【factCheck】AIが正誤判定を行う分散型ファクトチェックプラットフォーム / Alliance DAOの支援を受ける / @factcheckdotfun
1週間無料公開|新しい予測市場の形になるか
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「factCheck」についてリサーチしました。
👁️factCheckとは?
👤ファウンダーと変遷
💬AIによる予測市場の可能性
🧵TL;DR
2025年3月ローンチの分散型ファクトチェック・プラットフォームで、ユーザーは「事実か偽か」をUSDCで賭けながらAI判定を待つ予測市場モデルを採用。
SolanaとBase上で動作し、Privyによるソーシャルログイン・カストディアルウォレット生成対応でガスフリー利用が可能。
取引方法はプール型のDPM(手数料2.5%)とオーダーブック型のCLOB(テイカー手数料0.5%・メイカー無料)を両立し、手数料45%を紹介者、5%をマーケット作成者、50%をトレジャリーに配分。
創業者はプリトヴィール・ジャヴェリ氏、開発元はLoch, Inc.。AllianceDAOのアクセラレーション(ALL14)を経て約45万ドル相当の支援を受けており、今後AI+人のハイブリッド判定による分散オラクルの可能性を探る。
👁️factCheckとは?
「factCheck」は、2025年3月に始動した分散型ファクトチェック・プラットフォームで、ブロックチェーン技術とAIを活用して誤情報と戦うことを目的としています。
Polymarketのような分散型予測市場のようなイメージで、それを少しアップデートした形のモデルを取っています。
基本的な概要はPolymarketと同様です。
ユーザーは事実に関するクレーム(主張)を作成したり、それに対して「真(Yes)か偽(No)か」を予測して資金を賭ける
基軸通貨はUSDC
チェーンはSolanaとBase
ログイン時にはPrivyによるソーシャルログインやカストディアルウォレット生成もサポートされている
ガスフリーで利用可能
最も大きく異なる点は「ファクトの判定方法」です。PolymarketではここにUMAオラクルというオラクルを利用して判定を行っています。
一方の「factCheck」はファクトの判定にAIを活用しています。
各マーケットには「Market Resolution」という欄が存在し、%表示されています。各参加者はUSDCでのベッティングと共に証拠を提出することが可能で、その証拠を元にAIがファクトを判定します。証拠が溜まり続け、AIがファクトチェックができると判断したら(90%以上に達したら)マーケットが終了し、正誤が確定します。
このようにランダムでマーケットが終了するため、価格操作などがしづらい設計になっています。また、もしユーザーがAIの出した結果に納得できない場合には、より強力な新たな証拠を揃えた上で同じ命題でマーケットを再作成(クローン)し、再度ファクトチェックに挑戦することもできます。
このように分散型予測市場の発想とその中で最も大きな課題であったオラクル問題をAIで解決しようとしています。
また、マーケットも今後ユーザーが自由に作成できるような構想のようで手数料率もそれを想定したものになっています。factcheckではパリミュチュエル方式(DPM)と中央指値注文帳(CLOB)という2つの取引方法がありますが、前者は2.5%、後者は0.5%の取引手数料が発生します。
この手数料収入の配分は、45%が紹介者(リファラル)、5%がマーケット作成者、残り50%がプロトコルの財務プール(トレジャリー)に蓄積される仕組みです。
マーケット作成者は自ら提供したファクトチェックのテーマによって報酬を得られ、紹介者はユーザー基盤拡大に貢献した対価を得られる形です。トレジャリーに蓄積された資金は、将来的にコミュニティ運営やトークン経済圏構築に活用される可能性があります。
👤ファウンダーと変遷
「factCheck」は2025年3月に始動したばかりのプラットフォームです。
創業者はプリトヴィール・ジャヴェリ(Prithvir Jhaveri)氏です。彼はデューク大学出身のシリアルアントレプレナーで、金融とAIのバックグラウンドを持ちます。JPモルガン・チェースでアナリストとして勤務した経歴や、AI企業でプロダクトマネージャーを務めた経験があり、シリコンバレーの著名なインキュベータ「Z Fellows」にも参加していた人物です。
社名はLoch, Inc.というスタートアップで、元々は暗号資産ポートフォリオ管理&分析ツール「Loch.one」というリアルタイムのオンチェーンデータ分析や資産追跡を行うプロダクトを開発していました。
2023-2024年頃まではLoch.oneに注力していましたが、その後ピボットし、新ブランドとしてfactCheck.funを立ち上げています。
投資家情報は不明ですが、2024年末〜2025年初頭に実施されたAllianceDAOの第14期アクセラレーションプログラム(ALL14)に採択され、約3ヶ月にわたるメンタリングおよび資金提供(通常$450kの出資条件)を受けています。
トークンの情報はまだ公開されていませんが、今後発行される可能性もあります。
💬AIによる予測市場の可能性
最後は総括と考察です。
以前から記事でも言及していましたが、個人的に予測市場のプロダクトが非常に好きで度々取り上げてきました。Polymarketはもちろん、新興プロダクトもリサーチしてきました。
やはり分散型予測市場は非常に大きな可能性を持っていると思いますし、今回のリサーチのプロダクト名の通り、現在のファクトチェック機能を持つと思います。
実際、Polymarketも実は大統領選の後もそこまでユーザーが減っていません。流石に全盛期のバブルは一度無くなりましたが、そこで全てのユーザーがいなくなるということはなく、継続的に利用するユーザーも多いです。
プロダクトはすでにPMFしていると言っても過言ではなく、規制の問題はありますが、今後より広がっていくと考えています。
その中で、やはり一番の問題はオラクルでした。実際にPolymarketもオラクルを操作されて一部の人に利益が偏ってしまったという攻撃にあったことがあります。ここをどのように分散型で解決するのかが予測市場の大きな課題です。
factCheckが面白いと思った理由はまさにここにあり、オラクルをAIで代替しようとしている点です。もしそれが可能であれば、オラクルの攻撃を受けることが少なくなります。
厳密にはAIが判断する提出する証拠によって攻撃を受けることはありそうですが、ここも客観的なウェブサーチなどを経るとAIが判断できるようになりそうではあります。
懸念はAIの判断の透明性(本当にAIがやっているのか、どのような判断軸なのか)なような気がします。ここを公開しないと透明性がありませんが、公開しすぎるとハックの対象になるような気もしてます。
なので、個人的には将来的には予測市場のオラクルはAIの判断と人の投票によるハイブリットな形のファクトチェックに落ち着いていくのではないかと予想しています。
その1つのユースケースとなっているfactCheckは今後本格的に稼働していくはずなので、楽しみに追いかけていきます!
以上、「factCheck」のリサーチでした。
🔗参考リンク:HP / X
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