おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Libraro」についてリサーチしました。
🔴Libraroとは?
⛓️ブロックチェーンの活用方法
💬web3はニッチなプロダクトが勝てる時代になる!?
🔴Libraroとは?
「Libraro」は出版業界にブロックチェーンを持ち込み、作家、出版社、ファンの在り方を変革するプラットフォームです。
作家は出版社なしに自身の作品を公開し、ファンはその作品をNFTとして収集できます。「Libraro」はこの仕組みを「クラウドリーディング」と呼んでおり、書籍が幅広い読者から大きな関心を集めた場合、出版社にとって、熱心で関心の高い読者の存在を明確に示す指標となることを意味します。
「Libraro」はこのプラットフォームにブロックチェーンを活用することによって、作家の作品の保全、ファンの熱量の可視化に取り組んでいます。とはいえ、プラットフォームはすでにリリースされていますが、その仕組みはまだこれから実装のようですので、HPや取材記事に記載されている内容を元にブロックチェーンの利用方法については解説していきます。
ただその前に、まずはプラットフォーム自体の解説をしていきます。
①Read(読者/ファン)
アカウント登録はメールアドレスとパスワードで簡単に行えます。以下のような画面から興味のあるカテゴリを探し、気になる書籍を発見します。
書籍のページにいくとその説明が書かれています。あらすじを読むことも本編を読むこともできます。
②作家
同じアカウントから出版ページに行くことができます。ここから文章を記載するかファイルをアップデートします。その後、タイトルや表紙画像を設定します。
そして、作家として公開するにはサブスクプランに設定する必要があります。それぞれ公開できる出版物に限りがあります。
これらの設定ができたらあとは公開します。
⛓️ブロックチェーンの活用方法
では、ここからブロックチェーンの活用方法です。尚、上述した通りまだブロックチェーン機能は搭載されていないようなので、今後想定されている内容となります。
まず、利用しているブロックチェーンは「BSVブロックチェーン」です。BSVブロックチェーンは、スケーラビリティ、マイクロペイメント、低料金を特徴とし、エンタープライズグレードのアプリケーションやサービスに最適なソリューションを提供するブロックチェーンです。
スイスを拠点としており、ヨーロッパ系の企業や政府に利用されることが多いです。「Libraro」はイギリスを拠点とするスタートアップであり、このBSVブロックチェーンを利用しています。
ブロックチェーンの活用方法として言及されている内容は以下のとおりです。
原稿をNFTとして収集できる
先行公開と限定コンテンツへアクセス
出版物の権利保護
その他、執筆途中の出版物を公開し、ファンからのコメントやフィードバックを元にブラッシュアップしていけるとも書かれていました。ここにブロックチェーンが利用されるとすると、とある本に自身の貢献した軌跡が載ることになるかもしれません。
資金調達状況としては、2023年4月、英国を拠点とするテクノロジー企業nChainは、Libraroに200万ポンドを投資し、Libraroのソリューションの開発と導入を推進するために20%の株式を取得すると発表しました。また、2024年10月にはAyre Venturesが主導するシードラウンドの調達を発表しました。金額は非公開です。
新しい資金は、web3ロイヤリティプログラムとオンチェーン著者認証機能の拡張、著作権侵害の防止、コンテンツの所有権と発行権の透明性の向上に使用されるとのことです。
💬web3はニッチなプロダクトが勝てる時代になる!?
最後は考察です。
まだ構想段階の部分もありましたが、とても面白いプロジェクトだと感じました。仕組み自体はMirrorなどでも同じことができそうではありますが、今後より出版に特化した形になっていくのだと予想されます。
また、最近考えていることとしては、web3の時代はニッチなプロダクトが勝てる時代になっていくのではないかということです。”勝てる”というのはプロダクトとして存続できる状態で、きちんと収益が出て、ユーザーも満足しており、継続的にアップデートも行われている状態です。
Web2の時代もニッチなプロダクトはありますが、どちらかと言えば勝者総取りの時代でした。これはスケールするほどに利益が出るビジネスモデルが主流であったからです。代名詞が広告ビジネスで、無料で集めて広告で稼ぐモデルが人気です。
今後もそれがなくなるとは思いませんが、web3はよりニッチなモデルでも成立するのではないかと思っています。
その理由は、「運営コストが安くなる」ことと「収益率が高まる」ことにあります。
運営コストに関しては、ブロックチェーンを利用するとユーザーの情報をサーバーで保存することがなくなります。正確にはサービスによっては0になることはないと思いますが、サーバー代とそれを守るセキュリティコストが一定削減されます。
そして、トークン報酬によってマーケティングコストも削減されます。加えて、これは別のテクノロジーですが、AIによってプログラミングコストも削減されます。
よって、人件費・サーバー費用・マーケティング費用がこれまでよりも安価になることが予想されます。
さらに、web3のサービスは収益率が高まります。トークン発行のアロケーションによる利益はもちろん、金融が身近にあるので課金をしてもらいやすく、また熱狂があるコミュニティであればトークンの取引手数料でも稼げるかもしれません。
当然サービス設計次第ではありますが、個人的にはニッチなサービスが成り立ちやすくなる時代だと思っています。というか、以前もどこかで書きましたが、僕はブロックチェーンはニッチでクローズドなコミュニティを実現する技術ではないかと思っているので、マスサービスよりもミニマムサービスの方がしっくりきます。
おそらく、「マスインフラ」で「ミニマムサービス/アプリケーション」となっていくのではないかと思っています。
そのような背景もあり、今回リサーチした「Libraro」はとても面白いなと思っています。本が好き、出版が好き、書くのが好き、読むのが好き、そういうコミュニティがグローバルで確実に存在します。そこへ向けたUIであり、サービスであるので、カルチャーを作ることができます。
トークンに関する記述はありませんが、今後NFT機能がつくなど、エコシステムとして大きくなっていくと静かにですが確実にその業界で浸透していくかもしれません。
以上、「Libraro」のリサーチでした!
🔗引用/画像引用先:HP
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免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
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Author:mitsui @web3リサーチャー
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