おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は昨日したこのツイートの反応が良かったので、その深堀りです。
人は想像よりも受動的
今回のブログはかなり自分の感覚が強めで、特に着地のないブログですが、思考の整理と問題意識の共有になります。何かしら伝わるものがあれば嬉しいです。
いつも「web3のマスアダプションの果たし方」について考えています。どのようにブロックチェーンは社会実装されているのか、です。
で、現在はウォレット作るの大変だし、暗号資産買うのも大変だし、ガス代もかかるし、快適なUXを作ることができないから仕方ないよね、もう少し技術の成熟を待つしかない、と考えていました。
これはある程度は真理だと思っているのですが、一方で少し勉強すれば今でも普通に使えるようになるのにな、とも思い始めました。(現状のweb3のプロジェクトは毎日の日常生活が便利になるような問題解決のサービスはあまりないので、そういった意味で利用しないのはわかります。)
この辺をさらに深く考えていくと、人は想像よりも受動的で、想像よりも勉強することに億劫だという仮説に行きつきました。
例えば、スマホの料金も格安SIMにすればほぼ全く同じ性能で毎月5,000円安くなるケースも多々あります。電気代や水道代など、他にもそういったものは数多く存在すると思いますが、多くの人は乗り換えません。それはなんか怖いという感情と、勉強しないからだと思ってます。
昔、とあるデザイナーの人に聞きましたが、日本人はUXに対しての学習ハードルが高いから極めて簡単なものにしないといけない。海外は優れたサービスが出たら自発的に学習するから新しくて洗練されたUXが次々生まれる、みたいなことを言ってました。
これも一括りにはできませんが、確かに海外サービスを見るとUIからイケてるサービスが非常に多いです。Slack、Notion、Discordなど、なんかカッコいいから使いたいとすら思います。
何が言いたいのかというと、「”便利になれば使うようになる”は違うんじゃないか」ということです。
アルゴリズム全盛でさらに加速
そして、さらにこの時代は加速します。
この波を牽引するのはTikTokです。もはや自分で検索してタップするのすらめんどくさくなった人に対して、自動で動画を見せ続けます。
優れたプロダクトは人間の習慣を変え、習慣が変われば徐々に思考も変化していきます。
人に検索させない、思考させないというアルゴリズムとレコメンドが全盛期になった時代において、パーソナライズされたレコメンドだけの情報を取得し、主体的に情報を探しにいくことが極端に少なくなるはずです。
そうなると、情報の分断はさらに加速し、何かを主体的に勉強して使いこなすハードルはどんどん上がり続けるのではないかと感じます。
僕はNFTやDAOはかなり主体的な活動だと思っていて、自ら勉強して使いこなせる人には革命的な体験をもたらしますが、特に何も知らず勉強しない人にとっては、今までと何も変わらないように感じます。
正直、個人のデータをGAFAが収集してても別に良い人が大半だと思います。広告うざいなーとかは感じるかもしれませんが、自分に合った広告なら歓迎だし、SNSが完全に普及した現代では広告が入るタイムラインに慣れているので、そこまでノイズではなくなってきています。
その習慣の中で、至る所でNFTを配布してトークングラフでパーソナライズされる広告になることは、ユーザーからすれば今と変わらずどっちでも良いです。なので、これは国家主導のルールメイキングで広告に規制が入った後のソリューションとしてweb3が活用されるという順番だと思います。
受動的なweb3と主体的なweb3
じゃあweb3は一生普及しないのかと言われると、web3の未来を信じるものとしてはそんなことはないと考えています。但し、その形を模索する必要があると考えています。
現在のようにPFP買って、DAOに参加して、DeFiで運用して、みたいな主体的なweb3は間違いなく残りますし、今クリプトにハマってる僕らみたいな人たちにとってのエンタメとして進化し続けると思います。ただ、これは主体的なweb3です。一般の人がみんなPFP買って、どこかのDAOに参加して、、みたいな世界はやっぱりまだ想像できません。それより韓国ドラマやポケカの方がエンタメとして楽しいはずです。
となると、受動的なweb3を模索する必要があります。何も意識しなくても、web3の恩恵を受け続けられるという仕組みです。(個人的には1つ仮説があって、それをグリーンダオを通して実現してみたいなと思っていますが、まだふんわりしているのでまたの機会に発表します。)
受動的とか主体的の前にあらゆるサービスの基盤がブロックチェーンになる!も考えられますし、徐々にそうなっていくと思ってはいますが、DIDとかその辺までがどれくらいの時間軸でどこまで浸透するかは正直わかりません。
Meta社のTheradsが話題ですが、Treadsが分散型SNSでプラットフォームに依存しない使い方ができるから乗り換えよう!みたいな人は少ないはずです。普通の人は分散型SNSの存在も知りませんし、そうだったとしても移行の理由にはなり得ません。
となると、企業側は国家か顧客からの圧力によって形を変えていくので、国家が特に規制をしない領域で顧客からの圧力(変化を望む声)が生まれないのであれば、別にそのままでいいや、となる気がしてます。
忘れられがちですが、ブロックチェーンの社会実装って、割と全体勝負みたいなところがあって、1社が頑張るのではなく全ての会社が頑張らないと使い物にならないところもあります。
メタバース1社がNFT対応してても他が対応していないと特に相互運用性ないですし、DIDも一社だけがVCとか発行し続けても多面的なその人のIDにはならないし、分散型SNSも一社だけの対応だとフォロワーとか引き継げなくて意味ありません。
あ、なのでPontaがweb3参入するというニュースは非常に楽しみです。どう活用されるのかはまだわかりませんが、すでに活用されているサービスにブロックチェーンが実装されることでユーザーからどのような反応があるのかがわかる事例になりそうです。
そんな感じで、特に着地のないブログですが、思考の整理と問題意識の共有になります。何かしら伝わるものがあれば嬉しいです。
考えていることは「便利になる=使うは間違い」「顧客の勉強ハードルは非常に高くその傾向は加速する」「ブロックチェーンの相互運用性は社会実装されるほどに活躍するが顧客からの要望がなければ企業は対応する必要もない」この辺です。
なんとなく悲観的な目線で書きましたが、僕は変わらずにweb3好きですし、社会実装される(させたい)と思っている派なので、どうすればいいんだろうなーという日頃の考えからでした。
また自分の中でも具体的なアイディアが定まり、プロジェクトとして落とし込めたらTwitterやこちらのニュースレターでも書いていきます!!何かご意見あれば聞かせてください!
以上、今日はブログ回でした。記事へのいいねやコメント、SNSでのシェアにご協力いただけると励みになります!よろしくお願いします!
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ハッと気付かされる面白い記事でした。確かに人は便利で良いものと分かっていても、行動に移さない受動的なところがありますね。明らかに得すると分かっていても面倒臭いが勝ってしまうのでしょうか…それとも遺伝子に組み込まれた本能的な何かがあるのでしょうか…。自分にも当てはまったので妙に納得してしまいました。そんな人間の行動心理の中にweb3がどうやって浸透していくのか非常に興味深いですし、期待してしまいます。