【Worldcoin】サム・アルトマンが手掛ける暗号資産プロジェクトは全世界の人にデジタルIDとベーシックインカムを実現する!?
「Worldcoin」は「すべての人にグローバル経済へのアクセスを提供する」をミッションに掲げる暗号資産プロジェクトです。
おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は「Worldcoin」についてリサーチしました。
«目次»
1、Worldcoin とは?
- World IDの存在
- ブロックチェーン
- AIとの関係
- 展望
2、世界を変革する技術と戦略
Worldcoin とは?
「Worldcoin」は「すべての人にグローバル経済へのアクセスを提供する」をミッションに掲げる暗号資産プロジェクトです。ChatGPTを作ったOpenAIファウンダーのサム・アルトマンが手掛けるプロジェクトであるため、非常に注目を集めるプロジェクトとなっています。
Worldcoinの構想は壮大ですが、簡単に言えば下記のようになります。
世界中の人に固有のデジタルIDを発行する
そのIDに基づいてコインを配布する
世界中の人が個人認証を済んだ形で1つのコインを利用するようになる
世界中の人が暗号資産を利用するようになり、インターネット上の取引が加速
より詳しく解説します。
まずは3つの単語を紹介します。
World ID:プライバシーを完全に保護しながら、本物の人間であることを証明するデジタルID。
Worldcoin:World IDを持つ個人に自動で配布されるトークン。
World App:Worldcoinトークンやその他の暗号資産のやり取りができるウォレットアプリ。
世界中の人間にWorld IDを付与し、そのIDを持つ人間にベーシックインカムのように、自動でWorldcoinを配布します。そのやり取りをWorld Appで行います。
■World IDの存在
この中で肝となるのは「World ID」です。ここがこのプロジェクトの非常にユニークな部分です。
そもそもWorldcoinの設立背景にあるのは「世界中の人が暗号資産を持つこと、暗号資産へアクセスできるウォレットを持つこと」にあります。現在、世界人口の3%未満しか暗号資産を保有しておらず、その人口を上げるために設立されました。
「全世界の人が暗号資産にアクセスできるようになったら」
「全世界の人が同じ暗号資産を保有していたとしたら」
きっと今まででは考えられないアプリケーションが誕生するだろうと確信し、Worldcoinプロジェクトがスタートしました。
そのために、無料で暗号資産を配布するというインセンティブを考えましたが、問題は「人間とBotの区別」です。本当にトークン配布相手が人間であるか、且つ一度もトークンを貰った事がない人間か、これを認証する必要があります。
そこで辿り着いた方が「虹彩認証」の仕組みです。
「Orb」と呼ばれる独自デバイスを開発し、人間の虹彩を認証して「World ID」を作成する仕組みを開発しました。
細かい技術的な説明は省きますが、「Orb」はゼロ知識証明の技術を活用し、運営側に認証者の情報を渡さないまま個人認証が完了します。認証後は虹彩情報を残すか削除するかの選択も可能です。また、それ以外の情報(電話番号、住所など)は一切求めずに虹彩のみで本人確認を完了させます。
World AppやWorldcoinは「World ID」を取得せずとも利用できますが、「World ID」を取得することで、Worldcoinの自動配布が適用されます。
ただ、「Orb」の認証はハードデバイスなので、簡単にIDを入手できません。Orb Operatorと呼ばれる存在が世界中に存在し、そこまで行って虹彩認証を行う仕組みとなっています。
↓この画像の銀色の丸いのがOrbです。
現在世界中で170万人がIDを取得しており、その規模は急速に拡大しています。
日本でも幾つかOrb設置場所がありますが、予約がいっぱいですぐにアクセスすることは難しそうです。
■ブロックチェーン
Worldcoinは現在、Polygonテストネット上に構築されています。近日中にメインネットへローンチ予定で、Optimismへと移行することが発表されています。Optimismのスーパーチェーン構想へ賛同したとの事です。
↓ちなみに現在メインネットローンチを記念するNFT(SBT)が、フリーミントできます
■AIとの関係
Worldcoinのプロジェクトは2020年頃からスタートしていますが、注目され始めたのがここ数ヶ月です。プロジェクトの進捗が加速した部分もありますが、やはりサム・アルトマンの注目度と比例している部分は外せません。
WorldcoinとAIの関係についても解説します。
直接的にAIを活用する「ゼロ知識機会学習(ZKML)」の活用も模索されていますが、サム・アルトマンが考える壮大な未来予測の中にWorldcoinも位置していると言われています。
AIが躍進する未来における問題点は以下の2つです。
インターネット上でAIと人間の区別が困難になる
人間の仕事が激減する(AIが人間の雇用を奪う)
そこで、AIと人間が区別できるデジタルIDの発行と、人間が働かなくても生きていけるベーシックインカムとなる暗号資産の配布を実現しようとしています。
プロジェクトの開始当初はそのビジョンは現実的と思えず、またOrbの虹彩認証の仕組みはプライバシーを侵害すると批判されていましたが、ここ数ヶ月のAIの急速な普及によって、現実味を帯び始め、支持を集めています。
■展望
現在Worldcoinはメインネットへのローンチ間近です。Orbの全世界展開も進んでいるため、2023年には大きく拡大することが予想されます。
Worldcoinは、2021年に約33億円、2022年3月に約130億円を資金調達していますが、さらに最大約163億円の資金調達も予定されているとのことで、急拡大に備えています。
世界を変革する技術と戦略
ここからはリサーチした感想を書きます。
Worldcoinは非常に壮大なプロジェクトですね。また、間違いなく今世界で最も勢いがある企業である「OpenAI」のファウンダーが手掛けるということで、それだけで注目を集めています。
サム・アルトマンは元々、YCombinatorの代表をしていました。創業者のポール・グレアムから引き継ぎ、YCのブランドを世界的なものにした1人です。その経歴もあってか、経営戦略が非常に上手いなと感じます。
OpenAIもたった100名ほどの社員が作ったプロダクトがGoogleを脅かすようになりましたが、全てを無料公開しオープンソース化するなど、今までの企業であればやらなかった選択肢を取りました。
また、Worldcoinの仕組みも秀逸です。Orbというハードを利用しなければいけない点はかなりのデメリットですが、一度認証すればかなり強いユーザー基盤が手に入ることに加え、Orb Operatorは現地のコミュニティを持つ人間を採用しています。
採用といっても社員で迎え入れるわけではなく、申請と審査を経て、許可が与えられます。OperatorはOrbでIDを発行するごとにWorldcoinで報酬を獲得できるというインセンティブがあります。
Worldcoinの拡大の仕組みはシンプルで、ひたすらOrbを生産してIDを発行し続けるしかありません。その肝となるOperatorにもインセンティブをつけることでほぼ無料でユーザー獲得に貢献してくれる人と協力関係を結べます。
ChatGPTという技術、OrbやIDやWalletという技術、それらが世界最高峰であることは間違いありませんが、その技術を広げるための戦略に秀でているからこそ、ここまで拡大しているのだなと感じます。
とりあえず、日本でもWorld IDを早めにゲットできるように予約を探してみます。
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