先物取引とは何か?──歴史と仕組み【前編】
「先物取引とは何か?」を初心者にも分かりやすく解説し、さらに満期なしの“永久先物”や注目のHyperliquidプロジェクトの仕組みまで徹底紹介。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日はweb3の基礎の基礎レポートということで「先物取引と永久先物取引き」について深掘りします。Hyperliquidなどが話題となり、永久先物の存在感が増しましたが、永久先物とは何か、そもそも先物とは何か、その辺りについて解説します。
それでは、前編始まります。
はじめに:先物取引と聞いて何を思い浮かべますか?
1. そもそも先物取引とは何か?──「将来」を売買するという発想
2. 先物取引が生まれた歴史的背景
3. 先物取引の役割:保険と投機、そして価格発見
4. 先物取引の仕組み:証拠金、清算機関、受け渡し
5. 暗号資産市場と先物取引
6. web3時代における先物取引:DeFiとの融合
まとめ
🧵TL;DR
先物取引の概要:将来の受け渡しをあらかじめ約束する、リスクヘッジのための金融商品。
歴史的背景:シカゴ商品取引所や堂島米会所などで、農産物や米の価格安定に寄与。
基本構造:証拠金や清算機関を通じて、売り手と買い手の契約を安全に履行。
仮想通貨市場への導入:価格変動リスク対策や投機目的で広がり、DeFiにも応用。
はじめに:先物取引と聞いて何を思い浮かべますか?
「先物取引」と聞くと、何やら難しそうだとか、大きなリスクを伴う投機取引だというイメージを持つ方も多いかもしれません。
たしかに先物取引は、株式や債券のようにすぐ手元に“現物”が届くわけではなく、将来の受け渡しを約束するという点で、仕組みがやや抽象的に感じられがちです。
しかし、農家が価格変動リスクを避けたり、企業が原材料費の急激な変動に備えたりと、本来は「リスクヘッジ」という極めて実用的な目的から生まれた金融取引なのです。
歴史を振り返ると、先物取引は単なる投機のためだけに存在してきたわけではありません。農産物や貴金属、エネルギー資源など、人々の生活を支える商品の取引を安定化させるための仕組みとして、長い年月をかけて磨かれてきました。
そして今、暗号資産の世界でも、先物が大きな注目を集めています。
この記事ではまず、金融初心者の方でも理解できるよう、先物取引とは何かをゼロから解説し、その歴史と基本的な役割を見ていきます。
さらに、暗号資産の領域でなぜ先物が重要なのか、そしてweb3時代にどのような意味を持ち始めているのかを、続いて解説していきます。
1. そもそも先物取引とは何か?──「将来」を売買するという発想
先物取引を一言で表すならば、「ある商品を、将来のある期日(受け渡し日)に、あらかじめ決めた価格で売買する契約」ということになります。
たとえば「今年の秋に小麦が1トンいくらになるか分からないけれど、今のうちに売買価格を決めておきたい」というニーズがあった場合、次のような契約を結ぶわけです。
「○月○日に、あなたが小麦1トンをいくらで売り、私はそれを買うことを約束しましょう」
このように、現物が手元に届く(あるいは引き渡す)のは“将来”であり、契約を結ぶ“今”の段階では代金も全額支払わないし、商品そのものの受け渡しも行いません。
いわば、“未来”を先に売買しているのが先物取引の特徴です。
「先物」と「先渡し」の違い
金融の世界では、先渡し取引(Forward)という言葉も出てきます。
先物取引(Futures)と先渡し取引(Forwards)は、どちらも「将来のある時点に商品を受け渡す」という意味合いでは非常に似ていますが、大きな違いがあります。
先渡し取引は契約する当事者同士(例えば農家とパン製造会社など)が直接交渉して条件を決める“相対取引”であるのに対し、先物取引は取引所で標準化された契約(期日・数量・品質などが統一)を売買します。
さらに取引を行った後、清算機関(Clearing House)という仲介役が売り手と買い手の間に入り、契約履行を保証してくれる点も先物取引の大きな特徴です。
2. 先物取引が生まれた歴史的背景
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