【Pyth Network】Solana上の分散型オラクルプロトコル / プッシュではなくプル型の価格更新アルゴリズムを採用 / 23年11月のエアドロップが盛り上がる
📈価格データをオンチェーンに移行するオラクルを提供
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「Pyth Network」についてリサーチしました。
«目次»
1、概要|Pyth Network とは?
- 登場人物
- 仕組み
2、概要②|独自の価格更新アルゴリズム
3、トケノミクス|$PYTHトークンとガバナンス
4、考察|vs Chainlinkどうなる?
概要|Pyth Network とは?
「Pyth Network」は、Solana上に構築された分散型のOracleネットワークです。
Oracleとは、オフチェーンデータをトラストレスにオンチェーンに反映させる仕組みのことで、代表的なプロジェクトにChainlinkが存在します。「Pyth Network」は暗号資産、株式、債券等の金融系の価格データをオンチェーンに反映させるOracleを提供しています。
◼️登場人物
関係者は4者です。
パブリッシャー(データ提供者)
Pyth Network
Dapps開発者
ユーザー
パブリッシャーから提供されるデータをPyth Networkで管理し、様々なDappsが利用します。それをユーザーが利用します。
「Pyth Network」は90 社以上のファーストパーティパブリッシャーから価格データを提供されており、その規模はweb3の世界で最大級となっています。
◼️仕組み
ざっくりした仕組みは上で解説した通りですが、もう少し細かく見ていきます。Pyth Networkは以下の3つのソリューションを提供しています。
Solana価格フィード:Solanaメインネット上のリアルタイム価格データを提供
Pythnet価格フィード:Solana以外の45 以上のブロックチェーン エコシステムのリアルタイムの価格を提供
ベンチマーク:過去の価格データを提供
それぞれをSDKとして自社プロダクトに組み混むことができます。
また、Pyth NetworkはSolana上に構築されていると言いましたが、Pythnetと呼ばれる独自のアプリチェーンも構築しています。Solana価格フィードはSolanaチェーン上でそのまま実行され、それ以外のチェーンへの対応はPythnet上に構築されるOracleで提供されます。この仕組みによって、EVM系やCosmosなど45以上のブロックチェーンに価格フィードを提供することができます。
概要②|独自の価格更新アルゴリズム
Oracleプロトコルにおいて最も大切なことは「価格更新アルゴリズム」です。
もちろん前提となるファーストパーティデータの取得やそれらをトラストレスに提供する基盤も必要ですが、その上で”信頼できる価格がリアルタイムで更新され続ける”ことが必須です。でなければアプリケーションで利用することができません。
Pyth NetworkはこれまでのOracleプロトコルに課題を感じ、独自の価格更新アルゴリズムを提供しています。
これまでのOracleでは「プッシュモデル」を採用しています。このモデルは価格更新を定期的にオンチェーンに「プッシュ」します。このモデルでは、未使用の価格更新でガス料金が無駄になる可能性があります。また、ガス代が高騰している際にかかる費用の高さや更新頻度の遅さが問題になっていました。
そこでPyth Networkは「プルモデル」を採用しています。Pull Oracle 設計では、ユーザーは必要に応じてPythプロトコルから「プル」し、価格の更新を要求できます。ユーザーからの価格更新リクエストはPyth コントラクトに送信され、その有効性を検証し、結果が反映されます。
この仕組みにより、ユーザーが希望する価格のみを更新されるため、ガス効率が高くなります。
(技術的というより理解の)イメージは、自宅の電気をこまめに消すようにした感じでしょうか。これまでは自宅にいない時も含めて全ての部屋で電気をつけたままで生活していたので電気代が高かったですが、これからは使う部屋を使う時だけ電気をつけるようにしたので電気代が安くなったみたいな。
Oracle側からのプッシュで全てが一律で価格更新されていたものが、ユーザーからのリクエストで利用されるところだけリアルタイムで価格更新されるようになりました。
ただ、この仕組みは全体としてのガス効率は上げますが、価格更新のオンチェーン手数料はユーザー負担となります。ここが若干のデメリットですが、1トランザクションは微々たるものなので、利用者で分散してガス代負担を担保します。
また、これまでのOracleは数十分に一度の価格更新でしたが、Pyth Networkは必要に応じて毎秒更新されます。
トケノミクス|$PYTHトークンとガバナンス
Pyth Networkのガバナンス トークンとして$PYTHが発行されています。2023年11月に初回エアドロップが実施され、全体の春の傾向とSolanaの盛り上がりも相まって、トークン価格が急騰したことでも話題となりました。
$PYTHトークンはPyth Networkのガバナンストークンとして機能し、パブリッシャーへの報酬やプロトコルのアップデートに対しての投票を実行します。
合計100億トークンが以下のアロケーションで配布されます。
以下のロックアップスケジュールで配布されていきます。
2023年11月には15%分が初期貢献者にエアドロップされました。今後も段階的にエアドロップされていく予定です。
考察|vs Chainlinkどうなる?
最後は考察です。
PythはSolanaの盛り上がりとエアドロップの盛り上がりで気になっていました。オラクルプロトコルはweb3市場において必要不可欠です。DeFiでもDappsでもオフチェーンからいかにオンチェーンにデータを引っ張るのかは非常に大切です。
Chainlinkがまだ一強ですが、そこに追いつく勢いでPythが伸びています。そのトランザクションは全てDuneでまとめられており、リサーチ日のデイリーユーザーは44,655人でした。
Solanaが伸びていることも影響していると思いますが、そもそもChainlinkとはプッシュ型とプル型で価格データのアップデート方法が異なります。今回はPyth側のリサーチでしたので、Pythの方がガスコストも抑えられる方法でした。
今後もweb3が拡大していくに当たり、オラクルの競争も激しくなっていくように思われますが、Pyth Networkの動向にも注目していきたいと思います!
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