【Heaven】Solana上に構築された新興のトークンローンチパッド兼AMM / LaunchpadとAMMの一体化・Creator/コミュニティ選択と手数料モデル・$LIGHTの買戻しとフライホイール機構の特徴を持つ / @heavendex
Pump[.]funキラーとなるか
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Heaven」についてリサーチしました。
👼Heavenとは?
⚙️詳しい仕組み
🚩変遷と展望
💬グローストークンが出てきた
🧵TL;DR
HeavenはSolana上に構築された新興のトークンローンチパッド兼AMMで、誰でも安全かつ公平に新規トークンを即時発行・取引できる環境を提供。
LaunchpadとAMMの統合、仮想SOLによる初期価格安定化、ボンディングカーブ非採用で流動性移行時の混乱やスナイプを防止。
Creator/Community分類とPermissioned Feeモデルで、正当な開発者には収益を、匿名・不正案件には価値還元のみを適用。
プロトコル収益の100%を$LIGHTの買戻し・バーンに充当する二重フライホイール構造で、利用量の増加が直接トークン価値に結びつく。
👼Heavenとは?
「Heaven」は、Solana上に構築された新興トークンローンチパッド兼AMMプラットフォームであり、新しいトークン(ミームコインからリアルビジネスのプロジェクトまで)をワンストップで立ち上げる場を提供することを目指しています。
ただし、特にSolana上では、Pump.funを筆頭に誰でも簡単にトークンを立ち上げられる「ローンチパッド」が数多く存在します。
しかし、その多くは課題を抱えています。
クローンや独自仕様の乱立による流動性の分散
初期価格形成時の不公平
スキャムや成りすまし被害
収益構造の不透明さ
こうした現状は、開発者・投資家双方にとって理想的な市場環境とは言えません。
「Heaven」はこうした問題を解決するために設立され、「Permissionlessなローンチ」と「Permissionedな手数料」の両立、そして収益100%をネイティブトークンの買戻し・バーンに活用するという明確なビジョンを掲げています。
その背景を解説します。(より詳しい仕組みは後ほど解説しますが、ここでは全体像を確認ください)
◼️既存ローンチパッドの主な課題とHeavenの解決策
①プラットフォームの分散と乱立
課題:多数のクローンや小規模ローンチパッドが乱立し、流動性やユーザが分散。結果として、プロジェクトの露出も参加者も限られる。
Heavenの解決策:ローンチパッドとAMMを統合し、全プロジェクトを単一の基盤で扱う「クローズドコンテナDEX」方式を採用。流動性とユーザを一か所に集約。
②初期流動性移行の非効率
課題:既存モデルでは販売後に外部DEXへ流動性を移す必要があり、その過程で価格急変やボットによるスナイプ(即時買占め)が発生。
Heavenの解決策:35SOL分の「仮想SOL」を使い即時AMM生成。流動性移行が不要で、スナイプ税により初期取引を公平化。
③スキャム・成りすまし問題
課題:有名人やプロジェクトの名を無断利用した詐欺トークンが乱立し、投資家被害が多発。
Heavenの解決策:Permissioned Feeモデルを導入。開発者未確認トークンは手数料の90%を自動バーンに回し、本人確認できた場合のみ収益化を許可。本人以外が発行しても手数料を本人にルーティング可能。
④収益構造の不透明さ
課題:多くのローンチパッドでは収益が運営の利益になるだけで、トークンホルダーへの還元が乏しい。
Heavenの解決策:プロトコル収益の100%を$LIGHTの買戻し・焼却に使用。運営も$LIGHT保有者としてトークン価値上昇を共有。
⑤ミーム/非ミームの境界問題
課題:真面目なプロジェクトとジョーク的ミームコインが混在し、投資家の判断が困難。
Heavenの解決策:Creator/Communityのカテゴリ分けを実施し、それぞれに応じた手数料や審査基準を適用。両者が共存できる公平な環境を提供。
このように「Heaven」は、既存のローンチパッドが抱える構造的問題を解決し、透明性と公平性を兼ね備えたトークンローンチ環境を構築することを目指しています。
⚙️詳しい仕組み
ではより詳しい仕組みを解説します。上記で解説した解決先に関連しますが、そこの中身を深堀りするイメージです。
以下、3点がHeavenの大きな特徴となります。
LaunchpadとAMMの一体化
Creator/コミュニティ選択と手数料モデル
$LIGHTの買戻しとフライホイール機構
1つずつ解説します。
① LaunchpadとAMMの一体化
Heavenは、トークン発行の「ローンチパッド」と、取引を行う「AMM」を完全に統合した設計を採用しています。
これにより、ローンチされたトークンは外部DEXへの移行を待つことなく、即座にHeaven内のAMMで取引開始できます。従来のSolana系ローンチパッドで頻発していた、流動性移行時の価格急変やボットによるスナイプ(瞬間的な買占め)を根本から防ぎます。
誰でも数秒でローンチ可能
完全Permissionless(許可不要)設計で、ウォレット接続後わずか数クリックでトークン発行が可能。
ミームコインから本格プロジェクトまで、審査や申請なしで即時ローンチできる。
あえてカスタムを排除
発行時に設定できる項目はほぼゼロ。価格、流動性、手数料などのパラメータはすべてHeaven側が固定。
不正な税率や抜け穴コードの仕込みを防ぎ、全トークンを同一条件で公平にスタート。
仮想SOLによる初期安定化
仮想SOL(virtual SOL)とは、実際のSOLは存在しないが計算上存在するとみなす初期流動性のこと。
各プールに約35SOL分の仮想SOLを設定し、初期価格の急変動を抑制。
実SOLを用意せずともAMMプールが機能するため、流動性移行が不要。
ボンディングカーブを廃止
Pump.fun型に見られる、購入ごとに価格が上昇するボンディングカーブは採用せず、最初からAMMの需給バランスだけで価格を形成。
これにより、価格決定ルールが常に透明で一貫し、取引の予測可能性が高まる。
② Creator/Community選択と手数料モデル
Heavenでは、トークン発行時に「Creator(開発者主導)」か「Community(コミュニティ発)」のいずれかを選択します。これにより、プロジェクトの性質に応じた手数料体系と審査フローが自動的に適用されます。
Creatorというのは明確に開発者や運営者が存在する場合で、CommunityはいわゆるTikTokやX等でバズったミームをトークンとして発行している場合です。後者の場合は自身で生み出したミームではなくトークン発行者であるだけなので、ここは明確に区分されています。
Creator(開発者主導)
初期状態では1%のクリエイター手数料が設定。
Heaven運営が審査を行い、公式サイト・SNS・チーム情報などから本人確認が取れれば、1%手数料は正式に開発者に帰属。
認定後は、その手数料収益を自トークンの買戻し・バーンに使うことも可能。
Community(コミュニティ発)
初期手数料はわずか0.1%のみ。
残りの0.9%分は自動的にプロジェクト専用の買戻しアドレスに送られ、そのトークンのバーンに利用される。
匿名ミームや草コインでも、過剰な手数料負担なく運営可能。
Blocked(詐欺・成りすまし判定)
クリエイター手数料は一切発行者に支払われず、全額$LIGHTの買戻し・バーンに充当。
有名人やブランドのなりすまし案件など、不正収益を完全に遮断。
このモデルにより、正当な開発者には収益機会を、匿名・不正案件には価値還元のみをという、公平かつ透明な市場ルールが実現します。
つまり、取引手数料は1%(+プラットフォーム手数料)が発生し、正式なクリエイターの場合は全額の1%が割り当てられ、コミュニティ発の場合は発行者に0.1、0.9%はトークンのバイバック&バーンに利用され、詐欺判定された場合は全額$LIGHT(Heaven独自トークン)のバイバック&バーンに当てられるというわけです。
このカテゴリはまずトークン発行者が選択し、その後に運営側によるレビュープロセスが開始され、コインには「レビュー中」タグが付けられます。この間も手数料はキープされますが、判定後でなければアクセスできません。
また、この取引手数料とは別に以下のプロトコル手数料がかかります。
取引価格が10万ドル未満の場合:1%
10万ドル以上で取引されている場合
コミュニティコインの場合:0.25%
クリエイターコインの場合:0.5%
ただし、これらのプロトコル手数料及び上記のコミュニティコインの0.9%の手数料、そして詐欺コインに該当する1%の手数料の全てはプロトコル独自トークンである$LIGHTのバイバック&バーンに当てられます。
③$LIGHTの買戻しとフライホイール
Heavenのネイティブトークン$LIGHTは、プラットフォーム全体の収益循環の中心に位置しています。これは「God Flywheel」と呼ばれます。
God Flywheel(プロトコル全体)
Heaven上で発生する全てのプロトコル収益の100%が$LIGHTの市場買戻しに使われ、そのままバーンされます。
Heavenの利用量が増えるほど$LIGHTの供給が減少し、希少性が高まるデフレ設計。
また、この取引手数料によるトークンのバイバック・バーン機能は各プロジェクトでも利用することが可能で、これを「Project Flywheel」と呼びます。
Project Flywheel(各トークン単位)
Heavenでローンチされたトークンごとに専用の買戻しアドレスが付与されます。
クリエイターやコミュニティは、収益の一部をこのアドレスに送ることで、自トークンを自動で買戻し・焼却可能。
ミームから本格プロジェクトまで、各トークンが自ら価値循環を作れる仕組み。
この二重構造により、Heaven全体の成長も、個別プロジェクトの成長も、それぞれが自分のトークン価値を押し上げるというインセンティブが形成されます。
🚩変遷と展望
HeavenはXアカウントが2025年6月に開設されたばかりの新興プロジェクトです。まだ独自トークンをリリースしたばかりであり、ローンチパッドとしての稼働はこれからです。
チームは、現時点では匿名のハンドルネームで活動しています。共同創設者(Co-Founder)はハンドルネーム「Peace」と名乗る人物で、主要な貢献者(Contributor)として「Fate」(表記: 0xfte)というメンバーが参加しています
Solana共同創業者のアナトリー・ヤコベンコ氏がHeavenの公式Xアカウントをフォローしていることが話題になるなど、Solanaエコシステム内でも注目を集めています。
◼️ICOを実施
2025年8月、Heavenはネイティブトークン$LIGHTのジェネシスICOを実施しました。
販売はUTC時間8月6日15時に開始され、最大48時間行われる予定でしたが、開始後約11時間で約2,700万ドル相当を調達した時点で予定より早くクローズしました。参加ウォレット数は約9,000に達し、Solana上でも極めて短時間で大規模な資金を集めた例となりました。
ICO時の開幕時価総額は調達総額と等しく設定され(1ドル出資につき1ドル相当の$LIGHTが市場に供給)、公開直後の循環時価総額は約2,730万ドルに達しています。
運営チームは想定以上の資金が集まったことから、大口出資者の比率を下げより公平な分配とするため参加者全員に対する一部返金(総額約480万ドル相当)を実施する方針を表明し、その結果$LIGHTの開幕時評価額を引き下げる措置を取りました。
返金処理はセール終了直後の週末に行われ、トークンは販売終了後1~3日以内に各参加者へ配布され、2025年8月11日にHeavenのAMM上で取引開始されています。
トークンアロケーションは以下の通りで、50%がICOで販売されました。
なお、Heavenはこのパブリックセール以前から戦略的投資家の支援を受けています。例えばSolanaエコシステムのコミュニティVCであるColosseumはHeavenへの出資を発表しており、この他にもアドバイザーや個人投資家がプロジェクト初期に参加しています。
現時点では$LIGHTを用いたガバナンス投票や特別なステーキング機能はアナウンスされていません。なので、ローンチパッドのパラメータ調整などは当面、開発チームおよびHeaven Labs Foundationが担う見込みですが、$LIGHT保有者にとって最大のインセンティブはトークンの需要拡大とそれに伴うバーンによる価値上昇であり、Heavenは従来のガバナンストークンにありがちだった「ユースケース不足」の問題をこのモデルで克服しようとしています。
将来的に$LIGHTがエコシステム内で他の用途(例: 新規プロジェクトへの出資投票や優先参加権付与など)に使われる可能性も否定はできませんが、公式ドキュメントではまず収益に裏付けられた価値循環に重きを置く方針が示されています。
💬グローストークンが出てきた
最後は総括を考察です。
Pump[.]funキラーとして注目を集める存在として「Heaven」が出てきました。Pump[.]funがミーム寄りで、Believeがビジネス寄りで、「Heaven」がその中間のイメージでしょうか。
フォロワー数を見てもまだ一部にしか認知がされていませんが、今後大きな可能性をもつ存在として期待されているように思います。
当然、毎週のようにPump[.]funキラーが生まれては消えていっているので競争は激しいですが、その中でも面白いコンセプトだと思います。
LaunchpadとAMMを統合させた、手数料体系をCreatorとCommunityで異なるものを採用した、この辺りも非常に面白いのですが、個人的には$LIGHTトークンのバイバック&バーンに全振りしたユーティリティ戦略がどうなるのかがとても楽しみです。
というのも、僕は以前書いた記事の中で「ガバナンス」「ユーティリティ」に次ぐトケノミクス3.0として、グローストークンが出てくると予想しました。
正直、ガバナンスへの参加も、小さなユーティリティもトークンの需要を喚起するには及ばず、トークン出したは良いが使われない例が多いので、だとすれば最初からグロースだけに利用してプロトコルの収益でバイバックしていく方が良いのではないかという主張です。
「Heaven」はまさにこれを体現しているように思います。なので、永続するか、トークン価格がどうなるのかは非常に楽しみです。
ただし、現時点の情報だけで懸念を上げるとすると、以下の3点です。
プロトコル手数料の100%を$LIGHTトークンのバイバック&バーンに当てるので、運営側はICOでの売り上げ、アロケーション、VCからの出資しかなく継続的な収入がない。
$LIGHTの価格に直結するほどの量をバイバック&バーンできるか。
$LIGHTの需要をどう作るか。
2点目は注目で、バイバック&バーンはトークンエコノミクスで重要なように思いますが、意外に価格に影響できるほどの量をバーンできない可能性もあります。月間1,000万円分をバーンしても、年間1.2億だけです。時価総額が100億であれば1%程度のボリュームで、正直さほど影響はありません。
現時点ではバイバック&バーンするという発表がファンダメンタルズ的な影響を与えるかもしれませんが、徐々に実際の量が計算されていくはずです。
そして、3点目も重要です。
トークンのバイバック&バーンだけがユーティリティの場合、購入したい側(需要)は将来的な価格上昇を期待する投機のみとなります。これだけでもいけそうな気もしますが、理想を言うならば$LIGHT自体にユーティリティがあり需要を持ちつつも、それがどんどんバーンされていくので供給が減っていくという状態が理想です。
例えば、DeFAIのBankrのBankr Clubのように一定の$LIGHTを保有すると入れるLIGHT Clubを構築し、そこでAI機能へのアクセスや取引手数料の優遇、プロトコルフィーの分配(ステーキング配分)などが実施され、その上でそれ以外のプロトコルフィーを全額バイバック&バーンに利用するなどすると、需要がありながら供給が減っていく状況が作れるのではないかと思っています。
総じて、どのようにワークするのか、どのように変化していくのか、それらも含めて今後が楽しみなプロジェクトです。また何か大きな変化があれば記事にしていきます!
以上、「Heaven」のリサーチでした!
🔗参考リンク:HP / DOC / X
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