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日本DAO協会、合同会社型DAO って何? / ゲスト @0xUYZ

​先日発表され話題となっている「日本DAO協会」そして日本式の「合同会社型DAO」とはなんなのか。

おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。

今日は「日本DAO協会」そして日本式の「合同会社型DAO」について、Unyteファウンダーで新しく設立された日本DAO協会のRep Holderも務めるUwaizumiさんに根掘り葉掘りお伺いしたインタビュー記事となります。

5月7日(火)にLive Video Podcastイベントにて公開取材を行ったので、その様子を動画で添付しています。”Transcript”を開くと分数毎のAIによる文字起こしが見れますので、ぜひそちらも活用しながらご覧ください。

以下、文章はインタビューの抜粋になります。(一部、抜粋や要約も含みますので、正確な表現は動画をご覧ください)


-まずは自己紹介をお願いします

改めまして、今DAO協会のRep Holderという運営メンバーを務めさせていただいてるUwaizumiと申します。

UnyteというDAOを立ち上げる人向けのツールを運営しており、最近は合同会社型DAOにも対応しているなど、DAOのことばかりをやっているオタクみたいな人間です。今日はよろしくお願いします。

-web3にハマったきっかけ、これまでのキャリアについても教えてください

一番最初にDAOに出会ったのは、大学生の頃なのでICバブルの頃、2018年に大学の研究で知ったのがきっかけです。

当時経済学部にいたんですが、そのゼミの活動が新しいものについての勉強を結構するゼミだったんですね。機械学習を勉強したり、ブロックチェーンを勉強する機会がありました。最初はすごいデータベースがあるらしい、くらいの認識でしたね、笑。

そこからしばらくはそんなに深入りすることはなかったのですが、2021年の社会人になってすぐの頃にまたNFTがすごく流行っており、より深く勉強をさせてもらうようになりました。

その過程ですごくのめり込んでいきました。その中で自分も当時いろいろなDAOに参加して活動していたのですが、DAOのインフラを作る基盤がないという印象を受けたので、自分たちでDAO向けのツールを作って、まずは今あるDAOのご支援をするという形でスタートさせました。

-DAO協会、合同会社型DAOについて教えてください

もちろんです。いろいろややこしい部分があるなと僕も思っていてそれを整理するために自社でもいろいろまとめているので、そのイラストを共有しながらお話させていただきます。

一番最初のきっかけとしては、自民党のweb3プロジェクトチームっていうところがあり、その方々が提言してくれてDAOが法人格を持って作れるようになりました。

最初、DAOっていう存在は日本にもたくさんありますし海外にもありましたが、それは法律的に認められた団体というよりは、任意で有志で集まってるものだよねっていう捉え方をされました。

難しい言い方をすると”権利能力なき社団”とか言ったりするんですけど、人が集まって何かの活動をする、でも会社とかではなく、ルールも特段決まってないような団体というのが元々の状態です。

一方で、日本においても世界においてもDAOという団体がたくさんたくさん出てきて、何がしらの枠組みっていうのを設定しないと、例えばお金を扱うにあたっても、悪いことをしたという場合に罰することができないんですね。

また、銀行口座作ったりとかもきないので、いい方でも悪いものでもあまり活動の幅が広くないという状態だったので、DAOに法人格あげましょうよということになりました。そこから我々も提案する立場ではいたんですけど、自民党の人がいろいろ連携をしながら、枠組みを作らしていただいて、それを提言してもらいました。

結果、DAO法というものが公布されまして4月22日に法人格を持ってDAOというものを作れるようになりましたというのが今の状況です。この法人格をもったDAOを合同会社型DAOと呼んでます。

-DAO協会は広くDAOを広げていくための組織という位置付けでしょうか?

おっしゃる通りです。例えば、この他にもDAOのルール作りに着手したいときに、業界団体として継続しての法律提言ができる団体が必要だよねというような意見が、自民党側から上がってきていてそれの受け皿になった団体です。

-なるほど。合同会社型DAOで出来るようになったことをもう少し具体的にお伺いしてもよろしいでしょうか。

ざっくり言うとこの三つです。

一つはDAO参加権のNFTを販売してお金を集めることができるようになりました。これまでは証券や株式などと同じものとしてNFT自体も該当しちゃう可能性があったのですが、これをDAOの参加権つまり社員であることを表す権利として販売をできるようにしましたっていうのが一つ目です。

二つ目が、それに関連する制約になるのですが、とはいえ、誰でもかれでもDAO参加券を販売していいよって言うよってことではなくて、DAO業務執行社員という難しい言い方をしてるんすけど、いわゆる会社でいう偉い人みたいなポジションが合同会社型DAOにも存在していて、その人たちだけが参加券NFTを販売しても良いということになっています。

三つ目が、この形を合同会社型として作ることができるようになりましたという話です。本当のネイティブなDAOと合同会社をある意味でがっちゃんこして、あくまで合同会社の一環としてDAO的な運営をできるようになりましたっていうのが、今回の法律の改正です。

なので、いわゆる完全無欠のDAOがいきなり出来るようになったわけではなくて、合同会社の運営の仕方をDAOっぽくできますよっていうのが第1回目の法改正でできるようなった範囲です。

-参加券NFTはFTではダメなのでしょうか?

正確にはいろんな制約があるんですけど、基本的にはNFTが一番安全です。FTでやっちゃうと怪しい部分が一部出てきますね。

-これまでも、例えばCryptoPunks買って限定コミュニティに参加するなどのことはできましたが、それとの違いはありますか?

これまでのような参加券NFTを買って限定コミュニティに参加したり、参加券NFTを二次流通することで値上がり益を獲得するなどの行為は同じようにできます。

そして、それとは別に合同会社の利益の一部を配当として受け取ることができるようになってます。本来的には会社は利益を作るための団体ですし、それを分配するための仕組みも既にあります。これを株式でも合同会社でも配当って呼んだりするんですけど、その得られた利益の一部を株式会社であれば株主であったり合同会社であればその社員さんに分配をしますっていうことはこれまでもできてたんですね。

これは、合同会社型DAOにおいても全く同じで、このDAOの参加券NFTを持ってる人が、合同会社の利益の一部を配当として受け取るということができるようになってます。一方で、現状の法律だと、NFTホルダーさんは、出資額つまり自分がNFTを買ったときの金額以上の配当が受けられないようにはなっています。

例えば、10万円でNFTを買って社員になった人は、得られる配当は10万円までにはなってます。こういう一部制約はあるんですけど、活動の利益の一部を受け取ることが出来るようになったのはDAO法でできるようになったところの一つです。

ただ、先ほど少し出てきた業務執行社員という人たちは配当の上限もなかったりはするので、この辺りを上手いこと設計をする必要があると認識はしてます。

-業務執行社員とはなんでしょうか?

NFTホルダーは参加券NFTを持っているので社員に該当し、業務執行社員は株式会社でいう株主とか取締役のように、その会社の責任を負う人たちになります。この人たちはNFTホルダーとはまた違う扱いになっていて、会社の中で代表っぽい扱いになり、登記上に住所氏名のが乗る人たちです。

ただ、その会社を代表してる以上、得られる便益も大きくなっていて、先ほどの配当の制限っていうのがなくなり、出資額に関係なく配当を受けられます。NFTホルダーは匿名で参加できる分、受けられる配当に限りがあるという形ですね。

-配当以外で普通に給料として支給することもできますか?

それは一般的な会社と同じようにできますね。業務執行社員に対しても、NFTホルダーの社員に対してもできます。結局はDAO次第になるのですが、配当だけのDAOもあれば、社員さんに活動に応じて給料を支払うって形も自由に設定できます。

その一つ外にトークンホルダーというカテゴリがあるので、その方達は社員とは少し違う扱いにはなります。

-このトークンホルダーはDAOが発行している別トークンのことでしょうか?

そうですね。bitFlyerの金光さんの分類がすごくわかりやすいので、引用して説明させていただきます。この3種類の区分が存在しており、一番外側のDAOメンバーが先ほど言ったトークンホルダーで、社員が参加券NFTホルダーで、業務執行社員は先ほど出てきた役割を担う人たちです。

トークンホルダーは出資はしていないけど参加しているような方々です。Discordに参加しているけどNFTを買っていない方のイメージです。この方々は法律的には社員ではありませんが、活動に応じてトークンを渡しておくことはできます。僕らはリワードトークンと呼んでいますが、社員とかに関係なく活動に応じてトークンを渡して、それを獲得することでなんらかの便益が得られます。

-社員証NFTって何枚でも発行して良いんですか?

金融庁のガイドラインでは100万枚以下であれば、直ちに証券には該当しませんという指針が出てるので、基本的に100万枚以下に抑えておくのが安全っていうな考え方です。それを超えちゃうと証券扱いになり、ライセンスが必要になったりするので、基本的に100万枚までです。100万人の社員がいたらすごいですけどね、笑。

-海外の人も参加券NFTを買えますか?

現行の法律だと厳しいという回答になります。日本の法律ではダメという記載にはなっていないのですが、海外の法律の中で配当を受け取るものがダメな場合があるので、国内に留めておいた方が良いと推奨しています。

-ただ、匿名なので正直誰が買ってるかわからないですよね?

結論わからないです。一応日本の法律で社員の方の氏名住所を記載はしなきゃいけないんですね。ただ、これを外部に閲覧できない場所に保管することで匿名性を担保しているので、理論上わからないままになります。

なので、DAO運営者は購入してもらうときに”海外の居住者ではない”みたいなチェックボックスを作って買ってもらう形の配慮は必要なのかなと思ってはいます。

-業務執行社員は随時入れ替わるイメージですか?

入れ替わりは可能ですが、業務執行社員は定款に氏名住所を含め記載をされてる人たちなので、追加したりとか逆に減らしたりする場合には登記が必要になります。

なので、任期を設定したり、リワードトークンの報酬として業務執行社員になることを設定することも可能ではあります。

-意地悪な質問ですが、社員証NFTを発行して投票した結果に対して、業務執行社員が従う義務はあるのでしょうか?

これ難しいですね。僕もなかなか正確なアドバイスをしかねるところは正直あるんですけど、一応法律上はあるはずです。善管注意義務とか言われたりしますけど、一般的に会社の役員とか重役とかを務める場合に存在する義務っていうのは、同じく業務執行社員にも発生はします。

-解任みたいなことも起こり得るのでしょうか?

十分起こり得ます。

定款というその会社のルールを定めているルールブックみたいなのを会社ごとに作らないといけないんですけど、その定款に記載をしておくものになります。例えば業務執行社員を任命するときには、社員の総会が必要になりますとか、社員の50%の同意が必要になりますとか、そういうルールを会社ごとに決める必要があるので、それに則って業務執行社員を決めたり、場合によっては辞めさせる、新しく増やすことが可能になります。

-NFT買ったけど活動参加しない人がいることでデットロックのようなことは起こり得るのでしょうか?

そうですね、設定次第では起こり得ます。

なので、基本的には重要な決議は業務執行社員の決議で決めようみたいなルールにしているところが多いはずです。デットロックされちゃう前提だと色々動かなくなっちゃうので、、。

-専門家の方に相談しながら作らないと全然ワークしないDAOになっちゃいそうですね、、。

そうですね、その辺りは我々も弁護士さんに聞きながら色々作っていますし、一緒にサポートもしています。

一方で、その辺りを吸収するのが協会の役割でもあると認識をしているので、協会としてその定款のガイドラインみたいなのを作ってたりします。

-海外のDAO法との違いはあるのでしょうか?

海外のDAO法も曖昧な部分もあるので、正直これが違いますみたいな大きな差分というのは僕らも出しにくいところはあるんですけど、まずそもそも日本の会社の枠組みに合わせて法律を作ってるので、合同会社に準拠いただく必要があるのが多分一番大きい違いです。

海外においての法人格の枠組みって多分株式会社と合同会社ってよりはLLCとかが有名ですが、日本に枠組みに沿った形の法人格になります。また、海外のDAO法はDAOという枠組みを認めるという位置付けであって、配当などの詳しい位置付けが整理されているわけではないと思います。なので、法人格で配当などを作ってDAOを運営できるのは日本が最速なのではないかと思います。

-今はもう作れるんでしたっけ?

そうですね、作れます。定款を作って法務局に持っていけばDAO法人ができます。

-すでに作られている、もしくは今後設立予定の具体的なユースケースはありますか?

設立時点で想定してたケースっていうのは、やっぱりその資産の共同保有とか、なにがしかプロジェクトを皆さんで共同して進めていくっていうようなケースでした。

具体的に言うと、シェアハウスとかはみんなでお金を出し合って、それで、その集めた出資金額っていうのを使って、物件を買ったり借りたりし収益が得られます。他にも生成AIの研究のためのDAOなど、様々な法人格が出来始めています。

これまでグレーだったことが綺麗になって運営しやすくなったっていうワードが一番言い得て妙な気がします。これまでは法人口座作ったり、物件などの資産を保有したり、契約巻くこともできず、結局運営者の株式会社などで、契約したり、信用に頼ってはいるところが多かったので、そこが綺麗になりました。

-今後の展望などはありますか?

今回第一弾で法改正はできたのですが、我々としてもこれが完全だと思っていないのでアジャイル式に法改正の提言をしていきたいと考えています。

具体的に直近で考えていることは「海外の人の巻き込み」と「配当の制限」です。この辺りの制約をいい感じに考えて提言をしていきたいと思っています。

また、協会としてDAOツール等のネガティブチェックをして認証することもしているので、詐欺等が起こらないように業界として認証していく活動も積極的にやっていきたいと考えています。

-僕らが意見を言いたいときはDiscordとかに参加したら良いのでしょうか?

はい、Discordでオープンに議論していますので、意見はいつでも歓迎しています。ぜひ一緒に政策提言をしていけると嬉しいです。

https://discord.com/invite/fer5RGSqY8

-ありがとうございます、とても勉強になりました。最後にお知らせなどございますか?

ありがとうございます。

僕らが運営しているUnyteでもこれからは合同会社型DAOの設立だったり運営に必要な機能っていうのをどんどん追加をしていきたいなと思ってます。

その一つとして、合同会社型DAOの立ち上げができるパッケージを作っていきたいなと思っていまして、その一つがこの「LLC Unyte」というやつです。ちょっとご紹介させてください。

具体的には、先ほどお話したNFTの販売とか、社員名簿の書き込みは結構ややこしいアクションが必要になるので、その辺りをギュッて一つのツールにまとめました。

NFT販売のためのNFTの新規発行とか、また販売のサイト立ち上げとかを我々の方でやってサポートしますっていうのがまず一つ目の機能です。NFTの販売もクレジットカードで出来るので、暗号資産やウォレットを持たなくても社員証NFTを購入してDAOに社員として参加できるようになります。

あとは定款の作成もできます。ユーザーの方でポチポチと、住所入力してもらえれば、あとはこっちで分散保有、管理ができるパッケージになっています。基本的に定款の書き換えは都度必要になったりするんですけど、我々のツール使ってもらえば書き換えておきます。

それらを含めて合同会社型DAOの設立に必要なパッケージを提供していこうと思ってております。

-めちゃめちゃありがたいですね。

ありがとうございます。今はDAOを立ち上げた後のツールを作って運営していますが、これからはその一番前段階の販売の部分も担えるようになっていくので、ぜひ合同会社型を立ち上げの検討されてる方は、こちらも見ていただけたら嬉しいなと思っております。

興味あればぜひXのDMとか、またはHPのお問い合わせから送っていただけたら、誠心誠意対応させていただきますので、何卒よろしくお願いします!

Uwaizumiさん X:https://x.com/0xUYZ
Unyte HP:https://unyte.team/

-本日はありがとうございました!勉強になりました!

はい、こちらこそありがとうございました!


«公式リンク»


免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。


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