おはようございます。
web3リサーチャーのmitsuiです。
土日のお昼はAIによるレポートを更新します。
普段は最新のトレンドや注目プロジェクトを紹介していますが、ここでは過去からの歴史を振り返る系の記事を投稿していきます。レビューはしていますが、一部内容に間違いがあるかもしれませんので、ご了承ください。
それではどうぞ!
2021年以降のNFTブーム
多彩化するNFTジャンル
マーケットプレイスの競合とロイヤリティ問題
新たなNFTの形:SBTやユーティリティ拡張
NFTの未来と課題
後編まとめ
2021年以降、NFT(非代替性トークン)はアート、ゲーム、メタバース、音楽など多岐にわたる領域で爆発的なブームを迎えました。本後編では、前編で解説した黎明期からの流れを引き継ぎ、Beepleの高額アート落札やBored Ape Yacht Club(BAYC)などのPFP(プロフィールピクチャ)コレクションの台頭を振り返りながら、市場を形成する主要プレイヤーやロイヤリティ問題、そして新たな潮流と今後の展望を総合的に見ていきます。
2021年以降のNFTブーム
Beepleのオークションと世間の注目
2021年3月、デジタルアーティストBeepleによる作品「Everydays: The First 5000 Days」が、クリスティーズのオークションで約6,930万ドル(当時約75億円)という天文学的な価格で落札されました。従来のデジタルアート界では考えられなかった高額取引であり、アート市場や一般メディアの大きな話題となります。
Beepleは毎日1枚のデジタルイラストを描く習慣を続け、5,000日分をまとめた巨大コラージュ作品をNFTとして販売したのですが、これが“デジタルアートにも唯一性と希少価値を付与できる”象徴的な事例になりました。この落札のインパクトで、投資家やセレブ、一般企業までもがNFTに強い関心を抱き始めたのです。
PFPコレクションの台頭
Beepleの話題とは別に、PFP(プロフィールピクチャ)として使われるNFTコレクションも急拡大します。中でも2021年春に登場したBored Ape Yacht Club(BAYC)は、ユニークな“退屈そうな猿”キャラクターを1万点生成し、初期価格数百ドルのNFTがやがて数万〜数十万ドルに化けるなど、投機需要とコミュニティ文化を大きく揺さぶりました。
BAYCの特徴は、単なる画像販売にとどまらず、ホルダー限定のパーティーやアパレルグッズ配布、他ブランドとのコラボといった「コミュニティ特典」を積極的に展開した点にあります。さらに、著名人・スポーツ選手・音楽アーティストがBAYCを購入しSNSのプロフィールに設定することで一種の“ステータスシンボル”となり、フロアプライスが100ETHを超えるほどの人気を博しました。
大手ブランド・セレブ参入の連鎖
BeepleやBAYCのような大きな話題が引き金となり、世界的ブランド企業やセレブリティがNFT参入を加速させます。adidas、Coca-Cola、アーティストのグライムス、スポーツ界ではNBA Top Shot(バスケットボールの名場面クリップをNFT化)などが相次いで成功。NFTの売上高が月次で数億ドルを超えるようになり、投機マネーも大量に流入します。
このように、2021年は“投資対象”として急騰するプロジェクトが続出し、“バブル”とも評されました。ただし、その裏には以前から整備されていたマーケットプレイスやウォレット、コミュニティ文化が存在しており、そうした基盤の上で一気に火がついたとも言えます。
多彩化するNFTジャンル
アートNFT:ジェネラティブアートと1/1作品
NFTとアートの関係はBeepleだけに限りません。大きく分けて以下の二つの潮流があります。
一つ目はジェネラティブアート。Art Blocksなどが有名で、乱数やアルゴリズムを元にして作品が自動生成される仕組みをスマートコントラクト上に実装するものです。ミント時に作品が“その場で決まる”というサプライズ感とオンチェーンアートへのこだわりが評価され、FidenzaやRingersといったコレクションが数十ETH〜数百ETHと高額取引されました。
もう一つは1/1アート。これは文字通り一点物の作品をNFT化する形態で、BeepleやPakなど著名デジタルアーティストが次々と数百万ドル規模のオークションを達成しています。従来のアート市場が権威やギャラリーを介して“作品の価値”を保証していたのに対し、NFTの場合は所有者や取引履歴がブロックチェーン上で可視化され、新しいタイプのコレクターコミュニティが形成されました。
音楽NFT・映像NFT
アートだけでなく、音楽NFTも注目度を高めました。ミュージシャンが楽曲やアルバムをNFTとして販売し、ファンとのインタラクションや収益機会を増やす事例が増えているのです。たとえば、音楽NFTを保有することで特別なライブ招待やデジタル特典を受け取れるプロジェクトも存在します。既存の音楽流通では困難だった“二次流通ロイヤリティ”や“所有者限定コミュニティ”の創出が大きな可能性を示している反面、まだファンにとって操作が複雑、権利処理の不透明さが残るなど発展途上の段階です。
映像やアニメーションのNFTも一部で高値を呼びましたが、音楽NFTと同様に“アートとしての価値”なのか“投機対象”なのか曖昧な面があります。また、映像ファイル自体をどこでホスティングするかなど技術面・法的面の課題も大きいです。
ゲームNFT・GameFi
“Play to Earn”として爆発的に人気を集めたAxie Infinityや、ウォーキングアプリと連動するSTEPNは“ゲームアイテムをNFT化し、それを売買して利益を得る”モデルが一大ブームを巻き起こしました。特にAxie Infinityは、フィリピンなど新興国での“日当稼ぎ”として社会現象になったほどです。
とはいえ、経済モデルが単に新規参入者の資金で既存ユーザーに報酬を与える形になりがちで、長期持続の難しさが浮き彫りに。2022年頃から“Play to Earn”は下火となり、一部はGameFi自体を批判する声も出始めました。しかし、NFTを活用してゲーム内資産をユーザーが所有するコンセプト自体は引き続き注目されており、“Play and Earn”へ移行するプロジェクトや大手ゲーム会社の実験が続いています。
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