おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「City Protocol」について解説します。
City Protocolとは?
主要コンポーネント
変遷と展望
IPCMの実現なるか
TL;DR
City ProtocolはSolana上でIPCMのインフラを提供し、IPをトークン化してオンチェーン市場に乗せることで流動性とスケーラビリティを与える分散型プロトコル。
IPCMはICM(Internet Capital Market)のIP版で、IPに関する権利や価値をトークン化し、地理的制約を超えて24時間365日取引できる資本市場を目指す概念。
City ProtocolはCooking City(発行)→City Quests/ID/Viral City(拡散・信用・成長)→Totem Toy City(商品化)→RWA City(資産化)に加え、検証レイヤーやIP Strategy、独自トークン$CPでIPの誕生から収益化・金融化までをフルスタックで支援する。
City Protocolとは?
「City Protocol」は、Solanaブロックチェーン上に構築された分散型プロトコルであり、IPCM(IP Capital Market)のインフラストラクチャを提供します。
そのミッションは「文化的・物語的なIP資産を閉ざされた従来型エコシステムから解放し、オンチェーンの資本市場に乗せることで、流動性とスケーラビリティを与える」ことです。
具体的には、クリエイターが自らのIPをプロジェクト初期からトークン化し、ファンやコミュニティが共同オーナーとして参加できるようにします。これによりアイデア段階から資金調達や市場での価格発見が可能となり、IPの成長サイクルが加速します。
ここで、City Protocolの具体的な提供サービスに入る前に「IPCM」について解説します。
◼️IPCMとは?
「IPCM」は、「Intellectual Property Capital Market」の略であり、「ブロックチェーンを活用して知的財産(Intellectual Property / IP)を資本市場で取引可能な資産にする仕組み」を意味します。
Solanaが掲げるICM(Internet Capital Market)の用語を踏襲した概念であり、2025年末にかけて用語として言われるようになってきました。
ICMは、「インターネット接続だけで誰もが資本市場に参加できる世界」を目指し、資産のトークン化・24時間取引・仲介者不要の資本市場を再定義する概念です。
IPCMはそのIP版で、IPに関するあらゆる概念をトークン化し、地理的・人種的制約を超えて24時間365日自由な取引ができるような仕組みです。
主要コンポーネント
City Protocolは、IPの発行から拡散・成長、収益化までを一貫サポートするフルスタックなエコシステムを構築しています。
主要なコンポーネントは以下のとおりです。
中央に「City Protocol」が位置し、それぞれモジュール型に広がっています。
◼️Cooking City:IP Issuance Module
アイデア段階のIPをトークン化し、初期ファンや投資家に公平に販売するトークンローンチパッドプラットフォームです。
City Protocolの「Issuance Mandate(発行に関する指針)」に基づき、裏取引や事前割当を排除したフェアなローンチを保証します。価格は動的ボンディングカーブで市場に委ねられ、取引開始直後から公正な価格発見と流動性供給が行われます。
また発行後も、創作者には取引手数料の一部が収益として入り、大量取引者にはポイント報酬が与えられるなど、参加者全員のインセンティブを調整する仕組みです。
◼️City Quests:User-owned Network Effect Module
PのGTM(Go-To-Market)をコミュニティ主導で実行します。クエスト形式の参加を行い、貢献に応じた報酬設計を実施することで、ファンを「消費者」ではなく 参加者・貢献者 に変えるモジュールです。
これは現在開発中で、V2でリリースされる予定です。
◼️City ID:User Behavior Module
匿名性の高いweb3環境において、真に価値をもたらす人を見極める信用スコアのような仕組みです。
City IDはユーザーのオンチェーン活動を3つの側面から可視化・評価します。
トレーディング実績:IPトークンへの投資・ホールドの傾向(暴落局面でも保持するか、利益確定の健全さ等)
コミュニティ貢献:City Quest主催やコラボ推進、課題解決といった組織貢献度
コンテンツ創作:該当IPに関する二次創作や情報発信の量と質
これらを総合したスコアによって、プロジェクト側は真の長期支持者や有能な協力者を特定できます。
例えば「ずっと売らずに支えてくれるホルダー」「コンテンツ拡散が得意なファン」「取引が上手いマーケットメーカー」等、行動履歴に基づき人物像が浮かび上がります。
このスコアはプライバシーに配慮しており、残高や本名を晒すことなく、「長期ホルダーである」ことや「影響力が大きい」ことだけを証明できる仕組みになっています。
◼️Viral City:AI-Driven Content Builder Module
AI駆動のコンテンツ拡散エンジンです。Viral CityはファンコミュニティがIPの二次創作動画やSNSコンテンツを大量に生み出し、“バズ”を起こせるよう支援するAIプラットフォームです。
特徴は、単なる汎用AI動画生成ではなく「IP毎に学習した専用AI」である点です。各IPのキャラクターデザイン、世界観、口調やストーリー展開のパターンを機械学習し、ファンが作るコンテンツが公式さながらの品質・一貫性を保てるようにします。
例えばTikTok向けの短尺動画ならフックのある演出や流行曲の活用、Instagramなら視覚的に映えるリール動画など、各プラットフォームで拡散しやすい動画をAIが提案・生成します。
ファンは自分の好きなIPの素材を使い、高品質な動画や画像をボタン一つで生み出せます。
さらに全コンテンツには出所であるIPと制作者の情報がメタデータに埋め込まれ、貢献が透明に追跡される仕組みです。あるファン動画がヒットして新規トークン購入者を生んだ場合、そのクリエイター貢献が記録され、クエスト報酬などにつながります。
直近のV2アップデートではBaseアプリとしてリリースされています。
◼️Totem Toy City:IP Product Module
フィジカル展開のためのモジュールです。デジタル発のIPが真に大きなブランドへ成長するには、物理的なグッズ展開やリアルでの接点が不可欠です。
Totem Toy Cityは、IPのフィジカルプロダクト(玩具、アパレル、グッズ等)化をスムーズに行うための統合プラットフォームです。
クリエイターは自分のキャラクターデータやデザインをアップロードするだけで、AIが3Dプリント可能なモデルや製造仕様書を自動生成し、提携するサプライヤーに発注できます。
少数の試作品から数百・数千単位の量産まで、需要に応じて信頼できるメーカーを選べ、在庫管理や受発注、国際配送も一元管理可能です。
フィジカル商品とデジタルを繋ぐ設計も可能で、例えば限定グッズにNFTやトークンの特典を付与し、購入者がデジタルコミュニティでもメリットを得られるようにするなど、フィジカルとデジタルを連動させることができます。
◼️RWA City:IP Finalization Module
IPをRWA として完成させ、IPを「投資可能・運用可能な資産クラス」へと昇華させる最終モジュールです。
RWA Cityは、City ProtocolのエコシステムにおいてCooking Cityで発行され、City Quests / Viral City / Totem Toy City を通じて成長したIPを、金融的に成立した状態として確定(Finalization)させる役割を担います。
まだ具体的なプロダクトになっているわけではありませんが、各IP毎にトークン化されることはもちろんですが、複数のIPトークンを取り扱ったインデックス商品の開発など、IPをオンチェーン金融インフラと接続されたRWAとして扱える状態を作ります。
◼️IP Verification Layer
信頼担保モジュールであり、発行されたIPトークンに対する真正性と信頼性を保証する仕組みです。
パーミッションレス検証では、創作者が自分のソーシャルアカウントとトークンを紐付けることで「このトークンは私のIPです」とオンチェーン証明できます。
さらに一定の実績を積んだプロジェクトにはパーミッションド検証(運営による追加確認)が行われ、IP権利の所有や開発コミットメントが確認されます。
検証済みプロジェクトにはCity Protocolから助言や助成、プロモーション支援が提供され、また高度な分析ダッシュボードやAIツール(Viral City等)へのアクセス権も与えられます。
◼️IP Strategy
NFT Strategyの仕組みを踏襲した仕組みで、トークンの取引手数料ですでに発行されているNFTのフロア価格を下支えします。
具体的なユースケースとして、2025年10月、AnimocaのフラッグシップNFTコレクションであるMocaverseとCity Protocolが共同で「$MOCASTR」というトークンをローンチしました。
$MOCASTRトークンの取引手数料の2.5%の内80%が自動的にトレジャリーに蓄積され、その資金を使ってMocaverseのNFTフロア価格維持のための自動売買戦略を展開します。
溜まったトレジャリー資金でNFTをフロア価格で購入し、1.2倍の価格をつけてまた売りに出します。この売却に成功した際に得た利益で$MOCASTRトークンを買い戻しバーンすることで、トークン価値とトレジャリー資金を増大させる仕組みです。
実際、$MOCASTRはSolanaメインネット上で公開後48時間でMocaverse NFT約40点を買い入れてフロア価格を15%押し上げ、年率換算20%相当の利回りを達成するなど、有望な成果を示しています。
◼️トークン情報
改めてですが、上述したようなモジュールを利用して、IPのトークン化を包括的に支援しているプロジェクトがCity Protocolです。
そして、このエコシステムを循環させるための独自トークンとして「$CP」が存在します。
主なユーティリティとしては、ガバナンス参加、決済通貨、インセンティブ報酬、ステーキングと特典として利用される予定です。また、プラットフォーム収益の一部は定期的に$CPのバイバックに充てられ、買い戻した$CPはプロジェクトのトレジャリーに蓄えられる予定です。
アロケーションは以下の通りです。TGEはまだです。
変遷と展望
City Protocolは2025年10月にプラットフォームの基本構想が公開されました。
共同創業者にはJerome Wong氏とKyle氏がおり、チームにはAnimoca BrandsやThe Sandbox、Dapper Labs、Memelandなど著名なweb3プロジェクト出身者や、HSBC・MediaAsia・LVMHといった大手企業での経験者が名を連ねています。
従来、ディズニーやマーベル、任天堂のような巨大IPを生み出すには、大規模な資本や出版社の支援が必要で、中小のクリエイターの優れたアイデアが埋もれがちでした。
City Protocolはこの状況を変えるために生まれました。IPを初期段階から検証可能でトークン化された投資資産に変え、クリエイターが仲介者を介さずグローバルなファンや投資家から支援を受けられる仕組みを提供します。これにより、中間業者や不透明なロイヤリティ体系に依存しないオープンで公平なIPエコシステムを実現し、文化的価値が創出者とコミュニティに適切に還元されることを目指しています。
また、2025年5月にシード資金調達を実施しており、約700万ドルを調達しています。
このラウンドにはJump Crypto、Dragonfly、CMT Digital、Mirana Ventures、Bitscale Capital、Everest Ventures Group(EVG)などが名を連ねています。
◼️今後のロードマップ
公式ドキュメントや発表から読み取れる今後のロードマップを整理します。
①IPマーケットプレイス
現在は主にIPトークンの発行・初期取引にフォーカスしていますが、将来的には包括的な二次流通マーケットプレイスを構築予定です。
具体的には、IPごと・年次・レアリティ・コンディション・取引速度などのフィルターでIP関連商品を検索・売買できるプラットフォームを目指しています。
固定価格販売やオークション、ダッチオークション等多様な出品形式をサポートし、エスクロー(第三者預託)や紛争解決機能も備えた安全なCtoCマーケットになる見込みです。
各取引にはCity IDを用いた透明なレシート(誰がどのIPの商品を購入したかの記録)が発行され、IPホルダーへの還元やユーザー実績管理に活用されます。
②Micro IP戦略ファンド
複数のIPに分散投資できるインデックス型のIP戦略ファンドの導入も検討されています。例えば「2024年アニメIPバスケット」のようにテーマを決め、複数IPのトークンをまとめて運用するルールベースの買戻し・マーケットメイクプールを作る構想です。
③ガチャマシン
エンタメIPとの相性が良いオンチェーン・ガチャ機能も計画中です。ユーザーが$CPやIPトークンを使ってガチャを回すと、ランダムにIP関連アイテムやNFT、限定グッズ引換券などが当たる仕組みです。
VRF(検証可能な乱数)を用いて当選の公平性を保証し、ドロップテーブル(景品の種類と確率)も公開され透明性を確保します。季節イベントや他プロジェクトとのコラボレーション企画として期間限定ガチャを実施するなど、コミュニティ参加型のエンターテインメント要素として展開する見込みです。
④クリエイター向けツール拡充
プラットフォーム上でIPを育成・展開するためのクリエイター支援ツールも増強されます。ローンチパッド機能では、トークン発行時の供給スケジュール(ベスティングや段階解禁)、許可リスト(特定のCity ID保持者だけ購入可能な販売枠)など高度な発行設定が可能になる予定です。
また、収益の自動ルーティング機能も計画されており、取引手数料や売上を事前設定した割合でクリエイター、ステーカー、コラボ貢献者などに分配することができます。
これらのツールにより、クリエイターは自分のIPエコシステムを細かく設計・管理でき、かつ技術的知識に頼らず直感的なUIで操作できるようになるとされています。
IPCMの実現なるか
最後は総括と考察です。
IPのトークン化は非常に面白い概念で注目も集まっていますが、現時点で成功例はまだ出ていません。著作権、ライセンス、楽曲など、これまでもあらゆるIP周りの権利がトークン化されてきましたが、思い描いていた理想の実現には至っていません。
トークン化することで一時的な資金調達ができたとしてもファンと投資家が分離してしまったり、IPとしての成功という極めて難しい領域に収益分配やトークン価格の上昇が依存している点が大きな課題感として挙げられます。
ですが、個人的にはこの領域には大きな可能性があると考えています。そして、既存の有名IPをトークン化するのではなく、最初からクリプトネイティブで0からトークン化してIPを育てていく方が成功への近道だとも思っています。
当然、0からIPを成功させるのは難しいので短期的には著名IPをトークン化することも重要だと思いますが、著名IPは権利関係が複雑でトークン化へのハードルが非常に高いです。また、既存ファンも存在しているので、そことのバランスを取る必要もあります。
ですが、新規IPであれば別です。
とはいえIPを有名にしていくことができなければトークンの価値も全く無くなってしまうので、ここへの注意は必要です。そして、収益分配は証券性を疑われることがありますし、収益分配のないトークンはほぼミームコインとなり、IPとしての成功と必ずしも一致しない可能性もあります。
さらに、法的問題も複雑で、収益分配できたとしても支払いや契約はオフチェーンで行われてそれをオンチェーンで分配することになると思うので、この調整もしなければいけません。
このように多数の問題がありますが、個人的にはそれでもIPCM市場の可能性は大きいと考えています。僕はブロックチェーンによってあらゆるものがトークン化し、全ての業界に金融要素が入ってくると考えており、IP・エンタメ領域も例外ではありません。
ただし、どういった設計で行えば良いのかの検討や検証は必要なので、自身でも色々調査しつつ、試してみたいと思います。
以上、「City Protocol」のリサーチでした!
参考リンク:HP / DOC / X
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Author:mitsui @web3リサーチャー
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