おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今週のお昼は「ステーブルコインを理解するための金融基礎知識」と題した連載をお届けします。お昼にサクッと読めるような文章量にしていますので、ぜひご覧ください!
前日の要約
昨日はブロックチェーン送金について学び、ビットコインやイーサリアムが中央集権を介さずに送金する仕組みと、そのメリット・課題を整理しました。特に価格変動リスクが大きいため、決済手段としては使いにくいという問題が浮上している点に注目しました。
導入
最終日の今日は、「価格安定性」を確保することでブロックチェーン送金を実用レベルに引き上げようとするステーブルコインにスポットを当てます。
SWIFTやクレジットカードなど既存の金融インフラと比較しながら、ステーブルコインがいかに即時性やコスト面で優位に立ち得るのか、また法定通貨担保型・暗号資産担保型・アルゴリズム型といった多様な仕組みがどんな課題を抱えているのか、ステーブルコインの現状と未来を、じっくり見ていきましょう。
ステーブルコインの基本構造
法定通貨担保型
USDT(Tether)やUSDC(Circle社)など、多くの著名なステーブルコインは「銀行口座などでUSDを保有しておき、同量のトークンを発行する」仕組みをとっています。
ユーザーは1USDTを1ドルとみなして取引できる。
発行体がしっかり準備金を保有し、定期的に監査を受けていれば1:1のペッグが信頼される。
一方で発行体の経営リスクや不正会計リスクがあり、完全な「分散型」とは言いがたい。
暗号資産担保型
MakerDAOのDAIが代表例で、イーサリアムなどの暗号資産を過剰担保としてロックし、1DAI ≈ 1USDを目指す仕組みです。
中央の発行体を置かず、スマートコントラクトで担保管理を行うため、より分散的といえる。
暗号資産価格が暴落すると担保不足が起こり、システムが破綻するリスクがあり、常に適切な担保率の調整が求められる。
アルゴリズム型
特定の担保を持たずに、スマートコントラクトが需要と供給を操作して価格を一定に保つ方式です。かつてのUST(TerraUSD)がこの型で有名ですが、急激な相場変動で一瞬にしてペッグが崩壊した事件は記憶に新しいところです。
アルゴリズム型ステーブルコインは、理論上は最も分散的でスケーラブルな設計になり得る一方、市場の混乱時には信用不安が連鎖的に広がるリスクが顕著です。
既存金融インフラとの比較
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