おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「DeSci市場レポート」と題して、DeSciについて深堀します。聞いたことがない方もいるかもしれませんが、少しずつ盛り上がってきている分野ですので、この機会にぜひご覧ください!
💊DeSciの定義と背景
🌊DeSciの市場規模と代表的なプロジェクト
💬DeSciの課題と展望を考察
💊DeSciの定義と背景
まずは「DeSci」の概要から説明します。
「DeSci」は「Decentralized Science / 分散型科学」の略語であり、ブロックチェーンを使って科学領域における課題を解決します。
科学研究の現場では、以下のような深刻な問題が存在しています。(僕も専門家ではないのであくまでリサーチした範囲でまとめています。)
研究資金の偏在:大規模な研究機関や著名な研究者に資金が集中する傾向があります。これにより、新進気鋭の研究者や革新的だが「リスクが高い」とみなされるプロジェクトが十分な資金を得られないことがあります。結果として、科学の多様性や創造性が制限される可能性があります。
出版バイアス:学術誌は概してポジティブな結果や画期的な発見を好む傾向があります。そのため、ネガティブな結果や仮説を支持しない研究結果が公表されにくくなっています。これは科学的知識の偏りを生み出し、全体像の把握を困難にしています。
データアクセスの制限:多くの研究データが、論文の著者や所属機関内にとどまっています。データの共有が限定的であるため、他の研究者による検証や、そのデータを用いた新たな分析が難しくなっています。これは科学の進歩を遅らせる要因となっています。
再現性の危機:多くの研究結果、特に生命科学や心理学の分野で、他の研究者が同じ結果を再現できないという問題が浮上しています。これは科学の信頼性を大きく損なう深刻な問題です。
知的財産権の問題:研究成果の帰属や報酬の分配が適切に行われないケースが存在します。特に、大学や研究機関と個々の研究者の間で、特許権や商業化の利益をめぐる争いが生じることがあります。
ピアレビューシステムの課題:現行のピアレビューシステムは、時間がかかり、バイアスの影響を受けやすく、また査読者の負担が大きいという問題があります。さらに、査読プロセスの透明性が欠如していることも指摘されています。
学術出版の商業化:大手出版社による学術誌の独占的な運営が、研究成果へのアクセスを制限し、高額な購読料を強いています。これは特に資金の乏しい機関や発展途上国の研究者にとって大きな障壁となっています。
これらの課題は互いに関連しており、科学研究の進歩と信頼性を脅かしています。この問題に対応するべく、2000年頃からオープンサイエンスという運動が出てきました。2021年にはユネスコで「オープンサイエンスに関するユネスコ勧告」が採択され、世界的に知られるようになりました。
但し、その実態は寄付やボランティアによって成り立つものが多く、課題を完全に解決するものではありませんでした。
そこで、これらの課題にインセンティブをつけて解決できるブロックチェーンの技術が出現し、DeSciが注目され始めました。
DeSci注目のきっかけは世界的な科学的雑誌「Nature」が、2021年10月にXでDeSciに参加することを奨励する投稿を行い、12月には神経科学者であるSarah Hamburg博士の記事を掲載したことです。
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