おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「ERC-○○」を総まとめするレポートです。自分の記憶やリサーチの元で掲載していますが、漏れていたらすみません。その際は追記していきます!
«目次»
1、そもそもERCってなに?
- EIPとの違い
- ERC規格誕生の歴史
2、ERC-○○ 47選
3、発明は課題解決の歴史であり、願いから生まれる
そもそもERCってなに?
ERC-20はトークン規格で、ERC-721がNFT規格で、、みたいなことを聞いたことがある人が多いと思いますが、そもそも「ERC」が何かご存知でしょうか。
まずはここから解説します。
ERCは「Ethereum Request for Comment」の略で、イーサリアム上でのトークンや他のコントラクトを実装する際の標準的な手順やルールを示すものです。「全員がバラバラの規格で作っていたら大変だから、同じ規格で作ろう!その方が相互運用性高いよね!」というイメージです。
■EIPとの違い
イーサリアムにはEIP(Ethereum Improvement Proposal)と呼ばれるイーサリアム改善提案という言葉が存在します。EIPはイーサリアムのプロトコルそのもの、またはそれに関連するもの(ライブラリやインターフェイスなど)の改善提案を指します。
ERCはEIPの一部として存在しますが、特にイーサリアム上で動作するトークンや契約に関する標準や規格を提案するものを指します。要するに、EIPはイーサリアム全体の改善を目指す提案であり、ERCはイーサリアム上でのアプリケーションやトークンの標準や規格を提案するものとして考えることができます。
↓こちらがEIPのページですが、その中にERCタブがあることが見て取れます。
■ERC規格誕生の歴史
イーサリアムのERCの背後には、イーサリアムの開発者やコミュニティが直面した特定の問題への対応があります。ERCが始まった背景と歴史を簡単にまとめます。
イーサリアムの誕生と初期の段階
イーサリアムは2015年に生まれました。その主要な機能の一つは、スマートコントラクトのプラットフォームとして機能することでした。
この新しいプラットフォームの出現により、多くの開発者や企業がイーサリアム上で独自のトークンやアプリケーションを作成し始めました。
トークンの増加と標準化の必要性
最初は、これらのトークンやアプリケーションは独自の方法で設計されていたため、異なるトークン間の互換性がなく、取引所やウォレット、他のアプリケーションとの統合が困難でした。
この解決策として、イーサリアムのコミュニティはトークンやスマートコントラクトの動作に関する共通の標準を作成することが求められました。
ERC-20の登場
この必要性を背景に、トークンの作成と動作に関する一般的な指針を提供する「ERC-20」トークン標準の提案が行われました。
ERC-20は成功を収め、イーサリアム上でのトークンの作成や取引のデファクトスタンダードとなりました。
その後のERCの発展
ERC-20の成功を受けて、他の多くのERC提案が行われました。例えば、非代替可能トークン(NFT)の標準として知られる「ERC-721」や、複数のトークンタイプを同一の契約で扱う「ERC-1155」などです。
これらの提案は、トークンの発行や取引、使用方法をより柔軟にし、様々な用途やニーズに応えることができるようになりました。
このように、ERCシステムはイーサリアムのエコシステムが直面した問題への対応として生まれ、その後、多様なニーズや用途に応じて進化してきました。
では、ERCの概要や背景が理解できたところで、ERC-○○シリーズを一気に説明していきます!!
ERC-○○ 48選
前置き:リサーチした上で掲載していますが、アイディア段階の提案やすでに開発停止となっている ERC規格も含みます。また、完全網羅ではなくユースケースがイメージしやすい規格に絞っての紹介となります。
ERC-20
最もスタンダードなトークン規格。イーサリアム上で互換性のあるトークンを自由に発行し、送受信を行うことが可能。ERC-223
ERC-20の欠点を改善し、違うアドレスに誤って送ってしまった際に取り返すことを可能にする規格。送金手数料もERC-20の半分以下。ERC-677
既存の機能をオーバーライドするERC-223とは異なり、ERC-20に新しい機能を追加する規格。受信者にその機能がない場合でも通常のERC-20 機能を使用してトークンを転送できる。ChainLink (LINK)にも利用される。ERC-1363
ERC-677に新機能が追加された規格。トークンを受信者に承認した後、トークンは受信者コントラクトにコールバックを実行して、受信者に何かを指示できるようになった、例えば、トークン支払い可能なクラウドセールを作成したり、トークンのサービスを販売したり、請求書の支払い、サブスクリプションを作成したり、特定のユーティリティやその他の多くの目的でトークンを使用したりすることができるようになる。
ERC-621
RFT(Re-FungibleToken)とも呼ばれ、トークンの供給量を後から自在に増加または減少させることができる規格。音楽やアート作品などをNFT化した際の閲覧権をRFTとして発行することで、お客さんは自由に楽しみ、閲覧しなくなった際には売却して利益を出すなどの使い方が想定されている。ERC-721
異なるトークン間に個別の識別子を持たせ、トークンに代替不可能性を持たせる規格。NFTに最も利用されている。ERC-721A
ERC-721を発展させ「Azuki」が独自に開発したトークン規格。ERC-721では複数のNFTをミントする際に多くのガス代が発生したが、ERC-721Aは、ERC-721に互換性を持ちながら、発行時のガス代を大幅に削減する。ERC-721K
ダイナミックNFTを構築する規格。SVGとリアルタイムのデータを使用することによってNFTの構築、レンダリング、進化をオンチェーンで可能にする。ERC-721R
ブロックチェーン取引に可逆性を持たせる規格。クーリングオフのような返金期間を設けたり、ラブプル等の詐欺行為によって自身の持つNFTが盗まれた際に取り返すことが可能になる。ERC-721M
オンチェーンソーシャルネットワークを構築することに優れた規格。例えば、ガス代の消費のみで誰でも簡単に99人以下のInvestmentDAOを作成することが可能となる。ERC-721x
ERC-721規格にERC-1155のような複数アセットの一括送信を可能にする規格。ERC-721と互換性を持ちながらガス代の大幅な節約を可能にする。ERC-721i
ERC-721やERC-721Aを更に改良し、大量のNFTを非常に安価でミントできる規格。プレミントと呼ばれる手法を採用し、100万個のNFTの作成をわずか2ドル未満のガス代でミントすることが可能。
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