おはようございます。
web3Researcherの三井です。
いつもは単語やプロジェクトの解説を掲載していますが、毎週金曜日はリサーチしている中で感じた考察記事を書いていきます。
今日は「NFTバブル」について。
«目次»
1、NFTはバブルなのか?
2、少しずつマイナスの要素も
3、未来を信じて待つ
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NFTはバブルなのか?
大前提、僕個人的にはNFT含むweb3の思想や未来が大好きです。だから毎日Researchしているわけですが。なので、大きな未来予想や願望の中でNFTは必ず来ると信じています。そして、そこに今からでもフルコミットしていきます。
ただ、明らかに今の状況は異常なほどの価格がついており、これはバブル期なのかという目線もありますので、今日はNFTバブルが崩壊した時にダメージを喰らわないように未来の自分(そしてNFTを愛する人)へ向けた記事です。
「NFTはバブルなのか?」
この議論に一番根拠を持っているのがガートナーの示す「ハイプ(誇大評価)・サイクル」です。
毎年8月に公開されるこの図をものすごく簡単にいえば、テクノロジーが一般社会に実装されていく時のステップを示しており、今それぞれのテクノロジーがどこ辺りに存在しているのかを表現した図です。
全てのテクノロジーは”黎明期”を通り、一度バブルが訪れます。ただそれは過度な期待によるものなので、数年で崩れ、「○○は終わった」と世間で言われるようになります。ただ、その後の幻滅期を耐えることでようやく適切な形で一般層に広がっていきます。
数年前にビットコインやイーサリアムが話題になり、億り人という単語が流行しましたが、そこは過度な期待によるピーク期でした。その後、税金で破綻する人が現れたり、ビットコインの価格が暴落したことで、「ビットコイン(ブロックチェーン)は終わった」という認識がなされ、一気に世間からビットコインのニュースがなくなりました。
ただ、その幻滅期を耐えたプロジェクトや起業家が数年の時を経て、今活躍し始めています。レイヤー1や2のインフラ系のブロックチェーン自体は少しずつ社会実装へ向けてバブルを乗り越えつつ進んでいる気がします。
そして、2021年時点でのNFTはこちらです。
少し分かりづらいかもしれませんが、過度な期待の中央より右側に存在しているのがNFTです。
おそらく数年前の”億り人”状態に近いのが今です。ただのJPEG画像が75億円で落札されたり、STEPNやアクシー等のX2Eで稼げる人が生まれたり、1日で数十億円を売り上げるNFTプロジェクトが毎週のように誕生したり、凄まじい状態になっています。
少しずつマイナスの要素も
とはいえ、ビットコイン(クリプト業界)全体が暴落していることによって、NFT業界にも少しずつマイナスの要素は生まれ始めています。
■「NFTはマインクラフトの精神に反する」 Mojangが立場表明
Mojangは「NFTは当社のガイドラインとMinecraftの精神に反する」として、ゲームに関するデータをNFT資産にすることを許可しないとしている。Minecraftは誰でも同じコンテンツにアクセスできる状況を維持したいとしており、希少性を持った資産としてのNFTは理念に反するという。NFTの中には信頼性が低いものもある点や、詐欺に使われた例もある点も問題視している。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2207/21/news196.html
超有名なグローバルゲームがNFTを禁止したことは非常に話題になりました。
STEPNやAxieもですが、XtoE系のNFTを絡めたゲームは一時期は話題になるのですが、”稼げる”で話題になってしまうので、ゲームを楽しむことが目的ではなく稼ぐことが目的のユーザーが大挙して押し寄せ、効率よく稼げるようにハックし始めます。そして、稼げなくなると一気にいなくなります。
マイクラはこういった現象が起きることでゲーム自体の体験が損なわれることを危惧してNFTを禁止した側面もあると語っています。まさにSTEPNブームが落ち着きつつある中で、全てのXtoEが直面している壁だと思います。
■NFTバブルの衰退を示す「ジャック・ドーシーの初投稿」の価格
2020年12月、ジャック・ドーシーがオークションに出品した「世界初のツイート」のNFTは、その数カ月後に290万ドル(約3億1000万円)で落札された。しかし、このNFTのオーナーが再度オークションにかけたところ、終了日直前になっても入札額は約1万ドルにとどまり、99%の値下がりとなっている。
https://forbesjapan.com/articles/detail/46980
ツイートが約3億円で売れたことはNFTバブルの火付け役としてかなり話題となりましたが、そのツイートの価値が暴落しています。これは一時的な暴落かもしれませんが、その時のような価格高騰は生まれづらくなっている一つの例になってしまうかもしれません。
高額NFTの価格が暴落する例が複数生まれると、高額NFTへの購入ハードルが少しずつ上がってしまい、NFT業界への資金流入が小さくなる危険があります。
■オープンシー、約20%のスタッフをレイオフ
NFTマーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)は約20%のスタッフをレイオフしている。デビン・フィンザー(Devin Finzer)CEOが14日、ツイートした。
https://www.coindeskjapan.com/154734/
OpenSeaに関わらず、クリプト業界の大暴落でweb3の多くの企業がレイオフを実行しています。中には潰れたファンドや危ないと言われているプロジェクトすら存在します。
NFTブームを牽引してきた取引所によるレイオフ(今後数年間を耐え抜くためにランニングコストを下げる姿勢)は今後の業界の未来予想になり得ます。
未来を信じて待つ
完全に肌感ですが、およそ1年後(2023年後半)には、NFTバブルは一度弾け飛ぶのではないかと思っています。
億り人現象が起きるので、億万長者を目指して買っていたNFTが一夜にして価格が暴落して、世界中で阿鼻叫喚が巻き起こります。「NFTって画像データだよね。冷静に価値なくね?」「俺はNFTなんて詐欺だって言ってたよね!」という悟ったような声がそこら中から聞こえてくるでしょう。
僕はNFT好きなのでそんな未来きたら悲しいなと思いつつ、やはり今のインフラレイヤーでブロックチェーン作って活躍している人たちの歴史を辿ると、5~10年前からずっとブロックチェーンにコミットしている人たちなので、「ああ、そうだよな。」と思います。
世間の声や評価とか、短期的な損害とか、そんな小さい声に振り回されるほど暇じゃないし、そんな少し勉強した奴のわかったような議論なんて100億回議論した上で、未来にコミットしてるんだと。
よくスタートアップはタイミングが重要だと言われます。ブームが来たときに沖にいたやつが勝つと。でも、沖にいるにはそれまでずっと波に耐えなきゃいけないんですよね。時にはいじられ、石を投げられ、海賊に襲われることもあるかもしれない。でもずっと信じて沖にいることで、その未来がやってきた(その未来を作れた)時に、一番最初に戦いにいける。
OpenSeaも2017年からやってますからね。ポッと出でNFTブームに乗っかった会社じゃなくて、5年前から準備して、クリプトの冬の時代を乗り越えて今に至ってるわけです。
そう考えると、実はブームの後の幻滅期こそが社会実装に向けて冷静に議論ができるチャンスで、人間でいう大人の前の反抗期みたいなところなんでしょう。
NFTブームに喜ぶ僕から、NFTブームが弾け、暴落に悲しむ未来のあなたへ。
その波を何度も乗り越えてきた先人たちを見なさい。そのブームで一喜一憂して諦めるくらいならその事業は成功しないから辞めなさい。自分たちが信じる未来が必ず訪れると、その未来を自分たちの手で作ると信じ、頑張れ。
そして最後に、この記事が何も使われないことを願っています。
以上、記事が面白いなと思った方はぜひ「アドレス登録」と「SNSでシェア」をしていただけると嬉しいです。引き続きweb3をリサーチしていきます。
おわり。
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