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【スケーラビリティ】基礎単語の解説

なぜVisaは速く、Ethereumは遅いのか

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mitsui
Dec 20, 2025
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おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。

毎週土日の昼には基礎単語解説記事をお届けします。各記事をサクッと読めるような文量にして、改めて振り返れる、また勉強できるような記事を目指していきます。

本日は「スケーラビリティ」です。

ぜひ最後までご覧ください!


スケーラビリティという言葉の誤解

「スケーラビリティ」という言葉を耳にすると、多くの人は「処理が遅い」あるいは「性能が低い」と連想しがちです。しかし、これは誤解です。

スケーラビリティとは単なる処理速度ではなく、利用者が増えても壊れずに成長できるか、システムがどれだけ伸び縮みできるかを問う概念です。

例えば、朝の駅の改札機を想像してみてください。乗客が1人のときは瞬時に通せますが、ラッシュ時には行列ができます。しかし改札機自体は壊れていません。これはスケーラビリティの問題です。一方、改札機の部品が1時間で磨り減るなら、それは性能の問題です。

web3、特にブロックチェーンの文脈でも同じです。Ethereumが遅く見える理由は、技術的な欠陥ではなく、セキュリティと分散性を維持しながら成長するという、極めて困難な設計上の課題に直面しているからです。

既存システムはどうやって「速さ」を実現しているか

Visaやマスターカード、あるいは銀行の振込システムが非常に高速に見えるのは、実は「全員が等しく参加しているわけではない」という前提があるからです。

Visaの場合、トランザクション(カード決済)は以下のような流れで処理されます。

加盟店がVisaに決済情報を送信しても、その時点では資金移動は確定していません。Visaの中央サーバーが情報を記録し、その後、決済ネットワークを通じて銀行間で清算されます。つまり、「見せかけの高速化」です。実際には、決済から資金が本当に移動するまで数日かかることもあります。

銀行の振込システムでも同様です。バッチ処理という仕組みを使い、1時間ごと、あるいは1日1回まとめて大量の取引を処理します。これにより、個々の取引に対する検証コストを分散させ、結果として全体的な処理速度を上げています。

つまり、既存の金融システムの「速さ」の正体は、中央集権的な管理者が存在し、その管理者が「この取引は正当だ」と判断することで初めて成り立っています。そして、その管理者は必要に応じて取引を取り消すことができます。組戻しやチャージバックの仕組みがあるのはこのためです。この「戻せる」という権限があるからこそ、システム全体を簡潔に保つことができるのです。

ブロックチェーンはなぜ遅く見えるのか

ブロックチェーンの遅さは、その設計思想に由来します。ブロックチェーンの核心は「全ノード検証」という概念です。Bitcoinであれ、Ethereumであれ、ネットワークに参加する全てのノード(コンピュータ)が同じトランザクション履歴を検証し、保持しなければなりません。

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