【Newsworthy】AIエージェントがUSDCをステーキングしてニュースを選別するTCR型のニュースプラットフォーム / World IDによる人間認証と経済インセンティブにより、不正やスパムを抑えつつニュース品質を担保
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おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Newsworthy」についてリサーチしました。
Newsworthyとは?
詳細の仕組み
変遷と展望
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TL;DR
AIエージェントがUSDCをステーキングしてニュース価値を評価し、信頼できるニュースフィードを生成・販売するTCR型プロトコル
World IDによる人間認証と経済インセンティブにより、不正やスパムを抑えつつニュース品質を担保する仕組み
有料API(x402)でフィードを提供し、その収益をトークンステーカーやキュレーターに分配するエージェント経済モデル
Newsworthyとは?
「Newsworthy」は、AIエージェントがUSDCをステーキングしてニュースを選別するトークンキュレーテッドレジストリ(TCR)型のニュースプラットフォームです。
少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、World IDによる人間認証とx402マイクロペイメントプロトコルを組み合わせ、 エージェント経済における「ニュースの品質保証」という新しい市場を切り開こうとしている非常に面白いプロジェクトです。
◼️全体像
ひと言で言えば、「AIエージェントがツイートのニュース価値を経済的に判定し、その結果できた信頼できるフィードをデータソースとして販売するプロトコル」です。
その全体像を簡単に説明すると、AIエージェントが提出したX投稿を別のAIエージェントが評価し、価値あるX投稿をフィードとして制作していきます。この評価プロセスでは提出AIも評価AIもUSDCをデポジットすることで金銭的インセンティブが働き、悪意を持った攻撃が行われないようになっています。
また、AIの所有権はWorld IDと連携しているため、大量のAIボットが攻撃を仕掛けることもなく、1人当たり運用できるAIの数も決まっています。
そうして出来上がったフィードを他のAIエージェントが情報ソースとして読みにくることができますが、この読み取りは有料です。この支払いはx402経由で行われ、その資金がフィード制作時に支払われる独自トークン($NEWSWORTHYトークン)のステーカーに分配されます。
全体像を整理すると、以下のようなフローになります。
まだややこしいかと思うので、より詳細の仕組みを踏まえつつ、別角度で説明していきます。
詳細の仕組み
◼️登場人物
Newsworthyには3種類の参加者が存在し、それぞれが異なる役割と収益機会を持ちます。
①キュレーターAI
ツイートを提出・投票する審査者です。1USDCを賭けてツイートを提出し、0.05 USDCを賭けて他の提出されたツイートに投票します。勝ち側に回ればUSDCと$NEWSWORTHYトークン(Boost Protocol経由、Base上)を獲得します。
さらに、キュレーションで稼いだ$NEWSWORTHYトークンをステーキングコントラクトに預けておけば、リーダーAIが支払うx402収益がUSDCとして継続的に分配されます。
②リーダーAI
キュレーション済みフィードを読みにくる消費者です。トレーディングボット、ニュースアプリ、リサーチエージェントなどが該当します。
無料エンドポイント(GET /public/feed)はブラウザや人間向けで誰でも閲覧できますが、プログラムがAPIで自動取得する有料エンドポイント(GET /feed)はx402プロトコル経由で$0.01/クエリを支払います。APIキーもサブスクリプションも不要で、ウォレット署名だけで決済が完了します。
③$NEWSWORTHYステーカー
$NEWSWORTHYトークンを預けてリーダーAIの支払いから収益を得る参加者です。
キュレーター自身がステーカーを兼ねることが多く、「頑張ってキュレーションするほど、フィードが使われるたびに収益が入る」という長期的なインセンティブ構造になっています。
◼️ツイートの審査フロー
まずキュレーターAIがツイートURLを提出し、1USDCのボンド(保証金) をFeedRegistryコントラクトにデポジットします(1日50件まで)。
その後、投票フェーズに入り、他のキュレーターAIが0.05USDCを賭けて「keep(残す)」か「remove(消す)」かを投票します。投票期間は6時間で、最低3票が集まるとresolve(解決)できます。
解決後、勝者側が敗者側のUSDCステークを按分で獲得します。受理されたsubmitterはボンドの1USDCが返却されます。これはまさに予測市場の構造で、「このツイートはニュース価値があるか」という問いに対して、参加者が自分の資金を賭けて答える仕組みです。
加えて、投票したエージェントはBoost Protocol(Base上)を通じて$NEWSWORTHYトークンを請求できます。
現在のインセンティブは在庫がある間は、1票あたり約$20相当と非常に強力な設定になっており、エージェントが積極的に参加するための強力なインセンティブとして機能しています。
◼️AIのスコアリング基準
Newsworthyが面白い点はAI向けに説明が書かれている点です。GitHubもそうですし、エージェント向けのオンボーディングドキュメントもAIネイティブに書かれています。
そのオンボーディングドキュメントである「AGENTS.md」には、エージェントがどのようにツイートを評価すべきかの詳細な基準が記されています。各ツイートを5つの軸で0~20点ずつ採点し、合計100点満点でジャッジします。
60点以上ならkeep、40〜59点はskip(リスクに見合わない)、40点未満はremoveと投票します。面白いのは、エージェントごとに独自の評価フレームワークを持つことが推奨されている点で、「評価手法の多様性がフィードの品質を高める」という設計思想が見えます。
ニュースの定義は「起きた出来事(ハック・資金調達・ガバナンス投票・新機能リリースなど)」のみです。意見・予測・相場解説・ミームは対象外とされています。ただし「チームが自分たちのイベントを告知するツイートは、そのツイート自体が一次ソースとして認められる」という例外もあります。
他にも、GitHubリポジトリにllms.txtというファイルが含まれており、これはAIがプロトコルを自律的に読んで参加できるよう、LLM向けに最適化された要約仕様書です。人間向けのREADMEとは別にAI向けの仕様書を用意するという細部に、「エージェントファースト」という設計思想が徹底されていることが見て取れます。
◼️無料と有料フィードの使い分け
APIは3種類のエンドポイントを提供しています。
/public/feed(無料)はキュレーション済みの確定フィードで、ウェブサイトのUIや人間が閲覧する用途です。
/public/pending(無料)は投票待ちアイテムの一覧で、キュレーターエージェントが投票対象を探す用途です。
/feed(有料、$0.01/クエリ)は同じキュレーション済みフィードをAPIで自動取得する場合の有料版で、トレーディングボット・ニュースアプリ・リサーチエージェントが定期的にデータを引っ張る用途を想定しています。
「人間がブラウザで見る」のは無料、「プログラムがデータソースとして自動取得する」のが有料という割り切った設計です。
メディアアプリや情報サービスがNewsworthyのフィードをバックエンドで利用する場合は有料となり、その積み重ねがNEWSステーカーへのUSDC収益になります。
$NEWSWORTHYはキュレーションの対価として発行されるERC-20トークン(Base上)です。ツイートが投票で受理されると、提出者と勝ち票の投票者に分配されます。発行上限はなく、キュレーション活動量に応じて流通量が増加します。
$NEWSWORTHYをNewsStakingコントラクトにステークすると、リーダーAIが/feedを叩くたびに支払われる$0.01のUSDCが、ステーク量に応じて按分されます(10%ステーク→x402収益の10%)。ロックアップ期間はなく、いつでも自由にステーク・アンステークが可能です。
RevenueRouterの収益配分は現在100%がステーカーへの分配ですが、将来的にはトレジャリーへの一部送金(例:90%ステーカー/10%トレジャリー)に変更できる仕組みも用意されています。
◼️技術基盤
投票・提出・報酬管理はすべてWorld Chain上で動きます。また、投票に参加するすべてのエージェントはWorld IDによる人間認証が必須です。
スマートコントラクトは5つで構成されます。投票・提出・ボンド管理を担うFeedRegistryV2、エージェントと人間の紐づけを管理するAgentBook、キュレーション報酬トークンのNewsToken、x402収益を分配するNewsStaking、そしてAPI収益をステーキングコントラクトに転送するRevenueRouterです。
報酬の一部はBase上のBoost Protocolを通じて支払われるため、エージェントはWorld ChainとBaseの2チェーンを運用する必要があります。
また、2026年3月17日にWorldとCoinbaseは共同でAgentKit(限定ベータ)を発表しました。これはAIエージェントが「自分の背後に実在する人間がいる」ことを暗号学的に証明できるツールキットです。WorldのCPO Tiago Sadaは「AIエージェントへの委任は、人間が弁護士に委任状を与えるようなもの」と表現しています。

Worldの公式ブログ発表の中で、Newsworthyは次のように事例として紹介されました。
「Newsworthyはエージェントに報酬を払い、最も重要なニュースを浮上させる。しかし一意の人間証明がなければ、単一の主体が協調シグナルでフィードを氾濫させることができる。AgentKitはすべてのキュレーションシグナルが一意の人間に紐づくことを保証する。」
AgentKitはx402 V2の補完的拡張として設計されており、x402が「支払いの仕組み(how)」を担い、AgentKitが「誰が払っているかの証明(who)」を担うという役割分担です。x402を導入済みのウェブサイトはそのまま人間証明機能を追加できます。
変遷と展望
昔からの挑戦が続く
Newsworthyの開発者はBrian Flynnです。「競技ゲーマーから創業者に」と自ら語るFlynnは、2017年にFoursquareでビジネスアナリストとして働き始め、2018年にはNFTマーケットプレイスの先駆者OpenSeaの初期メンバーとしてBDを担当。2019年にはDapper Labsでプロダクトマネージャーを務めた後、2020年にRabbitHole(現Boost Studios)を設立します。
RabbitHoleはユーザーがDeFiプロトコルと実際に対話することでトークン報酬を獲得する「learn-to-earn」モデルの先駆者で、Uniswap・Aave・ENS・Lidoなど主要プロトコルとパートナーシップを結び、シリーズAで1,800万ドルの資金調達を実施しました。現在はBoost Studiosとして再ブランディングし、オンチェーンインセンティブ設計のインフラに特化しています。
なので、NewsworthyのコントラクトはBoost Protocolを報酬分配に採用してます。Flynn自身がBoost Studiosを経営しているため、自社インフラをそのまま新プロジェクトの報酬レイヤーに組み込むという、効率的な垂直統合になっています。
RabbitHoleが「オンチェーン行動に報酬を与えることで質の高い参加者を集める」という実験だったとすれば、Newsworthyは「情報の品質判断に報酬を与えることで質の高いキュレーションを生む」という、同じ哲学の進化形と言えます。
World公式ブログへの掲載とエコシステムでの現在地
プロジェクトは極めて初期段階にあります。GitHubのスター数は2、フォーク数は0で、Product Hunt・HackerNews・Redditでの独立したコミュニティ議論は確認されていません。コントラクトは本番稼働中ですが、未監査であることが明記されています。またドキュメント間にも仕様の不整合が見られ(READMEとAGENTS.mdで投票期間や提出上限が異なる)、プロトコルはまだ活発に更新されている状況です。
まだネットワークを見ても徐々に増え始めた段階です。
一方で注目すべきは、先ほども言及しましたが2026年3月17日のWorldとCoinbaseによるAgentKit共同発表において、名指しで事例として紹介されたことです。CoinDesk・TechCrunch・Tech Startups・The Registerなど主要メディアが一斉に報じたこの発表は、Worldエコシステムとx402エコシステム双方からの公式な認知を意味します。
今後の明確なロードマップは公開していませんが、エージェント経済のユースケースとして注目を集めていくかもしれません。
予測市場の先を行くエージェント時代のメディア
最後は総括と考察です。
Newsworthyが採用するTCRは2017年にMike Goldinが提唱した概念です。adChain(広告ネットワーク検証)、Band Protocol(暗号資産ニュースキュレーション)など多くのプロジェクトが挑戦しましたが、ほぼすべてが失敗しました。
主な理由は①投票者の無関心、②大口保有者による操作、③複雑すぎるUXの3つです。
Newsworthyはそれらと同じ轍を踏まないための4つの設計をしています。
第一に、USDC(ステーブルコイン)の採用です。過去のTCRはすべてネイティブトークンをボンドに使っていたため、価格変動が判断を歪めました。USDCなら$1は常に$1です。
第二に、AIエージェントを主要参加者とした設計です。これは過去のTCRを崩壊させた「投票者の無関心」を根本から解消します。エージェントは24時間稼働し、経済的インセンティブに即座に反応します。現在の$20/票というBoostインセンティブは、エージェントが積極的に参加するための強力なインセンティブになっています。
第三に、World IDによるシビル耐性です。複数アカウントによる操作を、人間証明という強力な仕組みで防ぎます。
第四に、フィードを「データソースとして販売」するクリーンな収益モデルです。過去のTCRは収益モデルが不明瞭でした。Newsworthyはキュレーション済みフィードを$0.01/クエリで販売し、その収益がキュレーターに還元されるというわかりやすい経済設計を持っています。
一方で当然課題も存在します。
まず、コールドスタート問題は依然として最大の課題です。現在はBoostインセンティブ($20/票)でエージェントを呼び込んでいますが、これは「在庫限り」の初期施策です。在庫が尽きた後にx402の収益が十分な投票インセンティブとして機能するかは未知数で、その橋渡しができるかが鍵になります。
市場の競合もあります。CryptoPanic・CoinDesk・Messariなど無料の代替情報源が存在する中で、リーダーAIが$0.01/クエリを払うほどNewsworthy CLIのフィードに価値を感じるかどうかは、これから証明されなければなりません。
ただし、Newsworthyは個人的に久しぶりに面白いと思ったプロジェクトでした。
Coinbase創業者のBrian Armstrongは「近い将来AIエージェントが人間よりも多くのトランザクションを行うようになる」と述べ、BinanceのCZは「エージェントは人間の100万倍の支払いを行い、それには暗号資産が使われる」と予測しています。その世界で「何が真実のニュースか」を判断する仕組みは、今まさに設計される必要があります。
AI向けのサービスはより本質的なインセンティブ設計が大事になってきており、それはブロックチェーンとめちゃくちゃ相性が良いです。AI向けの構造で真実を確かめ、人間がそれを読むという構造は予測市場のさらに一歩先を行くニュースの未来だと感じました。
Newsworthyがこの先どのようになっていくのか、追いかけていきたいと思います。
参考リンク:HP / GitHub
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