こんにちは。
web3リサーチャーのmitsuiです。
本日はweb3の基礎の基礎レポートということで、「分散型ストレージ」を理解するための『クラウドストレージの歴史と仕組み』【前編】です。
ぜひ最後までご覧ください!
はじめに
クラウドストレージ誕生の背景
クラウドストレージの仕組みと発展
クラウドストレージの主要プレイヤーとビジネスモデル
クラウドストレージが抱える課題と限界
クラウドストレージの課題解決に向けた動き
おわりに
はじめに
web3の潮流の中で「分散型ストレージ」は、web3の世界観を実現するうえで欠かせない技術のひとつです。
従来のウェブサービスではクラウドストレージを利用してデータを保管することが一般的となっていましたが、この中央集権的な仕組みにはさまざまな課題が内在していました。そこで、「分散型ストレージ」はクラウドストレージのもつ問題点を解消し、より安全で柔軟性が高く、ユーザー主権的なデータ管理を実現する可能性を秘めています。
本記事では、分散型ストレージ(特にIPFSやFilecoinなど)がなぜ注目されているのかを理解するために、まずは従来のクラウドストレージがどのように生まれ、普及し、発展してきたのか、その仕組みやメリット・デメリットを紐解きます。
前編ではクラウドストレージの歴史・技術的背景、主要プレイヤーのビジネスモデル、そして抱える課題や限界点を整理し、後編では分散型ストレージの仕組みや代表的なプロジェクトを掘り下げながら、クラウドストレージとの違いやメリットを比較検討していきます。
それではどうぞ!
クラウドストレージ誕生の背景
オンプレミス時代:インターネット黎明期のストレージ管理
クラウドストレージが普及する以前、企業や組織のシステムは「オンプレミス(オンプレ)」と呼ばれる形態が主流でした。これは、自社のオフィスやデータセンター内に物理サーバーを設置し、ハードディスクなどの物理ストレージを自分たちで保有・運用する方法です。インターネット黎明期(1990年代〜2000年代初頭)は、まだ回線速度も十分ではなく、サーバーを社内に置いて管理することが一般的でした。
オンプレミスでは、サーバーの保守・メンテナンス、人員配置、ハードウェアの増強など、すべてを自前で行わなければなりません。障害発生時の責任も自社で負う必要があり、予備のサーバーを確保したりバックアップを取ったりと、システム管理に多大なコストや労力がかかっていました。しかし、当時はまだ大容量のデータを遠隔で扱うのが難しく、またクラウドサービスが存在しなかったため、オンプレミスこそが唯一の選択肢だったのです。
この時代のストレージ管理には、多くの課題が潜んでいました。
たとえば、ハードディスクの容量が足りなくなるたびに物理的にディスクを増設しなければならない、障害が起きた際は復旧作業に時間がかかり、業務に多大な支障が出る、といったことが挙げられます。
もちろん、オンプレミスならではのメリット(セキュリティやシステム構成を自社の裁量でコントロールできる)もありましたが、インターネットの利用者が増え、扱うデータの量が爆発的に増大していく中で、オンプレミスだけで運用するには限界が見え始めました。
クラウドストレージ誕生の要因:容量拡大・ユーザー増加・モバイル普及
2000年代に入ると、インターネットの通信インフラが急速に進化していきました。ブロードバンド回線が普及し、光ファイバーによる高速通信も当たり前となり、ウェブサービスが格段に使いやすくなったのです。また、携帯電話やスマートフォンといったモバイル端末の普及が進み、ユーザーがどこからでもウェブサービスを利用できるようになりました。
こうしたインフラとデバイスの進化は、ストレージに対するニーズを大きく変化させました。従来、データはローカルなハードディスクや、企業内のサーバーに保存されてきましたが、ユーザーや従業員が外出先やリモートからアクセスしたいという需要が高まったのです。また、扱うデータの容量も増え続け、高解像度の画像や動画など大容量コンテンツを手軽にやり取りできるようになりました。
この変化に伴い、「外部のサービスを利用して大容量データを安全に保管し、いつでもどこでもアクセスできる」仕組みが注目されました。
これこそがクラウドストレージのコンセプトです。ユーザーにとっては、インターネット経由でデータを保存・取得できる利便性が大きな魅力となり、クラウドストレージは爆発的に普及していったのです。
クラウドストレージの仕組みと発展
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