【Pump.funのすべて】誕生の理由、トークン発行とボンディングカーブの仕組み、ビジネスモデルと収益性、トークン発行の噂、功罪と展望、全てを解説!
1記事でPump[.]funのすべてがわかります。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
週に1本の有料記事では深掘り考察、または深掘りリサーチ記事をお届けしていますが、今日の記事は「Pump[.]funのすべて」というテーマで、誕生から現在までの変遷、定量的なデータ、収益性、展望までを深掘ってリサーチします。
Pump[.]fun自体は当然、聞いたことがあるかと思いますが、その凄さを改めて言語化できる人は多くないんじゃないでしょうか。この1本で理解できるようにまとめましたので、ぜひご覧ください!
💊Pump[.]funとは?
💡ワンクリックでのトークン作成とボンディングカーブ
💰Pump[.]funの定量データとビジネスモデルと収益性
💧独自トークン発行の噂
💬Pump[.]funの功罪と展望
💊Pump[.]funとは?
Pump[.]funは、Solanaブロックチェーン上で2024年に始まったミームコインのローンチプラットフォームです。
最大の特徴は、ユーザーが数ドル程度の手数料で即座に独自トークンを作成し、プラットフォーム内で取引開始できる点で、「シード流動性(初期資金)」なしでトークンを発行・上場できる仕組みを備えています。
Pump[.]funの誕生と発展、主な機能とアップデート、話題になった背景、競合プラットフォーム比較、PumpSwapとRaydiumの違い、開発チーム、そして今後の展望について詳しく解説します。
◼️誕生の歴史
Pump[.]funのドメインは2023年9月19日に登録され、約4か月後の2024年1月19日にプラットフォームが正式ローンチしました。
ファウンダーは匿名の「Alon」と名乗っていましたが、その後の公開情報により、イギリス出身の若手起業家であるノア・ツイーダル(Noah Tweedale)、アロン・コーヘン(Alon Cohen)、ディラン・カーラー(Dylan Kerler)の3名によるプロジェクトと判明しています。
彼らはいずれも20代前半のヨーロッパ在住者で、以前はNFTの先物取引プラットフォーム(NFTperp)に関わっていましたが、NFT市場の低迷を機にミームコイン分野へ方向転換しました。
起業資金としてはAlliance DAOから35万ドルの出資を受けており、サービス開始直後から収益化に成功しています。
創業チームは非常にユーザー志向で、サービス開発に当たって数千人規模の見込みユーザーと直接対話したとのことです。アロン氏はPump[.]fun構築前に約3,000人のミームコイントレーダーにDMを送り、求められている機能や不満点のヒアリングを行ったとされています。そのフィードバックを反映して「誰でも簡単・安全にコインを発行し取引できる場」を形にした結果がPump[.]funです。
アロン氏は「誰でも数分でコインを作って10倍利益を狙える機会を民主化したかった」と語っており、ミームコイン取引の敷居を下げることがPump[.]fun創設の動機でした。
ローンチ後、Pump[.]funは急速にユーザーを集め、2024年前半だけで推定6千万ドルの手数料収入を上げました。2024年7月時点でプラットフォーム上で作成されたトークン数は累計100万を超えました。2024年を通じてSolanaネットワーク上で新規発行されたトークンのうち約75%(1300万以上)がPump[.]funから生み出されたとされ、1日あたり平均3万6千もの新トークンが誕生した計算になります。
こうした爆発的成長により、Pump[.]funはSolana上で最も収益性の高いプロダクトの一つとなり、2024年だけで累計6億ドル超の手数料収入を得たとのことです。
◼️主要機能とアップデートの歴史
最大の特徴であるボンディングカーブやDEX上場の仕組みは後ほど解説しますが、まずは主要機能とアップデートの歴史を紹介します。
ワンクリックでのトークン作成とボンディングカーブ:プログラミング不要で誰でも「トークンを即時発行・取引開始」できます。
トークンの「卒業」(DEX上場):内部プールで価格が上昇し一定の規模に達すると、DEXに「卒業(グラデュエーション)」する。当初は外部DEXであるRaydiumに上場していましたが、後に独自DEXであるPumpSwapを立ち上げ。
ライブストリーミング:2024年中頃に独自のライブストリーミング機能を導入。トークン開発者(コイン作成者)が自分のトークンを売り込むためにリアルタイム配信できる仕組みで、新規コインが玉石混交で大量発生する中で注目を集めるマーケティング手段となりました。しかし、この配信機能は急速に過激化し、閲覧者の関心を引くために刑務所から配信していると称したり、性的行為を生中継したり、ロシアンルーレットを行う、他人を水責めすると脅すといった極端なコンテンツが横行するようになります。こうした「やりすぎ」行為はコミュニティ内外で物議を醸し、2024年11月には主要メディアも巻き込んだ批判を受けて配信機能は無期限停止となりました。ただし、ライブ配信規約を作り込んだ後、現在は復活しています。
取引端末UIの強化(Pump Advance):2024年10月、取引画面の大幅刷新を発表し、新インターフェース「Pump Advance」をリリース。Pump Advanceでは各トークンのミニチャートや大口保有者トップリスト、ソーシャルメディア指標などが一画面に表示され、急速に増え続ける数千種類のミームコインの中から有望なものを探しやすくなるよう工夫されている。またログイン認証にはWeb3対応の認証基盤Privyが導入され、メールアドレスやGoogleアカウントでのサインインが可能になるとともにウォレット作成も自動化。
モバイルアプリの提供:当初ウェブアプリとして提供されていましたが、ユーザーからの要望に応えて2024年10月にモバイルアプリの試験提供を開始し、2025年2月にiOS/Android向け公式アプリを本格リリース
PumpSwap(独自DEX)の導入:2025年3月に独自のAMM型DEXである「PumpSwap」を立ち上げました。これ以降はトークンの卒業先をRaydiumではなくPump[.]fun直営の取引所とすることで、移行が即時かつ無料で行われるようになりました。
クリエイター収益共有プログラム:2025年5月、ミームコイン開発者へのインセンティブ強化策として収益シェアモデルの導入を発表。これはPumpSwapで発生する全取引手数料収入の50%をトークン作成者へ還元する制度で、公式発表によれば取引ごとに手数料0.05%相当を開発者が得られる計算になります。対象となるのは(1)Pump.fun上で新規発行されたトークン、(2)現在Pump[.]fuの内部プールで取引中のトークン、(3)過去に卒業してPumpSwap上場済みのトークンのいずれかに該当する場合で、条件を満たす開発者は自分の「コイン」ページから報酬受取を申請できます。
以上が誕生と主要機能の歴史となります。続いて、最大の特徴であるボンディングカーブの仕組みについて解説していきます。
💡ワンクリックでのトークン作成とボンディングカーブ
Pump[.]funの最大の特徴は、プログラミング不要で誰でも「トークンを即時発行・取引開始」できる点です。ユーザーは画像ファイル、トークン名、ティッカー(銘柄コード)を入力し、約2ドル相当のネットワーク手数料を支払うだけで新たなトークンを発行できます。
発行された全トークンは即座にプラットフォーム内の内部流動性プール(仮想的なAMMプール)に登録され、ボンディングカーブ(需要に応じて価格が上下するアルゴリズム)によって価格がリアルタイムに決定されます。
このボンディングカーブの仕組みが何よりの発明であり、これにより、従来必要だった初期流動性の提供(数千ドル規模の資金準備)なしに市場を成立させることが可能となり、トークン発行を民主化しました。
◼️ボンディングカーブとは?
ボンディングカーブとは、トークンの発行量(供給)と価格の関係をあらかじめ定めた数式(曲線)によって制御する仕組み(スマートコントラクト)です。
外部のオーダーブックやAMMに頼らず、コントラクト内部で購入・売却の価格を算出するため、需要と供給に応じて価格が自律的に変動します。Pump[.]funでは特にステップ関数的なボンディングカーブを採用しており、トークンが買われるごとに価格が段階的かつ明確に上昇する仕組みになっています。