おはようございます。
web3researcherの三井です。
今日は「Roopt神楽坂」というDAO型シェアハウスについてリサーチしました。運営を行う株式会社巻組の三好さんに直接インタビューさせていただき、その内容も踏まえて概要から展望までを解説していきます。
※1)インタビューでの回答と一言一句同じではなく、わかりやすいよう少し加筆修正をしています。ただ、本人に確認いただいているので内容に相違はありません。
※2)細かい技術的な説明は省き、概要が理解できるように意識して書かれた記事となっています。
Roopt神楽坂とは?
Roopt神楽坂は日本初のDAO型シェアハウスです。
物件をオーナーが単体で管理運営するのではなく、入居者およびその他の出資者が自律的に、全面的な運営に関与できるのが特徴です。第一号となる「Roopt神楽坂 DAO」は学生起業家を対象とし、本人たちが理想の「学生起業家DAOシェアハウス」を自律的に作り上げていきます。
物件の賃貸や対外的な広報や契約回りに関しては、発起人でもある株式会社巻組が行っていますが、基本的な意思決定はNFTホルダーたちによるDAOで行われています。
約3万円のNFTを購入することで、DAOメンバーに参加できます。また、より多くの人に関わって欲しいとの想いがあるため、NFT購入はOpenSeaだけでなく、クレカ決済や銀行振込にも対応しています。
https://opensea.io/collection/roopt-dao
NFTホルダーはDAOに参加して意思決定に携われるだけでなく、NFTを消費することで「Roopt神楽坂への1か月の入居」又は「全Roopt物件の7泊8日ワ―ケーション」に利用できます。
また、NFTホルダーはNFTを保有するだけでRoopt神楽坂の共用スペースをコワーキングスペースとして利用できる特典もあります。
DAOでシェアハウスを運営しているため、興味を持った入居希望者への内見対応や家具の組み立て等を巻組を含めたDAOメンバーで行っています。そして、そういった貢献に応じて独自トークンの発行もされています。トークンが貯まると、オリジナルのNFTと交換できるそうです。
DAO型シェアハウス設立の経緯
「Roopt神楽坂」設立までの経緯を簡単に箇条書きで解説します。
運営会社は株式会社巻組という、宮城県石巻に出来た会社。
巻組では、空き家の再活用をメイン事業としてやっている。
空き家を買い上げたり、借り上げ、リノベーションして入居者とマッチングしていく事業。
また、単なる物件運営ではなく、その物件を通して関係人口を創出していくことに力を入れている。
その中で「貸主と入居者は提供者と消費者の関係でしかない」という課題感(疑問)を感じていた。
入居者からここを直してほしい・こういうものを導入してほしいという声が入ったりするが、入居者側の要望が必ずしも実現できるわけでもない。また、退居した後のことを考えると、その入居者の意見を反映するのが必ずしも正しいとは言い切れない。
貸主と入居者が同じ方向を向いて物件運営ができる道はないかと思っていた。
そこで注目したのがDAO。
透明性の高さ、貢献に対する報酬、自律的な組織運営を持つDAOであれば、貸主と入居者が同じ方向を向いた物件運営ができるかもしれないと思い、DAO型シェアハウスが誕生した。
DAOメンバー間で相互対応することで、管理コストを減らせるし、貸主・入居者・DAOメンバーが「シェアハウスの価値向上」という同じ方向を向いて運営が出来ている。
消費するシェアハウスからみんなで作るシェアハウスへ。
気になる疑問をぶつけてみた
Q.NFTホルダーの中で実際に入居する人の割合はどれくらいですか?
A.「まだあまり使ってない方が7割、ワーケーション目的で今後使う予定がありそうな方が2割、入居しそうな方が1割ほどのイメージです。入居目的以外の方には、DAOと不動産を掛け合わせてるのを面白く感じてくださっている方や、自身の考えるDAO事業の勉強のために関わってくだっている方も多いです。」
Q.DAO型シェアハウスやってみての反響や難しいことはありますか?
A.「反響というか意外な発見だったのは、最初は立地的な面でターゲットにしていた「学生起業家」でしたが、DAOの考え方自体、主体的に行動する起業を志すような方にあってたなと感じています。実際、主体的に盛り上げてくれる人が多いです。課題感は、やはりまだ初期段階だからか、一定のファシリテイト役がいた方が議論が盛り上がるというところです。ゆくゆくはこういった面も分散・自動化していくといいのかな?と思っています。」
Q.最後に、今後の展望を教えてください!
A.「感度の高い人が多いと思ったので東京で始めましたが、元々は石巻の会社なので、他の地方都市でも挑戦してみたいです。また、巻組では関係人口創出の事業も行っているので、不動産領域以外の事業にもDAOの考え方が活かせないか検証していきたいと思っています!」
インタビューさせていただき、ありがとうございました!
DAOがもたらす関係性の変化
ここからはインタビューさせていただいた感想を書いていきます。
僕個人的にも過去にシェアハウスの運営経験があり、最近はweb3を勉強しているので、2つを掛け合わせた非常に勉強になったプロジェクトでした。
確かにシェアハウスを運営していると、管理人と入居者の間に溝はできます。いくら入居者が好意的に接してくれたとしても、やはり利害関係がないので、管理人から無償でお手伝いをお願いもしづらく、入居者も度を超えた手伝いは出来ませんでした。
ただ、NFTを絡めたDAOでシェアハウスを運営すると、この関係性が変化する可能性があると感じさせられました。インタビュー中にもあった「みんなで作るシェアハウスへ」の言葉通りです。
とはいえ、全員の利害が100%一致することは難しいかもしれませんが、同じ方向を向けるだけでも大きな変化です。そしてこれは、誰かが負担を強いられているわけではなく、全員にとってメリットがある変化です。
web3は”共創”だとよく言われますが、この共創をより具体的に示すと、ステークホルダーの利害関係の変化なのだと思います。それをNFTを用いることで実現出来ます。
例えば、日本が国として国民にNFT発行したり、行政単位で発行しても面白そうですよね。日本を盛り上げれば盛り上げるほど自分たちの資産も増えていくので。税金を納めるモチベーションも政治に対しての関心度も全く変わりそうです。そうすれば、政治家と国民が同じ方向を向いて進めるはずです。
このように、まだ気づいていないが、NFTによって関係性を変化させることができ、それがイノベーションに繋がりそうな分野はまだまだありそうです。
DAO型シェアハウス、とても勉強になりました。改めて、インタビューさせていただきまして、ありがとうございます!
▼もっと詳しく知りたい方はこちら!
Roopt神楽坂
・HP:https://roopt.jp/sharehouse/about_kagurazaka/
・wiki:https://delicious-rain-39d.notion.site/Roopt-DAO-Wiki-af4c739d107941f2adffd7d372a6f287
・Twitter:https://twitter.com/Roopt_Dao
・OpenSea:https://opensea.io/collection/roopt-dao
・Discord:https://discord.com/invite/ur4ZDKjKPs
以上、記事が面白いなと思った方はぜひ「アドレス登録」と「SNSでシェア」をしていただけると嬉しいです。引き続きweb3をリサーチしていきます。
おわり。
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