【ERC-8004】トラストレスエージェントのための標準規格 / Identity・Reputation・Validationを提供し、A2AやMCPなど既存プロトコルの「信頼不足」を補完
信頼・取引基盤としてのブロックチェーンの重要性が増す
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「ERC-8004」についてリサーチしました。完全な技術詳細よりもその存在意義、概要、変遷と展望について解説していきます。
ERC-8004とは?
技術仕様
ユースケース
変遷と展望
信頼・取引基盤としてのブロックチェーンの重要性が増す
TL;DR
ERC-8004は、AIエージェント同士が事前の信用関係なしに協働できるよう、Ethereum上に最小限の信頼レイヤー(Identity/Reputation/Validation)を提供する標準で、A2AやMCPなど既存プロトコルの「信頼不足」を補完する。
IdentityでエージェントをERC-721(NFT)として一意に登録し、Reputationで署名付き承認に基づくフィードバック(スコア・タグ・証拠URI/ハッシュ)を記録、Validationで第三者検証の依頼と結果を標準化して多様な検証モデル(ステーク再実行・zkML・TEE・人間裁定等)を接続する。
これらの検証方式はIdentity内のsupportedTrustに宣言でき、x402決済と組み合わせた自動取引や、将来的なエージェント経済(メインネット展開・Devconnect発表・dAIチーム推進)に向けて、ブロックチェーンを中立な信頼・取引基盤として位置付ける。
ERC-8004とは?
「ERC-8004」はEthereum上で提案された新しい標準(ERC規格)で、「トラストレスエージェント」と呼ばれる自律的なサービス(AIエージェントやボット等)のためのミニマルな信頼レイヤーの構築を目指しています。
この標準が生まれた背景には、AIエージェント間の信頼欠如や評価の見える化の難しさ、既存プロトコルの限界がありました。
以下、それぞれ説明します。
◼️AIエージェント間の「信頼」問題と評価の見える化の課題
AIエージェント同士がやり取りする際、「この相手は本当に信頼できるのか?」という問題が生じます。現在のところ、あるエージェントが「これまでにどんな実績があるのか」を客観的に示す共通の仕組みがありません。
例えば、データ分析をしてくれるAIエージェントをネットで見つけても、その評判や過去の実績を証明する統一的な「評価スコア」のようなものがないため、利用者は口コミやドキュメントを集めたり実際に試してみるなど、手探りで信頼性を判断するしかありません。
その結果、以下のような現象が発生する可能性があります。
悪質なエージェントの横行
悪意ある開発者が評判のない新しいエージェントを次々と作り、依頼を受けて価値を搾取しては逃げる、といったことが可能になってしまいます。信頼できる身元証明がないと、こうした「なりすまし」や詐欺を防ぐのが難しくなります。優秀なエージェントの損失
逆に、誠実で有能なエージェントであっても実績の持ち越し(ポータブルな評判)ができず、新しいマーケットに参入するたびゼロから信頼を築かなければなりません。各所で評価がリセットされてしまうため、本当は優秀なのに毎回「新人扱い」されてしまいがちです。
このように「信頼の見える化」が欠如している現状では、AIエージェント同士が本格的に取引・協働する「エージェント経済」を築く上で大きな障害となっています。評価制度のないオークションやフリマで見知らぬ相手と取引するようなもので、安心して任せることが難しいのです。
◼️既存プロトコル(A2AやMCPなど)の限界とERC-8004の役割
現在、AIエージェント間のやり取りを支えるためにいくつかのプロトコルが提案・活用されています。
代表的なものに、GoogleのAgent-to-Agent(A2A)プロトコルやAnthropicのMCP (Model Context Protocol)があります。A2Aはエージェント同士がタスクを委任し合ったり見つけ合ったりするための通信規格で、MCPはLLMなどのAIが必要な外部データやツールにアクセスするための標準です。
しかし、これら既存プロトコルには「信頼」を確立する仕組みが組み込まれていません。例えば、A2Aは企業内など信頼できる相手同士の連携を前提として設計されており、見知らぬ外部のエージェントとの信用構築までは想定していません。MCPもエージェントがデータにアクセスするためのものであって、相手エージェントの信頼度を判断する機能はありません。
この不足を補うのがERC-8004の果たす役割です。
ERC-8004は既存のA2Aの上に「信頼レイヤー」を追加し、エージェントが事前の信用関係がなくてもお互いを発見・選択し、安全に取引できるようにする拡張規格です。
詳細は後述しますが、ERC-8004は3つのオンチェーンレジストリを導入し、エージェントごとの身元情報(アイデンティティ)、評判・実績(レピュテーション)、そして成果の検証記録(バリデーション)をブロックチェーン上で管理します。
A2AやMCPがエージェント同士の通信やデータ連携の方法を定めているとすれば、ERC-8004は「その相手は信頼するに値するか?」を判断するための情報基盤を提供するイメージです。
実際、ERC-8004とこれらのプロトコルを組み合わせることで初めて、エージェント間取引のフルスタック(通信+決済+信頼評価)が完成すると言われています。
たとえば 「ERC-8004で相手の身元と評判を確認し(誰なのか・実績はどうか)、A2A/MCPで具体的な交渉を行い、x402という別の標準で決済し、仕事が完了したらERC-8004上で評価フィードバックを残す」 という流れが想定されています。
また、このようにAIエージェント経済において非常に大事な標準規格をEthereumという中立なインフラの上に構築することによって、どのAIエージェントでも等しく利用できるようにしています。
技術仕様
続けて、技術仕様についても解説します。完全な詳細は難しいので、ここでは概要の説明に留めます。深掘りしたい方はぜひドキュメントをご覧ください。
ERC-8004は3つの軽量なオンチェーン・レジストリ(Identity、Reputation、Validation)を提供し、それ以外のアプリケーション固有ロジックはオフチェーンに委ねるアプローチを取っています。必要最低限のデータのみオンチェーンに保持しつつ柔軟な信頼モデルを構築します。
◼️Identity Registry
Identity Registryは各エージェントにグローバル一意なオンチェーンIDを付与する仕組みです。技術的にはERC-721規格(NFT)のURIストレージ拡張を利用しており、エージェントをNFTとして登録・管理します。
これにより各エージェントは検閲耐性が高く持ち運び可能な識別子を得て、既存のNFT対応ウォレットやマーケットプレイスからも閲覧・移転が可能になります。
各エージェントは以下の4要素で一意に識別されます。
namespace:チェーンのファミリー識別子(EVM系はeip155を使用)chainId:ブロックチェーンネットワークのIDidentityRegistry:Identity RegistryコントラクトのアドレスagentId:レジストリで発行されるトークンID(ERC-721のtokenIdと同義)
ERC-721トークンの所有者がそのエージェントのオーナーであり、NFTの持つ性質により所有権の譲渡や管理権限のデリゲート(URI更新等)も可能です。
また、各エージェントNFTのtokenURIにはオフチェーンの「エージェント登録ファイル」へのリンクを格納します。この登録ファイル(例: IPFS上のJSON)には以下のようなエージェントの公開プロフィール情報が含まれます。
基本情報:
type(スキーマ識別子)、name(エージェント名)、description(説明)、image(画像)接続エンドポイント:エージェントが対応する通信プロトコルや識別手段ごとのURI一覧(例: A2A用の
.well-known/agent-card.json、MCP用エンドポイント、ENS名、DID、エージェント用ウォレットアドレス等)登録履歴:
registrationsとしてエージェントIDやレジストリ情報の一覧(他チェーンでの登録など複数持てる)対応信頼モデル:
supportedTrustとしてエージェントがサポートする信頼保証の種類(後述する評判/経済担保/TEE等)
この構造により、エージェントは自らの能力や窓口を機械可読な形で公開できます。
例えば、endpointsに複数の通信手段(A2A、MCP、ENS名、DID、ウォレットアドレス等)を載せ、supportedTrustでどの種類の信頼メカニズムに対応しているかを宣言できます。
なお、supportedTrustが空もしくは未設定の場合、当該エージェントは発見用途のみで信頼スコアリングには参加しない扱いになります。
Identity Registryコントラクト自体もERC-721を拡張しており、オプションでオンチェーンメタデータを格納する関数(setMetadata/getMetadata)やイベントを備えています。これによりスマートコントラクトから直接参照したい簡易情報(例えばエージェント名やワレットアドレスなど)をオンチェーンに保持することも可能です。
◼️Reputation Registry
Reputation Registryはエージェントのフィードバック(評判情報)の記録と公開を標準化するインターフェースです。クライアント(エージェントのユーザーや他のエージェント)は、エージェントとの相互作用後にフィードバックを投稿でき、その内容としてスコアやタグ、証拠となるオフチェーンレポートURI等を残せます。
基本的なフィードバック情報は以下のような構造です。
スコア: 定量評価(例えば0〜100点)
タグ: 任意のラベル(カテゴリやコンテキストを示す短い識別子)
証拠URI: 詳細なログや成果物、支払いレシートなどを含むオフチェーン報告書へのリンク
ハッシュ: 上記オフチェーン報告書のKECCAK-256ハッシュ(改ざん防止のため)
このように軽量な評価シグナルのみオンチェーンに記録し、詳細データはオフチェーンに置く設計によって、信頼性とコストのバランスを取っています。
オンチェーン上ではイベント発行により履歴の追跡や集計が可能で、一方で高度な評価アルゴリズムや分析はオフチェーンのサービスに委ねられます。
スパム的な虚偽評価を防ぐため、ERC-8004ではエージェント側からの事前承認メカニズムを導入しています。具体的には、エージェント(サーバー側)がクライアントに対して「フィードバック投稿権限証明」となる署名付きトークンを発行し、それを持つクライアントだけがオンチェーンで評価を書き込める仕組みです。
このトークンには誰がいつまで何件まで評価可能かといった情報が含まれ(例: 対象agentId、クライアントアドレス、投稿上限数、有効期限など)、ERC-8004準拠のgiveFeedback関数呼び出し時に検証されます。
またフィードバックの撤回機能も用意されており、誤った評価や取り消したい評価は投稿者が後から無効化できる設計です。
◼️Validation Registry
Validation Registryはエージェントの成果物や動作に対して、第三者による検証をリクエストし結果を記録するためのフレームワークです。
エージェントの提供したアウトプットが正しいか、期待通りかを独立したバリデータがチェックし、その結果(合否やスコア)と証拠をオンチェーンに残すことで、より高い信頼性を担保します。
Validation Registryは検証の方法論に依存しない汎用インターフェースとして設計されており、様々な検証モデルを柔軟に統合できます。
検証プロセスは大きく2段階です。
検証リクエスト
エージェントのオーナーまたはオペレータが、自らの作業について検証してほしい旨をValidation Registryに記録します。具体的にはどのバリデータに、どのエージェントの成果物を、どのデータで検証してほしいかを登録します。検証レスポンス: 指定されたバリデータはオフチェーンで検証作業を行い、その結果をValidation Registryに投稿します。
Validation Registry自体は結果の保存とイベント通知に徹するシンプルな役割であり、インセンティブ設計やステーキング/スラッシュロジックは含まれていません。
そのため、独立した経済ネットワーク(検証人のステークや報酬・ペナルティを扱うプロトコル)をこの標準の上に自由に構築できます。同様に、どういった検証手法を採るかも標準は問いません。例えば以下に挙げるような多様なバリデーションモデルが共存しうる想定です:
ステーク担保付き再実行:他の参加者(バリデータ)がエージェントのタスクを再実行し結果を照合、不正時にはデポジットした担保(ステーク)を没収することで誠実性を担保。
ゼロ知識機械学習検証(zkML):機械学習モデルの推論結果に対しゼロ知識証明を用いて正当性を示す。
TEEオラクル検証:信頼実行環境(Intel SGX等)上でコードを実行し、その正当な実行をハードウェア起源の証明とともに提示する。
人間の審査員による裁定:ガバナンス投票など人間の判断で結果を確認・裁定するモデル。
このように、Validation Registryは検証の「依頼と結果記録」のインターフェースを標準化することで、検証手法ごとの特化サービス(再実行ネットワーク、zkMLプローバ、TEE提供者、分散裁定人ネットワークなど)が相互運用できる土台を提供します。
これらの検証モデルが複数あることで、低リスクなタスクには簡易な評判ベースの信頼で十分ですが、高価値・高リスクなタスクには経済的検証や暗号学的検証を追加してセキュリティを強化するといった段階的な防御が可能になります。
そして、この検証方法を上述した「Identity Registry」の中のsupportedTrustに書き込んでおくというわけです。そうすることで、AIエージェントがタスクに応じて自動的に検証方法も加味した上で交渉するエージェントを選ぶことができるようになります。
◼️まとめ
ERC-8004は、AIエージェント同士が事前の信頼関係なしに協働できるようにするための、最小限かつ中立的な「信頼レイヤー」をEthereum上に提供する標準です。
Identity・Reputation・Validationという3つの軽量なオンチェーン・レジストリによって、エージェントの身元、過去の評判、検証結果といった信頼判断に必要な事実だけを共通フォーマットで記録し、具体的な評価ロジックや検証手法、経済設計はオフチェーンに委ねる設計を取っています。
特に、エージェントが対応可能な検証方式を
supportedTrustとして事前に宣言し、Validation Registryを通じて実際の検証結果を記録することで、タスクの重要度に応じて「評判だけで十分か」「経済担保や暗号学的検証が必要か」といった判断をエージェント自身が自動的に行えるようになります。これによりERC-8004は、単一の信頼モデルに固定されない、拡張性と相互運用性を備えたオープンなエージェント経済の基盤を実現します。
ユースケース
ERC-8004が目指す「オープンエージェント経済」は、web3やAIの様々な分野における自律エージェントの協働を促進します。
現在検討されている主なユースケースとして、以下のような例が挙げられます。
AIエージェントのマーケットプレイス
汎用または専門特化のAIサービス(例えば文書生成AI、コード監査AIなど)の公開市場において、ERC-8004による信頼スコアを用いてエージェントを検索・比較。過去のタスク完了実績や顧客満足度にもとづく評判スコアが高いAIアシスタントをクライアントが選択でき、高価値なタスクでは更にzkML検証などで担保を追加する、といった使い分けが可能になります。DAOガバナンス支援ボット
DAOで提案内容の分析や投票推奨を行うガバナンス補助エージェントにおいて、ERC-8004の評判・検証レイヤーを活用。提案分析の的確さや実績に基づき評判スコアを蓄積し、重要な提案ではTrusted Oracleや人間監査による検証結果を添えることで、コミュニティ参加者がボットの助言を信頼できる根拠を提供します。クロス組織のタスクマッチング
企業AのAIエージェントが企業Bの別エージェントにタスクを発注するといった組織横断のタスク市場で、取引相手の信頼性をERC-8004で可視化。従来、組織間では直接信頼関係がないと協業が難しい場面でも、公開評判や過去の支払い履歴、Validation記録に基づいて安心して外部のAIサービスを利用できるようになります。「AIエージェント同士が企業の枠を超えて仕事を融通し合う」といった新しいB2B協働モデルのインフラとなります。エージェント向け保険・スラッシュ
自律エージェントによるサービス失敗や不正行為に備える保険市場での活用。例えば、過去の評判スコアや検証履歴をもとに保険料を計算したり、サービス品質に応じた保証プランを提供することが考えられます。また、別プロトコルになりますがバリデータのステークスラッシュ(担保没収)を組み合わせた保証基金を作り、ERC-8004のValidation結果(成功/失敗)に応じて自動ペイアウトするといったリスク管理ソリューションも想定されます。オンチェーンゲームのNPCエージェント
ブロックチェーンゲーム内で活動する自律NPCやトレーダーボットにERC-8004を適用し、ゲーム内経済の公正性やユーザー体験の信頼性を高める可能性も議論されています。例えば、ゲーム内マーケットで取引を代行するAIエージェントの取引成功率や誠実さを評判スコアとして公開したり、不正な行為がないか第三者によるログ検証を行うことで、プレイヤーが安心してそれらエージェントと取引できるようになります。NFT・ソーシャルグラフ領域
NFTアートの鑑定エージェントや分散型ソーシャルネットワーク上のコンテンツキュレーター等にも、ERC-8004的な信頼枠組みが応用可能です。例えば、NFTの真贋や希少性評価を行うAI鑑定士エージェントについて、その鑑定実績やコミュニティからの評価をオンチェーンに残すことで、新規コレクターでも信用できる鑑定士を探せるようになります。また分散SNS上で投稿のモデレーションや推薦を行うボットに対し、過去の健全な運用履歴や誤り訂正の検証を記録することで、ユーザーが安心して情報収集できるようになるでしょう。
以上のように、ERC-8004はAI×ブロックチェーンが交差する様々な場面で信頼性の確保と発展に寄与します。特にLLM等を用いた自律エージェントが増えるにつれ、その出自・実績・検証可能性をオンチェーンで担保する重要性は増しており、ERC-8004はそのための基盤インフラと位置付けられています。
また、x402と連携したマイクロペイメントはこの全てとの連携し、DeFAIのような自律資産運用AIエージェントも該当します。
変遷と展望
ERC-8004は2025年8月13日にEIPドラフトが公開され、Ethereum Magiciansフォーラムなどで活発な意見交換が行われました。その後、まず各種テストネット上でデプロイされました。2025年9月時点でEthereum Sepoliaテストネットをはじめ、Base Sepolia、Linea Goerli、さらにはEVM互換のHedera Testnetなど複数のテストネットにコントラクトが配置されています。
また、Ethereum財団(EF)はERC-8004の重要性を早期に認識し、2025年9月には新たなAI研究チーム「dAI」を設立しました。このチームはERC-8004提案者の一人であるDavide Crapis氏が率い、共同提案者のMarco De Rossi氏(Consensys出身)やJordan Ellis氏(Google所属)とともにERC-8004の開発・普及を推進しています。
EFのdAIチームは「分散型AIスタックの構築とAIエージェント経済の形成」を目標に掲げ、ERC-8004を出発点としてブロックチェーンとAIの融合ユースケース開発を支援する計画です。実際、ERC-8004と組み合わせる形でHTTP 402準拠の決済プロトコル(x402)の標準化にも取り組んでおり、AIエージェント同士がEthereum上で自律的に支払い・協働できる包括的な基盤作りを進めています。
そして、約2か月のピアレビューとテスト運用を経てv1.0が2025年10月中旬に完成しました。Marco De Rossi氏(MetaMask)、Davide Crapis氏(Ethereum Foundation)ら提案者は「8月の草案から6週間で数百人の研究者・業界リーダーのフィードバックを反映し、大幅改善した」と述べています。
これらの成果はWeb上で公開されると同時に、2025年11月にイスタンブールで開催されたEthereumコミュニティカンファレンス「Devconnect」で、ERC-8004に関する一日特別イベント「Trustless Agents Day」が開かれました。
この場で提案者チームはERC-8004のビジョンと最新状況を発表し、デモやパネルディスカッションが行われています。具体的な成果として、テストネット運用から得られた知見(v0.4での制約とv1.0での改良点)や主要L2でのデプロイ計画などが共有されました。
メインネットへの本格展開は2026年1月16日と噂されており、もうすぐ展開される予定です。
信頼・取引基盤としてのブロックチェーンの重要性が増す
最後は総括と考察です。
クリプト領域だけでなく、AIエージェント経済への注目が集まっています。今現在はまだAIエージェント同士が連携してタスクをこなし、支払いをするという連携はそこまで見られませんが、中長期的に見ればその世界が来ることは間違いありません。
その際、AIエージェント同士の評価・交渉・契約の記録、支払い、所有権の管理など、重要な問題が幾つか出てきますが、そのすべてはブロックチェーンが基盤になると思います。
これらの問題は、純粋なLLMの性能向上やMCP等によるデータおよびツール連携と同じくらい重要で、信頼や取引の基盤がなければAI同士を連携させて業務フローを完結させることはできません。
また、技術的にはメガプラットフォーマーができるかもしれません。例えばGoogleがERC-8004やx402と同じような機能を開発することはできると思います。ただ、これは中央集権的なGoogleクラウドの上に構築され、Geminiで利用できる規格になる可能性が考えられます。Googleは営利企業ですので自社優位にすることは自然です。
だからこそ、ブロックチェーンという中立でオープンで検証可能なインフラの上にAIエージェント同士の信頼基盤が構築されることに意味があります。インフラの囲い込みによるロックインではなく、その上にあるアプリケーションやユーザー体験の工場によって競争が起こる世界が実現します。
個人的には2026年はまだ技術やユースケースの検証が走り、2027年くらいからAIエージェント同士の経済が本格化するくらいのタイムラインだとは思っています。2025年もAIエージェントが取り沙汰されましたが、結局そこまで使えるものは出てきていません。それだけ難しい領域なので、もう少しAI側の発展もありつつ、最後のピースとしてブロックチェーン側の信頼や取引基盤が成熟することを期待しています。
その中核に位置するERC-8004はメインネット公開後も情報を追いかけていきます!
以上、「ERC-8004」のリサーチでした!
参考リンク:ERC-8004: Trustless Agents
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Author:mitsui @web3リサーチャー
「web3 Research」を運営し、web3リサーチャーとして活動。
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