【Nook】一般ユーザーがDeFiを活用し高利回りを得られる貯蓄アプリ / 「通常の銀行口座の約10倍」にあたる年利7~9%程度の利息を得る / Coinbase出身の創業者が設立 / @nook_savings
銀行預金でなくステーブルコイン保有の時代へ
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Nook」についてリサーチしました。
👛Nookとは?
🚩変遷と展望
💬オンチェーンにシームレスに接続する時代へ
🧵TL;DR
NookはUSDCを活用し、暗号資産のレンディングプロトコルで運用することで年利7~9%(過去12ヶ月平均7.6%)を実現する、DeFiベースの高利回り貯蓄アプリです。
銀行口座の約10倍の利率を目指し、暗号資産初心者でもワンタップでUSDCに変換し、簡単に高利回り運用を始められるシンプルなUXが特徴です。
利息は約16秒ごとにリアルタイムで計算・配当され、いつでもペナルティなしで入出金可能な流動性を提供します。
ユーザー自身がウォレットと秘密鍵を管理するセルフカストディ方式を採用し、複数プロトコルに自動リバランスすることで透明性と安全性を確保しています。
👛Nookとは?
「Nook」は、DeFiを活用した高利回りの貯蓄アプリです。ユーザーの預金をUSDCに変換し、レンディングプロトコルで運用することで、従来の銀行口座を大きく上回る金利を提供します。
具体的には「通常の銀行口座の約10倍」にあたる年利7~9%程度の利息(過去12ヶ月平均7.6%)を目指しており、暗号資産に詳しくない一般の人々でもシンプルな操作で高利回りを得られる点が特徴です。
Nookアプリの主な機能、特徴は以下の通りです。
高利回り(金利):預け入れ資金に対して最大年利7.6%の利息を獲得できます。実績としては、2024年はMoonwellというプロトコルで平均9.34%の利回りを達成しており、銀行の普通預金(年0.5%程度)より20倍近い利率となりました。
即時の利息配当:利息はブロックチェーン上でリアルタイムに計算され、約16秒ごとに報酬としてアカウントに反映されます。利息計算の頻度が高く、複利効果もすぐに確認できます。
簡単な資金オンランプ:銀行口座やCoinbaseアカウントから直接入金できるほか、既にUSDCを保有していればそれを直接預け入れることも可能です。アプリ内で法定通貨をUSDCに変換する処理はCoinbaseが提供する決済基盤を利用しており、安全かつスムーズです。
柔軟な入出金(流動性):いつでも任意の金額を自由に預け入れ・引き出しできます。預金期間の拘束(ロックアップ)や最低預入額はなく、途中解約によるペナルティや手数料も一切ありません。出金処理も約60秒以内で完了し、銀行やCoinbase口座への送金に対応しています。
自動最適化(リバランス):ユーザー資金は常に最も利回りの高い貸付先に振り分けられます。Nookは複数のDeFiプロトコルを比較し、夜間に自動でポートフォリオをリバランスすることで最高利率を追求します。元々はMoonwellが選ばれていましたが、2025年6月のアップデートで、新たにAAVEやMorphoといったプロトコルへの対応が追加され、複数プラットフォーム間での自動資金移動が実装されています。
透明性:ユーザーの資金運用状況や獲得利息はブロックチェーン上でリアルタイム追跡できます。資金がどのレンディングマーケットにあり、どれだけ増えているかをアプリ内で確認できるため、運用の透明性が高く安心です。
セキュリティ:Nookはユーザー資産を安全に守る設計を特徴とします。貸付先のプロトコル(例:Moonwell、AAVEなど)では大手セキュリティ企業Halbornによる監査や常設のバグ懸賞金プログラム(最大25万ドル)が実施されており、Nook自体も脆弱性発見者に最大5千ドルの報奨金を支払うバグバウンティを用意し、不具合の早期発見に努めています。
セルフカストディ:ユーザーはNookアプリ内で自分専用の暗号資産ウォレットを作成し、そのウォレットにUSDCを保有します。資金の貸し出しはユーザー自身のウォレットからDeFiプロトコルに行われ、秘密鍵もユーザーが管理します。Nookはウォレットへのアクセス権を持たず、ユーザーは任意のタイミングで自分の鍵をエクスポートして他のウォレットに移行することも可能です。
プライバシー保護の面では、Nookは利用者の個人情報やデータの取り扱いについてプライバシーポリシーで以下のように定めています。
Nookアプリ利用時に収集される情報は、「氏名・メールアドレス・電話番号」といった個人識別情報、デバイス情報、利用状況データ、取引などの金融情報です。必要最小限の情報を取得し、サービス提供や不正防止、法令遵守の目的で利用すると明記されています。
収集したデータは第三者に販売せず、サービス提供を支援するパートナー(例:銀行API提供企業など)や法令に基づく請求があった場合に限定して共有するとしています。
データの保管・暗号化については、Nook自体は高度な暗号技術を持つ外部サービス(例えばウォレット作成にPrivy社、法定通貨とUSDCの交換にBridge社を利用)を活用し、Nookのサーバーには機微な個人データや秘密鍵を保持しないアーキテクチャとなっています。ユーザーの個人情報はそれら信頼できる第三者のシステム内で暗号化され、Nook運営側でも平文では閲覧できないようになっています。
色々と書きましたが、シンプルにあまり暗号資産に明るくない人でも、法定通貨をワンタップでUSDCに変換し、そのままレンディングプロトコルに預け入れが可能です。そして、銀行金利の10倍以上の利回りを確保することができるアプリです。
🚩変遷と展望
Nookアプリを開発・提供しているのはNook App Incというスタートアップ企業です。2025年創業で、米国の暗号資産取引所Coinbase出身のエンジニア3名(Joey Isaacson氏、Kenzan、Sohail Khanifar氏)が共同創業者となっています。
以下のグラフは過去5年間のインフレ率と平均銀行貯蓄金利の差を示しています。
平均銀行貯蓄金利は最大でも0.4%程度で、ここ5年のインフレ率に到底追いついていません。
この大きなギャップは、従来の貯蓄口座に預けられた資金が年々静かに価値と購買力を失っていることを意味します。
DeFiレンディングであればインフレ率に負けない運用を実現できますが、暗号資産に明るくない人では敷居が非常に高く感じてしまいます。
NookチームはかつてCoinbase社内で2022年にDeFiレンディング機能の提供に携わった経験があり(規制上の理由でサービス停止)、「その知見を活かし誰もが使える貯蓄アプリを実現したい」とのビジョンでNookを立ち上げたと語られています。
その思いからプロダクトが開発され、2025年6月にiOSアプリ正式版をリリース、同タイミングでCoinbase Ventures等からの$2.5Mの資金調達も発表しました。
今後は対応プロトコルの拡大、Aodoroid版のリリース、ユーザー数拡大と市場浸透を掲げています。
具体的には「DeFi貸し手全体の1%を一般ユーザー経由にする」という目標を掲げています。一見1%は小さい数字ですが、現在DeFiには数百億ドル規模の資金が預けられており、1%でも非常に大きなインパクトです。
💬オンチェーンにシームレスに接続する時代へ
最後は総括と考察です。
Nookの構想は非常に納得感があり、またプロダクト自体のUXも綺麗に作られていました。また、創業チームの実績も十分ですね。
銀行口座の金利とインフレ率の差は世界共通の課題であり、その資金の安定運用先は常に求められています。それが株式等になることもありますが、全てを株式などの資産で運用することは現実的ではなく、法定通貨で保有することは避けられません。
そこで、web3に詳しい人はステーブルコインで安定運用しますが、そこまで詳しくない人はウォレット?ステーブルコイン?DeFi?とハードルが高いことは間違いありません。なので、そこを綺麗なUXでまるで銀行口座に預けているような感覚で運用ができるプロダクトの価値は非常に高いと感じます。
また、以前Axiomのリサーチの際にも論じましたが、あらゆるプロダクトを組み込んで、顧客インターフェースとして総合的な体験価値を提供するプロダクトの存在感が増してきているように感じます。
Nookも、ウォレット作成はPrivy、オン/オフランプはCoinbaseやBridgeを利用、DeFiプロトコルもMoonwell、Aave、Morpho等を利用しており、それらを1つのプロダクトに組み込み、顧客インターフェースを取っているだけです。
ただし、今後はこのように綺麗にプロダクトを統合してユーザー体験を最大化させるプロダクトが多く出てきて、高い収益率を誇るようになると思います。すでにあらゆるコンポーネントがあるので、それをレゴのように組み合わせたプロダクトです。
現状、Nookはアメリカユーザーだけですが、このようなサービスは他の通貨でも続々出てくるとオンチェーンの資産運用が普通になり、金融領域で一般ユーザーも利用することが普通になっていくことが考えられます。楽しみですね。
以上、「Nook」のリサーチでした!
🔗参考:HP / X
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