【世界のCBDC動向】CBDCの定義・課題・可能性と2023年10月時点の世界各国の進捗を徹底解説
【レポート】中央銀行の93%に該当する130カ国が既にCBDCに関する研究をスタートしています。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
毎週水曜日はレポート形式で業界を深掘りする記事を発行していますが、今日は「CBDC」についてまとめてみます。
«目次»
1、CBDC とは?
- CBDCの種類
- CBDCのメリット
- CBDC誕生の歴史
2、世界各国の動向
- 神サイトのご紹介
- 世界動向ざっくり概要
3、主要国及び特徴的な国の紹介
- 日本
- アメリカ
- 中国
- ロシア
- ヨーロッパ
- バハマ
- スウェーデン
- カンボジア
4、CBDCの課題と可能性
CBDC とは?
「CBDC」は「Central Bank Digital Currency」の略であり、日本語訳すると「中央銀行デジタル通貨」と呼ばれます。
デジタル通貨には電子マネーや既存の暗号資産も存在しますが、国家の中央銀行が発行するデジタル通貨のことをCBDCと呼びます。日本であれば日銀(日本銀行)が発行するステーブルコイン「デジタル円」を、アメリカでは「デジタルドル」を、中国では「デジタル人民元」を、CBDCと呼びます。
基本的にはブロックチェーンを活用し中央銀行が発行するステーブルコインを指してCBDCと呼びますが、国家によってはブロックチェーンの利用有無に関わらず中央銀行が発行するデジタル通貨のことをCBDCと呼んだりもするので、この辺りは国によって定義が異なります。この記事ではブロックチェーンを利用していることを前提に進めていますが、その技術詳細は各国によって異なりますのでご注意ください。
◼️CBDCの種類
CBDCはその役割や機能によって大きく「ホールセール型CBDC」と「一般利用型CBDC」の2つの型に分類されます。ホールセール型CBDCは利用者が金融機関に限定され、国同士の中央銀行間や中央銀行と民間銀行の間での利用が想定され、一般利用型CBDCはいわゆる既存の円をデジタル化する取り組みで一般消費者も利用します。
よって、基本的にはCBDCとして表現される際は一般型CBDCであることが多いです。
◼️CBDCのメリット
CBDCは以下の5つの要素を持つことが望ましいとされています(中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針より引用)。
ユニバーサルアクセス
CBDCを「誰でも使える」ものとするためには、送金・支払を行う際に 用いる端末、カード等の利用対象者を制限することがないよう、簡便性や携帯性に関する設計面での工夫が必要となる。セキュリティ
CBDCを「安心して使える」ものとするためには、偽造抵抗力を確保し、 各種不正を排除するよう、セキュリティを高める取り組みが必要である。強靭性
CBDCを「いつでも、どこでも使える」ものとするためには、エンドユ ーザーが、24 時間 365 日、常に利用できる仕組みが必要となる。システム・ 通信障害や電力途絶といったオフライン環境下でも利用できる仕組みを確 保することも、自然災害の多いわが国において重要なポイントである。即時決済性
CBDCには、現金と同様の中央銀行マネーとして、決済のファイナリテ ィ(支払完了性)および即時決済性が求められる。また、多数のユーザーに よる高頻度の決済を迅速に完了させるためには、システム面での十分な処理性能と将来の利用増加に備えた拡張性が必要となる。相互運用性
CBDCを運営するシステムについては、民間決済システムなどとの相 互運用性を確保していることや、将来の民間決済サービスの高度化などに 適応するために柔軟な構造となっていることが重要である。
これらの特性を持ち、安定したデジタル通貨ということで、低い取引コストと素早いグローバル決済が可能になり、現金輸送コストなども無くなります。また、インバウンドの観光客もスムーズに利用できるなど、グローバルで決済として利用できるため、円の価値を向上させていくきっかけにも利用できます。一方で、セキュリティやプライバシーの側面は課題として挙げられ、慎重な議論がなされています。
◼️CBDC誕生の歴史
ステーブルコインの必要性が生まれる
ビットコインやイーサリアムなど、仮想通貨は次々と生まれましたが、価格変動が激しく、またスケーラビリティ問題もあり、なかなか日常生活での決済に活用されることは難しい現状です。 一方で、ブロックチェーンを活用した通貨という視点で見れば、国際送金の簡易さや手数料の安さ、運営コストの安さ、改竄できず透明性が高いなど、非常に多くの利点があることは間違いありません。 そこで、価格変動が激しくない仮想通貨としてステーブルコインが誕生しました。ステーブルコインの誕生
その利用のしさすさも相まって、ステーブルコインはweb3業界の中で大きな広がりを見せました。特にDeFi領域などweb3プロトコルでの利用が加速しました。Facebook(現Meta)社によるリブラ計画の発表と頓挫
2020年、全世界に20億人以上のユーザーを持つ世界最大のSNS運営会社がステーブルコインの発行に乗り出しました。しかし、世界各国の金融庁から強い反発を受け、結果的に計画は頓挫しました。ここで”国家は一企業に通貨の運営権を握られる可能性がある”ことを認識し、強い危機感を覚えたと言われています。CBDCの開発が本格化していく
世界的なDXの波、そしてリブラ計画によって、通貨の運用を一企業に担われることを恐れた国家が、自ら主体となってステーブルコインを始めました。それがCBDCです。
以上が、簡単なCBDC誕生までの背景です。簡単な背景ですので、もちろんリブラ計画より前からCBDC的な構想がされていたり実験が始まったりしていましたが、多くの国にとってリブラがそれを大きく推進させるきっかけになったことは間違い無いように思います。
世界各国の動向
では続いて、世界各国のCBDCに関する動向を見ていきます。
すでにほとんどの国で着手されていますが、進捗には差があります。幾つか調査結果のグラフや図を紹介しつつ、全体像を掴んでいただければと思います。
◼️神サイトのご紹介
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