【Story Protocol】IPのためのGit / web3を活用した次世代IP管理基盤 / IPの成長の軌跡をライセンスの貸し借りをオンチェーン上で管理し収益化を実現
web3が実現するIPの未来についても考えました。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Story Protocol」についてリサーチしました。
«目次»
1、Story Protocol とは?
- 背景
- 機能
- ユースケース
- IPが流動性を持つ
2、Story Protocolの展望を考察
3、IPの再利用が加速する「IP×web3」の未来とは?
Story Protocol とは?
「Story Protocol」は、web3を活用したインターネット時代のオープンIPインフラストラクチャです。”IPのためのGit”とも呼ばれており、IPの管理を効率化します。
■背景
インターネットの発展によってすべてのクリエイティブの制作コストは劇的に下がり続け、AIの登場でそれはさらに加速しました。また、TikTokやYouTube等で既存クリエイティブ(IP)をリミックスやオマージュしたコンテンツの制作も常に行われています。
この時代の中で、いまだにIP管理(各自が制作したクリエイティブの管理)はアナログのままになっています。
Story Protocolは次世代のIP管理基盤を構築するために作られました。
その根本思想にはオープンソースと連携の考えがあり、インターネットと戦うのではなく連携できるような運用を可能にします。これまでのほとんどのIP管理インフラは、インターネットの基本的な力であるオープン性を重視する代わりに、防御的な姿勢であり、創造的なプロセスに反発しています。
ですが、インターネットの流れは止まることなく続いていくので、そこに合わせたIP管理モデルになるべきです。
そのためには、クリエイターがその仕事に対して報酬を得られるようにしながら、インターネットの豊かさと社会性を受け入れる必要があります。そうすることで、インターネットの前例のない速度と規模で進化できるクリエイティブな作品が爆発的に増加することが可能になります。
Story Protocolはそんな次世代のIP管理を可能にします。
■機能
Story Protocolは主に2つの機能が存在します。
IP repository
Powerful modules
IPリポジトリを使用すると、文章、画像、音声などの創造的なIPが、その起源からアップデートの歴史をを記録できます。Gitが分岐とバージョン管理を通じてコードの追跡を可能にしたのと同じように、Story Protocol は IP の成長の軌跡をすべて記録し続けます。
↓Gitとは開発で利用される概念です。イメージ図はこちら。このようにリポジトリに最新情報が保存され、その最新情報を取得して編集してリポジトリにコミットすると最新情報が更新されます。そして、リポジトリには最新情報の他に過去にコミットした履歴がすべて残ります。
また、IP の成長の軌跡追跡するだけでなく、モジュールを活用することでシームレスな構成機能を強化し、誰でもIPに貢献し、その貢献の価値を獲得できるようにします。私たちのモジュールは、GitHub がフォークとプルリクエストを提供することで Gitの機能を拡張したのと同じように、IPリポジトリ上に機能を追加します。
これらをブロックチェーンを活用して自動的に行います。
要するに「IPの軌跡を記録」する機能と「利用権(ライセンス)提供の自動化」機能がついているわけですね。
■ユースケース
次の”ゲーム・オブ・スローンズ”レベルの大ヒットがStory Protocolで登場すると想像してみてください。
このシリーズの制作者は、ストーリー、キャラクター、場所を含む豊富な基本テキストを登録し、プロトコル上のデータ構造を使用して保存します。ライセンスモジュールを活用することで、物語の世界を迅速に構築し、作品の翻訳、新しいメディアへの拡張、スピンオフの作成、商品の生産などの権利をライセンスすることで経済的報酬を得ることができます。
プロのクリエイターもファンも同様に、これらのライセンスを取得して物語を成長させることができます。
IP が成長するにつれて、アマチュアやプロなどの貢献者にとって、IP を拡大するという共通の目的を持ってネットワークに参加し、ネットワーク効果を生み出すインセンティブが高まります。
作家志望者は、脚本に貢献することでキャリアをスタートさせる機会が与えられ、例えばナイジェリアの 10 代の少女がシリーズにキャラクターのイラストを提供し、将来の収入から印税を稼ぎ、元ディズニー作家は続編の章を作成し、人気のある本の執筆以上の収入を得ることができます。
■IPが流動性を持つ
これはNFTプロジェクトでIPを作っていく流れと近いかもしれません。ただ、よりIPよりにフォーカスしたプロトコルです。あらゆる権利をライセンスとして提供することができ、どんどんIPが成長していきます。
NFT発でIPを作るというよりも、IPを分散化して成長させるという方が適切な表現のように思います。なので、既存IPもStory Protocolに登録することで拡張性をもたらし、共同でのIP制作を実現します。
また、IP自体もライセンスの権利もオンチェーンに刻まれるので、IPがDeFiに接続されることになります。例えば、ポケモンの商用利用権がNFTとして販売されるかもしれませんし、新しいゲームのキャラクターデザイン権が高騰するかもしれません。
このようにIPを中心とした経済圏「IP ファイナンス」も誕生し、IPに流動性が追加されます。
Story Protocolの展望を考察
実はこのStory Protocolは2023年9月6日(昨日)に概要が発表されたばかりなので、細かい詳細は明らかになっていません。
しかし、非常に高い期待がかけられていることは投資家と創業チームからわかります。
Keep reading with a 7-day free trial
Subscribe to web3 Research JAPAN to keep reading this post and get 7 days of free access to the full post archives.