【Loud】呟くだけでトークンの取引手数料が貰えるProof of Attentionの実験プロジェクト / KaitoのYapsを利用 / InfoFi第二章 / @stayloudio
InfoFi第二章となる非常に面白い取り組みです。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Loud」についてリサーチしました。
🧵TL;DR
LOUDは、SNS上で「LOUD」トークンについて話題を集めた人に、注目度に応じてSOL報酬を与える実験的プロジェクトです。
Solana上の$LOUDトークン取引手数料4%が毎週プールされ、その72%がマインドシェア上位25名に分配されます。
Kaito AIが提供するYapsアルゴリズムが、Xでの投稿量・エンゲージメント・投稿内容の質をスコア化し、マインドシェアを算出します。
Kaito AIの「Proof of Attention」モデルを活用し、注目を集めるほどプロジェクトも宣伝され、永続的な報酬循環が生まれる仕組みです。
📣Loudとは?
「LOUD」は、「特定のトークンについて話すことに対して永久に報酬を与えたら何が起こるか?」という発想から生まれた実験的取り組みです。ソーシャルメディア上で「LOUD」に関する話題(注目 / アテンション)を集めた人々に対し、その「注目度」自体を価値と見なしてトークン報酬を配布する仕組みです。
2025年5月27日にその構想が発表され、非常に大きな話題を呼び、立て続けにプレセールも実施、TGEしたことで一気に話題となりました。
では、その詳細を見ていきます。
「LOUD」は、Solana上に発行された$LOUDトークンに4%の取引手数料(トランザクションフィー)を設定し(Meteoraで管理)、その手数料収入を毎週コミュニティに還元します。
ユーザーはX上で「#LOUD」トークンに関する投稿を行い、その反響によってポイント(マインドシェア)を獲得します。この反響はKaito AIが提供する独自のアルゴリズムにより、SNS上での発信量やエンゲージメントが可視化・スコア化され「マインドシェア」としてランキング化されます。そして各週でマインドシェア上位に入ったユーザー(上位25名)に対し、前述の取引手数料プールの72%に相当するSOL報酬が自動分配されます。
以下、その仕組みです。
$LOUDトレーディングフィーがLPプールに溜まる
そのフィーはSOLとしてMindshare Poolに送られる
毎週上位25名に取引フィーが送られる
上位25名になるためにLoudについて呟くからプロジェクトの認知が上がる
認知が上がるとトークン価格、取引量が増える
取引量が増えると取引手数料が増える
→無限ループ
現時点のランキングや報酬となる取引手数料は全てHP上に公開されています。
また、先ほど上位25名に取引手数料プールの72%に相当するSOL報酬が配布されると書きましたが、残りの28%は18%がKaitoステーキングユーザーへ、10%がトークン発行者に配布されます。
🟢前提:Kaito AIとは?
「LOUD」は「Proof of Attention」というSNS上の注目にフォーカスしたプロジェクトです。ただし、その前提となる基盤プロジェクトは「Kaito AI」です。
「Kaito AI」は、2022年に設立されたweb3情報プラットフォームです。膨大に散在する暗号資産関連データ(ソーシャルメディア投稿、技術ブログ、フォーラム、研究論文、ポッドキャスト音声など)をAIで統合的にインデックス化し、ユーザーが瞬時に有用な洞察を得られる暗号版検索エンジンを提供しています。
主要プロダクトとして「Kaito Pro」と「Kaito Connect」が存在し、「Kaito Pro」はいわゆる上記のデータをサブスクリプションで提供します。
ただし、直近で注目されているのは「Kaito Connect」です。これはコミュニティ参加と情報共有に価値を与えるための分散型インセンティブネットワークです。「InfoFi」とも呼ばれ、価値あるコンテンツ・情報を発信している人物を可視化できるプラットフォームを運営しています。
このプラットフォームは「Yaps」と呼ばれ、ユーザーの情報発信活動を定量化し、貢献度に応じてポイントを付与するKaito独自のアテンショントークン化アルゴリズムを提供します。
Yapポイントの算出には主に次の3要素が考慮されます。
投稿量(Volume):有益な投稿を行った量。単純な投稿数だけでなく、定期的・継続的な情報共有の度合いを評価。
エンゲージメント(Engagement):他ユーザーからの反応ややり取りの質。リツイート・いいね数だけでなく、実際に議論を生んだかなど有意義な交流を重視しています。
セマンティクス(Semantics):投稿内容の関連性・有益性。大規模言語モデル(LLM)による解析でスパム的な低労力投稿を除外し、内容の見識深さや独自性まで考慮します。
ユーザーはXアカウントをKaito Yapsに接続することでこのプログラムに参加でき、自分のYapポイント累計や順位を確認できます。
LoudはまさにこのYapsの仕組みを利用しています。KaitoのYaps評価エンジンがLoudにおける「誰が一番プロジェクトを盛り上げたか」を測定するオラクルの役割を果たしています。
🚩変遷と展望
LOUDの発起人(ファウンダー)はKaitoコミュニティ内で著名なユーザーである「0x_ultra」氏です。0x_ultra氏はKaito上のマインドシェアランキング「Yapper」で常に上位に名を連ねる人物であり、過去にはArbitrum上のデリバティブプロトコル「Jones DAO」の共同創設者でもあります。
2025年5月27日に構想をX上で発表しました。
この構想はかつてOlympus DAOが提唱したゲーム理論コンセプト「(3,3)」――参加者全員が協調(Win-Win)の行動を取れば総利益が最大化するという考え方とBelieveによる取引手数料をユーザーに還元するという思想の双方に影響を受けて生まれたと書かれています。
この構想が非常に大きな話題となり、すぐにHologlam LabsのトークンローンチパッドのHoloLauncheにてプレセールが実施されました。正確には「IAO(Initial Attention Offering)」と表現される手法でトークンをローンチしており、2段階に分けてプレセールのような限定セールが実施され、TGEしました。
フェーズ1ではLOUDの話題拡散に特に積極的だった上位貢献者(Kaito上のYapperランキング上位者など)に対し、先着1,000ウォレット限定で一人当たり0.2 SOL分まで購入できる優先枠が提供され、フェーズ2では、KaitoプラットフォームにSolanaアドレスを連携し一定以上(10人以上)の「スマートフォロワー」を持つユーザー約12万ウォレットを対象に、先着順(FCFS)で同じく一人0.2 SOL分まで購入可能とされました。
最終的には400SOLの応募に対して、1015SOLが集まる結果となりました。
トークンアロケーションは以下の通りで、チーム取り分はありません。
トークンはすでにTGEしており、リサーチ時点のFDVは$12.5Mでした。
実験的要素も強く、また分配のルールも決まっているため、特に今後のロードマップはありません。ただ、配布する手数料率の変化など今後ガバナンス投票によって動きがある可能性もあります。
💬InfoFi第二章始まる
最後は総括と考察です。
個人的に「Loud」めっちゃ面白いです。いや、割となんでも面白いと表現してしまうのですが、その中でも非常に可能性がある仕組みだと感じました。
Loudの構想でも言及されていましたが、確かにこれはBelieveが引き起こした流れだと思います。トークンを発行し、その手数料やインセンティブをダイナミックにスマコンでユーザーに還元することでプロジェクトを伸ばしていく流れです。
その記事でもこれは今後多くのプロジェクトに搭載されていく流れになるのではないかと書きました。
ただ、「Loud」はその中でも最も手軽に実装した事例だと感じます。というか、個人的にInfoFiの永続的なトークンエコノミクスの可能性に懐疑的だったのですが、こういう連携が行われていけば、非常に大きな可能性がありそうです。
自身のプロジェクトについて言及してくれれば、その分だけ取引手数料(含めなんらかの報酬やインセンティブ)が貰えるとなると、そのプロジェクトを積極的に応援します。プロジェクト側もマーケティング費用だと思えば安いですし、何より成果報酬(取引手数料は盛り上がりの分だけ分配してる)なので、痛手はなく自律的に成長していきます。
この「Loud」の仕組みは今後全てのweb3プロジェクトに実装されてもおかしくないと思いました。取引手数料の10%はKaitoを介して毎週上位20名に配分される、みたいな仕組みは考えられますし、それによってプロジェクトが拡散していくかもしれません。
この流れによってInfoFiの第二章が始まり、X上でのアテンションがさらに大きな意味を持つようになりました。当然、ハックが始まりますし、なんでも報酬のために呟き始めるかもしれませんが、それはいずれ淘汰されていくと思いますので、純粋にプロジェクトを応援してる人に報酬が還元されるマーケティングの分散化、初期ファンへの還元が実現しそうです。
Loud含め、この流れは引き続き注目して見守っていきたいと思います。
以上、「Loud」のリサーチでした!
🔗参考リンク:HP / X
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