Web2プラットフォームとweb3プロトコルの構造比較 ~GoogleやMetaとEthereumは何が違うのか?~【前編】
Web2とweb3の最大の違いは「最終的な意思決定やルール制定権を誰が持つか」であり、web3ではユーザーやコミュニティが共同でプロトコルを管理・運営できる。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日はweb3の基礎の基礎レポートということで「Web2プラットフォームとweb3プロトコルの構造比較」について深掘りします。
それでは、前編始まります。
はじめに:私たちは「無料の便利さ」と引き換えに何を失っているのか
1章:Web2の本質 = プラットフォーム経済
2章:web3の本質 = プロトコル経済
3章:プロダクトとプロトコルは何が違うのか?
4章:便利さと支配のはざま - “見えないルール”を再考する
5章:まとめ - 誰のルールの上で“創る”か?
🧵TL;DR
Web2では、無料で便利なサービスを享受する代わりに、データやプライバシーを企業に預け、規約変更やアカウント停止リスクを受け入れる構造がある。
一方、web3は中央管理者が存在せず、ブロックチェーン上での合意とオープンソース技術により、誰でも自由に参加・開発できる環境を提供する。
Web2とweb3の最大の違いは「最終的な意思決定やルール制定権を誰が持つか」であり、web3ではユーザーやコミュニティが共同でプロトコルを管理・運営できる。
インターネットを公共財と捉え、「所有と主権」をユーザーに取り戻す可能性を秘めたweb3は、今までの中央集権的な常識を大きく変えうる技術といえる。
はじめに:私たちは「無料の便利さ」と引き換えに何を失っているのか
インターネットの日常生活において、Googleが提供する検索エンジン、Gmail、YouTube、そしてMetaが提供するSNSなどは、いまや「なくてはならない」存在です。私たちはこれらのサービスにアクセスするだけで、世界中の情報を瞬時に検索できたり、数多くの友人やコミュニティとつながることができます。しかも大半のサービスは“無料”で利用可能であり、その圧倒的な便利さが私たちの生活を変えてきました。
しかし、その「無料の便利さ」は、しばしば私たち自身のデータやプライバシー、主権といったものとのトレードオフでもあります。
たとえばSNSにおける投稿内容や閲覧履歴、広告のクリック状況など、私たちの行動のほとんどが莫大なビッグデータとして蓄積され、プラットフォーム企業の主要な収益源である「広告最適化」に利用されています。
こうした企業は、ユーザーのデータを活用して常にプロダクトを改良し、その対価として莫大な広告収入を得るビジネスモデルを築き上げました。そして、私たちユーザーはそれを“当然”のものとして受け入れるようになりました。便利で魅力的なサービスに対し、結果としてデータや時間、さらにはプラットフォーム上での自己表現の自由度までも、企業に依存する形で預けているからです。
「GoogleやMetaが何かおかしなことをすれば、ユーザーが離れるのでは?」という声もあります。しかし実際は、人々が簡単には離れられないほどに、それらの企業が築いたプラットフォームは大規模かつ不可欠な存在となっています。
つまり、“便利さ”が一種のロックインを生んでいるわけです。ここに、Web2(中央集権的ウェブ)の根深い構造があります。
では、web3と呼ばれる領域では、いったいどのような世界観を提示しているのでしょうか?
そのキーワードの一つが「プロトコル」です。
GoogleやMetaといったいわゆる“プラットフォーム企業”とは異なり、Ethereumやその他のブロックチェーンはオープンで分散的な“プロトコル”として機能します。具体的に何が違うのか、順を追って見ていきましょう。
1章:Web2の本質 = プラットフォーム経済
1-1. 「中央に集約して効率化する」仕組み
Web2の最大の特徴は「中央集権的なサービス」がネット上で花開いたことです。初期のウェブは分散的に運営され、個人サイトや掲示板が雑多に存在する世界でした。しかし、そこには「情報の氾濫」や「検索精度の低さ」「決済の難しさ」といった課題がありました。
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