おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
本日から新企画がスタートします。
「○○についてXXさんに聞いてみた」と題し、各業界で具体的な事業に挑戦している方にインタビューさせていただく企画です。
第一弾は「DAO」についてDAOツール「Unyte」を運営する「Uwaizumi.eth」さんにお話をお伺いしました。
※1)インタビューでの回答と一言一句同じではなく、わかりやすいよう少し加筆修正をしています。ただ、本人に確認いただいているので内容に相違はありません。
※2)細かい技術的な説明は省き、概要が理解できるように意識して書かれた記事となっています。
«目次»
1、自己紹介
- 自己紹介
- ブロックチェーンに興味を持ったきっかけ
- 起業のきっかけ
- プロダクト概要
- リリース後の学び
2、DAOについて聞いてみた
- DAOの定義
- 貢献の可視化がもたらす影響
- コミュニティの再現性
- 競合ツールとの差別化
- DAO参加者のリテラシー
3、最後に
- 読者へのお知らせ
自己紹介
- 本題に入る前にまずは簡単に自己紹介をお願いします。
現在は株式会社Unyteという会社でDAOツール「Unyte」の開発をしています。
2021年に大学を卒業しましたが、大学では経済学の勉強をしていました。
大学卒業後は社会人を1年半ほどやっており、そこでは新規事業開発のビズサイドを担当していました。
学生の頃から自身で開発をしてプロダクトを作ることをしていたので、社会人をやりながらも、趣味で複数のDAOでエンジニア的な活動をしていました。
その経験が今の事業を始めるきっかけに繋がりました。
- ブロックチェーンやweb3に興味を持たれたのはいつ頃からですか?
強く興味を持ったのはやっぱり2021年にすごく流行っていた頃です。
2021年の1月頃にWagumi CatsのNFTをフリーミントで貰って、それがスタートだったような気がします。
それより前から開発はしていましたが、Web2.0の開発が主でした。
web3にハマった2021年頭頃からはクリプトゾンビで開発を学んでいきました。
ただ、ブロックチェーンの存在自体は大学のゼミで勉強していました。
そして、2018年のビットコインバブルの少し前にビットコインを買おうとしたのですが、未成年で買えなくて、その間に価格がどんどん上がっていきました、、笑
- 起業のきっかけや理由はありますか?
親が経営者をやっていたのもあって、高校2年生の頃から起業はしたいなとぼんやりと考えていました。
学生自体も経済学部に入ったり、自分でプロダクトを作ったりはしてましたが、社会人経験も必要かなと感じ、新規事業開発系の仕事に就きました。
そして、先ほども話しましたが、社会人をやりながらDAOに入っていた時に感じた課題感から、起業に至りました。
DAOは熱意を持った人が集まってきているので、積極的な活動が行われるのですが、その活動がブラックボックスの部分が多かったです。
報酬のためにやっているわけではありませんが、何かしらのリワードや可視化、フィードバックがあった方が良いと感じるようになりました。
そこから、現在のDAOの貢献を可視化するUnyteを作ることにしました。
- どんなプロダクトなんですか?
一言で言えばDAOメンバーの貢献を可視化できるツールです。
DiscordやTwitterでbotを導入してもらえば、気軽に活動が可視化できます。
チームに対しての提案、日々の活動、活動内容、お礼が記録されていきます。
現在はβ版で運営しており、複数のDAOに導入いただいています。
- β版を出してみての発見はありましたか?
僕自身の原体験から作ったこともあり、DAOの貢献を可視化して欲しいというのはユーザー目線のアイディアだと思っていましたが、運営側の方も真剣に悩まれている課題であることがわかりました。
なので、現在も運営の方とどのような報酬設計をするべきかなどをご相談させていただきながら運営しています。
導入いただくのは運営の方ですが、実際に使うのはユーザーの方なので、そこら辺は注意しながら開発をしています。
現在はβ版なので、連絡をいただければ導入のご相談に乗らせていただきます。
DAOについて聞いてみた
では、ここからDAOについて質問させてください。
- DAOの定義はどのように捉えていますか?
2つ定義を持っています。
1つ目が原理主義的なDAOで、スマートコントラクトをベースにユーザーの行動が制御される世界観のDAOです。
これはまさにビットコインのようにエコシステムが回り続けるものです。これは組織よりもソフトウェアのようになっているイメージです。
2つ目が実用主義的なDAOで、人が命令されるのではなく自主的に面白いから貢献したいと思って活動してくれる組織体です。
現在も実質的に後者の2つ目のDAOが多いんじゃないかと思っています。
Unyteは後者のDAOの方をサポートするツールです。
後者ですが、人力で運営されている部分を自動化して、ある意味で原理主義的なDAOに近づけるためのツールとも言えるかもしれません。
折角の機会なのでより具体的な質問もさせていただきます。
- 例えば”推し活”もそうですが、好きだから応援してるだけで別に報酬が貰いたいわけではない活動もあると思います。その際、貢献が可視化されてしまうと逆に貢献したくなくなる”みたいなことはないのでしょうか?
おっしゃる通りだと思いますが、僕らはチームとしては明確な仮説を持っています。
結論としては、好きで応援してるとはいえ、お金じゃないリワードを提供することは必要だと思っています。
心理学の世界でも、好きで始めたことにお金がもらえることで一気にやる気がなくなってしまう「アンダーマイニング効果」と呼ばれるものがあります。
最初はボランティアでやっていたのに急にお金が貰えるようになると楽しくなくなっちゃう事例は一般的にもよく言われていることで、DAOにも起こり得ることだと思っています。
ただ一方で、全く報酬がなくて良いかと言われるとそれもまた違うと思っています。
報酬というのはお金だけでなく、そのコミュニティ活動をより楽しくするアイテムやグッズをお渡しすることも可能で、そういうあり方がDAOにも適しているのではないかと思っています。
例えば、ベリロンさんがポテトというトークンみたいなポイントシステムを導入していますが、それを持っている人はNFTを安く買えたり、何かと交換できます。
それは別に金銭的に儲かる話ではないけど、ポテトを貰ったという情報をTwitterでシェアすることでコミュニティが盛り上がって一緒に楽しんでくれるわけです。
そういったコミュニティを楽しむためのユーティリティ設計を参考にしています。
なるほど!では続いて別の角度の質問です。
- DAOの運営はコミュニティマネージャーの力量がかなり大きいと思っているのですが、例えばUnyteなどの仕組みを利用すればある程度再現可能になっていくものでしょうか?
こちらもおっしゃる通りで、僕は両輪だと思っています。
コミュニティマネージャー然り、○○さんがいるからこのコミュニティに参加しようというのはとても強いインセンティブになるし、コミュニティを活性化させる施策となります。
ただ、それだけだと最初に人を集めるだけではワークしますが、そこから持続させることはかなり難しいです。
そこで、リワードの設計の仕組みを導入することでコミュニティが完成していくのではないかと思っています。
- ということは、DAOに限らず全てのコミュニティに当てはまるのでしょうか?
そうですね。正直DAOだけじゃなくて全てのコミュニティに導入できると思っています。
裏側にブロックチェーンを使うか使わないかは置いておいて、コミュニティ内の貢献を可視化し、そこに何かのポイントが溜まり、そのポイントをリワードと交換できる仕組みはどのコミュニティにも当てはまると考えています。
なので最終的には人が頑張って何か活動しようとしているコミュニティを持続するためのインフラのようなものを提供したいと思っています。
- 組織やコミュニティ内の活性化ツールですと、他のツールもすでにありますが、違いとして考えていることはありますか?
確かに志は近いですが、山の登り方が違うみたいな印象を持っています。
僕らはそのコミュニティの分散化や持続可能性の担保を目指しています。
- 逆にDAOの貢献可視化という文脈で同じようなツールはないんですか?
全く同じはないですが、DAOツールという面では海外には結構存在します。
例えば、すでにたくさん使われているSnapshotというツールもDAOツールの一種ですが、基本的にDAOツールは何か一つの機能に特化しています。
自分たちで色々触ってみて感じましたが、機能ごとに色々飛ばなきゃいけないのは結構大変だなと思っています。
それはユーザーとしてもそうですし、運営者としてもオンボーディングのコストが高いです。
なので、基本的な機能を全て一括でできるようなプロダクトであり、Discordと連携して簡単に使えるようにしています。
なるほど。確かにDAOツールを全て利用するのは結構大変だったりしますよね、、。では最後に!
- 僕はDAOって参加側のモチベーションやリテラシーが割と大切だと思っています。現在はweb3業界の人なので成り立ちますが、今後マスアダプションした際に同じような仕組みが成り立つのかを疑問に思っています。その辺りどうお考えですか?
鋭い質問ですね。確かに僕らも熱量が高い人間は絶対に必要になるとは思っているんですが、一方でそういう人だけでも何ともならないと思っています。
見てるだけの人もいっぱいいるし、投稿にスタンプ押して反応してくれることで、運営側も頑張れるという状況も多分にあると思っています。
なので、いろんなフェーズの貢献をそれぞれ自分の頑張りにを感じられる設計にしたいなと思っています。
例えば、スタンプを押すだけの小さいポイントも貰えるようにすれば、小さいポイントをたくさん集めることも可能になります。
そもそもわざわざDAOに来てくれる人たちは活動するしないに関わらず歓迎すべきなんだろうなとも思っていますね。
最後に
- 最後にUnyteに関して募集していることやPRしたいことがあればぜひ!
そんなフリーの時間をくださるんですね。ありがとうございます、笑
今後の僕らのロードマップとして、基本的にDAOでやること、やるべきことは全てこのツールの中で出来るようにしていきます。
例えば、今は貢献に応じて固定ポイントを割り振るしかできませんが、より動的なポイントの設計が可能になります。例えば、XXは1ポイントで、○○は50ポイントで、という設計です。
そして、全方位的に人を募集しているので、一緒に作りたいという方がいればぜひ連絡いただければと思います!
今日はありがとうございました!!
確かに現在はDAOの運営が完全にブラックボックス化されており、その貢献を可視化するだけでなく、再現性高くDAOの活性化が出来るとしたら、それはとてもすごいツールになると感じました。
また、DAOに関して個人的に感じていた疑問についても色々とお聞きすることができ、僕自身とても勉強になりました。
Uwaizumi.ethさん、どうもありがとうございました!!
«参考リンク»
・HP:https://unyte.team/
・Unyte Twitter: twitter.com/UnyteDAO
・UwaizumiさんTwitter:https://twitter.com/0xUYZ
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
■運営者
mitsui @web3リサーチャー
web3に関する情報(プロジェクト・ニュース・単語の解説、プロジェクトオーナーへのインタビュー記事、リサーチからの学びや考察記事)を毎日発信中。
・web3に関する情報発信を毎日行うTwitterアカウントはこちら
・mitsuiと購読者で直接話せるSubstackのチャット利用はこちら
・法人向けのweb3サポート(リサーチ・新規事業立案や伴走・マーケ・開発など)の窓口はこちら