債券とは何か? – “借金の証明書”とweb3の関係【後編】
債券は、「企業や政府などの発行体が資金を借り入れるとき、その借金の内容を証明するために発行するもの」と捉えるとシンプルです。
こんにちは。
web3リサーチャーのmitsuiです。
土日のお昼はweb3の基礎の基礎と題して、web3を理解するための基本的な知識に関するレポートをお届けしています。
今週は「証券と債券」をテーマにお届けしています。
1. はじめに:なぜ債券が大事なのか
2-1. 債券の定義
2-2. 債券の種類
2-3. 債券の主な構成要素
3-1. プライマリー市場とセカンダリー市場
3-2. 金利と債券価格の逆相関
3-3. 信用リスクと格付け
4-1. 債券のトークン化とは?
4-2. 国内外の事例
5-1. DeFiレンディングのしくみ
5-2. 債券とDeFiレンディングの違い
5-3. リスクと利回りの考え方
6-1. 債券の本質を踏まえたweb3との接点
6-2. 今後の債券市場とweb3の融合はどう進む?
6-3. 連載を通じて押さえたいポイント
あとがき
1. はじめに:なぜ債券が大事なのか
前編では「証券とは何か?」というテーマを取り上げ、証券=「将来の価値や収益を受け取る権利を示す金融商品」であることを解説しました。株式やデリバティブなど様々な証券がありますが、その中でも「債券」は特に「借金」という仕組みを通じて資金をやり取りする、非常に重要な金融商品です。
債券は、「企業や政府などの発行体が資金を借り入れるとき、その借金の内容を証明するために発行するもの」と捉えるとシンプルです。投資家(貸し手)は、将来の返済と利息の支払いを期待できるため、ある意味で“安定的に収益を得やすい投資手段”として利用されてきました。
一方でweb3の世界では、AaveやCompoundなどのDeFiプラットフォームが「暗号資産を担保にして貸し借りをする」仕組みを提供し、多くのユーザーがそこから利息収入を得るケースが増えています。
「企業や政府が発行する伝統的な債券」と「DeFiレンディングにおける貸し借り」、一見するとまったく異なるようにも思えますが、両者の根底にあるのは“借り手が資金を集め、貸し手が利息を受け取る”という仕組みです。
後編では、この債券の仕組みを深掘りしながら、web3が再定義しようとしている「借金」と「信用」のあり方を見ていきましょう。
2-1. 債券の定義
債券とは、国や自治体、企業などの発行体が資金を借りる際に投資家へ向けて発行する「借用証明書」です。借金ですから、当然そのお金には利息が付き、決められた期日(償還日)までに元本と利息を返済することが約束されています。
発行体:お金を借りる主体(政府、企業など)
投資家(債券保有者):お金を貸す主体。債券を購入することで、元本+利息を受け取る権利を得る
クーポン(利率):債券の表面利率。半年ごと、年ごとなどに支払われる利息
償還期限(満期):債券の期限。この日までに発行体は借りたお金を返済する義務がある
伝統的には、債券は「安全資産(リスクが低い投資対象)」とみなされるケースが多いです。特に国債(国が発行する債券)は「デフォルトの可能性が極めて低い」とされ、世界の機関投資家や中央銀行が大量に保有することが一般的でした。ただし、企業の社債や新興国の国債など、発行体の信用力によってリスクも大きく変動します。
2-2. 債券の種類
債券には、発行体の違いや通貨、利率の形式などによって、いくつかの分類方法があります。ここでは代表的なものを挙げてみましょう。
国債
政府が資金調達のために発行する債券。最も信用度が高いとされるが、財政状況が悪化している国では必ずしも安全とは言えないこともある。
地方債
都道府県や市区町村など地方公共団体が発行する。インフラ整備などの目的で活用される。
社債
企業が資金調達のために発行する。企業の信用リスクにより金利が変わる。
外国債・サムライ債など
外国債:海外の政府や企業が外国市場で発行する債券。
サムライ債:外国企業が日本円で発行する債券。
など、発行通貨が異なるものも多数存在。
ワラント債、転換社債(CB)
株式に転換できる権利が付いた債券など。株式投資と債券投資の両方の特徴を持つ。
このように、債券は非常にバラエティに富んだ資金調達ツールです。企業や政府の事情に合わせて、金利タイプや償還期間などを変えることで、投資家に対して魅力をアピールします。
2-3. 債券の主な構成要素
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