【ZKP2P】ゼロ知識証明を活用してP2Pでオンランプ,オフランプ取引を実現 / Venmoと連携しUSDをUSDCにトラストレスに変換
💰初のP2Pオンランプ,オフランプ取引を実現
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
体調不良で1日更新できず、すみません。今日からまた改めて更新していきます。皆さんも風邪にはお気をつけください、、。
さて、今日は「ZKP2P」についてリサーチしました。
«目次»
1、概要|ZKP2P とは?
- 背景
- 仕組み
2、概要②|ZKP2Pのメリットと展望
3、考察|どこをトラストレスにするのか
概要|ZKP2P とは?
「ZKP2P」は、ゼロ知識証明を活用してトラストレスなオンランプ/オフランプができるソリューションです。
◼️背景
オンランプとは法定通貨を暗号資産に変換するプロセスで、オフランプは暗号資産を法定通貨に変換するプロセスです。現代の世界で最も流通する法定通貨と暗号資産をスムーズに変換することはweb3業界が拡大していくために非常に大切な要素です。
例えば、GameFiやNFTの保有だけであれば、ガススポンサーシップのシステムを組めば、そもそもユーザーが暗号資産を保有しなくてもweb3の世界に参加することはできます。
しかし、DeFiで暗号資産を運用したいと思う場合や、ステーブルコインで送金したり決済に使いたいという場合、それ以外の場合でも暗号資産が必ず必要となる場合は存在します。
そこでオフランプ/オンランプの仕組みの出番です。
日本国内ではこの規制が厳しいので、クレカで暗号資産を買えるといったサービスはなく、暗号資産取引所の銀行振込からチャージしてやっと暗号資産を買うことができ、日本円への換金も暗号資産取引所から出金プロセスを経る必要があります。
アメリカでは、StripeやPayPal、MoonPay等がクレカから暗号資産を購入でき、またワンタップで暗号資産から法定通貨に変換できる機能(API)を提供しているので、スムーズにスワップできます。
しかし、これは中央に金融機関が介在する仕組みですので、トラストレスではなく、手数料も多く取られることがあります。
ここを解決しようとしているプロジェクトが「ZKP2P」です。
◼️仕組み
「ZKP2P」は、Venmo(アメリカで利用される個人間送金サービス/日本のPayPay的なやつ)アカウントと連携することで、P2Pでトラストレスなオンランプ/オフランプを実現します。
???ですよね。
超ざっくりとそのフローを説明します。
Aさんがオンランプ(法定通貨から暗号資産へ変換)したいとします。
ウォレットとVenmo IDをリンク(詳細は後述)
変換したい金額(USDC額)をリクエスト
P2PでUSDCと交換してくれる人とマッチング
Venmoを介してマッチングされたオフランパーにUSDを送金
Venmoアカウントによる送金履歴をメール履歴から検証し、エスクローに預け入れられたUSDCがオンランパーに送金
要するに「暗号資産はエスクロー(≒スマコン)に預け入れて」「法定通貨はVenmoでやり取り」「Venmoのやり取り認証をメールで確認」と言う仕組みで、この中の「メール確認」をゼロ知識証明を活用することでトラストレスに実現しています。
この仕組みはZK MAILと呼ばれ、ゼロ知識証明を活用してメール認証を行う別基盤です。ZKP2Pはこの仕組みを活用しています。
なので、オンランパーAとオフランパーBの両方が自身のウォレットアドレスとVenmo IDを紐付ける作業が必須となります。
AのVenmo IDからBのVenmo IDへUSD(法定通貨)を送金
その履歴をAがメールで受信
受信したメール履歴を元にれぞれのVenmo IDに紐づいているウォレットアドレスがそれぞれAとBであることを検証
Bが預け入れたUSDC(暗号資産)がAへスマコンで付与される
Aは1USDが1USDCへ変換完了、Bは1USDCが1USDに変換完了
このロジックです。
概要②|ZKP2Pのメリットと展望
さて、日本では利用できませんがアメリカではすでにオフランプ/オンランプソリューションがある中で、このプロダクトには何のメリットがあるのでしょうか。
それは以下になります。
素早い換金を実行
手数料が安い
トラストレスで換金
拡張性がある
スマコンの中に組み込める
例えば、法定通貨のやり取りをPayPayで実行して、そこからトラストレスで暗号資産の送金や受け取りができるとしたら、安価な手数料と高速処理が実現できると思いませんか。既存サービスはクレカで処理したり、銀行システムを経由するので手数料が発生したり、時間がかかります。
ZKP2PはVenmoのようなKYC済みで国民にすでに利用されているP2Pサービスと連携することで、トラストレスなオンランプ/オフランプを実現します。この発想は非常に面白いですね。
しかも、拡張性があると書いたのは、このトランザクションをスマコンで色々設定できそうという拡張性の他にも、この仕組みの肝は「法定通貨をP2Pで送金」「メールでそれを認証」と言うことなので、他の金融サービスとも連携できる可能性があるということです。
現状はVenmoのみで、USDからUSDCしかサポートされていません。Venmoは米国ユーザーしか利用できないので、実質的に利用者は米国ユーザーに限ります。ですが、今後はVenmo以外のサービスとの統合や他通貨との統合も考えているとのことです。
ETHのデブコンでPrizeを受賞して、2023年11月17日にα版がリリースされたばかりです。現在は基本はUSDCをリクエストする側がリクエストして、そこに対してUSD提供者が請求する形のマッチングになっています。
考察|どこをトラストレスにするのか
最後は考察です。
非常に面白いプロダクトでした。法定通貨はやはり既存の金融システムの根幹なので、中央機関を介して暗号資産に変換する必要があります。それが一概にデメリットとは言えなくて、そこが自由になるとやはりマネロンや詐欺的な利用用途が自由にできてしまうので、一定の規制は必要です。
そして、国家の基軸通貨を管理できない状態になると、国の政治をコントロールできなくなるので、基本は絶対に守るはずです。あとは、ここら辺は金融の世界のロジックなのであまり詳しく言及はできませんが、ワントップ(政府主導)で金融政策ができることで経済が安定する側面もあるかもしれません。
なので、法定通貨は政府や金融機関のコントロール化に置かれることはやむを得ないのですが、web3環境から見た時に、法定通貨と暗号資産のシームレスなスワップは市場の拡大に必須となります。
上述したように現在でもそのようなソリューションはありますが、中央機関が存在し、それが故に高い手数料が発生します。
とはいえ仕組み的にそれは仕方のないことかと考えていましたが、送金は中央機関が管理するサービスを利用し、その認証をゼロ知識証明を活用してトラストレスに実行することでP2Pでオフランプ/オンランプをしてしまうのは非常に面白い発想でした。
正直、この発想を横展開すると、オフランプ/オンランプだけでなく、既存サービスと連携したP2P取引が多数できそうな予感はします。ただ、リスクもあります。ZKP2Pの場合はメール認証なので、メールが異なっていたりうまく認証できないとトランザクションがうまくワークしません。
これはどこをトラストレスにするのかという話で、認証元が常にトラストレスに稼働し続ける証拠がなければ、その後のトラストレスは決してトラストレスとして機能しません。これはまだまだ仕方のないことで、完全なるトラストレス運営をユーザーが普段から使うユースケースで実装させていくのは至難の業です。少しずつ一部をトラストレスに移行させていき、手数料が一部削減されると言う方向性に進化させていくことが現実的であるように感じます。
ZKP2Pのソリューションも非常に面白かったですが、その発想も非常に参考になりました。以上、「ZKP2P」のリサーチでした!
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