【Pax Dollar(USDP)】ドルにペッグされたステーブルコイン / USDTやUSDCより厳格な安全性を保証するUSDPは勢力図を塗り替えるか?
「Pax Dollar(USDP)」は、法定通貨ドルにペッグされたステーブルコインです。1ドル1USDPで利用でき、ERC-20上に発行されたトークンとして機能します。
おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は「Pax Dollar(USDP)」についてリサーチしました。
«目次»
1、Pax Dollar(USDP)とは?
- 特徴
- USDTやUSDCとの違い
- 運営会社
2、規制によって勢力図は一瞬で変わる
Pax Dollar(USDP)とは?
「Pax Dollar(USDP)」は、法定通貨ドルにペッグされたステーブルコインです。1ドル1USDPで利用でき、ERC-20上に発行されたトークンとして機能します。
ドルにペッグされたステーブルコインで言えば、USDTやUSDCが有名ですが、より安全なステーブルコインとして知られています。
■特徴
ドルにペッグされている
ニューヨーク州金融サービス局による厳格な規制監督を受けており、最高の消費者保護基準を満たしている
裏付け資産(準備金)はリモート口座に常に保管され、会社が破産した際にも準備金を使うことはできず、顧客に全て還元される
毎月ポートフォリオレポートと資産額の証明レポートを公開している
証明書は独立した第三者会計事務所である WithumSmith+Brown, PCが作成
やはり法定通貨担保型のステーブルコインが最も大切なのは「裏付け資産の証明」です。「本当に常にペッグされてるの?」という疑問に回答し続ける必要がありますが、USDPはそこに向き合い続けています。
■USDTやUSDCとの違い
USDTは2015年、USDCは2018年、USDPは2018年(2018年にPaxos Standard (PAX) がリリースされ、2021年にPax Dollar (USDP)へと名称変更)にリリースされました。
基本的なステーブルコインとしての性質は同じで、USDTやUSDCも安全性に対してポートフォリオの公開や第三者機関による監査を入れています。
USDPはそれよりさらに踏み込み「ニューヨーク州金融サービス局による厳格な規制監督」の承認を得ています。この規制によって破産時に顧客の全資産を担保すること(常にリモート口座に資金を入れておくこと)が保証されています。
USDTは裏付けとなる資産が足りていなかったことが発覚し訴訟が起こされた過去があり、USDCは最近のシリコンバレー銀行の破産により準備金の一部がなくなったことで一時的にペッグが外れてしまったことがあります。
ただ正直、USDPという名前を聞いたことがある人は少ないと思います。やはりステーブルコイン市場はUSDTとUSDCが圧倒的です。シェアを見ると(かつてPaxos Standardという名前でした)、数%しかなく他のステーブルコインとは大きく差を広げられている状態です。
しかし、最近のアメリカにおける暗号資産への規制を見ていると、ステーブルコインがより規制されていく可能性は考えられます。
日本が世界に先駆けて制定したステーブルコインの法律でも投資家(消費者)保護はかなり厚めにルールメイキングされました。FTXショックでも日本法人は資産を分離管理していたことで投資家(消費者)が保護された事例もあったので、この辺りはステーブルコインでもより明文化されて強化される可能性も考えられます。
まだまだシェアに大きな差はありますが、今後の規制次第でより注目を集めていくかもしれません。
■運営会社
アメリカのブロックチェーンインフラを開発する企業「Paxos(パクソス)」が開発しています。CEOであるCharles Cascarillaは、金融業界で20年以上の経験を持ち、Goldman Sachsで取引を担当した経験を持っています。
USDP以外にも暗号資産の取引所の運営や金にペッグされたトークン発行(Pax Gold)の運営もしています。
企業向けにも主に金融系のブロックチェーンインフラの提供や開発も手掛けており、金融とブロックチェーンに強い会社です。
規制によって勢力図は一瞬で変わる
ここからはリサーチした感想を書きます。
正直、僕もUSDPの存在は知りませんでした。たまたまニュースでその単語を発見して、リサーチしてみることにしました。
結果的にやはりUSDTやUSDCと大きくシェアに差はあるものの、まだルールメイキングの段階である現在では、今後の規制の在り方でシェアは変更される可能性は大いにあります。
USDTの安全性が毀損された際にUSDCの安全性がフォーカスされ人気が高まっていった過去もありますが、ステーブルコインは安全性が命なこともありますので、現時点から非常に厳格に安全性を証明しているUSDPは今後の展開次第でより大きなシェアを獲得する可能性もあり得ます。
この辺りの未来の規制をどのように読むかはとても難しいですね。規制された後に新規参入してもタイミングとしては遅いですが、規制される前にどこに張っておくかの判断も難しいです。一歩間違えれば全てが台無しになる可能性すら存在します。
各国のトレンドや過去の別業界の規制の様子、そして現在の規制をかける権力者の性格や支持者を見ることで多少なりとも予測はできるかもしれません。改めて、グローバルを狙うプロダクトを作るのであれば、その辺りも見据える必要があることを感じました。
これからもトレンドを追いつつ未来予測できるようにリサーチしていきます!
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参考リンク:HP
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