おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
毎週土日の昼にはweb3の基礎レポートをお送りしていましたが、少し派生して1つ1つの「単語」解説記事を更新してみます。各記事をサクッと読めるような文量にして、改めて振り返れる、また勉強できるような記事を目指していきます。
本日は「BridgeとSwap」です。
ぜひ最後までご覧ください!
1. 導入
2. Swapとは何か
3. Bridgeとは何か
4. なぜ混同されるのか:クロスチェーン集約の時代
5. まとめ:本質的な違いと未来への示唆
1. 導入
「EthereumのUSDCをArbitrumに送った」こう言う人は多いです。でも、実際には同じUSDCではありません。UI上は銀行の振込のように見えますが、その仕組みはまったく異なるのです。
ブロックチェーンを使い始めた初心者は、Bridge(ブリッジ)とSwap(スワップ)を混同しやすいです。どちらも「資産を別の形に変える」ように見えるからです。しかし、技術的には全く別のプロセスです。この違いを理解することは、DeFi利用者にとって必須の知識となります。
ただし、この混同は無理もありません。最新のクロスチェーンプロトコルの多くは、BridgeとSwapを同時に実行する「複合型インターフェース」を提供しています。ユーザーは1つのボタンをクリックするだけで、複数のチェーンにまたがった複雑な処理が自動実行されます。その背後で何が起こっているのか、理解している人は実は少ないです。
本記事では、BridgeとSwapの本質的な違いを、具体例を交えて詳しく解説します。
2. Swapとは何か
Swapは、同一ブロックチェーン内での資産交換です。例えば、Ethereum上でETHをUSDCに交換する場合、これはSwapに該当します。銀行の両替を思い浮かべるとわかりやすいです。同じ支店内で、ドルをユーロに交換するようなものです。
Swapの仕組み:AMMとは何か
Swapは主にDEXで実行されます。DEXの多くはAMMという革新的な仕組みを採用しています。従来の中央集約型の取引所(CEX)では、買い手と売り手のマッチングに人間のマーケットメイカーが関与していました。しかし、AMMはこれをスマートコントラクトで自動化したのです。
最も有名な公式が「x*y=k」です。ここで、xはETHの流動性プール、yはUSDCの流動性プール、kは定数を意味します。例えば、Uniswap V2のETH/USDCペアに、1,000 ETHと200万 USDCが預けられていたとしましょう。この場合、x=1,000、y=2,000,000、k=2,000,000,000となります。
誰かが100 ETHをUSDCに交換したい場合、その100 ETHはプールに追加されます。x*y=kの公式を保つために、y(USDC)の量を減らさなければなりません。計算すると、(1,000+100) × y = 2,000,000,000となり、y ≈ 1,818,181.82となります。
つまり、181,818円のUSDCが減少し、ユーザーはこの量のUSDCを受け取ります。この時、100 ETHの価値に対して181,818 USDCという不利なレート(スリッページ)が発生しています。流動性プールが小さいほど、この不利さは大きくなります。
Swapの特徴と利点
Swapの重要なポイントは、チェーンは跨がないということです。Ethereum上の資産は、Ethereum上で別の資産に変わるだけです。技術的には、ユーザーのウォレットからDEXスマートコントラクトへトークンを承認(Approve)し、DEXが指定された量の別のトークンをウォレットに返却します。この過程で、複雑なクロスチェーン検証は不要です。
そのため、処理は非常に高速で、通常は数秒以内に完了します。ガス代も比較的安く、Ethereumなら10~100ドル程度で済むことがほとんどです。さらに、流動性プールさえあれば、ほぼあらゆるトークンペアの交換が可能です。これが、DeFiの柔軟性と効率性を実現する基礎となっているのです。
3. Bridgeとは何か
Bridgeは、異なるブロックチェーン間での資産移動を実現する仕組みです。「移動」と表現しましたが、実際には資産は動いていません。その真実は「ロック&ミント構造」にあります。これはDeFiにおいて最も誤解されやすい概念の一つです。




