おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「TGEに向けたREVOXエアドロップ施策の成功要因を探る」と題して、REVOXのこれまでのエアドロップ施策について深堀りします。
REVOXのTGEはまだ先であり、現在もエアドロップキャンペーン中ですが、すでに一定の成果を出している状況ですので、途中経過としてご覧ください。
記事の趣旨としては、REVOXの紹介もありますが、エアドロップの在り方や具体的な施策の検証になります。web3の世界ではエアドロップ施策の仮説検証が常に行われており、エアドロップ中は数字を獲得できるが、その後に一気にユーザーが離れてしまう現象も散見されます。
その辺りの疑問もREVOXのファウンダーに直接質問させていただいたので、その回答も併せてご覧いただければと思います。
※「web3 Research JAPAN」は「REVOX」の日本メディアパートナーです。そのため、本記事は依頼を受けて執筆している記事となります。
🐈REVOXってなに?
💥Binance Web3 Walletとのコラボで爆発
🧐予想通り?展望は?ファウンダーへ質問してみた
💬エアドロップ施策を考える上で最も大切な質問
🐈REVOXってなに?
「そもそもREVOXってなに?」という方もいらっしゃると思うので、簡単に説明します。
「REVOX」は、ブロックチェーンとAIを組み合わせたプロダクトを構築するプロジェクトで、現在は4つ以下ののプロダクトを抱えています。
ReadON DAO:Read and Earnのプロダクトであり、コンテンツを読むことでポイントが貯まっていきます。
ShareON:Telegramのミニアプリで、配信されたニュースを自分で読んだり、ニュースをシェアして他の人に読んでもらったりすることでポイントが貯まっていきます。
CONTENT HUB:ReadON DAOアプリと密接に連携しているアプリで、ユーザーが好きな記事をキュレーションできます。ReadON DAOアプリで表示されるコンテンツが、より分散的にユーザー主導でインデックスできます。
REVOX LENSE:クリプト特化のChatGPTのようなサービスで、自身のウォレットの保有資産に対しての分析を自動で出力します。
元々は「ReadON DAO」のという名前で、読んで稼げるコンテンツプラットフォームとして活動していましたが、AIにフォーカスするに当たりプロジェクト全体がリブランディングされ、「REVOX」という名前になりました。
将来的にはオンチェーンAIを活用したDapps構築プラットフォームとして進化していく予定です。
現在TGEへ向けたエアドロップキャンペーン中で、様々なアプリを使うことで将来的にトークンと交換できるポイントを獲得できます。
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💥Binance Web3 Walletとのコラボで爆発
では本題に入ります。
REVOXの具体的なエアドロップ施策とそれによって出た結果について紹介します。尚、今回取り上げるREVOXのエアドロップ施策は、「Binance Web3 Walletコラボ」キャンペーンとします。
まずは時系列に沿って何があったのかを細かく紹介します。
3月17日:REVOX LenseにopBNBチェーン追加
4月30日:Airdrop予告ツイート①
5月2日:Airdrop予告ツイート②
5月7日:Airdrop予告ツイート③
5月11日:Airdrop予告ツイート④
6月12日:BNB Chain alliance programへの参加を発表(※1)
6月13日:$6Mの資金調達を発表
6月20日:Binance Web3 Walletとのコラボを発表(※2)
6月22日:REVOX 1.39M UAW達成
6月26日:REVOX 2M UAW達成
6月26日:opBNB ATH 3.97M UAW達成
6月30日:X followers 1M突破
7月2日:エアドロップのアロケーション枠を倍増
7月8日:REVOX 3.15M UAW達成
※1)BNB Chain alliance programへの参加を発表
BNBチェーン上の複数プロジェクトがTGEへ向けて一気にポイントプログラムを開催するキャンペーンです。REVOXが参加したプログラムは第三弾で、過去2回で150万人以上が参加しています。
※2)Binance Web3 Walletとのコラボを発表
Binanceアプリから直接REVOXのキャンペーンに参加できるようになりました。Binance Web3 Wallet独占でのポイントを配布しています。
これらのキャンペーンを経て、時系列でも紹介した通り、SNSのフォロワー数やUAW数が急増しました。
中でも特に盛り上がったのはopBNB上の「REVOX Lens」の利用です。この盛り上がりはopBNBのDAUを過去最高に導くことに最も貢献しました。
🧐予想通り?展望は?ファウンダーへ質問してみた
今回の施策や実績に対して、個人的に気になったことを幾つかファウンダーに質問してみました。以下、回答となります。(日本語訳したものです)
Q1)これまでのエアドロップマーケティングの結果は、期待と比較してどうですか?
イベント全体で、総アクティブアドレス数は1,390万以上に達し、KYCを通じて65.3万以上のウォレットが検証され、オンチェーンインタラクション数は6,600万回以上に達しました。また、REVOX Lenseではトークン分析機能が8,200万回以上使われました。
さらに、REVOXイベント中、opBNBのDAUは過去最高に達し、REVOXはこの合計の約40%に貢献しました。
よって、全体的なイベントの結果は最初の期待を上回りました。
Q2)予想以上に反響があった取り組みはありますか?
①ユーザーの理解と体験の向上
当社のエアドロップ活動は、web3ユーザーが製品レベルでトークンの背後にある情報をよりよく、より迅速に理解し、エアドロップに参加するためだけの無意味な操作を回避するのに役立ちます。これらの実用的な製品機能を通じて、ユーザーエクスペリエンスと参加価値を向上させることを目指しています。②不正行為防止策による公正性の確保
不正行為防止策として、大規模ファーマーを抑制し、本物のユーザーへの報酬価値を確保しています。これにより、コミュニティの公正性を守るだけでなく、本物のユーザーのプロジェクト活動への参加意欲も高まります。③より良いエンゲージメントのためのユーザーパスの簡素化
イベントデザインに関しては、ユーザーがプロジェクトの価値や製品を理解し、学習コストを最小限に抑えることで、よりシンプルなユーザーパスを提供するよう努めています。これらの取り組みを通じて、ユーザーが簡単に参加し、利益を得ることを願っています。
Q3)web3業界では、エアドロップが示唆されるとプロジェクトフォロワー数やアクティベーション数が急増しますが、エアドロップが終了すると急激に減少します。この現象についてどう思いますか?
web3市場では、エアドロップ活動は、その重要な富の創造効果と強力なマーケティング機能により、多数のユーザーを引き付ける重要な手段となっています。しかし、エアドロップは常に期待される市場の注目を集めるわけではありません。
エアドロップへのユーザー参加は、基本的にプロジェクトの支持であり、エアドロップ活動は従来の広告に似ています。究極のコンバージョン効果とユーザーの維持は、プロジェクトのコア競争力に依存します。
したがって、プロジェクト価値の長期的な効果的な伝達と構築が特に重要です。
エアドロップ活動は価値伝達の増幅器として機能し、すべてのweb3プロジェクトはこのツールを十分に活用する必要があります。
伝統的なビジネスでも、エアドロップと同じような戦略も見られます。例えば、国際空港の一部の免税店では、販売促進のためにバウチャーや割引クーポンを配布しており、これらの割引クーポンはしばしばユーザーや転売業者によって取引されます。
これはweb3のエアドロップと多くの類似点があり、ここからいくつかの洞察を得ることができます。
まず、エアドロップは転売業者ではなく本物のユーザーをターゲットにする必要があります。web3市場では、さまざまなスタジオやボットがユーザーの識別をより困難にし、より多くの分析と努力を必要とします。
第二に、エアドロップは有用な製品の「バウチャー」として機能し、貴重な製品に接続してユーザーを引きつける必要があります。通常、一部の複雑なインフラプロジェクトは、一般ユーザーが理解して使用するのが難しいです。これらのプロジェクトは直接的なエアドロップには適していませんが、 上記の観点から、エアドロップは製品のマーケティング手法として明確に定義され、その効果は製品の使用と維持に基づいて評価されるべきです。
活気あるエアドロップ活動は興奮するものですが、その後にはまだ多くの建設作業が必要です。エアドロップ活動は、短期的なユーザーアトラクションのためのツールだけでなく、長期的な価値伝達とユーザーコンバージョンの重要な手段でもあるべきです。
Q4)エアドロップ後の落ち込みを避けるためにREVOXでは何を意識していますか?
ユーザーの中には、エアドロップの報酬を受け取るためだけに参加する人が多く、プロジェクト自体について合意が得られない場合があります。これが、エアドロップが終了すると多数のユーザーが失われる主な理由の1つです。
したがって、これらのユーザーをその後どのように維持するかは、チームが前進する上で重要な考慮事項です。 エアドロップ後のユーザー離脱を減らすために、将来的に以下の対策を実施します。
①長期的なインセンティブプランとユーザー教育
私たちは、ユーザーとの長期的なエンゲージメントを維持するために、持続可能で健全なインセンティブメカニズムを設計しました。このメカニズムを通じて、プロジェクトの哲学をユーザーに継続的に伝え、プロジェクトに対する理解と合意を深めます。②コミュニティビルディング
アクティブなコミュニティを確立し、長期的なコミュニケーションを維持することで、ユーザーの所属意識と参加感を高めることを目指しています。③ 透明性とコミュニケーション
私たちは定期的にプロジェクトの進捗状況と将来の計画を発表し、ユーザーにプロジェクトの長期的な価値について情報を提供します。 私たちのチームは、市場のトレンドを監視し、革新し、最適化して、製品とプロジェクトの価値が市場で競争上有利であることを確認し続けます。
Q5)エアドロップに参加しているユーザーにメッセージをお願いします
REVOXは短期的な市場効果に焦点を当てるだけでなく、長期的なエコシステムの構築とプロジェクトの開発にも取り組んでいます。
私たちは、継続的な建設と改善によってのみ、エアドロップ後の短期的な影響を回避し、プロジェクトの持続可能な発展を確保できることを理解しています。
コミュニティの声はREVOXにとって重要です。コミュニティのフィードバックや提案が私たちの原動力です。私たちは常にコミュニティのニーズに耳を傾け、積極的に対応し、プロジェクトの進捗と改善を促進するために協力します。
REVOXは常に業界での競争力を維持することを約束します。継続的な革新と最適化を通じて、私たちはユーザーにより良い製品とサービスを提供することを目指しています。私たちはすべてのユーザーのサポートと参加に感謝し、強力で活気のあるweb 3エコシステムを一緒に構築することを楽しみにしています。
💬エアドロップ施策を考える上で最も大切な質問
ここまで、REVOXのエアドロップ戦略におけるBinance Web3 Walletとのコラボキャンペーンと個人的な疑問に対するファウンダーからの返答を紹介しました。
最後は個人的な考察です。
まず、web3プロジェクトにおいてエアドロップは非常に重要なイベントです。トークンによるインセンティブを元に多くのユーザーにリーチできます。ただし、基本的には1回限りしか使えません。
エアドロップキャンペーンをするとSNSフォロワー数、UAW、Tx数、TVLなどなど、基本的には全ての数値が上昇しますが、エアドロップ終了後にその数字が維持するのかは分かりません。多くのプロジェクトでは数字は急落し、エアドロップの在り方自体に疑問が投げかけられることも多いです。
その上で、REVOXのエアドロップキャンペーンはどうだったのでしょうか。もちろん、TGE後にそのまま数字が維持するのかは分かりません。
ただ、僕が個人的に興味深いと思ったのはファウンダーからの回答にあった「エアドロップに対しての考え方」と「TGE後の数字の落ち込みを回避するために考えていること」です。
まず「エアドロップに対しての考え方」として、エアドロップ自体は非常に有益なツールだとしているものの、これはWeb2の世界でもバウチャーや割引券の配布などでも見られると発言しています。
ここからはこの発言から個人的に深掘りした考察となりますが、僕はこの考え方はエアドロップにおいてかなり重要なのではないかと考えています。というのも、”web3のエアドロップ”をそのチームが何と認識しているかによって戦略自体が大きく変わってくるからです。
ここで僕なりの結論を書くと「エアドロップはプロダクトのPMF~グロース期に利用すべきなのではないか」です。
例えば、あなたが飲食店を開業するときにどのタイミングで割引券を配布しますか?おそらく店舗オープン時に最も力を入れ、割引率を高めるはずです。なぜなら一番最初は赤字覚悟でもとにかく認知を高め、色々な人に来てもらうことが一番だからです。
この割引券の配布行為をweb3でいうエアドロップとすると、どのタイミングでエアドロップをするべきなのかが見えてきます。
飲食店の例で言うと、まだ店舗開店前に割引券を配布しても何も意味がありません、またオープンしたときに改めて集客し直す必要があります。そして、オープン後に割引券を配布して集客しても味が不味いとリピーターに繋がらないのでこちらもまた意味がありません。
正直、web3では店舗オープン前、もしくはまだ味が不味くて内装もできていないのにエアドロップ施策をやるプロジェクトが多いです。当然ながらこれはエアドロップ終了後に数字が落ちます。
だからこそ、エアドロップという一回限りの大技をどのタイミングで行うのかが非常に重要になってきます。
その意味で、エアドロップをWeb2における割引券みたいなものだと回答したREVOXチームの回答は非常に納得感がありました。
また、「TGE後の数字の落ち込みを回避するために考えていること」に関してもお伺いしましたが、ここに対しても至極当たり前の回答をされていました。
ここも、エアドロップは成長をサポートするものであり、あくまで大事なのは価値あるプロダクトで、ユーザーとの長期的な関係構築であることが読み取れます。
僕もweb3をリサーチし続けていると、ついついエアドロップ施策やトークンエコノミクスの革新性に目がいってしまいますが、ユーザーは新しいから使うのではなく、便利だから使います。ここは忘れちゃいけないなと改めて感じました。
さて、総括です。
個人的にプロジェクト側がエアドロップ施策を考える上で最も大切な質問は「エアドロップ施策をWeb2(これまでの事業)で置き換えると一体何?」だと思います。
エアドロップはweb3固有の動きかもしれませんが、人間の根底の心理が大きく変化しているわけではありません。よって、これまでのどの行動に該当する施策なのかをきちんと言語化する必要があります。エアドロップはweb3だけに許された魔法のツールで、これをすればユーザーが増えると認知しているチームはエアドロップ後に数字が落ちる可能性が高いです。
よって、そのチームおけるエアドロップの定義、そしてその定義に基づく最適なタイミングを考えることが非常に重要です。その過程で、エアドロップの定義を考え、チームでの共通見解を持つ質問の1つとして、「これまでの事業で置き換える」ことはきっと使えるのではないかと思います。
REVOXには今回色々な実績の情報も頂きつつ、個人的に気になった質問に対してもファウンダーが自ら答えてくれました。今回紹介したBinance Web3 Walletとのコラボキャンペーンは終了していますが、TGEまでのエアドロップ期間はまだまだ続いているので、興味ある方はぜひREVOXのXアカウントをご覧ください!
近々、Babylonとのコラボキャンペーンも始まるみたいです。
以上、「TGEに向けたREVOXエアドロップ施策の成功要因を探る」レポートでした!
引き続き色々なプロジェクトを追いかけながら、エアドロップについても考えを深めていきます!
↓REVOXの概要はこちら
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Author:mitsui @web3リサーチャー
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