おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Internet Capital Market(ICM)」について解説します。
Internet Capital Marketとは?
Solanaロードマップ
ブロックチェーンのゴールはICM?
TL;DR
ICM(Internet Capital Market)は、Solana発のビジョンとして「インターネット接続だけで誰もが資本市場に参加できる世界」を目指し、資産のトークン化・24時間取引・仲介者不要の資本市場を再定義する概念。
Solanaのロードマップでは、ACE・BAM・DoubleZero・MCLなどの技術により、市場ミクロ構造まで踏み込んだ分散型かつ高性能な金融インフラを段階的に構築しようとしている。
将来的にはUBO(ユニバーサル・ベーシック・オーナーシップ)につながり、人やAIが参加するグローバルなインターネット資本市場が実現し、ブロックチェーンは金融を起点に社会インフラへと拡張していく。
Internet Capital Marketとは?
「Internet Capital Market(以下、ICM)」は、2024年11月にSolana財団のマーケティング責任者を務めるAkshay BD氏によって提唱された概念です。
ICMという単語自体はこの時から使われ始めましたが、これはSolana創設者たちが当初から掲げていた「インターネット上に分散型の資本市場の背骨を築く」というミッションを端的に表現するものとなり、2025年からはSolana公式のビジョンとして掲げられるようになりました。
ICMのビジョンを一言で言えば「インターネット接続さえあれば誰でも資本市場にアクセスできる世界を実現すること」です。
具体的には、ICMを構成する主要な要素を挙げると、次のとおりです。
あらゆる資産のオンチェーン発行(トークン化)
株式や債券、不動産、通貨など従来オフラインで扱われていた価値をトークンとしてブロックチェーン上に発行・表現します。企業の株式や社債等のRWAを対応するトークンで裏付けることで、オンチェーンでの取引・保有・権利移転を実現します。24時間365日・国境なき取引
ブロックチェーン上では常時グローバルな市場が開いています。DEXやその他DeFiプラットフォームにより、地理的制約なく誰でも好きな時間に取引が可能です。スマートコントラクトによる自動化と決済
売買や清算、配当・利息支払いなど市場のルールはスマートコントラクトによりコード化され、自動で履行されます。仲介者不在の資金調達と投資参加
ブロックチェーン上で直接発行されたトークンを通じ、企業やプロジェクトは銀行や証券会社を通さず直接グローバルな投資家から資金調達できます。一方投資家側も証券会社に口座を作る必要すらなく、ウォレット一つで新しい資産クラスにアクセスできます。DeFiプロトコルとの統合とプログラマビリテ
ICM上の市場は他のDeFiアプリケーションとシームレスに統合されます。例えばトークン化資産をDeFiのレンディングプールに預けて融資を受けたり、トークンを自動マーケットメイカーに供給して流動性提供者となり利回りを得るなど、相互運用が可能です。
以上のように説明してきましたが、おそらく普段からブロックチェーンに触れている人からすればこれらは目新しいものではないと思います。
CoinbaseのEverything Exchangeに近いですし、多くのプロジェクトも同じようなことを掲げています。
なので、ICMはこれまで議論されてきたブロックチェーンの可能性や目指す先を改めて言葉として定義した概念というのが適切な理解だと思います。
Solanaロードマップ
SolanaとしてもICMの実現に向けたロードマップを2025年7月に発表しました。
この発表では、ICMを単なるビジョンではなく、実際の技術的インフラとして構築するための戦略と優先課題を明確に示しています。
(以下、要約して載せています。技術詳細を知りたい方は元記事をご覧ください。)
SolanaがICMの基盤となるためには、単純な帯域幅の拡大やレイテンシ削減といった一般的な性能改善だけでは不十分であり、「market microstructure」 という高度に専門的な領域へのアプローチが必須であると位置づけられています。
その中心となる概念が、Application-Controlled Execution(ACE) です。
ACEはスマートコントラクトに対してミリ秒単位で取引順序を制御する能力を与える仕組みであり、これによって各種アプリケーションが独自の市場構造を実装できる環境を実現しようというものです。
従来の中央集権的な取引所とは異なり、オンチェーンで柔軟にトランザクションの取り扱いをプログラム可能にすることが、Solana上で最も流動性が高く効率的な市場を育成する鍵だとされています。
ロードマップでは、短期・中期・長期 に分けた具体的な技術ロードマップが提示されています。
短期的な取り組みとしては、Jito LabsによるBlock Assembly Marketplace(BAM)の導入やAnzaによるトランザクション処理改善など、既存のインフラ性能を底上げする施策が挙げられています。
BAMはトランザクション順序付けの柔軟性を高め、中央集権的な取引所と遜色ない取引体験をメインネット上で可能にすることを目的としており、これによってSolana のブロックスペースがオープンで検証可能な市場実行基盤へと変貌することが期待されています。
中期的には、ネットワークのレベルで DoubleZero や Alpenglow、Asynchronous Program Execution(APE) といった次世代技術の実装が進められています。
DoubleZero は専用通信インフラによる遅延削減と帯域幅拡大を目指し、Alpenglow はコンセンサスエンジンの高速確定化(最終化時間の大幅短縮)をもたらすプロトコルアップグレードです。APEはトランザクション処理の効率化を追求するものであり、これらの施策はICMを支えるネットワークの基盤性能を根本から引き上げるもの と位置付けられています。
そして長期的には、Multiple Concurrent Leaders(MCL) とACEの完全実装が予定されています。
MCLは単一リーダー制の制約を超え、複数のリーダーが同時にトランザクションを取り込めるようにすることで、グローバルな情報の同時反映と選択的検閲の回避を可能にします。
これにより、アプリケーションは自らの実行順序を制御し、リアルタイム性と市場深度の両立を図ることができるようになります。
Solanaのロードマップは、これらの高度な技術的要素を通じて「中央集権的な競合では再現できない分散型金融インフラ」を築くことを目標としています。
ブロックチェーンのゴールはICM?
最後は総括と考察です。
ICMはSolanaが掲げたビジョンですが、これらはブロックチェーンが実現するゴールの1つだと思います。
あらゆるものがトークン化され、地理的にも人種的にも制約がなり、スマホさえあれば誰でもアクセスできる世界です。
これは「ユニバーサル・ベーシック・オーナーシップ(UBO)」に通じる思想です。
UBOはベーシックインカムのように富を再分配するのではなく、最初から富を生み出す源泉への参加権を広げるアプローチです。ICMにより、これまで資金力や資格の不足で投資できなかったスタートアップ株式や未公開の高成長資産にも、人々が少額から直接出資できるようになります。
結果として富の創出に参加できる人々の裾野が広がり、格差是正につながると期待されています。
また、AIが登場したことで人間だけでなくAIがあらゆる取引をインターネット上で行います。それも含めてインターネットが資本市場になり、これまでの金融の概念が全く異なる形になります。
すでに技術的なインフラとしてはかなり実現しつつあるので、2026年以降はさらにあらゆるアセットがオンチェーンになり、ユーザー数も増えていくことで世界中の人が裏側でブロックチェーンを利用する世界になりそうですね。
なので、まずブロックチェーンは金融インフラとして定着し、その後に契約やID管理、トレーサビリティ系のインフラになっていくのかなと思っています。
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