ナイジェリアのweb3環境についてふぇねさんに聞いてみた
【インタビュー】「DAIJOBU株式会社 CEO」兼「VerylongAnimals Admin」のふぇねさんに最近話題の「ナイジェリアのweb3環境」についてお伺いしました。
おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
今日は「DAIJOBU株式会社 CEO」兼「VerylongAnimals Admin」のふぇねさんに最近話題の「ナイジェリアのweb3環境」についてお伺いしたインタビュー記事です。
«目次»
1、自己紹介
- 簡単な自己紹介と展開されている事業内容を教えてください
- web3にハマったきっかけを教えてください
- DAIJOBUとベリロンの関係を教えてください
2、ナイジェリアについて
- ナイジェリアに注目したきっかけを教えてください
- ナイジェリアはどんな国なのでしょうか
- 実際に行ってみて感じたことを教えてください
- web3の活用についてはどのような状況でしょうか
- 国家の規制や推進の法整備はあるのでしょうか
- 途上国ではGameFiが流行るイメージがありますが、ナイジェリアはどうでしょうか
- 現地スタートアップの盛り上がりや海外からの参入状況はどうでしょうか
3、展望
- ナイジェリアの未来はどのように考えていますか
- ベリロンやDAIJOBUの展望を教えてください
1、自己紹介
- 簡単な自己紹介と展開されている事業内容を教えてください
山中裕貴(ひろき)と申します。Xではふぇねという名前でやっています。2年前ほど前から、ベリロンに関わっていて、その後にweb3コンサルとデザインに特化した会社を立ち上げて今も継続しています。最近ナイジェリアが熱いことを感じて、新たにDAIJOBU株式会社を立ち上げました。(現在登記中です)
DAIJOBUでは、3つの事業を同時で走らせています。
1つ目にweb3に特化したQA(品質保証)サービス『ダイジョウブ』。日本人とナイジェリア人を組み合わせたブロックチェーンの専門家チームが、web3に特化したソフトウェアのテストを上流工程から下流工程まで一機貫通で行います。
2つ目に、AIのモデル作成に必要なアノテーションをやっています。実は一見地味に思えるアノテーションはAIモデル開発の90%を占めるほど重要なのですが、現状ですと作業自体は人がやらないといけないことになっています。DAIJOBUは豊富なナイジェリアメンバーを抱えているので、とにかく人力が必要な案件に強いという特徴があります。
3つ目は、ナイジェリア特化のリサーチ/レポート作成事業です。国内随一レベルでナイジェリア事情に詳しい創業者チームが、ナイジェリアに関してめちゃくちゃホットな情報を提供できるのは強みですね。
事業はどれも立ち上げ期ですが、クライアントもついていて順調に立ち上がっています。
また、ベリーロングな目線でナイジェリアに特化したオウンドメディアも開始させようと思っています。どれも絶賛採用中なので、ご興味ある方はぜひXのDMにご連絡いただきたいです!
- web3にハマったきっかけを教えてください
元々はVR領域で教育コンテンツの開発をやっていました。それが大学1年生の時で、当時はちゃんと大学に通ってました、笑。
そのVRで教育関係のコンテンツを作っているときにベリロンのファウンダーでもあるAkimと知り合いました。Akimは大学の先輩なのですが「これからアメリカに行くので日本でしかできない手続き関係をやってくれないか」と言われて関係がスタートしました。
その後、いつの間にはベリロンが始まり、バズりました。ベリロンに集まってくる人たちは投資家や起業家が多くて非常に楽しかったです。そこからブロックチェーンの面白さに惹かれてどハマりしました。個人的には分散的な思想というよりは、実際に決済に利用されるなど、オープンなデータベース的な実用的なところに面白さを感じています。
- DAIJOBUとベリロンの関係を教えてください
DAIJOBU株式会社はベリロンとは別で動いていますが、Akimと共同創業していますし、ナイジェリア関係はベリロンメンバーを採用しているので、関係は深いですね。
ベリロンはマネタイズとは正反対のプロジェクトなので、そこはDAIJOBUの出番かなと思っています。
2、ナイジェリアについて
- ナイジェリアに注目したきっかけを教えてください
正直たまたまです、笑。
ベリロンではポテトというポイント制度があり、”vgm”とXでツイートするだけでポテトが貰えます。
その中で反応した1人がナイジェリアの人で、ナイジェリアでバズりました。そこからナイジェリアについて調べてみると非常に熱い市場であることがわかりました。
ナイジェリアではエアドロハンターみたいな人たちがいて、日本のプロジェクトを追い続けるのは相当なリサーチ能力だと思うので、情報感度高い人が多いです。
- ナイジェリアはどんな国なのでしょうか
(回答内容を元に箇条書きで紹介しますが、データは更新されるため、正確なデータはご自身でも調査ください)
平均年齢:18歳
人口:現在約2.2億人、2050年には4億人に到達し世界第3位の人口になる
GDP:働き手が多いのでGDPは伸びており経済も発展してきている
失業率:あまりにも人口が多いので職がない人も多い、失業率は40%ほど
言語:英語
食料自給率:赤土のため作物がうまく育たず食料自給率は低い
産業:資源国で、輸出の9割は石油や天然ガス
政治:政治汚職存在し、一部の政治家や利権者にオイルマネーが独占され、貧富の差が激しい
インフラ:1日5回ほど停電し、インフラがめちゃめちゃ弱い
インターネット:普及しモバイル普及率は約9割
時給:最低時給22円
- 実際に行ってみて感じたことを教えてください
Xだけ見ていると、一瞬でツイートに対して反応がくるのでbotと見分けがつかないような人もいますが(笑)、実際に現地で会ってみるとかなり優秀で聡明な若者が多いです。特に日本で言う東大の位置付けにあるラゴス大学の人は非常に優秀です。ですが、そこ出身でも仕事がない人も多く、めちゃめちゃ優秀な若者でも超仕事が欲しいという状況でした。実際、WhatsAppで毎日10~20件ほど連絡が来ますし、カフェにいたり街中歩いてたりすると話しかけられます。
少し前まで、オフショア開発はインドや中国がメインでしたが各国の経済発展や円安で単価が上がっています。ここ5年くらいではナイジェリアでの開発が当たり前になるかもしれません。
- web3の活用についてはどのような状況でしょうか
僕がweb3っぽいところに行ったことも関係しているかもしれませんが、クリプトに関しては大体の人が認知しています。
ほとんどの人はスマホを持っています。そして、ナイジェリアではweb3関係なくお店やタクシーでも銀行間のP2Pで送って決済することが割と普通です。8桁から10桁ほどの口座番号を送り、そこにお客さんが送金するという形です。なので、そもそもP2Pでの決済に慣れています。
また、自国通貨のナイラの価値が年々下がっているので、ドル建てステーブルコインのUSDTなどで資産を持っておきたい人が多いです。クリプト普及率は世界11位で、世界26位の日本よりも圧倒的に普及しています。その背景には自国通貨の不安定生からクリプトを持っていたいという気持ちがあります。
僕らの会社の従業員にもステーブルコインで支払っていますし、ナイラでくれるならミームコインで良いからクリプトでくれと言われます。僕らだけでなく、特にリモートワークの会社は国際送金が大変なのでクリプトで支払っているところが多いです。
- 国家の規制や推進の法整備はあるのでしょうか
IT教育の推進はしていますが、web3はあまり聞いたことがないですね。言葉は選びますが、まだ政治体制が整備されていない部分もあるので、国側の規制も推進もありません。
- 途上国ではGameFiが流行るイメージがありますが、ナイジェリアはどうでしょうか
アクシーのような複雑なゲームはスマホのスペック的に全員ができるわけではありません。ナイジェリアではほぼ全員がスマホを持っていますが、中国産の低スペックなスマホを持っている人が多いです。なので、シンプルなゲームはできますが、複雑なゲームはできません。
その代わり、ナイジェリアの人たちは数百円でも貰えたら嬉しいので、エアドロの情報をめちゃくちゃ追いかけています。超カジュアルなゲームででお小遣い程度に稼げるto earnは爆発的に流行る可能性は多いにあると思います。最近でもゲーム系のプロジェクトからナイジェリアの話を聞いてみたいといったような相談を受けることもありますね。
ナイジェリアの人たちはめちゃめちゃスマホ触ってますね。世界の情報を追いかけたり、WhatsAppでチャットしてます。娯楽は基本的にスマホ中心で、それ以外は友達と喋ったりスポーツをしたりしてます。
- 現地スタートアップの盛り上がりや海外からの参入状況はどうでしょうか
アフリカ全体で見ればナイジェリアが一番スタートアップが多いです。特にフィンテック系のスタートアップが多いです。
外資からのスタートアップはあまり見ませんが、華僑の人などの中国系のスタートアップは結構増えてきています。また、スタートアップではありませんが、トヨタやホンダの車は町中走っていますし、SONYも普通にあるので、日本とは製造業的な関わりはあります。
実は、海外からのスタートアップは2,000年代に一度ブームとなり参入したのですが、ナイジェリアの部族間の紛争が起こってしまい大部分が撤退しました。
ナイジェリアは250ほどの部族がありますが、イギリスによって1つの国にされた歴史があるので部族意識が強いです。ただ、インターネットではテロが起こるような情報がありますが、実際に行ってみると普通に住めます。イメージ先行でネガティブな印象が多いですね。ベリロンでも現地でイベントを開催してたりします。
3、展望
- ナイジェリアの未来はどのように考えていますか
ナイジェリアは今後絶対来ますし、日本人も参入してくると思うので、ベリロンやDAIJOBUがはってることを認知させたいと思っています。
DAIJOBUで働いているようなTOP人材はめちゃくちゃ優秀でやる気にも溢れているのですが、ナイジェリア全般で見ると、人が多く賃金が安いのでカイゼンカルチャーはアジアほど強くありません。そこは僕たち日本人と合わさることで新たな強みができると思っています。
アフリカの若者のパワーと、アジアのカイゼンカルチャーを掛け合わせて事業をどんどん展開していきたいです。
- ベリロンやDAIJOBUの展望を教えてください
ベリロンは長期的にナイジェリアにベリーロングタウンを作ろうと言っています。実際の街を作っちゃおうとしてますが、日本人の起業家に協力してもらうことで、割と実現度が高いのではと考えています。ナイジェリアにベリロンタウンができるかもしれません。
DAIJOBUは事業立ち上げ期ではあるのですが、法人立ち上げ前からクライアントさんがついていて、事業成長期でもあります。
web3関連でいうと、web3特化のQAサービス『ダイジョウブ』ではブロックチェーンゲームやマケプレ、dappsなど様々な領域でニーズを発見できていて、手応えを感じています。web3のQAなら『ダイジョウブ』というポジションをとっていこうと考えています。今後Webサイトを公開したり、Xアカウントも動かしていくのでよければチェックをお願いします!

ナイジェリアのチーム組織やマネジメントもweb3のいいところを採用していて、タスク終了時にクリプトですぐに支払いをしたり、セキュリティ面に厳重の体制を敷いた上で、DiscordやNFTの活用をしています。
採用時点で、ベリロンのポテト保有数を見て良いやつかどうかを判定したり、Discordでメンバー同士で質疑応答ができる環境を整えたりしています。もちろん技能のテストや採用面談はしっかり行なっているのですが、ポイントやオンチェーンのアクティビティは嘘をつけないのでいいですね笑。ベリロンを長く愛してくれている人は、絶対いいやつ!という性善説を前提にしていますが笑
特に、AIのアノテーションだと品質が命になってくるのですが、インセンティブ構造的に作業を早く終わらせることに注力してしまいがちです。それだとAIモデルの精度向上につながらず、お客様をダイジョウブにできていないので問題になってしまいます。速度向上ではなく、品質を上げることに意識が向くように、「品質よかったNFT(仮)」を作業クオリティがよかった人に配布して、Discord上で表彰しようと考えています。今後そのNFTが貯まっていたら、モニターやPCなどのグッズと交換できる仕組みを作る予定です。ナイジェリアのメンバーの生活もDAIJOBUにしていくのも僕たちの仕事の一環です。
最後に現状のチームと採用に関してなのですが、今は日本人が創業者や業務委託含め6人、ナイジェリア人が25名ほどの30人のチームでやっています。直近だと採用を爆速で進めていて、ソフトウェアテスト設計者(エンジニア)、アノテーション経験者(マネジャー候補)、バックオフィス、インターン生など幅広い職種で一緒に働ける方を募集しています。
ぜひご興味ある方はXで気軽にDM頂けると幸いです!
- ありがとうございました!
はい、こちらこそありがとうございました!
«インタビュイー様の情報»
X / DAIJOBUサイト / DAIJOUBU Xアカウント
«編集後記 by mitsui»
ベリロンの活動を通して、ここ最近ナイジェリアのweb3環境が熱いことをX上で見ていました。今回のインタビューでは当事者の方にお話をお伺いすることができて、自分自身のナイジェリアのweb3環境に関しての解像度が非常に高まりました。
話を聞けば聞くほどナイジェリアの市場としての可能性について魅力的に感じました。やはりクリプトの普及は政治情勢や自国通貨の状況によって大きく左右されることがわかります。ナイジェリアでのクリプトはあったら便利なものではなく、未来の可能性でもなく、なければ困るものとして認知されているように感じました。
ナイジェリアの可能性を知れたことはもちろんですが、web3をグローバルで展開していく上で、より広い視野を持って進めていく大切さを知ることもできました。僕自身、来年は世界を見て回る予定ですので、2024年中には自分でもナイジェリアを訪れてみたいなと感じました。
ふぇねさん、この度はインタビューにご協力いただきありがとうございました!
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
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