おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日はpeaqというDePIN特化型L1ブロックチェーンが公開した「Robot Meney」というドキュメントについて解説します。
peaqとは?
Robot Meneyとは
ブロックチェーンはUBOを実現する
TL;DR
peaqは、IoT・ロボット・自動車・AIエージェントなどの“機械”がオンチェーンで経済活動するために設計された、DePIN特化型のL1ブロックチェーンです。
Purple Paper「Robot Money」では、機械が経済主体となる時代に向けて、チェーン横断で使える信頼基盤・ID・評判・サービス接続を提供する3層構造の中立インフラとしてpeaqを位置づけています。
最終的には、機械が生む価値を一部の企業に集中させず、人々に広く分配するUBO(Universal Basic Ownership)まで見据えたMachine Economyの実現を目指しています。
peaqとは?
DePIN特化型L1ブロックチェーンのpeaqは2026年3月18日に「Purple Paper」として「Robot Meney」という記事を投稿しました。
peaqが採用した「Purple Paper」という名称は、ビジョンの青(Blue)と技術の赤(Red)を混合した紫(Purple)として、ビジョン文書と技術仕様書の双方を兼ねるハイブリッド・ドキュメントを意味しています。
この「Purple Paper」にはpeaqが構想する「$100兆規模のMachine Economy」の設計図が描かれており、今後のブロックチェーンとマシン経済の交差点を考える良い記事になると感じたので、取り上げて解説することにしました。
◼️peaqとは
まず初めに前提となるpeaqについて簡単に解説します。
peaqは、DePINに特化して設計されたL1ブロックチェーンです。Polkadot SDKをベースに構築されており、IoTデバイスや自動車、ロボット、エネルギー機器など”機械”がオンチェーンで経済活動を行うための基盤、いわゆる「Machine Economy」を実現することを目的としています。
技術的な特徴として、EVMとWASMのDual VMをネイティブサポートするため、SolidityでもRustでも開発可能で、Universal Machine Functionsと呼ばれる11種のモジュール群(マシンID、オンチェーン決済、データ検証、タイムスタンプ等)をプロトコルレベルで提供しており、DePINプロジェクトがバックエンドをゼロから実装せずに済む設計になっています。
トークノミクスはディスインフレーション型で、初年度インフレ率3.5%から毎年逓減されていきます。また、新規発行の一部がマシンのオンボーディング補助金として直接使われる仕組みも搭載しています。
具体的には、新規発行トークンとトランザクション手数料が以下のように分配されます。
バリデータ&デリゲーター報酬:40%— NPoSステーキング報酬(APY約7〜12%)
セキュリティ・トレジャリー:10% — Polkadot Coretime購入等
ジェネラル・トレジャリー:25% — エコシステム運営・R&D
DePINインセンティブプール:20% — DePINプロジェクトの拡張インセンティブ・流動性支援
マシン・サブシディゼーション・プール:5% — 収益を生むマシンのオンボーディング補助
このプロトコルレベルでのマシンオンボーディング補助金は他のL1には存在しない設計です。さらに2025年6月にMachineX DEXと呼ばれるDEXをリリースしており、このスワップ手数料の1%もこれらプールに還流する構造で、「マシン増加→取引増加→手数料増加→補助金増加→さらなるマシン増加」というフライホイール効果を狙っています。
また、2025年12月のアップデートでは、これらプールが5つの目的別プール(ジェネラル、セキュリティ、マシンオンボーディング、マシンインセンティブ、ヒューマン・セントリック)に細分化され明確化されました。最後の「ヒューマン・セントリック・プール」はマシン利用で生じた収益をコミュニティに再分配する仕組みであり、peaqの「Universal Basic Ownership(UBO)」ビジョンの実装基盤となる予定です。
2024年11月のメインネット以降、60以上のDePINプロジェクト・330万台超のデバイスが接続しており、UAEではDubai VARAとの協定のもと、世界初のMachine Economy Free Zoneも立ち上がっており、規制面でのポジション取りも果たしています。
そんなpeaqが発表した「Purple Paper」になります。
Robot Meneyとは
以下、本文の流れに沿って簡単に解説していきます。
◼️機械が経済主体になる
論文は一つの問いから始まります。「ロボットや自律走行車、AIエージェントはすでに価値を生み出している。しかし彼らはまだ、その価値を自由に保有・移動・運用できない。ボトルネックはもはや知能ではなく、経済的自由だ」と断言しています。
これを解くカギとなる概念が「Robot Money」です。
機械が自律的にあらゆるチェーンをまたいで使う交換手段・価値尺度・決済手段の総称であり、その規模の指標としてmGDP(Machine Gross Domestic Product)という新たな経済指標も提唱しています。
AIエージェントや物理的なロボット・センサーが国境も業種も超えて稼ぎ・取引・支出する経済、それが「Machine Economy」です。
◼️現状のweb3は機械に対して失敗している
Ethereum、Solana、Avalancheなど各チェーンは自前のマシンインフラを孤立して構築しており、あるチェーンにオンボードされた機械は他のチェーンからは見えません。HivemapperはドラレコをHeliumはホットスポットをそれぞれ独自方式で登録し、インフラをゼロから再構築しています。
この問題の本質は「各チェーンが間違ったレイヤーへ競争している」点にあると指摘しています。機械を特定チェーンに縛り付ける競争が続けば、mGDPは一握りの企業に集中します。web3がこの問題を解決しなければ、機械は中央集権的なプラットフォームへ流れていくと警鐘を鳴らしています。
◼️peaqの答え:3層構造の中立インフラ
peaqはこの課題に対し、特定チェーンに依存しない中立的なコーディネーション層として設計されていおり、技術的には3つのレイヤーで構成されます。
Trust Layerはすべての基盤で、全チェーンをまたいだ機械の信頼基盤を提供します。ステーク資本で担保された評判スコアによって、どのチェーン上でも機械の信頼性が検証できます。
Machine Layer(peaqOS)は機械の統一エントリーポイントで、1回のインテグレーションで機械は全チェーンに同時に経済主体として存在できます。
Service Layerはコンピュートやストレージ、保険、マネーマーケットをオープンなアダプター経由で接続し、機械がどこからでも最適なサービスにアクセスできる環境を作ります。
評判スコアには独自の数式が用いられており、ステーク量・過去の履行履歴・製造者や所有者の信頼度の継承という3要素で算出されます。
重要なのは「自己申告ではなく、ステーク資本による経済的裏付けがある」点であり、不誠実な行動はステークのスラッシュによって経済的に非合理になる設計になっています。
この設計の特徴は「価値は実行レイヤーではなく、コーディネーション(信頼)レイヤーに蓄積する」という点にあります。
機械がトラストティアサービスを使うには$PEAQをボンディングする必要があり、参加している間はロックされ続けます。トランザクション量ではなく参加マシン数に比例してトークン需要が生まれる構造で、機械が増えるほど流通供給量が減る設計になっています。
◼️実績とビジョン
peaqは2026年3月時点で330万台超のマシンがオンボード済み、2億件超のトランザクションを処理しています。Bosch・Deutsche Telekom・ルフトハンザといった機関も参画しており、香港では世界初の収益を生むロボット(垂直農場)のトークン化も実現しました
最後に展望として提示されるのがUBO(Universal Basic Ownership)です。機械トランザクションのマイクロフィーをプールに集め、生体認証で検証されたすべての人間に直接分配する仕組みで、政府や中間業者を介さないピアツーピアの収入保障を構想する。「自動化が雇用を奪う」のではなく、「機械が生み出す価値が全員に届く」世界、それがpeaqの言う「Age of Abundance」です。
以上が簡単な解説です。
当然、peaqという1プロジェクトのビジョンを示したものなのでポジショントークも含まれると思いますが、マシンエコノミーに対しての課題と解決策の方向性、最終的にどんなビジョンが実現するのかという示唆になるのではないかと思います。
また、元の記事ではより長くpeaqの設計についても触れられているので気になる方はぜひ読んでみてください。
ブロックチェーンはUBOを実現する
最後は総括と考察です。
フィジカルAI、AIエージェントエコノミー、マシンエコノミーなど、次世代経済圏が幾つかの単語で語られます。すでにAIエージェントエコノミーには突入しつつあり、この次にはフィジカルAIやマシンエコノミーの時代に変化していくはずです。
これらは地続きであり、AIエージェントが機械の体を持つとマシンエコノミーと言われたりもするので、明確な区分は難しいところです。ただ、いずれもブロックチェーンが経済及びID基盤になっていく方向性になると考えています。
そして、個人的にはUBOの実現に向かうのではないかと考えています。
一般的に聞き馴染みのある言葉はUBIだと思います。いわゆるベーシックインカムですね。これに対してUBOは所有権の分散であり、それに伴う資産の分散です。
この所有権の分散はブロックチェーンが当初から掲げていたものですが、あまりうまくいっていません。RWA等では一定うまくいっているので、その延長線上にマシンの分散所有が存在します。
これが実現していくとまさにpeaqが提唱していたように機械が働き、人間がその報酬を獲得するという世界が実現します。
この辺の世界観はかなり注目していて、僕自身最近バーチャルヒューマンの会社に参画したのですが、実は同じようなことを思っていたりします。
マシンではありませんが、バーチャルヒューマンが自律的に働き、その所有権を分散することで資産も分散するという発想です。これまではIPとしての収益分配が多かったと思うのですが、AIエージェント時代はAI従業員のように特定の役務をこなすことが可能になるので、IP価値にプラスして機能的価値も加えることで、UBOのような世界線が実現できるのではないかと考えました。
少し時間はかかるかもしれませんが、この辺を考えながら次世代のトレンドとブロックチェーンの交差点で何らかのユースケースを作っていきたいと思います。
以上、peaqの提唱するRobot Moneyペーパーの解説でした!
参考記事:Robot Money
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