【Axiom】YCを卒業しわずか4ヶ月で1億ドルの収益を達成したオールインワンDeFiプラットフォーム / 成長をリワードプログラム / プロトコル化するプロダクト / @AxiomExchange
異常な成長を見せる新興プラットフォーム
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Axiom」についてリサーチしました。
△Axiomとは?
📈YCを卒業し、異常な成長率を見せる
👀成長率を支えたマーケティング戦略とリワードプログラム
💬プロトコル化するプロダクト
🧵TL;DR
オールインワンDeFiプラットフォーム:Coinbaseオンランプ、Raydium/Jupiterスワップ、HyperLiquid永久先物、MarginFiイールド、ウォレット管理、SNS連携などを一つのUIで完結。
創業とバックグラウンド:2024年にHenry Zhang(元TikTokエンジニア)とPreston Ellis(元DoorDashインターン)が立ち上げ、20代前半の少人数チームで開発。
爆速成長の実績:2025年1月リリースから約4ヶ月で24h収益1.48MUSD、30日61MUSDを達成し、YC Winter 2025採択/月間430万PVを記録。
自律的グロース戦略:招待制×ミームマーケ×Discordコミュニティ×手数料キャッシュバック+紹介報酬設計でユーザー拡大を促進し、プロトコル化したインセンティブによる流動性獲得モデルを確立。
△Axiomとは?
「Axiom」は、オンチェーン取引に必要な唯一のアプリケーションとなるように設計された取引プラットフォームです。複数のプロトコルと連携しあらゆる取引体験を一括で実施することが可能で、さらにX等のデータからα銘柄の収集も可能です。
では、具体的に提供している機能を見ていきます。
暗号資産の購入:Coinbaseと連携してオンランプ機能を搭載。
現物取引(スポット取引):Solana上の様々なトークンを即座にスワップできます。新規ローンチ直後のミームコインなども含め、「今熱い」トークンをワンクリックで買えるスポット取引が可能です。マーケット注文だけでなくユーザー希望価格での指値注文にも対応しており、独自の注文エンジンによりほぼ1ブロック内(数秒程度)での約定を実現しています。
自動売買・高度な注文機能:「クイックセル(ワンクリック即売却)」機能や、あらかじめ設定した戦略に従って複数の注文を自動配置する「ワンクリック戦略実行(Auto-Strategies)」が可能です。例えばドルコスト平均法(DCA)の設定も数クリックで完了でき、初心者でも高度な自動売買戦略を比較的簡単に利用できます。
デリバティブ取引(永久先物):Hyperliquidを統合することで最大50倍のレバレッジをかけた永久先物取引を提供しています。Hyperliquidチェーン上での取引になりますが、Axiomのインターフェース上でシームレスに行えます。
利回りサービス(ステーキング/イールド):余剰資産を活用した運用収入も得られるよう、Solanaの利回りプロトコルであるMarginFiと連携しています。保有するSOLやUSDCをMarginFiに預けて最大年利15%程度の利回りを得ることが可能です。今後Jitoと連携しステーキングもできるようになる予定です。
ウォレット連携とマルチウォレット管理:独自のAxiomウォレットを提供するほか、複数のSOLウォレットアドレスを接続して一括管理(マルチウォレット対応)できます。ユーザーは一つのダッシュボードで複数ウォレットの残高、建玉、取引履歴を確認でき、用途別にウォレットにラベル付け(例:「短期売買用」「長期保有用」など)して整理するといったことも可能です。
分析・情報収集ツール:上部のメニューには「Discover」「Pulse」などのタブがあり、市場分析機能が充実しています。「Discoverページ」では新規上場ペアやトレンド上昇中のトークンがランキング表示され、期間別の売買高急増銘柄などを追跡可能です。「Pulse」はPump.funにリストされているトークンが掲載されており、新しく作成されたトークン、まもなくボンディングカーブが100%に達しDEXに移行されるトークン、そしてDEXに移行したばかりのトークンが確認できます。
ウォレットトラッキング:他のユーザー(大口投資家や有名トレーダー)のウォレットを登録し、その資金移動や取引を追跡するウォレットトラッキング機能があります。任意のアドレスを監視リストに加えることで、そのアドレスがトークンを売買した際に通知を受けたり、取引履歴を分析したりできます。
X連動:「Tweet Monitor」という機能では特定のTwitterアカウントの発言を監視し、関連する銘柄情報を即座に取得できるようになっています。プラットフォーム内に市場関連のTwitterフィードが埋め込まれており、ユーザーはチャートを見ながらリアルタイムの市場の声やニュースを同時にチェックできます。この機能は現在、取引量が5SOL以上のすべてのユーザーが利用できます。
以上が主要機能となります。
およそ想定できるほぼ全ての機能を内包しており、「Axiom」をインターフェースにして全てのDeFi活動にアクセスできます。
特徴的な点はほぼ全ての機能はインテグレーションして実現している点です。「Axiom」をインターフェースにして、
Coinbaseでオンランプを
HyperliquidでPerpetualを
MarginFiでSOLやUSDC運用を
Pump.funでミームトークン発見や取引を
Raydium(DEX)やJupiterでスワップを
実現しています。
分析機能もX連携であり、今後拡充予定のステーキングもJito連携です。DeFiはコンポーザビリティが容易である点が特徴ですが、それら全てを統合し、1つの使いやすいインターフェースによってまとめた点に「Axiom」の特徴があります。
📈YCを卒業し、異常な成長率を見せる
さて、ここまでのプロダクトを見てみると、そこまで目新しさを感じないかも知れません。個人的にプロダクトを見てみても、UIUXは綺麗で一括で管理できる良さはありつつも、過去にも同じようなコンセプトのプロダクトは見たことがあります。
唯一、Hyperliquidも搭載している点が今っぽいなと感じましたが、DeFiへの唯一のインターフェース、オールインワンツールはよくあります。
ただし、「Axiom」はその成長率が異次元です。
以下、Defillamaによれば24時間の収益はブロックチェーン含めた全てのプロトコルの中で9位です。その金額は24時間で$1.48M(約2.1億円)であり、30日間ではHyperliquidとほぼ同じだけの約$61M(約86.8億円)の収益となっています。
ちなみに公式リリースされたのは2025年1月なのでおよそ4ヶ月でこの数値に達しました。開始からわずか4ヶ月で収益1億ドルを達成したことで話題となり、おそらく史上最速で収益1億ドルに到達したスタートアップ企業となりました。
競合のSolanaミームコインローンチパッド市場で比較しても、5月頃から急激に取引ボリュームとシェアを伸ばしていることがわかります。


「Axiom」の共同創業者はヘンリー・ザン(Henry Zhang)氏とプレストン・エリス(Preston Ellis)氏の2名です。両者とも技術的バックグラウンドを持つ若手起業家で、それぞれ以下の経歴を有しています。
ヘンリー・ザン(共同創業者兼CEO): カリフォルニア大学サンディエゴ校でコンピュータサイエンスの学位を20歳で取得し、在学中の2年間で2社のスタートアップを起業、そのうち1社をエグジット。卒業後はTikTok社でソフトウェアエンジニアとして勤務し、広告向け生成AI開発を担当。
プレストン・エリス(共同創業者兼CTO): カリフォルニア大学サンディエゴ校でコンピュータ工学の学士号を取得後、カリフォルニア大学バークレー校で電気工学・コンピュータ科学の修士課程に進学。学生時代にはDoorDashでエンジニアインターンを経験し、学部在学中に起業したスタートアップをエグジット。
2人は暗号資産取引の世界におけるユーザー体験を飛躍的に向上させることを目指して2024年に「Axiom」を立ち上げました。
そして、Y Combinatorの2025年冬季(Winter 2025)バッチに採択され、標準出資枠である50万ドルのシード資金を調達しました。現時点ではそれ以外の投資家は確認されていません。
前述の通り、ローンチから数ヶ月でユーザーアクセスが爆発的に拡大しました。2025年2月時点の月間Webサイト訪問者数は約430万に達しており、これは同時期のYC W25バッチ採択企業中トップの値です。
👀成長率を支えたマーケティング戦略とリワードプログラム
では、なぜここまでの成長率を達成できたのでしょうか。
あくまで外部からのデスクトップリサーチですので予想であり、結果論な部分も(偶然バズった)あるかと思うので、一考察としてご覧ください。
◼️優れたプロダクト機能とUX
まず第一にプロダクト自体の優位性は外せません。
インターフェース上にリアルタイムのマーケットデータ、チャート分析ツール、注文板、ウォレット管理、ポートフォリオ追跡といった総合的なトレード機能が統合されています。
例えば、0秒遅延のウォレットアラート(他のトレーダーの買いを即座に検知)やトークンローンチ検知(ミームトークンの新規発行を素早く捕捉)機能が搭載されており、他社では見逃しがちなチャンスを捉えることができます。
さらにHyperLiquid提携によるパーペチュアル先物取引の統合により、ミームコインを現物で買うだけでなくショートポジションを取ってヘッジや投機も同じプラットフォームで可能となっています。
これらに加えて、X上の分析機能も実現しており、高度な取引と分析を一括で実施することができます。
◼️手数料・キャッシュバック・リファラル・ポイントプログラム
個人的にはここの設計がユーザーの拡大に大いに貢献したのではないかと思っています。
まずは手数料の安さとキャッシュバック(リワード)についてです。
「Axiom」の標準の取引手数料は最大0.95%と設定されており、競合プラットフォーム(BullXやPhotonでは1%超)より安価です。さらに、取引手数料の一部がSOLでキャッシュバックされる仕組みも存在します。
この手数料率とキャッシュバック率は「Axiom」を利用することで貯まるポイントの量によって決まります。正確にはポイントが貯まるとティアが決定され、そのティアに応じて手数料とキャッシュバック率が決定します。
以下がランク表となります。
最大0.75%まで手数料が下がり、その中で0.25%がキャッシュバックされるので、実質手数料が0.5%となります。
これらのポイントは「取引」か「友達紹介(リファラル)」によって貯まります。
リファラルについても、独自の紹介リンクを作成すると、第三層までの取引手数料が紹介者に入ってくるようになります。
また、紹介者にとってもメリットがあるように、紹介リンクを使って登録したユーザーには、取引手数料が10%割引になるようになっており、次々と紹介が生まれる設計にしています。
そして、これらのポイントは将来的なエアドロップの元になると噂されており、そのエアドロップのために取引が盛り上がっている側面は当然あります。
💬プロトコル化するプロダクト
最後は総括と考察です。
「Axiom」のとてつもない成長率と、トレーディングプラットフォームは一度バズるとあり得ないほどの収益を挙げられることが改めてわかりました。
個人的な感想は「プロダクトがプロトコル化している」という点です。
「Axiom」は当然独自の取引体験のためのUXの最適化はありますが、全てをインテグレーションして構築しています。これこそがブロックチェーンのコンポーザビリティの本質であり、良さであり革命的な点です。
一見するとプロトコルを利用してインターフェースとなるプロダクト(アプリケーション)が収益を上げているように見えますが、インターフェースは移り変わりやすいですが、プロトコルは流動性を集めないといけないので一定の競合優位性があります。
なので、本当の意味での”プロトコル”としてあらゆるインターフェース競争の中で使われ続ける存在になっていき、中長期的には収益性が高いと考えています。
ただ、今回の考察でより深めたいのはその部分ではなく、最後に言及した「手数料・キャッシュバック・リファラル・ポイントプログラム」の部分です。
ここに「プロダクトがプロトコル化している」ということを感じました。
要は、マーケティングやグロースプロセスを事前に設定したインセンティブ設計によって自律的に稼働させているということです。当然、手数料率等の微調整はあれど、本質的な設計は変わらず続いていくでしょう。
個人的にはこれは結構な革命だと思っており、今回のプロダクトも20代前半の若者がたった2人で始めたプロダクトがわずか4ヶ月で1億ドルの収益を達成しています。
AIの普及でスモールチームでユニコーンが誕生することが普通になると言われていますが、web3の中でもプロトコルの普及とエアドロップを絡めたインセンティブ設計によって実現しつつあります。
ここが交わると、以下のようにプロダクト設計とグロースのやり方が大きく変わります。アイディアとコンセプト、初期のグロース戦略の調整によって、あとは勝手に成長して勝手に収益が生まれ、それらのデータを元にAI開発で微調整していく時代になります。
AIで爆速でプロダクトが誕生、改善も進む
機能はあらゆるものをインテグレーション
MCP経由でWeb2サービス利用
web3はパーミッションレスなので自由に利用
グロース戦略はエアドロップを元にしたインセンティブ設計で
今はweb3系だけがエアドロップしていますが、以前紹介したBelieveのようなアプリが普及すると全てのサービスがエアドロップするようになると思っているので、プロダクトの作り方や広げ方が大きく変化する時代になっています。
だからこそ「プロトコル化するプロダクト」と表現しました。
プロダクト自体もインテグレーションして構築する時代、そしてあらかじめ設定したルールによって自律的に成長していきます。
多分、ここ1年以内には巨大なWeb2サービスがこのようなやり方でユニコーンになり、大成功を収めると思います。20人でユニコーンではなくて、2人でユニコーンの時代になります。
「Axiom」自体も楽しみですし、「Axiom」のような戦略でプロダクトを作りグロースさせていく企業がより多く出てくることも非常に楽しみです。
以上、「Axiom」のリサーチでした!
🔗参考リンク:HP / DOC / X
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Author:mitsui @web3リサーチャー
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