【Olea】企業の貿易金融ニーズと機関投資家の資金をつなぐデジタル貿易金融プラットフォーム / AIによる与信・KYC、ブロックチェーンによる債権トークン化やUSDC決済を活用 / @OleaTrade
グローバルな資金移動の課題解決に繋がる
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Olea」についてリサーチしました。
Oleaとは?
Oleaのソリューション
変遷と展望
グローバルな資金移動の課題解決に繋がる
TL;DR
Oleaは、企業の貿易金融ニーズと機関投資家の資金をつなぐデジタル貿易金融プラットフォームで、従来の複雑・高コスト・低速な仕組みをオンライン化により刷新している。
AIによる与信・KYC、ブロックチェーン(XDC Network)による債権トークン化やUSDC決済を活用し、透明性・スピード・安全性を高めつつ中小企業の資金アクセスを拡大している。
規制遵守(MASライセンス)と銀行水準のセキュリティを前提に、グローバル流動性プールを構築し、貿易金融を新たな投資資産クラスとしてスケールさせている。
Oleaとは?
「Olea」は、デジタル貿易金融プラットフォームであり、資金を必要とする企業(サプライヤーや輸出入業者)と、運用先を求める機関投資家とをシームレスにつなぐサービスを提供しています。
従来は複雑で時間のかかった貿易金融を、オンラインプラットフォームにより迅速・簡便にし、あらゆる規模の企業がアクセスできるようにすることをミッションに掲げ、中小企業を含む幅広い企業が必要な資金をタイムリーに調達でき、投資家側は新たな代替資産クラスとしてトレード金融資産に投資できるよう設計されています。
◼️貿易金融の概要と課題
プラットフォームの説明に入る前にまずは貿易金融について解説します。
貿易金融(トレードファイナンス)とは、輸出入取引における決済や資金繰りの支援を行う金融スキームの総称です。
企業間で商品やサービスを国際取引する際、物品の出荷から代金回収までタイムラグや信用不安が生じます。銀行や金融会社はこのギャップを埋め、取引の安全と円滑を図るためにが提供しています。
代表的なモデルとして以下のものがあります。
信用状(L/C: Letter of Credit):輸入者(買い手)の銀行が輸出者(売り手)に対して支払いを保証する書類で、国際貿易取引で伝統的によく使われる決済手段です。多くの書類手続きと時間を要するのが特徴ですが、信用リスクを銀行信用に置き換えることで決済の安全性を高める役割を果たしています。
ファクタリング(売掛債権金融):売掛金(商品を売ったが未回収の代金債権)を専門の金融会社に買い取ってもらい、期日より前に資金化する仕組みです。企業(売り手)は商品を出荷後、通常は支払期日まで資金回収できませんが、ファクタリングを利用すると、その売掛債権を早期に現金化できる利点があります。
買掛債権金融(リバースファクタリング):上記ファクタリングとは逆に、買い手側(輸入者)の依頼で行う資金化スキームです。具体的には、買い手が仕入先(売り手)への未払い代金(買掛金)について、提携する金融機関に立替払いしてもらう仕組みです。
上記の他にも、信用保証保険(輸出信用保険によるリスクヘッジ)や割引手形(為替手形の銀行買取)など、貿易金融には様々な手法がありますが、基本的な目的は「決済リスクの低減」「資金繰りの平準化」「取引信用の補完」です。
これら伝統的な貿易金融にはいくつかの構造的課題が指摘されてきました。
第一に手続きの煩雑さと紙ベース運用です。例えば信用状取引では、インボイス・船荷証券・保険証券など大量の紙書類のやり取りと審査が必要で、書類不備の修正や銀行間の郵送に時間がかかりました。
第二に時間と費用の問題です。貿易金融の組成には専門知識が必要で、中小企業にとっては申請から資金受取りまで長期間・高コスト(手数料や利率)が負担となり、利用を諦めるケースがありました。
実際、アジア開発銀行(ADB)の調査によれば、世界の貿易金融ギャップ(需要と供給の差額)は2022年に過去最大の2.5兆ドルに達しており、特に中小企業(SME)の資金需要が満たされていないことがわかります。銀行は規制上の制約や与信審査の手間からリスクの高い中小案件を敬遠しがちで、その結果銀行が拒絶した貿易金融申請の40%はSMEからのものだったとの報告もあります。
第三に信用リスクと詐欺リスクです。国際取引では相手の信用情報が限定的で、与信判断が難しいうえ、架空取引や書類偽造による詐欺事件も発生してきました。紙書類中心の運用では同一債権の重複ファクタリングなど不正の検知が困難な場合もあります。
以上のような課題を背景に、近年多くの金融機関・フィンテック企業がトレードファイナンスのデジタル化に挑戦しており、Oleaもその筆頭に挙げられます。
Oleaのソリューション
Oleaは最新テクノロジーの活用とビジネスモデルの工夫により、伝統的な貿易金融が抱える課題に対して包括的なソリューションを提供しています。
そのアプローチを整理すると次のとおりです。
デジタル化による効率化
Oleaのプラットフォームは最初からフルデジタルで設計されており、申請から審査・契約・決済までオンライン上で完結します。これにより紙の書類送付や手作業プロセスを大幅に削減し、取引スピードを飛躍的に高めています。
例えば請求書ベースの資金調達(ファクタリング相当)案件では、必要情報をアップロードすればAIによる自動チェックと信用評価が即座に行われ、従来数週間かかった与信判断が数時間~1日で下りるようになっています。
また契約書の電子署名や決済の電子化により、地理的距離に関係なくリアルタイムに手続きを進められます。
さらに24時間365日稼働のクラウド基盤ゆえ、タイムゾーンの異なる取引関係者も各自の業務時間内で手続きを継続でき、国際取引にありがちなタイムラグ解消に寄与しています。結果として、資金調達までのリードタイム短縮と事務コスト削減により、より小口の案件や短期資金ニーズにも対応しやすくなりました。
リスク分析・KYCのAI活用
Oleaは高度なデータ分析とAIを駆使して与信モデルを構築しています。
具体的には各申請企業の財務データ、取引履歴、業界ベンチマーク、さらには物流データやオルタナティブデータ(SNS評判や衛星データなど潜在的な指標)まで統合し、マシンラーニングによるスコアリングを行っています。
これにより従来型の財務諸表中心の審査では拾いきれない成長性・取引実態を評価可能にし、中小企業でも有望な案件には資金が付きやすくしています。またKYCのプロセスにもAIを導入し、各国データベースとの照合や不審点検知を自動化することで迅速な本人確認・反社チェックを実現しています。
これらAIとビッグデータの活用により、Olea上では投資家に対して堅牢なリスク評価が提供され、案件ごとの適切な利率設定や与信判断がスピーディに行われます。その結果、投資家は安心して案件に参加でき、企業側も必要以上の担保提供や保証を求められずに済むため、双方にメリットがあります。
加えてOleaは各投資家に対しダッシュボードでポートフォリオ分析ツールを提供しており、AIが算出するリスク指標や予測モデルを閲覧できるようにすることで、透明性あるリスク共有を図っています。
ブロックチェーンによる透明性とセキュリティ強化
ブロックチェーンを用いて取引の透明性・真正性を高めています。分散台帳上に取引データや債権の記録を残すことで、関係者間で改ざん不可能な共有台帳を実現しています。
これにより例えば「同じ売掛債権が重複して二重譲渡される」といった不正を防止できますし、取引の追跡も容易になります。Amelia Ng CEOは「ブロックチェーン活用により取引を効率化しコストを削減、かつ全ステークホルダー間の信頼を高める」と強調しています。
スマートコントラクトによって自動実行されるワークフローも組み込まれており、たとえば債権トークンを投資家が購入したら同時に売り手企業へ資金支払いがトリガーされる等、プログラム可能な契約処理が行われます。
チェーンはXDC Networkと呼ばれる貿易金融とRWAのトークナイゼーションに特化したエンタープライズ向け Layer1 ブロックチェーンを採用しています。
EVM 互換・オープンソース・ハイブリッド型(パブリック+プライベート)アーキテクチャを採用し、紙ベース中心の貿易金融プロセスをデジタルかつオンチェーンに置き換えるインフラとして位置づけられています。
さらに2025年12月に発表されたUSDCの導入は、ブロックチェーン上での即時グローバル決済というメリットをもたらしました。資金の行方が台帳にリアルタイム記録されるため、資金フローの不透明さが解消され、資金決済に伴う信用リスクも縮減します。
グローバル流動性プールの構築
従来、信用力や担保が不足しがちな中小輸出企業は銀行融資を断られるケースが多々ありました。Oleaはそのような企業をグローバルな流動性プールに結びつけます。
具体的には、世界各国の機関投資家(銀行、ファンド、ノンバンク等)30社超がOleaプラットフォーム上の案件に参加しており、地場銀行だけに頼らない多様な資金源を企業に提供しています。
例えば東南アジアの中小企業がOleaで売掛債権を資金化する際、日本や欧米の投資家がその債権を買い取ることも可能です。投資家側も新興国の貿易債権というオルタナティブ投資機会にアクセスでき、短期で安定したリターンを得られるメリットがあります。このようにOleaは双方にメリットのあるマーケットプレイスを構築し、結果として未充足だったSMEの資金需要に応えています。
◼️その他
この他にも、APIと外部システム連携やセキュリティ対策、認証免許の取得はなされています。
金融プラットフォームとして銀行水準のセキュリティを確保しており、通信およびデータはすべて暗号化され、安全なプロトコルで保護されています。
プラットフォーム自体はISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントの国際規格)認証を取得済みであり、厳格なアクセス制御や監査ログ管理などEnterpriseレベルのセキュリティ対策を実装しています。
さらにOleaはシンガポール金融管理局(MAS)からキャピタル・マーケット・サービス(CMS)ライセンスを取得しており、正規の金融サービス事業者として規制遵守の下で運営されています。
変遷と展望
Oleaの事業は比較的新しいながらも急速に拡大しており、主なマイルストーンは以下の通りです。
2019年:スタンダードチャータード銀行が中国Linklogis社との提携に向けた覚書(MoU)を締結。翌2020年1月にはスタンダードチャータードがLinklogisに戦略出資し、サプライチェーン金融分野での協業を模索しました。
2021年:10月にSC Ventures(スタンダードチャータードのベンチャー部門)とLinklogisの共同出資によりOlea Global Pte. Ltd.がシンガポールで設立されました。Oleaは「完全デジタルの貿易金融オリジネーション&流動化プラットフォーム」として位置づけられ、機関投資家(資金提供者)とサプライチェーン上の企業(資金需要者)を直接結びつけるモデルを掲げました。
2022年:プラットフォームの本格稼働開始。1月にはRefinitiv(ロンドン証取グループ傘下)およびシーブリッジTFXとの3社で貿易金融分野の協業に関する覚書を締結しました。
2023年:事業基盤の拡大。Oleaは各国でライセンス体制の整備を進め、シンガポール当局との連携や、中東・南アジア地域での市場開拓に着手しました。またこの年、融資実行額の累計が約5億~8億ドルに達し、参加する機関投資家の数も増加しました。
2024年9月:シンガポール金融管理局(MAS)よりCMSライセンス(資本市場サービス免許)を正式取得。これによりOleaは証券取引やファンド管理等を含む幅広い資本市場サービスを提供できるようになり、プラットフォーム上で貿易金融資産を取り扱う法的基盤が強化されました。併せて、Oleaは累計取扱高10億米ドル(約1,000案件以上)の達成を発表しました。さらにこのタイミングで債権トークン化による完全オンチェーン取引に成功しています。
2025年6月:スペインの大手銀行BBVAとの間でグローバルなサプライチェーン金融ソリューション提供に関する戦略的アライアンスを締結しました。BBVAは欧州・米州・アジアに広範な顧客基盤を持つ銀行で、この提携によりOleaはBBVAの顧客企業に自社プラットフォームを通じたSCF(サプライチェーンファイナンス)サービスを提供し、BBVAは自社のサービス範囲をグローバルに拡大できます。
2025年7月:マレーシアのフィンテックCapBayとの間で、中小輸出企業の資金支援に関する戦略提携を締結しました。CapBayはマレーシア発のピアツーピア融資・SCFプラットフォームで、現地の豊富な中小企業ネットワークとAI与信モデルを持っています。今回の提携により、両社はマレーシア企業が国際展開する際の資金調達を支援するクロスボーダー金融ソリューションを共同で提供します。
2025年12月:USDCステーブルコイン決済の導入を正式発表。USDCをOleaプラットフォーム上でサポートし、クロスボーダー取引の決済速度と透明性を飛躍的に向上させました。同時期にシリーズAラウンドでの資金調達を完了しました。BBVAがリード投資家を務め、スタンダードチャータードのSC Ventures(既存株主)、XDC Networkの投資部門、theDOCK(海運物流系VC)などが参加し、総額3,000万米ドルを調達しました。

シリーズA成立時点で、Oleaは70以上の貿易回廊において1,000社超のサプライヤー・バイヤー企業に累計30億米ドル超の資金供給を実現し、30以上の機関投資家が参加する規模に成長したと発表されています。
今後はAIによる分析強化、web3対応、および組込型金融(エンベデッド・ファイナンス)などのソリューション開発に充当される計画です。また成長市場でのオリジネーション拡大(案件発掘)にも投資し、グローバルなパートナーエコシステムをさらなる市場開拓を図ります。
グローバルな資金移動の課題解決に繋がる
最後は総括と考察です。
Oleaはクリプトの文脈ではあまり聞かないプロジェクトかもしれませんが、貿易金融の世界で急成長しているスタートアップです。既存の大手金融機関も参加しているJVなので、規制に準拠して順調に成長しています。
このような課題解決のためのソリューションの中に自然とブロックチェーンが組み込まれている状態は理想の1つだと思います。Oleaは現時点も組み込んでいますが、今後あらゆる取引をオンチェーン化していく方針です。
そうなるとAIのよる与信判断から債権の売買、契約、資金移動などが全てオンチェーンに移行することでより効率化と透明性の向上が図られます。
日本のスタートアップだと国際送金の機会があまりないですし、貿易の機会もあまり多くないのでこの辺は問題になりませんが、グローバルな資金移動の課題解決はかなり大きなマーケットで需要があります。
まさにPayFiと呼ばれるような領域だと思いますが、資金移動を流動性プールを用いて解決する方法は今後もブロックチェーンネイティブで構築されていきそうです。これらは一般ユーザーに届く解決策ではないですが、法人間と機関投資家や金融機関向けのソリューションとして一般化していくかもしれません。今後の発展も楽しみです。
以上、「Olea」のリサーチでした!
参考リンク:HP / X
«関連 / おすすめリサーチ»
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
About us:「web3 for everyone」をコンセプトに、web3の注目トレンドやプロジェクトの解説、最新ニュース紹介などのリサーチ記事を毎日配信しています。
Author:mitsui @web3リサーチャー
「web3 Research」を運営し、web3リサーチャーとして活動。
Contact:法人向けのリサーチコンテンツの納品や共同制作、リサーチ力を武器にしたweb3コンサルティングや勉強会なども受付中です。詳しくは以下の窓口よりお気軽にお問い合わせください。(📩 X / HP)
→お問い合わせ先はこちら











