おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Trepa」についてリサーチしました。
🏦Trepaとは?
🚩変遷と展望
💬予測市場は定着する
🧵TL;DR
Trepaは、インフレ率や国債利回りなどを対象とした数値予測特化型のプラットフォームで、予測精度に応じて報酬が得られる仕組みを提供
従来の予測市場が抱えていた「的中のみ報酬・大雑把な予測・ギャンブル性の強さ」といった課題を克服
Trepaは部分報酬方式を導入し、精緻な数値予測を促すことで、投資家や経済好きの参加を広げている
2024年設立、2025年のハッカソン受賞や資金調達を経て、現在はベータ公開中で、今後の一般展開が期待されている
🏦Trepaとは?
「Trepa」は、数値予測に特化した精密予測プラットフォームです。ユーザーがインフレ率や国債利回りなどの経済指標について数値予測を投稿し、その予測精度に応じて報酬を得ることができます。
カテゴリで言えばPolymarketのような予測市場プラットフォームですが、従来の予測市場と明確に異なる点を持っています。
従来の予測市場は、ある将来の出来事の結果に対して参加者が資金を賭け、結果が的中すれば配当が得られる仕組みです。
代表例としては、選挙結果、経済統計の発表値、スポーツの勝敗などが対象となり、参加者はYes/No形式や複数選択肢の中から予測を行います。AugurやPolymarketが有名で、分散型の仕組みによって誰でも予測市場を作成・参加できる点が特徴です。
しかし、従来型の予測市場にはいくつかの構造的な課題が存在します。
オールオアナッシング構造
予測が的中した場合のみ報酬が得られ、外れれば掛け金がすべて失われます。そのため、部分的に正しい予測が評価されず、参加者にとってリスクが大きい仕組みになっています。大雑把な予測を助長
Yes/No形式では「大まかな方向性を当てれば良い」という性質が強く、精緻な予測や数値的な分析は十分に評価されません。結果として、集合知としての情報価値が限定的になります。参加者層が偏りやすい
高リスク・高リターンを好むギャンブル志向の参加者が多くなり、思慮深い投資家や研究者が参加しにくい傾向があります。正誤判定の不安定さ
結果が明確に出る場合とそうでない場合が存在した際、Yes/Noの判定で揉めることがあります。
Trepaはこれらの課題を克服するために、従来の予測市場とは異なる「精度志向型の数値予測プラットフォーム」を採用しています。
部分報酬の仕組み
報酬は的中・不的中の二元論ではなく、実際の結果にどれだけ近いか(予測精度)に比例して支払われます。これにより「惜しかった予測」でも一定の報酬が得られ、参加者のリスクを軽減します。数値予測への特化
インフレ率や国債利回りなど、連続的な数値を予測対象とすることで、精緻な分析やデータに基づく思考を促します。方向性だけでなく「どの程度か」を問うため、集合知としての予測がより有益になります。思慮深い参加者層の形成
部分的中も評価される仕組みと、精度を競うゲーミフィケーション設計により、投資家や経済に強い個人など「考えるユーザー」が参加しやすい環境を実現しています。正誤判定の正確さ
確率、数値に関する予測のみを取り扱うので結果が明確に出ます。
要するに、従来の予測市場が抱えていた「高リスク・低精度・ギャンブル性の強さ」という課題に対し、Trepaは低リスクで精度志向の仕組みを導入することで、より知的で実用的な集合知の形成を目指しています。
現在はSolana DappStoreでベータ版が公開されており、Xでもデモ動画が公開されています。一般公開はこれからになります。
以下のように、ユーザーはスライダー形式で数値を予測し、賭け金をベットします。
🚩変遷と展望
Trepaは2024年に設立された新興スタートアップで、母体はTrepa Labs Inc. です。本拠地は米国デラウェア州法人登録とシンガポール拠点が確認されており、アジアと米国の両方にネットワークを持ちながらグローバル展開を視野に入れています。
創業チームは、暗号資産やブロックチェーン領域に精通したエンジニアやハッカソン出身者で構成され、CEOの Yukshibgu 氏、共同創業者の cmger 氏、CTOの Leon Meka 氏、エンジニアの Vladislav Lenskii 氏などが中心メンバーです。
Trepaのアイデアは「従来のYes/No型予測市場の限界を克服する」ことから始まりました。創業期においては、ハッカソンを通じてプロトタイプが開発され、2025年春のSeoulana Hackathonでグランプリを受賞したことが大きな転機となりました。
ハッカソン審査では「市場ではなくプール方式でセンチメント予測を行う革新的プラットフォーム」と紹介されています。
この受賞によりSolanaエコシステムからの注目を集め、技術力とアイデアの両面で評価されるきっかけとなりました。その後、ベータ版が一般公開され、すでに2,000人以上のユーザーが参加しています。
2025年夏には、プレシードラウンドで約42万ドルを調達しました。
リード投資家は元Solana財団グロース責任者が設立した Colosseum で、さらにIgnight Capitalや元Coinbase CTOの Balaji Srinivasan 氏といった著名投資家が参加しています。
Trepaは現在、パブリックベータ段階で稼働しています。
予測対象はインフレ率、失業率、国債利回りなどのマクロ経済指標が中心で、参加者は数値を予想して資金をステークし、予測精度に応じて報酬を受け取ります。
今後はより幅広いユーザー層を集めていき、本格的に一般公開していくことが予想されています。
💬予測市場は定着する
最後は総括を考察です。
普段からニュースレターを呼んでいただいている方は重複になるかもしれませんが、個人的に分散型予測市場の領域に非常に大きな興味を持っています。
理由はユースケースとして一般社会に普及する可能性を秘めていると考えているからです。これからの世の中におけるインフラメディア機能の1つになると考えています。
SNS、マスメディア、ニッチメディアやニュースレター、これらは基本的にアテンションを集めてスポンサーでマネタイズするモデルです。このモデルはユーザーに無料でサービスを提供できる反面、アテンションを集める情報発信に最適化されます。
その結果、炎上系のネタや嘘ではないが過剰な反応を煽るネタが拡散されやすくなっています。また、直近のAIによってフェイクニュースが蔓延るような時代となりました。
情報発信の民主化が進んだ結果、情報の質が問われる事態となり、もはやユーザー自身が偏りなく本質的な情報を収集することは困難になりました。
その状況に対して、予測市場は1つの指針を提供します。ベッティングという仕組みによってお互いが本気で答えを予測し、1つの予測結果が数値で示されます。また、その予測に対しての意見も議論することで、あらゆるニュースに対して身銭を切った上での意見を確認することができます。
また、Trepaの場合はさらに踏み込んで正確な数値的な予測を求めるので、より参考になるサイトになる可能性があります。
また、それらの結果が蓄積していくことで、信頼ある予測をしている人を可視化することもできます。
今の世の中では、アナリストと呼ばれる人は好き勝手に今後の未来を予測できます。それらをベッティングして結果も明確に出るようになれば情報発信に対しての信頼度も増していくはずです。
100%の未来予測は不可能ですが、この先のメディアを考えた際に予測市場は間違いなく普及していくと考えており、関連プロジェクトで面白そうなものは積極的にリサーチをして記事化しています。今後も何かあれば記事にしていきます!
以上、「Trepa」のリサーチでした。
🔗参考リンク:HP / X
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