おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「KaminoのRWA展開にみるDeFiの未来」というテーマでレポートを書いていきます。
KaminoのRWA展開
6つの新製品の概要
RWA市場はなくなり、DeFiは金融市場と統合される
TL;DR
Kaminoは、Solana上の主要DeFiレンディングとして成長してきたが、暗号資産担保・変動金利中心のDeFiには成長と機関参入の限界があると判断し、RWA領域への本格展開を決断した。
固定金利、注文型融資、オフチェーン担保、機関向けクレジット、RWA専用DEX、開発者向けインフラという6製品は、RWA市場とDeFiを接続するための一体設計の金融プロダクト群である。
これらによりKaminoは、単なるDeFiアプリではなく、現実資産・機関資本・金利市場をSolana上に取り込む「信用市場インフラ」へ進化しようとしている。
KaminoのRWA展開
2025年12月12日、Solanaの著名レンディングプロトコルであるKaminoが新しい展開を発表しました。
この発表はRWA領域への進出を中心に据えたものであり、既存のレンディング機能から一歩進化し、機関投資家向け金融インフラおよびトークン化資産のプラットフォームになるべく6つの新製品を発表しました。
各プロダクトの詳細は後ほど解説していきますが、まずはKaminoがRWA進出に至った背景について解説していきます。
◼️Kaminoとは
KaminoはSolana上に構築されたDeFiプロトコルです。流動性提供(LP)、レンディング(貸借)、レバレッジ取引といった複数の金融機能を単一プラットフォームで提供する「ワンストップ」DeFiハブとして、2022年8月にサービスを開始しました。
Kaminoはまず自動LP最適化プロトコルとしてスタートしました。2022年8月のローンチ時点では、Solana上の分散型取引所に流動性を供給するユーザー向けに、集中型流動性ポジションの自動管理サービスを提供することに注力していました。
その後、2022年末~2023年にかけて市場環境が変化しました。FTX崩壊による影響でSolana上の既存レンディングプロトコルが停滞していた中、Kaminoチームは信用市場への拡張を決断します。「Kamino Lend(K-Lend)」が導入され、ユーザーはKamino上でSOLやステーブルコインを預けて利息を獲得したり、逆にそれらを借り入れてレバレッジ運用することが可能になりました。
その後、Kaminoはレンディング基盤を活用し、さらなる高等戦略も提供するようになりました。Multiplyボールトでは、自身の預けた担保を繰り返し借りて追加投資する「ループ戦略」により、元本の2~3倍の規模でステーキング利回りを得ることができます。
2024年に入り、「Kamino Points」プログラムを開始し、2024年4月30日に$KMNOトークンのTGEが実施されました。この初回エアドロップでは25万を超えるウォレットが対象となり、Solana DeFi史上でも最大規模のトークン分配イベントとなりました。
こうした進化の結果、現在TVL約40億ドル、累計貸付額160億ドル以上を記録し、ローンの清算処理額も1.83億ドルに達しています(貸し手側の損失ゼロを維持)。
◼️KaminoがRWA展開をした背景
そんなKaminoが次に注力するのがRWA領域です。
2025年に、RWAの発行量は約350%増加し、現在18億ドル以上が流通していますが、DeFiとの連携はまだ十分ではなく、Kaminoがそこを解決します。
現在のDeFiレンディング市場の多くはアルゴリズムによって動的に金利が決まります。これは非常に画期的な仕組みですが、担保資金のボラティリティが激しい中では安定運用ができず、機関投資家などの巨大市場の運用先にはなり得ません。
そこでKaminoはクリプトネイティブの市場だけでなく、債券市場・クレジット市場・株式担保融資といった既存の巨大市場にアプローチすることで市場の拡大を狙っています。DeFi市場は数百億ドル規模ですが、上記市場はそれぞれが数百兆ドル規模で、文字通り桁が違います。
そこで成長しつつあるRWA市場にマッチしたDeFi機能を作ることで、大きな成長を目指しています。
6つの新製品の概要
以下、Kaminoが発表した6つの新製品です。6製品は全て、RWA市場とDeFi市場を繋ぐための一連の商品群です。
では、1つずつ説明していきます。
◼️Fixed Rates
一定期間固定の金利で借り入れができる新しい貸付商品のことです。借り手は事前に提示された期間と金利を選択し、その期間中は市況に関係なく同じ利率で借り続けることができます。









