【dappOS】インテント実行ネットワーク / AAウォレット基盤とインテントネットワークを提供 / シリーズAで1,530万ドルを調達 / @dappOS_com
2025年から始まるマスアダプションの基盤となり得るプロトコル
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「dappOS」についてリサーチしました。
«目次»
🟢概要|dappOSとは?
⚙️機能|ウォレット及びSDKを提供
🏗️仕組み|基盤となるアカウントとネットワーク
💡変遷と展望|資金調達を経て徐々に分散化へ
💬考察|AAとインテントの普及は2025年から
🟢概要|dappOSとは?
「dappOS」は、チェーンとdAppがインテント中心になるようにするインテント実行ネットワークです。
次の10億人のユーザーをweb3に参加させるには、UXが非常に重要です。現状のweb3におけるUXの課題は主に以下の2つです。
EOAを中心としたウォレット体験
チェーンを跨いだ複雑なワークフロー
よく言及される2つです。前者はシードフレーズの管理を自身で行う必要があり、一定のリテラシーを学習しなければウォレットを使いこなすことができません。後者は取引の際にチェーン間のブリッジやスワップを経る必要があり、実施したいアクションに対して例えば5つのトランザクションを実施しなければいけないことがザラにあります。
「dappOS」を利用することで、これらの問題を解決しユーザーはWeb2のモバイルアプリのような体験を享受することが可能になります。
その基盤となるのは、「AAを活用したウォレット基盤」と「チェーン間のトランザクションを簡単にする分散型ネットワーク」です。「dappOS」を利用することでユーザーはコントラクトウォレットを作成し、「dappOS」に指示を出すだけでチェーン間をまたぐトランザクションでも簡単に実行できます。ユーザーは1度の署名だけでトランザクションが完了します。
そもそも「インテント」がこのような概念です。「dappOS」は「インテント実行ネットワーク」と表現しているように、端的に言えば「インテント」を実現する基盤です。「インテント」とはUXを簡易化し1つのトランザクションでプロトコルやチェーンでの裏側の処理を全て実施してくれる概念です。
例えば、ユーザーがAトークンをBトークンにスワップしたいとします。この際、別にUniswapでも1inchでもどこでスワップしても構いません。ユーザーニーズは”AからBへ出来るだけガス代が安く交換したい”です。インテントはこのニーズを入力してもらうことで、裏側の処理を自動で比較実行します。
単純に非常に便利そうですよね。かなり注目が集まっている分野ですが、1つの欠点があります。それはEOAベースのウォレットだとインテントに起点になることが難しい点です(全てがそうではありませんが)。
詳細説明は省きますが、インテントを実行するにはある種トランザクションの権利を代行する必要があるので、トランザクションの起点となるウォレットからその指示を受け取る必要があります。EOAはスマートコントラクトの外にウォレットがあるので、複雑な指示を出すことはできません。よって、インテントの普及とAAによるコントラクトウォレットの普及はセットで語られることが多いです。
なので、「dappOS」もコントラクトウォレットとインテントを実現する分散型ネットワークの両方を構築しています。
⚙️機能|ウォレット及びSDKを提供
「dappOS」はチェーンとdAppがインテント中心になるようにするインテント実行ネットワークですので、基本的にはSDKをdAppに提供してあらゆるdAppの基盤となります。
すでに20以上のプロジェクトに導入されており、1.5Mのトランザクションを実行しました。利用しているのはdAppsもあればブロックチェーンやインフラストラクチャーもあります。
また、ユーザーがそのまま利用できるようなウォレットも提供しています。画面ではあらゆるチェーンの資産が一覧で管理でき、連携dAppとシームレスに繋がり1つのトランザクションであらゆる取引を実施できます。
🏗️仕組み|基盤となるアカウントとネットワーク
その仕組みについても簡単に解説します。基盤となるのは上述した通り「AAを利用したウォレット基盤(dappOSアカウント)」と「チェーン間のトランザクションを簡単にする分散型ネットワーク(dappOSネットワーク)」です。
まず「dappOSアカウント」について解説します。
◼️dappOSアカウント
「dappOS」では、ユーザーは通常のEOAではなく、コントラクトベースのアカウントを使用します。これらは仮想ウォレットと呼ばれます。「dappOS」はユーザーが新しいチェーンを初めて操作するときに、ユーザー用の仮想ウォレットを自動的に作成します。仮想ウォレットは、異なるチェーン上の異なるユーザーに対して固有です。
コントラクトベースのウォレットを使用すると、サードパーティのノードがユーザーとパブリック チェーンのやり取りを支援することや任意の資産を使用してガス料金を支払うことができます。同時に、これらのウォレットは、新しいコントラクトをデプロイすることなくバッチ処理をサポートします。
回復方法もシードフレーズに依存せず、「dappOS」では3つのパターンでの回復方法を提供します。
他のデバイス経由でリセットする
ユーザーが機能秘密キーを日常使用の共通端末 (携帯電話など) に保存し、ガーディアン秘密キーを未使用のデバイス (コンピューターなど) に保存する。ユーザーが機能秘密鍵をリセットまたは取得すると、仮想ウォレットのコントラクトがガーディアン秘密鍵からの署名を正常に検証され新しい機能秘密鍵が生成される。集中組織によるリセット
ユーザーはガーディアン秘密鍵をiCloud、AWS、GCP、その他のクラウド ストレージサーバーなどの信頼できる集中管理機関に保存できる。DKIMに基づいて電子メールでリセット
ユーザーが保護者メールを設定して、Domain Keys Identified Mail (DKIM) 経由でリセット要求を検証できるようにサポート。ユーザーは、事前に設定されたガーディアン電子メール アカウントから電子メールを送信するだけで、マスター キーをリセットできる。
◼️dappOSネットワーク
さまざまなチェーンで dappOSアカウントを使用するシームレスなユーザー エクスペリエンスを提供するように設計されています。
ネットワークはDPOSコンセンサスを採用しており、「Super node」と「Server node」の2種類が存在します。「Super node」はユーザーから命令を受け、その命令を「Server node」委任し、「Server node」の不正行為を罰します。「Server node」は「Super node」から注文を受け取り、それを実行することで利益を獲得します。
お互いに監視し合うことで適切なトランザクションが実施されるように分散型のネットワークを構築しています。尚、トークンをステークして上位 21 位に入ることで「Super node」になることができます。
💡変遷と展望|資金調達を経て徐々に分散化へ
前述したように「インテント」や「AA」は非常に注目を集めていますが、まだUXの主流になるには至っていません。「dappOS」も上述した構想を実現する最終にいます。
現在はPoCのような段階で実施されており、今後各ノードの分散化やトークン発行によるトケノミクス・ガバナンスの設計が実施されていきます。
また、今後の構想として非常に面白いそうな取り組みとして「ミニプログラムプラットフォーム」のローンチが掲げられていました。これはおそらくスマホ上であらゆるプロトコルやdAppsをミニアプリとして利用できるプラットフォームで、AA基盤ウォレットとインテントのネットワークを実装しているため、非常に使いやすいUXでweb3を体験できるサービスになると考えられます。近日公開と書かれていたので、こちらも楽しみです。
これまでの変遷としては、「dappOS」は、2022年12月にバイナンス インキュベーション プログラム シーズン 5 に採択されました。その後の2023年7月に、バイナンス ラボ、セコイア チャイナなどからシードラウンド投資を受けました。
そして、2024年3月28日にPolychain主導のシリーズAラウンドで3億ドルの評価額で 1,530 万ドルを調達しました。
💬考察|AAとインテントの普及は2025年から
最後は考察です。
「dappOS」非常に面白いプロジェクトでした。まさに現状言われている課題とそれに対する解決策を体現したプロジェクトです。
個人的な感覚としては「AA」も「インテント」もweb3のマスアダプションにおける主役級の技術になることは間違いないと考えていますが、もう少し時間がかかるのではないかと考えています。2024年にもう少し技術開発が進み、2025年の後半あたりからキラーアプリケーションとして登場してマスに広がっていく予感がします。
加えて、最近のweb3業界を見ていると、2024年に春の時代が到来しつつありますが、今年はまだマスユーザーに広がる起爆剤の年にはならないような予感がしており、今年の仮説検証と火種をもとに2025年からいよいよマスアダプションの幕開けになると思っています。
やはりまだ技術革新が足りていないのと、一般ユーザーに対する最適なユーザー体験の模索、ユースケースの探求が終了していません。一般ユーザーも利用するプロダクトの形に落とし込まれて普通に使われ始めるキラーアプリが2025年頃から生まれていきそうです。
その意味では、それらのキラーアプリの基盤となる「dappOS」のようなプロトコルはかなり重要な存在です。「dappOS」ウォレットの基盤でもあり、インテントの体験を実装する基盤でもあるので、マス向けアプリケーションを作成するには利用することがほぼ必須となります。
web3業界の動向もですが、その基盤となりそうな「dappOS」、特に「ミニプログラムプラットフォーム」は非常に使い勝手が良さそうなサービスだと感じたので、引き続き動向を追いかけていきます。
以上、「dappOS」のリサーチでした。
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