「“誰でも乗れる”が意味する本当の価値」― 開かれたプロトコルが生むエコシステムの連鎖【後編】
web3では誰でも自由にプロトコル上で開発・利用できる環境が整っており、スマートコントラクトの再利用やフォークによってエコシステムが連鎖的に発展している。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日はweb3の基礎の基礎レポートということで「Web2プラットフォームとweb3プロトコルの構造比較」について深掘りします。
それでは、後編始まります。
はじめに:開放された土壌がイノベーションを生む
1章:エコシステム思考とは何か
2章:具体的な事例①Uniswapとその派生サービス
3章:具体的な事例②NFTエコシステムの広がり
4章:web3エコシステムを支える“開発者コミュニティ”の力
5章:エコシステム思考が変える社会の可能性
6章:“誰でも乗れる”が直面する課題と克服
7章:まとめ―“土壌”を共有する未来へ
終わりに
🧵TL;DR
web3では誰でも自由にプロトコル上で開発・利用できる環境が整っており、スマートコントラクトの再利用やフォークによってエコシステムが連鎖的に発展している。
DeFiやNFTを例に、UniswapやOpenSeaといったコアプロジェクトを中心に、アグリゲーターや派生サービスが多層的に拡張され、協調型の成長が実現されている。
オープンソースとトークンインセンティブにより、開発者やユーザーがプロトコルの共同運営者として関わる“巻き込み型”のガバナンスが形成されている。
今後は金融やゲームだけでなく、行政・医療・教育などにも広がる可能性があり、課題(セキュリティ、UX、規制)を乗り越えて“持続可能な分散”社会の実現を目指すフェーズにある。
はじめに:開放された土壌がイノベーションを生む
前編で触れたように、Web2では企業がプラットフォームを所有し、ユーザーや開発者は企業の許可(API利用規約やアカウントルールなど)の下でしか行動できません。一方でweb3では、Ethereumや他のブロックチェーンを筆頭に「プロトコルが公共財として開放されている」という点が大きく異なります。
誰かが一方的にAPIを締めることも、中央管理者がアカウントをBANすることもできない。さらに、スマートコントラクトのコードは多くの場合オープンソースで公開され、誰でもフォークや改変が可能。これこそが「“誰でも乗れる”が意味する本当の価値」なのです。
では、具体的に「誰でも乗れる」という環境がどのようにエコシステム全体の発展を加速させるのでしょうか。ここからは、web3ならではの“エコシステム思考”とその代表的な事例を通じて、オープンで協調的な世界観を体感していきましょう。
1章:エコシステム思考とは何か
1-1. 中心がないからこそ生まれる“連鎖”
web3のエコシステムでは、ある1社や1サービスが中心に君臨するのではなく、複数のプロジェクトやプロトコルが互いに絡み合う形で成長するのが一般的です。
その例として「DeFi」を挙げるとわかりやすいでしょう。DeFiでは、複数のプロトコルやサービスがオンチェーン上で相互運用(インターオペラビリティ)できるため、資金やユーザーが“流動的に”動き回ります。あるプロトコルで得たトークンを別のプロトコルに預け入れて利息を獲得し、その利息をさらに別のプロトコルで取引に使う、という連鎖が無数に生じます。
このように、一つのプロダクト内でサービスを完結させるのではなく、「複数のプロダクトを渡り歩く」動きが当たり前になります。
Web2であれば、「あるプラットフォームにユーザーを囲い込む」方向に発想が働きがちですが、web3の場合、ユーザーにとっては自由度が高く、開発者にとっては互いに上乗せし合うことで価値を最大化できるのが魅力といえます。
1-2. APIではなく“スマートコントラクト”が共通基盤
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