おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「ステーブルコイン乱立時代の未来予測」と題した考察記事です。細かい網羅的なリサーチというよりも、自身の考察要素が多めですので、その前提でご覧ください。
📗ステーブルコイン乱立時代
👁️重要なインサイト
💬どこで戦うのか
📗ステーブルコイン乱立時代
ステーブルコイン市場の拡大が凄まじいです。ここまでの規模感なのに、月次で6.56%増加しているので、相当なペースで伸びていることがわかります。
で、今回は考察記事なので網羅性ではなくて幾つかの絞った観点から見えてくる未来予測について書いていこうと思います。
トピックはこの辺りです。
あらゆるチェーンやプロトコルが独自ステーブルコインの発行を始める
Stablecoin as a Service戦争の始まり
担保資金の運用益の行方
フロントステーブルコインとバックステーブルコインの分離
etc..
五月雨に書いていくと、まず最近で注目したニュースはHyperliquidの$USDH発行とMegaETHの$USDm発行の話です。
そのニュースの解説からいきます。
◼️Hyperliquidの$USDH発行
2025年9月5日、Hyperliquidは公式Discord内で独自ステーブルコインである「$USDH」構想の発表と、発行パートナーの公募を開始しました。
現状、Hyperliquid上ではUSDCが約55億ドル(USDC供給の7-8%)存在しますが、これを$USDHに置き換えることで担保資金の運用益を手にすることができます。この規模は推定で年1.5〜2億ドル規模で、この収益をコミュニティに還元することができれば、Hyperliquidエコシステムが更なる成長を望むことができます。
また、ユニークなのは公募を行い、バリデーター投票で発行パートナーを決定することです。以下、主要な提案をまとめます。
Paxos:米国のGENIUS法およびEUのMiCAフレームワークに準拠した、規制遵守を最優先する。USDH準備資産から得られる収益の95%をHYPEトークンの買い戻しに使用し、手数料無料のUSDC移行パスを提供することを提案している 。
Agora:準備資産から得られる純収益(カストディアン手数料を差し引いた後)の100%を、HYPEの買い戻しとコミュニティ資金に充てることを約束。初期流動性として1,000万ドルを提供し、グローバルカードのためのRain、相互運用性のためのLayerZeroとの提携を提案している 。
Frax Finance:プロトコルの買い戻しに使用するのではなく、財務省証券の利回りの100%をUSDHを保有するユーザーに直接還元する「コミュニティファースト」モデルを提案 。
Sky:米国財務省短期証券を上回る年率4.85%の利回りをUSDH保有者に直接提供。また、Peg Stability Moduleを通じて最大22億ドルまでのUSDC償還のための即時流動性を約束している。
この他にもStripe関連と噂されるプロジェクトや、USDeを発行するEthenaも提案予定と噂されており、どのチームが採用されるのか不透明な状況が続いています。
ただし、どの提案も担保資金の運用益のほとんどをコミュニティに還元する(HYPEトークンのバイバックまたはユーザーに直接還元)ことを約束しており、その方向になることは間違いないと言えます。
◼️MegaETHのUSDm
2025年9月9日、Ethereum L2のMegaETHは独自のステーブルコイン$USDmを導入し、その担保資金の利回りをL2のシーケンサー手数料に充当することで、ユーザー手数料を引き下げる新モデルを発表しました。
細かい技術解説はしませんが、L2はシーケンサーと呼ばれる主体が存在します。これはL1でいうバリデーターのような位置付けで生成されたブロックを検証し、ロールアップしてL1にコミットします。
実はL2のプロジェクトはここをマネタイズポイントとしており、L2におけるガス代の一部がシーケンサー収入となり、一部はL1(Ethereum)にコミットするためのガス代となります。
今でもL2のガス代は十分に安いのですが、構造上、ガス代を安くし過ぎるとシーケンサー収入が少なくなるというジレンマが存在します。また、L1側で混雑が発生するとL2のガス代も高くなるという事象も発生します。
MegaETHはここを$USDmによって解決します。