【HanaNetwork】全てのブロックチェーンに秘匿化を提供するLayer0チェーン
「HanaNetwork」ファウンダーの花坂さんにインタビューさせていただきました。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「HanaNetwork」ファウンダーの花坂さんにインタビューさせていただき、その概要から展望までをお伺いしました。
«目次»
1、まずは「HanaNetwork」について教えてください
- 既存ソリューションとの違いは?
- 具体的なプロダクトは?
- どのようなポジショニング?
- 情報の透明性はブロックチェーンの大きなメリットの1つだが、秘匿化するデメリットやリスクについてはどう考えているか?
2、なぜHanaNetworkを設立することになったのでしょうか?
- ドバイを選んだ理由はありますか?
- トルネードキャッシュの事例などを見て、プライバシー領域でプロダクトを作ることに怖さはありませんか?
3、最後に展望を教えてください
- まずは「HanaNetwork」について教えてください
HanaNetworkは”Layer0 for privacy”をコンセプトに、既存のブロックチェーンにおける秘匿化を提供するサービスです。
現在、ETHやBNBなどの全てのブロックチェーンで透明性のある取引が行われており、それがブロックチェーンの良さでもありますが、問題も存在します。
それは企業がブロックチェーンに参加する時に資産やデータなどの公開したくない情報まで見えてしまう問題です。結果、透明性が大企業がブロックチェーンで参加する時の障壁になってしまっています。
HanaNetworkは全てのブロックチェーンとの接続や、情報の秘匿化でこれらを解決します。
- 既存ソリューションとの違いは?
既存のチェーンにおける秘匿化を実現するプロジェクトは他にも何個かありますが、それらのプロジェクトは大きく3つの課題を抱えています。
閉じたエコシステム
規制やマネーロンダリングの問題
高価なガス代と複雑なUX
オンチェーンプライバシーを既存チェーンに提供
HanaNetworkは既存チェーンと連携しながらエコシステムを作り、そのエコシステムに秘匿化を提供します。
規制に準拠した秘匿化
HanaNetworkには特定の機能により、ユーザー自身で特定の出金がどの預金から行われたかを示す証拠を作成できます。さらに、ユーザーが情報開示せずとも、違法な資金から自身が関わってない事を示す機能も検討しています。
簡単なUX
HanaNetworkでは誰でも利用できるような簡潔で簡単なUXを提供します。
UX野でも機能については近日公開予定です。
- 具体的なプロダクトは?
大きく2種類のプロダクトを提供しています。
①一般ユーザー向けウォレットやクロスチェーンスワップ機能
秘匿化されたクロスチェーンスワップができたり、決済サービスなどと連携したウォレットを提供します。
②エンタープライズ向けプライバシーソリューションの提供
HanaNetworkのSDKを利用することで、既存のアプリケーションがプライバシーウォレットを作ることができます。これによって、ゲーム会社や銀行等のWeb2の大企業と連携することができ、既存のクリプトコミュニティを超えて大きなエコシステムが作れます。
- どのようなポジショニング?
HanaNetwork上には、Layer0のポジションのブロックチェーンが存在します。Layer0はHanaNetworkが独自で定義した言葉ですが、全てのチェーンの根本レイヤーとして存在しています。
1つ例を挙げると、HanaNetworkを介してETHや各企業の独自チェーン上でプライバシーDappsを作るといった形で利用されていくと考えています。
- 情報の透明性はブロックチェーンの大きなメリットの1つだが、秘匿化するデメリットやリスクについてはどう考えているか?
秘匿化すると送金履歴を完全に隠せるが故にトルネードキャッシュのようにマネーロンダリングでの悪用リスクが発生します。一方で送金履歴が全て見えるせいで、先述したようにブロックチェーンを使えないプレイヤーがいるのは事実です。なので私達は「プライバシーのオプション」を提供しようとしています。
パブリックとプライベートの両方を選べるようにして、透明性であるべきだ、隠されてあるべきだという1つだけの主張ではなく、両方の権利があることが大切だと考えています。
Viewing Keyなどを用いて、マネーロンダリング対策をしながらパブリックチェーン上でサービス運用することが可能になります。
あとは、現実的に考えた時に、現在クリプトを使っているのは数百万人しかおらず、これから大企業が参入してきた時にプライバシーが必要だという議論は必ず生まれると考えています。
これらの企業は法律や規制に準じたチェーンを活用しようとするとパブリックチェーンを作るのではなく、プライベートチェーンを作らざるを得ない現実があります。
ですが、プライベートチェーンでも相互運用性やコンポーザビリティが求められ、プライベートチェーン間のスワップが求められるようになっていくと考えています。
そうなった際に、最初からパブリックチェーンと連携した上でプライバシーウォレットやDappsを構築できるHanaNetworkが求められるようになると考えています。
- なぜHanaNetworkを設立することになったのでしょうか?
2021年頃からクリプト周りで事業を作っていましたが、その時から”10年後に残るような当たり前の根幹を作りたい”という気持ちが常にありました。
まず日本でクリプトが当たり前になるにはステーブルコインが必要だと思い、その周辺サービスを作っていました。
ですが、日本ではマーケットが小ささと規制が遅いため、もっと大きな市場で挑戦するために外に出て勝負することを決めました。
そして、10年後、多くの企業やユーザーが参加してクリプトがさらに使われるようになったときに秘匿化の領域は必須になるが敬遠されがちだと考え、この領域に絞りました。
現在はドバイにいますが、10年後に必要なるが、皆が今はやりたいと思わないものを作るという気持ちは変わっておらず、コツコツと作っています。
- ドバイを選んだ理由はありますか?
規制や税制に関してとても柔軟で、暗号通貨の採用率や保有者が世界一の場所を拠点にすることで、様々な知見や人と出会えると考えたからです。クリプト業界で2022年に海外に移る組はほぼドバイ一択だったように思います。
ただ、プライバシーの領域は自国通貨が安定していない新興国から需要が高まっていくと考えているので、今後は新興国での活動も増やしたいです。戦争や紛争地域にいるような人々こそ、プライバシーを求めていると考えています。
- トルネードキャッシュの事例などを見て、プライバシー領域でプロダクトを作ることに怖さはありませんか?
少数派の時には既存勢力からの圧力はあると思いますが、多数派になった時には風向きが変わります。日本でステーブルコイン系のサービスを作っていたときも最初は否定的な人が多かったですが、徐々に風向きが変わっていきました。
HanaNetworkを始めとして、プライバシー領域のソリューションはこの先、必ず必要になることはわかっているので、長期では風向きが変わると思うので、その未来がきた時にHanaNetworkが使われるようにユースケース実例を揃えていきたいです。
- 最後に展望を教えてください。
まずはテストネットで来年にリリースします。そこから新興国を中心に決済サービスと連携してHanaNetworkを広げていきます。
中長期では、現在クリプトに関わっていない企業さんと連携してネットワーク効果を高めていき、秘匿化エコシステムを築いていきます。
最終的には誰も中央集権的な人がいない秘匿化ハブとしての存在を確立していきます。
- ありがとうございました!!
はい!こちらこそインタビューしていただき、ありがとうございました!
«編集後記 by mitsui»
印象に残ったのは「10年後に必ず必要となるものを作る」という信念でした。
YCombinatorの教えの1つに、優れた起業アイディアの考えるには「未来を生き、欠けているものを作れ」という言葉があります。その中で、どれだけ長い時間軸にコミットできるのかで大きな成功を掴めるか否かが決まります。もちろん、長い時間軸を予想することは非常に難しいですし、その間に会社自体を存続させることも困難です。
クリプトの世界はまだまだ黎明期ですが、ブロックチェーンがこの先数十年のインフラになっていくことは間違いないと思っています。その中で、「Layer 0 for privacy」というポジショニングは非常に面白く、10年後の未来で足りていないと感じる存在でした。
プロダクトだけでなく、その背景にある信念も刺激となるインタビューでした!ご協力いただいた花坂さん、ありがとうございました!!
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