【リリース記念】DAO構築ツール「Unyte」の全貌と、DAOの課題と未来・運営ノウハウについてファウンダーに全て聞いてみた
ファウンダーのUwaizumiさんにDAOのこと、Unyteのことをあれこれ聞いてみました。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
本日は10月13日に開催されたウェビナーを基にした記事をお届けします。(単なる文字起こしではなく要点をピックアップし、編集・推敲しております)
«目次»
1、Unyteの説明
- DAOとは?
- プロダクトの説明
- コミュニティ支援も実施
2、質疑応答
- 既存プロダクトとの差別化やポジショニングとリリース後の反響
- DAO自体、成功の定義、補完する仕事の範囲
- Unyteの税務周り、二次流通の扱い、投票等のプライバシー確保
- DAOを成功に導くステップやオンボーディングのコツ
- Unyteの競合との差別化ポイント
- 最終的なDAOの未来予想
Unyteの説明
◼️DAOとは?
我々はDAOコミュニティの構築運用ができるUnyteというツールを開発しております。DAOツールと表現していますが、まずは「DAOとは何?」というところを簡単にご紹介させてください。
我々はDAOというのはこれまでの会社と違う形の新たな組織の形態であると考えています。従来の会社には取締役や株主がおり、その人達の指示をベースに中央集権的に動いていきますが、DAOではメンバー自身が主体的にそのDAOの中で貢献する形で進んでいく組織です。
通常の会社が従業員と雇用契約を結んで賃金を支払い動いてもらうという比較的クローズドな環境で動いているのに対して、DAOはかなりオープンです。誰でも特定の条件を満たせば参加ができる設定がされていますし、その活動内容も基本的にはブロックチェーン上で検証ができる形で保存されているという特徴があります。
また、DAOでは基本的に貢献に応じてもらえるトークンがあります。トークンを貯めることで、DAOの意思決定をするためのガバナンス投票の発言権や投票権が上がっていったり、そのトークン自体を別のグッズに引き換えるなど、リワード的な使い方もできます。
そして、DAOが実際どういう形でこれから浸透していくのかというところも少しお伝えさせていただきたいのですが、これまでコミュニティと呼ばれていたものが等しくDAOになり得る可能性を持っていると考えています。
具体的には、例えばこれまで企業のユーザーコミュニティの管理は中央集権的に行われていました。これをより双方向型のコミュニティにしたものがDAOであり、徐々に変化していくと考えています。
企業が商品に対してファンに提案し、ファンはその提案に対して投票や意思表示ができるようになります。それらの記録がブロックチェーン上に保存されていきます。それらの貢献データがブロックチェーンに刻まれていくことで、個人の経歴の証明にもつながっていくと考えています。
◼️プロダクトの説明
少し前置きが長くなってしまいました、ここから具体的な我々のツールについてお話させていただきます。
Unyteは私自身含めて基本的にDAOオタク的なメンバーが集まっています。そのメンバーはこれまで和組DAOなど、いろいろなDAOの中でエンジニアとして活動してきて、その中で幾つかの課題が見えてきたので、コミュニティ内の貢献を可視化するツールを開発しました。また、それらのツールを提供しながら幾つかのDAOを継続的に支援させていただく中で、DAO運営は難しすぎるという結論にも達しました。
そこで、今回のツールを開発することにしました。
DAO運営には主に3つの課題が存在します。それがこちらです。一般的な企業がより多くの人を巻き込んでDAO的な運営をするには余りにも大きな壁が存在します。
Unyteはこれらの壁を全て取り除くDAO構築のオールインワンプラットフォームとなっています。
具体的には、まずDAOの会員権となるNFTを簡単に作成できます。すでに会員権NFTを発行している事業者はそれを利用することも可能です。
その後、ユーザーはGoogleかXアカウントでログインすることができます。裏で実際にウォレットが生成されているので、MetaMask等でウォレットを作成する必要はありません。
実際にDAOに参加した後は、ガバナンス投票やタスク管理など、これまで個別のツールで行っていた作業を全てUntyte上で実行できます。また、これまでDiscordで行われていたユーザー同士の会話や交流もUnyte上ですることができます。
また、NFTやFTの発行や送付、ブロックチェーンへの記録にはガス代が必要となりますが、こちらも実際に触っていただくユーザーはもちろん、DAO運営者にもご負担いただくことはありません。
DAO運営者さんにツール利用料としてお支払いいただいている範囲から、こちらでガス代を負担する形になっています。なので、ユーザーも運営者も暗号資産を用意することなくDAOの参加や運用が可能となっています。
◼️コミュニティ支援も実施
そして実際に導入いただく際には、ツールだけの利用も可能ですが、実際にコミュニティの設計支援もさせていただいております。ゼロからDAOを立ち上げる際のインセンティブ設計や運営マニュアルを提供し、我々でも活発なDAOの運営ができるようなお力添えをさせていただいています。
少し長くなりましたが、このようにDAOを誰でも簡単に構築できるツールとしてのUnyteを今回発表させていただきました。
質疑応答
- これまで運営されていたプロダクトの新機能のような形での発表なのでしょうか?
いえ、これまで運営していたDiscordなどと連携したコミュニティの貢献を可視化するツールとは別で新プロダクトとして開発しています。今後はこれまでの貢献可視化ツールも運営しつつ、今回の新しいツールはこれからDAOを0から新しく作ろうとしている方へ向けて提供する予定です。
-なるほど、今回の新プロダクトを発表して反響はありましたか?
そうですね、お陰様でたくさんの方にお問い合わせや事前登録をいただいています。また、こうやってメディアの方にご取材いただく機会も多く、非常にありがたいです。
ここからUnyteのプロダクトだけでなくDAO全般についても質問させてください!
- まずはDAOの定義について、改めてお伺いさせてください。説明を聞いていて、貢献の可視化の部分をDAOの重要な要素として捉えているイメージを受けました。この辺りはどのようにお考えでしょうか?
先ほどお話しした内容は簡単な説明だったのですが、内部的にはもう少し詳細な定義をしています。具体的には、狭義の厳密な定義のDAOと、より広義のDAOで区別しています。
ご指摘にあったスマートコントラクトを中心にエコシステムが出来上がるDAOが本来の意味でのDAOであるという解釈は我々も一致しています。ただ一方で、もう少し定義を緩めた広義のコミュニティのような形についてもDAOとして捉えています。
具体的には、まだスマートコントラクトはないけれども、一定のトークンを付与するルールは存在しており、活動に応じてメンバーがリワードを得られる形、半分人力で半分システムのような組織です。
- この解釈は”過渡期”だからこその定義なのでしょうか?
まさに過渡期であるからこその定義だと考えています。先ほどの広義のDAOは厳密にはまだDAOではありません。ただ、将来的に厳密なDAOになり得る組織だと思っています。
もっと言うと、狭義のDAOはビットコイン以外あり得なくね?と言う説も唱えていまして、、。ビットコインは完全に人の手が介在しない状態で組織を動かすことができていますが、この仕組みを実現するのはかなり難しいとも思っています。
しかし、このビットコインの仕組みを我々なりにざっくりまとめると、ユーザー同士の資金の保有と移動ができるシステムになります。この残高を記録するシステムは実現可能です。ファンコミュニティやユーザーコミュニティは、中心に人を介在しなくなることは事実上できませんが、貢献等の残高の可視化の仕組み化は実現できます。
また、今後AIが発展していけば、もしかしたら中心もシステムに置き換わる未来にもなるかもしれません。
なので、我々は広義の意味でのDAOも支援していくことで、今後の技術発展で狭義のDAOへと近づくと同時に、新しい形のDAOが誕生すると信じて活動をしています。
-続いて、DAOの成功に関しては定義されていますか?
我々が思うDAOの成功は大きく2つ存在します。
1つ目はガバナンスがしっかりと分散化されていることです。立ち上げ期は基本的にトップが方針を決めてユーザーが受け入れると言う形で始まりますが、その進捗の中でガバナンスが分散化していき、お互いに納得感のある良い形で落ち着くことが大切だと考えています。
もう1つはガバナンスが分散化され、ある程度の報酬設計が決まった後にもユーザーが活動を続けていることです。例えば、ビットコインのシステムはある程度のルールが決まっていますが、そこに賛同して活動する人がいなければ稼働しません。
よって、まずルールがしっかりと定まっていること、そしてそのルールに基づいて活動する人が一定数以上存在すること、この2つがDAOが機能するために必要な要素だと考えています。
-例えば、会社等のプロジェクトがDAOを作る際、具体的に今の組織のどの仕事をDAOが補完するようになると考えていますか?
我々の中では、最終的には全てDAO化させることがベストだと考えていますが、向こう3~5年という短期的な目線で見ると、カスタマーサクセスやマーケティングを補完する存在になると考えています。
企業の方針は中央集権で行われ、商品を広める段階のマーケティングで、ユーザーからの意見を吸い上げて反映したり、拡散に協力いただくことができます。
これまでのマーケティングは代理店やSNSに広告費を支払うことで宣伝をしていましたが、もはや何でも宣伝すれば良い時代ではなくなってきています。その商品が好きな人たちが自主的に告知をした上で、その告知の結果や実績を貢献としてカウントしておく方がマーケティング結果を事後的に測ることができます。このように成果報酬型でのマーケティングとして既存マーケティングを代替していくと考えています。
また、カスタマーサクセスに関しても、ユーザーが集まり賛成や反対等の提案を企業に直接できるようになります。
一旦はその辺りからDAOが浸透していくのではないかと我々は考えています。
-【参加者からの質問】Unyteは税務周りのサポートはしていただけるのでしょうか?
結論から言えば、我々は税理士の資格を持っているわけではないので、税務周りを直接的にサポートするということはどうしてもできません。
もちろん税理士をご紹介させていただくことはできますし、そもそも新しいUnyteでは基本的には暗号資産やNFTを触っていただかなくても、DAOとしての運営ができるので、税務周りを心配しなくても利用できるツールとなっています。
-Unyteで発行した会員証NFTがOpenSea等で二次流通されることはないんですか?その際の売り上げはどのようになりますか?
現段階では売買を制限するコントラクト設定はしていないので、二次流通はあり得ます。ただ、売買収益は保有者同士でやり取りされますので、事業者側の管轄外となり、新しく税務周りのマターが発生するわけではありません。
- 二次流通したときの収益はユーザーのウォレットに振り込まれる形ですか?
おっしゃる通りです。ユーザーさんはGoogleアカウントなどでウォレットを作成できますが、アカウントの秘密鍵をエクスポートできるようになっており、MetaMaskにインポートすることができます。そうすれば、暗号資産を確認できるようになります。
- 【参加者からの質問】Unyteの貢献でもらえるNFTやトークンを特定の人だけが見られるように設定できますか?
我々もここは大きな課題として捉えており、まさに対策をしているところです。
例えば、自分がガバナンス投票で賛成したのか反対したのか等の情報が公開されることは投票結果に影響を与えるリスクが存在すると考えています。
なので、まずは貢献データを隠す機能の導入を進めています。具体的にはブロックチェーン上に置く前に外部から見えないような形に変更させて暗号化するという処理ができるようにします。11月以降の本リリースの際には取り入れたいと思い、最優先で開発を進めています。
- 確かに投票結果が反対だと気まずいですよね。
そうなんです。会社や大学などの既存の人間関係におけるDAOはもちろん、X上で知り合った仲間がよくいるweb3的なDAOでも反対しづらいから結果的に意思表明しない人が多く生まれる、みたいなことは多くあります。
それは果たしてDAOと言えるのか、という議論にもなるので、その問題も解決でき、それぞれが自分の意思を完全に表明できるような形を模索しています。
- 続いて、DAOを成功に導くステップや戦略を教えてください。
DAO事業者としてはあるまじき内容かもしれませんが、正直、最初は中央集権的に進めた方が良いと言うのが1つ目の重要なことです。
最初から分散化することは難しいので、まずは立ち上げたメンバーがルールを定めて進めていく方がうまくいくと考えています。その後は、どのように分散化していくのかのプロセスを示すことが大切です。
その決めたプロセスに基づきながら、議論を進めて徐々に分散化させていきます。
-より具体的にユーザーをDAOにオンボーディングするコツはあったりしますか?
できるだけ早く小さな成功をしてもらうことだと考えています。
インセンティブの設計等も大切ですが、毎日Discordに参加するだけでポイントが貰えるなど、できる限り小さく区切った最初の1,2ステップを設定しておくことがベストです。いきなりDAOの成功のために提案や貢献をしろと言われても難しいので、まずは慣れてもらうフェーズが必要です。
-【参加者からの質問】DAO構築ツールとしてはAragonやColonyなどのツールがありますが、Unyteの強みや違いを教えてください。
大きく競合と呼ばれるサービスの種類は2種類あると考えています。1つ目がご指摘にあったようなDAO構築ツールで、2つ目がWeb2の世界に存在するコミュニティ構築ツールです。
まずご質問いただいたDAOツールとの差別化で言えば、まず挙げられるのがカバー範囲の広さです。これまでは1機能1ツールが多かったですが、我々のツールはDAO構築に必要な機能を全て網羅しています。
それから、Googleアカウントで参加できるというユーザーのオンボーディングコストの低さと、困った時に日本語でサポートしている点ですね。
後者のコミュニティ構築ツールに関しても簡単にお話しさせていただくと、DAOとコミュニティはだいぶ違うので、単純にDAOが作れると言うのが我々の特徴です。
- 同じようなポジションのプロダクトはまだ存在していないのですか?
我々が把握している範囲ではありません。これから出てくるかもしれませんが、笑。
- 【参加者からの質問】どのブロックチェーン上で使えますか?
現状はPolygonで考えていますが、こちらは我々も最終調整している途中なので、現時点の回答とさせてください(2023年10月13日)。
複数チェーンに対応することは早めにやっていきます。今後はEVMチェーンがまずストライクゾーンで対応しつつ、その後はTVLが高くよく利用されているチェーンから順次対応していこうと考えています。
希望するチェーンがあればご連絡いただければありがたいです。
- 【参加者からの質問】ツールの利用料はいくらでしょうか?
こちらは大きくツールだけの利用と、コミュニティ支援までを含めた場合で大きく異なります。また、コミュニティの規模によってもかなり変わるので、詳しくはぜひお問い合わせいただければと思います!
-そろそろお時間なので、DAOの最終的な未来についてどのように考えていますか?
我々が考えているのは、現在企業が中央集権的に活動している組織の一部が徐々にDAOが代替していくと考えています。
例えば、フリーランスが集まって活動するギルドと呼ばれるような組織はDAOとの相性が非常に良いです。加えて、先ほどもお話しさせてもらったような、企業のマーケティングやカスタマーサポートを代替する存在としてDAOが次々生まれることも考えられます。最終的にはサービス運営自体を手放し、分散型で運営するというところまで到達する企業も現れるかもしれません。
最近、DAO型採用の取り組みも発表させていただきましたが、このような事例を多く作っていき、この未来を早く実現するためにコミットしていきます。
-【参加者からの質問】立ち上がりのDAOはどこも熱量が高いのですが、半年後や1年後にも長期的に熱量を維持していくコツはどこにあると思いますか?
良い制度か面白い人のどちらか、もしくは両方が存在することだと思っています。
良い制度というのは先ほどお話しさせていただいたようなガバナンスの仕組みです。参加したメンバーが小さな成功を感じられてその後も貢献し続ける仕組みが存在して、階段上に設計がされていることがDAOにとって非常に大切です。
あとはこれは身も蓋もない意見ですが、やっぱり人同士が集まるコミュニティとしての側面もありますので、この人がいると面白い、この人と仕事がしたいと思われる人がいることも非常に大切です。
なので、2つをまとめるとそういう面白い人がちゃんと集まるような目標を掲げ、その人たちが留まり続ける仕組みを作ることが熱量を維持する秘訣ということが我々の考えです。
- お時間になりましたので、そろそろ終わりとなります、ありがとうございました!
こちらこそありがとうございました!
以上、ご覧いただきありがとうございました!
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