームが過熱しすぎている」と感じれば指数をショートして調整局面で利益を狙うことも可能です。
一方、ヘッジ的ユースケースはコレクターや保有者に恩恵をもたらします。
例えば高額なポケモンカードコレクションを保有するコレクターは、市場全体の価格下落リスクに常に晒されています。Trove上でポケモンカード指数をショートすることで、実物資産の価値下落をある程度相殺することができます。
同様に、CS:GOのレアスキンを多数保有するユーザーが市場暴落に備えてスキン指数を空売りする、といった形でリスクヘッジ手段が初めて提供されることになります。
これまでは実物を売却する以外に下落リスクを防ぐ方法がなかったコレクティブル市場に、先物を使った保険の概念を持ち込んだ点は画期的と言えます。
利用可能な取引戦略やデリバティブ設計
続いて、もう少し詳しい取引戦略について解説します。
◼️レバレッジ
Troveでは全マーケット共通で最大5倍のレバレッジが利用可能です。
他のパーペチュアルDEXでは100倍超も珍しくない中で5倍という設定は控えめですが、これは原資産の流動性や価格の特殊性を踏まえたリスク管理上の制約と考えられます。
5xであれば価格が20%変動すると清算ラインに達する計算であり、例えばポケモンカード指数のように長期的には年30–40%成長している市場でも短期急変に耐えうる範囲です。
◼️価格オラクル
Troveのデリバティブ設計上の特徴として、複数の価格要素を組み合わせたハイブリッド・オラクルを導入している点が重要です。
各市場の価格は1) Trove内の取引価格(Mark)、(2) 外部マーケットからの検証価格(Validator)、(3) Trove内価格のEMA(指数移動平均)の3要素を初期は各33%ずつ加重平均して算出されます。
例えばポケモンカード指数では、直近のTrove取引価格・外部の収集品マーケット25サイト以上から集めた加重プライス・Trove内8時間EMAを均等に反映し、常に現実の相場とかけ離れないようにしています。さらに、この重み係数は市場発展に応じて動的に変化します。
ローンチ初期は外部データ比重を重く(Validator 50–60%)して価格操作耐性と現実連動性を優先し、取引高が増えて社内価格発見能力が上がれば徐々にMarkやEMAの比率を上げて応答性を向上、最終的に成熟期にはMark/EMA計65–70%対Validator 30%程度まで内的価格発見主導に移行する計画です。
このような自己進化型オラクルによって、市場流動性が乏しい序盤から信頼性を保ちつつ、将来的にはTrove自体が価格の標準指標となることを目指しています。
変遷と展望
Troveの開発チームは現時点で匿名(非公開)であり、公式サイトや資料上で具体的なメンバー名は明かされていません。
プロジェクト自体は2025年10月のHIP-3アップデートに伴い、始動しました。
2025年11月にパブリックベータ版開始し、ユーザーはポケモンカードや高級腕時計指数、エルメスのバーキンバッグ、ゲーム内資産(CS2スキン)、さらに任天堂株・Pop Mart株といった実世界の株式まで、多様なコレクティブル資産の永久先物取引を最大5倍のレバレッジで利用可能になりました。
プラットフォーム公開と同時に、参加者にTroveポイントを付与する報酬制度も導入され、コミュニティ主導のテストが活発化しました。
公開1か月足らずで累計取引高10億ドル・ユーザー数24,000超に達したと報告され、ニッチ市場への関心の高さを示しました。また12月5日にはHyperliquidエコシステム全体でのユーザー活動スナップショットが実施され、過去の取引量・ステーキング・NFT保有量等に応じて初期ポイントが配布されました。
2026年1月7日には上述したようにPolymarketとの連携を発表し、その翌日の2026年1月8日から11日に$TROVEトークンのICOが実施されました。
調達目標$250万(FDV約$2,000万)でトークン総供給量の12.5%を販売する形となり、オーバーフロー方式による申込超過分の比率配分・返金メカニズムが採用されました。
参加受付はEthereumメインネットやArbitrum、Base、Hyperliquidチェーン上でのUSDC/USDT/USDH入金に対応し、$TROVEトークンはTGE時に100%即時アンロックされる設計です。
テスト段階からの貢献を反映し、一定以上のTroveポイント保有ユーザーにはICO参加時のトークン割当が最大20%増量される優遇措置も取られました。
期間終了直前に怪しい資金流入があったことから、一時ICO期間を5日間延長する発表がありましたが、コミュニティからの反発に遭い、期間通りに終了しました。結果的にはターゲットとしていた$250万を4倍も超える金額が集まりました。
超過分は返金され、メインネット稼働開始前に参加者へトークンがエアドロップ配布される予定です。
$TROVEトークンのアロケーションは以下の通りです。
ユーティリティとしては、$TROVE保有者がプロトコルの成功時にメリットを享受できるバリューキャプチャーモデルが組み込まれています。
具体的には、Troveで生じた全取引手数料収入が以下のように割り振られます。
60%:市場で$TROVEの自動的な買い戻し(バーン)
10%:トークンステーキング報酬として配分
20%:HIP-3マーケット運営支援
10%:成長・拡張予算(新規市場統合、流動性サポート、提携等)
このモデルにより、取引高増加→手数料収入増→買戻しとステーキング報酬増加→トークン価値向上→さらなるユーザ誘引、というフライホイール効果を狙っています。
数ヶ月にわたる開発とテストを経て、Troveは公式にメインネット稼働段階に入ります。その計画に関しては以下の通り公表されています。
まず、Hyperliquid上のサービス提供者となるために必要な$HYPEトークン50万枚の取得・ステーキングを計画しており、2026年1月31日までにステーキングを完了します。
その上で、初の3銘柄のティッカー申請を2月3日に行い、審査通過後に2月10日に最初の3つのメインネット市場がローンチされる予定です。具体的には、以下の3つのパーペチュアル市場が2月10日に同時公開されます。
その過程でトークンのTGEが実施されていくと予想されています。
先物市場は価格発見と保険機能を持つ
最後は総括と考察です。
RWAコレクティブルのパーペチュアル取引は非常に興味深いです。ユースケースでも触れた通り、これはトレーダーにとっての新たな投資対象にもなりますが、コレクターにとっての資産ヘッジ手段にもなり得ると考えています。
EthenaのUSDeのようなデルタニュートラルモデルを、ポケモンカードのようなトレーディングカードで実施することができます。近年は数百万~数億円もするカードが出てきおり、中には投資対象としてカードを保有する人もいます。そういった投資家が気にするのは当然、価格の下落です。
そこで現物を保有しながら、Troveでショートにレバレッジをかけておくと、一定価格の下落、特に暴落に対してのヘッジになり得ます。個別のカードに対してのヘッジにはならないかもしれませんが、市場全体に対してのヘッジにはなるので、むしろカード業界の会社がリスクヘッジのためにショートポジションを持っておくことは良いかもしれません。
このように書くと、パーペチュアルが投機以上の場所になることがイメージできない人もいるかもしれませんが、元々の先物市場は保険のような機能を持つ金融商品でした。
例えば、農作物の先物取引では、農家は天候等のリスクをなくし売り上げを確保でき、投資家は豊作や価格高騰時での利益を得ることができました。また、株式でも先物市場に追随する形で現物の価格が変動することも多々あります。
つまり、先物市場は投機以外に価格発見と保険の機能を持ちます。
予測市場が投機以外に真実発見機能を持つように、パーペチュアル取引も投機以外の機能も持ち始めると、より社会に普及し、メディアとしての価値も持ち始めると考えています。
特にパーペチュアルは永久先物なので事業リスクのヘッジのためにポジションを持っておくことは多くの事業者にとって考えられる選択肢です。例えば、日本企業が円安に備えてドル円のポジションを保有しておいても良いかもしれません。
今後社会に普及していく中で、トレーダーやメディア向けの価格発見機能、法人向けの保険としてのパーペチュアル取引市場ができていくと、より大きな可能性を感じられると思いました。
Troveはその中でも独自のポジションを築いているので、引き続き注目していきます。
以上、「Trove」のリサーチでした!
参考リンク:HP / DOC / X
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Author:mitsui @web3リサーチャー
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