おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「SOAR」についてリサーチしました。
SOARとは?
変遷と展望
未上場株式とトークンの紐付けが次なるRWAのトレンドに?
TL;DR
DRP標準の仕組み:発行済トークン5%と未発行95%の比率で、流動性イベント時にSOARが発行済比率に応じた収益を受け取る法的拘束力のある契約を持つ。新規発行するとこの比率が変わり、支払い義務が増減する。
企業側のインセンティブ:初期資金調達(5%流通分)と取引手数料で収益を得られるが、新規発行すると支払い比率が増加するため、支払いを減らしたければ市場でトークン買い戻しが必要になる自動的なバランス機制。
今後の展望:未上場企業とトークンの紐付けが次のRWAトレンドになると予想され、SOARはKYC/KYB済みの創業者による法的拘束力のあるトークン発行で、従来のミームコインより信頼性の高い資本市場を実現しようとしている。
SOARとは?
「SOAR」は、Solanaブロックチェーン上で稼働する分散型トークンローンチパッドであり、スタートアップが株式を希薄化せずに資金調達できる仕組みを提供しています。
SOARの最大の特徴はDRP(Digital Representation of Participation)と呼ばれるトークン標準(特許出願中)にあります。
この仕組みは従来のICOやIEOとは異なり、以下の特徴を持ちます。
発行済トークン(Issued Tokens):総供給量の5%のみがボンディングカーブと流動性プールに自動展開
カストディアルトークン(Custodial Tokens):残り95%は創業者とSOARが共同管理するウォレットに未発行のまま保管
取引手数料:2%で、SOARと企業側にそれぞれ1%が入る
3ヶ月ロックアップ:トークン発行後展開後3ヶ月間は追加発行不可
72時間事前通知:ロックアップ後の新規トークン発行には公開での72時間前通知が義務付け
そして、このトークン標準はシニアデット(優先債務)メカニズムを持ちます。
SOARでトークン発行する際、SOARと創業者企業の間で法的拘束力のある債務契約が締結され、流動性イベント(シリーズA/B/C、EXIT、IPO)発生時に、SOARが発行済トークン比率に応じた収益を受け取る権利を持ちます。
例えば、発行済みトークンが5%のままの時にその企業が10億円のシリーズA調達をした際、10億の5%である5,000万円がSOARに支払われます。SOARは受け取った資金を何らかの形でトークンホルダーに還元することを宣言しています。その方法はエアドロップやトークンバイバックなど、幾つかの方法が明示されています。
ではなぜ、企業はトークンを発行するのでしょうか。
それはトークン発行による資金調達と取引手数料収益が得られるからです。トークン新規発行時の5%は即時流動性に移行するので資金調達に利用できませんが、取引手数料は入ってきます。また、その後新規発行する場合はトークンを徐々に市場で販売して資金調達をするという上場企業のような資金調達を可能にします。
ただし、新規発行割合が増えるほど、企業の流動性イベント(シリーズA/B/C、EXIT、IPO)発生時における支払い比率が向上していきます。
そのため、企業側は支払いを減らしたい際には市場からトークンを買い上げることで発行済みトークンの比率を調整することができます。
少しややこしくなってきたかもしれませんが、ここでドキュメントの説明にある単語を使いながらあらためて正式にお伝えします。
AUTHORIZED Tokens(AT):トークンの総供給量
ISSUED Tokens(IT):トークンの流通供給量
CUSTODIAL Tokens(CT):SOARと企業共同管理のカストディアルウォレットに保有されるトークン量
OUTSTANDING Tokens(QT):企業の流動性イベント時にSOARが受け取ることのできる権利、トークン量
ATは100%であり、初期トークン発行時はITは5%、CTは95%となります。QT=ITであり、AT-CTでもあります。つまり、初期トークン発行時はQT=5%です。
まあ上で説明した内容と同じですね。ポイントはITとCTの比率です。ITが増えればトークンによる資金調達はできるかもしれませんがエクイティの資金調達時の支払い比率が増えます。また、いたずらにトークン流通量を増やしても希釈化が起こりトークン価格の下落、それに伴い取引手数料収入の下落に繋がります。
なので、流通のコントロールは難しく、適切に行う必要があります。
ただ、ここまで説明してきたのですが、実は初期トークンエコノミクスが上記だったのですが、2025年12月に少し見え方が変わりました。理由は総供給量100%に対して95%がロックされて5%しか流通していない状況はFDV計算がおかしくなってしまい、特に初心者にとって理解がしづらいからです。
今後はMC=FDVとなり、新規トークン発行時にウォレットから移動するのではなく新規ミントになります。
変遷と展望
SOARは2025年に生まれたアメリカワイオミング州を拠点とするプロジェクトです。Solanaの掲げるICMのビジョンを踏襲し、その中でも未上場企業に対する投資が誰でも簡単にできる社会の実現を目指しています。
過去にもスタートアップがトークンを発行できるローンチパッドは存在しましたが、いずれも法的拘束力はなく、ミームコインの域を超えない場合がほとんどでした。
SOARはあらゆるスタートアップがトークンを発行しながらも、法的制約を持つことでトークンホルダーにも価値が正式に還元される仕組みを構築しています。
また、既存のVCからの調達だけでは評価しきれないスタートアップも増えていると指摘し、品質、責任、透明性を備えた資本市場として、従来型VCでは評価不可能なハードウェア企業、メディア企業、AI企業が、グローバルな小売・機関投資家に直接アクセスできるプラットフォームを実現することを目指しています。
具体例を見てみます。現在SOARには17の企業がトークンを発行しています。
ただし、企業にもランクが存在します。
Curated:SOARチームが徹底的な調査とレビューを実施し、事業内容、創業者とチームに強力な実行力と信頼性を確認
Verified:身元確認と事業確認を完了、ドメインを検証、DRP立ち上げ契約に署名
Unverified:本人確認、事業確認、DRP契約の署名なし
つまり、誰もが掲載はできるがレビューのレベルが可視化されているというわけです。ただ、SOAR側のレビューがあったとしても将来の成功は保証できないという点は明記されています。
現在、Curatedには3社選ばれています。
①Empulser
家庭、都市、そして人類の未来を支える非接触電力伝送ソリューションを構築するテクノロジー企業で、消費者向けおよび産業向けの製品を開発しています。
②DeFiance Media
オープンファイナンス、デジタル資産、そしてDeFiの未来に関して、ストリーミングテレビ、モバイル、デスクトップ、衛星放送を通じて、8,000万世帯にニュースとエンターテイメントを届ける新しいメディア。
③Morphist.ai
あらゆるモデル、あらゆるクエリ、あらゆる回答が、洗練されたインターフェースでひとつになる、ローカル環境で実行される究極のマルチモデルAIプラットフォームを開発。あらゆるAIモデルをリアルタイムでシームレスに切り替え、会話のプライバシーを維持し、完全なデータ主権を確保する。
今後もあらゆる企業が利用し、ICMの実現へ向けた改善が進んでいく予定です。
未上場株式とトークンの紐付けが次なるRWAのトレンドに?
最後は総括と考察です。
個人的に未上場株式(スタートアップ)とトークンの紐付けは次なるRWAのトレンドになると思い、注目しています。その理由は未上場株式の市場規模が巨大な点と、AIの発展で1人または数人のチームでグローバルサービスが構築できるようになった点にあります。
今後、AIを活用し数人のチームでサービスを開発し、ブロックチェーンを活用しグローバルから資金調達をする形のスタートアップが増えていくと思います。最終的なExitは株式に戻ってくると思いますが、初期立ち上げ時にはトークンを活用する可能性があります。
もちろん、誰もがトークンを発行して資金調達ができると詐欺的なトークンも増えます。そして、意図的な詐欺じゃなかったとしてもスタートアップは失敗する可能性の方が高いのでトークン保有者が損をする可能性も多いに考えられます。
ただ、株式と紐づいてKYC/KYB済みの人物が発行するトークンは、単なるミームコインよりも信頼性が高くなることは確かです。なぜなら発行コストが高いからです。
今回リサーチしたSOARは非常にユニークな点で株式とトークンを紐づけています。スタートアップに法的拘束力を持たせている点もそうですが、資金調達時の支払い義務をつけている点が面白いです。その後のトークンホルダーへの還元までにSOARを介している点はありますが、個人的な予想では、ここを完全自動化することは証券に該当するので法務的な観点で出来ないのだと思います。
とはいえ、トークン流通量をコントロールしながらスタートアップを成長させていくという仕組みは非常に面白く、新しい企業経営の形になるのではないかと期待しています。
当然、いきなり株式が全てトークンになるとは思いません。まずは株式の一部、エクイティファイナンス、売上などの企業活動に紐づいた法的契約の元でトークンに価値還元されるような仕組みを作り、それが機能するのかが試される時代が始まります。
幾つかの面白いプロジェクトが出てきているので、個人的にも色々と追いかけつつ、どこかでレポート形式でまとめてみたいと思います!
以上、「SOAR」のリサーチでした!
公式リンク:HP / DOC / APP / X
«関連 / おすすめリサーチ»
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
About us:「web3 for everyone」をコンセプトに、web3の注目トレンドやプロジェクトの解説、最新ニュース紹介などのリサーチ記事を毎日配信しています。
Author:mitsui @web3リサーチャー
「web3 Research」を運営し、web3リサーチャーとして活動。
Contact:法人向けのリサーチコンテンツの納品や共同制作、リサーチ力を武器にしたweb3コンサルティングや勉強会なども受付中です。詳しくは以下の窓口よりお気軽にお問い合わせください。(📩 X / HP)
→お問い合わせ先はこちら













