【Dexter】x402を活用したAIエージェント経済のための支払いインフラストラクチャ / Pay-per-Call型API課金、LLM連携トレーディング、音声操作、SNS統合、プライベート送金を統合 / @dexteraisol
ダイナミックマイクロペイメントは普及するか
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Dexter」についてリサーチしました。
Dexterとは?
変遷と展望
ダイナミックマイクロペイメントは普及するか
TL;DR
Dexterは、x402を基盤にAIエージェントが自律的にAPIやサービスへ支払いできるようにする支払いインフラであり、SDKと公開ファシリテーター運営によって「実際に使える」決済基盤を提供している。
Pay-per-Call型API課金、LLM(ChatGPT/Claude)連携トレーディング、音声操作、SNS統合、プライベート送金(Dexter Shield)までを統合し、AIエージェントが思考から実行・支払いまで完結できる実装レイヤーを構築している。
2025年後半にはx402エコシステムで最大級の取引量を処理するファシリテーターの一つとなり、DEXTERトークンもリリースされるなど、DexterはAIが仕事をする世界の共通インフラとして存在感を高めつつある。
Dexterとは?
「Dexter」は、AIエージェント経済のための支払いインフラストラクチャです。AIエージェントがインターネット上で直接やり取りし、サービスやAPI利用に対して自動的に支払いを行えるようにするためのソリューションを提供しています。
従来のクレジットカード決済やサブスクリプションモデルでは、マイクロペイメントや機械同士の自動取引には高い手数料や手間が伴い、AIの自律的なサービス利用には不向きでした。
そこでDexterは、Coinbase社が提唱するオープン標準プロトコルx402を採用し、事業者が気軽にx402をサービスに組み込めるようなSDK等のインフラストラクチャを開発しています。
これにより、API提供者は1行のコード追加でエンドポイントごとに料金を設定でき、クライアント(人間やAI)はリクエスト時に自動でUSDCなどのステーブルコインを支払ってデータやサービスを購入できます。
では、具体的な提供サービスを見ていきます。x402を基盤としつつも幾つかのパッケージとしてのインフラを提供しています。
◼️API利用料の自動支払い(Pay-per-Call)
x402プロトコルを通じて、API提供者は自分のサービスにペイウォール(有料APIエンドポイント)を簡単に設定できます。クライアント(AIエージェントやユーザー)はリクエスト時に自動で所定の料金を支払うことで即座にデータや機能へアクセス可能です。
例えば、天気予報APIのエンドポイントに「1回の呼び出しにつき0.01 USDC」の料金を設定し、AIがHTTPリクエストでアクセスするとサーバーはHTTP402エラーと支払条件を返し、それを受けてAI側がUSDCで即支払い、支払い確認後にデータが提供されるという流れです。
これによりサブスクリプションやAPIキー管理なしで柔軟な従量課金が可能になり、AIエージェントが必要なデータやサービスを必要な時に自動購入できるようになります。
◼️MCP連携によるトレーディング体験
対話型AIエージェントが暗号資産の取引執行や資産管理を行えるようになります。ユーザーはDexterのAIエージェントに、自分のウォレットを接続し資金を預けることで、チャット経由で取引の指示を出せます。
このAIエージェントはChatGPTやAnthropic ClaudeとのMCP連携が可能で、LLMのインターフェースの会話からの自然言語指示を理解してマーケット調査を行い、Solana上のDEXでスワップを実行することが可能です。
◼️音声取引(ボイスエージェント)
Dexterは音声インターフェースによる操作もサポートしています。「Dexter Voice」と呼ばれるハンズフリーのエージェントがおり、ユーザーが音声で命令するだけで、数秒以内にオンチェーンでのスワップ取引を実行します。
この音声エージェントは多言語対応しており、ChatGPTやClaudeのサブスクリプションがなくても利用できます。例えばスマートフォンやスマートスピーカーに向かって「Dexter、1 SOLをUSDCに交換して」と話しかけると、自動的にSolana上でDEX取引が行われます。
Amazon Alexa向けのスキルも用意されており、Alexaに「Open Dexter」と話しかけるだけでエージェントと接続し、口頭でDexterのステータス確認や指示ができるよう連携が可能です。
◼️ソーシャル連携(X/Twitter・Telegram統合)
Dexterは主要なコミュニケーションプラットフォームとも統合されています。例えばXでは公式エージェントアカウント「@dexteraiagent」に対してメンションを送ることで、リンク済みウォレットから直接スワップを実行したり、問い合わせに答えさせたりできます。
Telegramでも「Dexter Relay」というボットを介し、ユーザーのDexterワークスペースとペアリングして、資産の移動通知や簡易コマンド(「/swap 5 SOL to USDC」等)の実行が行えます。
これらにより、ユーザーは自分の使いやすいインターフェース(チャットアプリや音声アシスタント)からシームレスにDexterエージェントを操作できます。
◼️Dexter Shield(プライベート転送)
支払い機能とは別に、Dexterはプライバシー重視の送金ツール「Dexter Shield」も提供しています。Shieldでは、Solana上で受取人アドレスに直接ではなく、一時的に生成した匿名アドレスにいったん資金を送金し、受取人へ即座に転送する仕組みを取ります。
これにより、送金元と送金先のアドレスの直接的な関連を隠し、取引のプライバシーを向上させます。各シールド転送は1回限りのセッションとして動作し、ユーザーが指定した額(プログラム手数料を上乗せ)を匿名アドレスに送金すると、自動的にターゲットのウォレットへ資金が渡されます。
◼️まとめ
以上のように、Dexter.cashはエージェント経済に必要な多彩な機能をワンストップで備えているのが特徴です。API課金や音声取引、チャット連携からプライベート送金まで、従来は個別プロジェクトが担っていた領域を統合し、「AI × ブロックチェーン」の利活用シナリオを広げています。
また、Dexterは「One brain, every surface」をモットーとしており、一つのAIエージェントが様々なアプリやデバイス上で一貫した認識と行動をとれるよう設計されています。
つまり、ChatGPT上で会話した続きのコンテキストを保持したままAlexa経由で命令しても、Dexterエージェントは前の会話内容を覚えていてスムーズに処理を再開できます。
変遷と展望
Dexterは、2024年後半から2025年初頭にかけて立ち上がった、比較的新しいインフラプロジェクトです。Coinbaseがx402を提唱した直後からこのプロトコルに注目し、「仕様として存在するが、実際には使われていない」という状態を解消することを初期の目的としてきました。
創業チームは Dexter Intelligence DAO LLC の名義で活動しており、特定の大企業や金融機関のプロダクトというよりも、オープン標準と実運用を重視するエンジニア主導の色合いが強い点が特徴です。
初期フェーズでは、x402をサービスに組み込むためのSDK整備や開発者体験の改善に注力し、JavaScript / React向けSDKを通じて、API提供者が最小限の実装で従量課金APIを構築できる環境を整えてきました。
また、2025年中盤以降に Dexter自身がx402ファシリテーターを運営する立場を取りました。x402では支払い検証やオンチェーン処理を担うファシリテーターの存在が不可欠ですが、多くのケースでは各事業者が自前で運用する必要がありました。
Dexterはこの部分を引き受け、Solanaを基盤とした公開ファシリテーターとして常時稼働させることで、開発者がインフラ構築なしにx402を本番利用できる状態を実現します。
その結果、2025年後半にはx402エコシステム全体で処理される支払い件数が急増し、Dexterは日次ベースで最大級の取引量を処理するファシリテーターの一つとなりました。
現在のDexterは、SDKやファシリテーターといった支払いインフラに加えて、MCP連携によるLLMインターフェース、音声操作、SNS統合などを通じて、AIエージェントが実際に行動し、支払いまで完結できる実装レイヤーを提供しています。
2025年後半にはSolana上のPump funでDEXTERトークンもリリースされましたが、現時点でユーティリティはあまりなく、コミュニティトークンのような意味合いを示しています。
今後は対応チェーンの拡張や、エージェント同士が相互に支払いを行うユースケースの増加が想定されており、Dexterは「AIが仕事をする世界」における支払いと実行の共通基盤として、その存在感を徐々に高めていくと考えられます。
ダイナミックマイクロペイメントは普及するか
最後は総括と考察です。
注目を集めているx402エコシステムの中で、主要なプレイヤーの1つがDexterです。x402を利用できるSDKの提供、ChatGPTやClaudeなどのLLMやXやTelegram等のSNSからトレーディングができるインフラの提供など、実際に開発者が利用できるようなインフラを提供している点が特徴です。
LLMからチャットできたりボイスチャットもできるのはかなり面白いユースケースですね。Alexaと話すだけでトレーディングができるようになります。
さらに、普及が期待されるx402のSDKを提供している点も特徴的です。クリプト事業者じゃなくてもあらゆるサービスの中で課金形態を変えることができるので、新しいビジネスモデルの創出が可能になります。
最近はtoCもtoBも利用あたりの課金サービスが流行ってきていますが、これをよりダイナミックにマイクロペイメントで実施できます。
個人的には、一気にここまで行くのは時間がかかると思いますが、API等のトリガーでの自動支払いなど、x402を利用したサービス料の徴収はどんどん社会実装されていくと思っています。
その際、オープンな姿勢で開発を進めているDexterのような存在は非常に存在感を発揮しそうですので、今後の発展も楽しみです。
以上、「Dexter」のリサーチでした。
公式リンク:HP / DOC / X
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