おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日はweb3の基礎の基礎レポートということで「先物取引と永久先物取引き」について深掘りします。Hyperliquidなどが話題となり、永久先物の存在感が増しましたが、永久先物とは何か、そもそも先物とは何か、その辺りについて解説します。
それでは、後編始まります。
はじめに:先物と「永遠に続く先物」の違い
1. 永久先物の誕生:BitMEXが切り拓いた新時代
2. Funding Rate(資金調達率)の仕組み
3. DeFiにおける永久先物:dYdX、GMX、Perpetual Protocol
4. 新興プロジェクト「Hyperliquid」の衝撃
5. 永久先物で広がる戦略とリスク管理
6. 永久先物がもたらす未来
7. あとがき:web3時代の“先物”に込められた可能性
まとめ
🧵TL;DR
永久先物の特徴:満期がなく、Funding Rate(資金調達率)で価格乖離を抑制。
BitMEXの功績:高レバレッジと期限なしの発想で市場に革命を起こす。
DeFiにおける事例:dYdX・GMX・Perpetual Protocolなどがオンチェーンで実装。
Hyperliquidの革新:独自チェーン上でオーダーブックを完全オンチェーン化し、CEX級の速度を実現。
はじめに:先物と「永遠に続く先物」の違い
前編では、先物取引の歴史や基本的な仕組みを解説しました。
そこでは、「未来のある日(満期)に売買する契約を結ぶのが先物」という話をしました。しかし、暗号資産の世界におけるデリバティブ(金融派生商品)の進化はここで終わりません。いまや仮想通貨のトレーダーにとって定番となった、「永久先物(Perpetual Futures)」という商品が存在します。
「先物なのに、満期(期限)がない?」
そんな不思議な仕組みが、どのように生まれ、なぜ暗号資産の取引所で圧倒的な存在感を放っているのか。後編ではこの永久先物の基本的な考え方や仕組み、BitMEXをはじめとする先駆的なサービスの登場、そしてDeFiの文脈における事例としてdYdXやGMX、さらにはHyperliquidという革新的プロジェクトに至るまで、一気に解説していきます。
永久先物は一見、普通の先物と似ているようでいて、「Funding Rate(資金調達率)」という独特のメカニズムを使い、現物価格と常に乖離しすぎないようバランスを保っているのが最大のポイントです。
初めて耳にすると少し難しそうな印象を受けるかもしれませんが、ひとつひとつの要素をゆっくり解きほぐせば、決して理解不可能なものではありません。ぜひ最後までお付き合いください。
1. 永久先物の誕生:BitMEXが切り拓いた新時代
1.1 先物に「期限がない」とはどういうことか
普通の先物取引は、満期(期日)が決められています。たとえば「2023年12月期日」のビットコイン先物であれば、期限が到来したときに最終決済が行われ、契約は終了します。
ところが、永久先物はその名の通り、「期限が設定されていない」のです。
簡単に言うと、ポジション(買い・売り)をずっと持ち続けることができる商品で、理屈のうえでは“永遠”にロールオーバーしていきます。
「じゃあ、永遠に持てるなら、どうやって決済されるの?」と思うかもしれませんが、実は日々、または数時間ごとに一定の調整(資金のやり取り)が行われていることがポイントです。こうした特殊な仕組みによって、永久先物の価格は対象となる現物資産(BTCやETHなど)のスポット価格と近い水準を保ちやすくなっています。
1.2 BitMEXによる革命
この斬新な仕組みを世に広めたパイオニアが、BitMEX(ビットメックス)という取引所です。2014年に香港で創業し、当時はまだ規模の小さいビットコイン取引所に過ぎませんでしたが、「最大100倍レバレッジの永久先物」を引っさげて世に出たことで、一躍脚光を浴びました。
BitMEXは、伝統的な先物商品とは異なる「Perpetual Swap」という独自の設計を導入し、高レバレッジかつ期限なしの取引を可能にしました。ユーザーは毎日ポジションをロールオーバーする手間もなく、まるで現物を保有しているかのように長期保有も短期売買もできるメリットを得たのです。
1.3 なぜトレーダーに支持されたのか
永久先物が瞬く間に人気を博した背景には、いくつかの要因があります。
① 簡便さ
従来の先物であれば期日が近づくと「ロールオーバー(期日の先の先物へ乗り換える作業)」が必要でしたが、永久先物の場合は満期がないのでその作業を気にしなくてもいい。② 高いレバレッジ
BitMEXは最大100倍レバレッジを宣伝文句にしており、小さな資金でも大きな取引ができる点が魅力的でした(もちろん、ハイリスクでもあります)。③ スポット価格に近い値段で取引できる
別の先物と違って、期限間近に変な価格乖離が起きにくい。いつでも現物の価格に近いところで売買できるため、トレーダーが扱いやすかった。
こうしたメリットを支えているのが、「Funding Rate(資金調達率)」と呼ばれるメカニズムです。これが、永久先物を永久先物たらしめる核心と言えるでしょう。
2. Funding Rate(資金調達率)の仕組み
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